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Jan 31, 2016
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Jan 31, 2016
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日本でテロが起きる日 佐藤優 2015年 時事通信社関連団体、内外情報調査会での懇談会講演録だそうだ。佐藤優はこの会は欠かさないそうだ。 中東の紛争の火種は、一世紀さかのぼり、英、仏、露が民族に頓着せずにオスマントルコ領の植民地化の線引きをしたことが大きいそうで、領土と民族が分断されて統治され、抑圧と不満が拡がっていったらしい。 シリアの火種は、仏が植民地政策として、それまで底辺に抑圧されていた少数派を支配層にすえ、多数派を支配したがゆえだそうで、それがアサドが属するシーア派のアラウィー派だそうだ。 現アサドは、親から引き継いで支配者となったそうで、その親も1970年代に反対派同胞を大量虐殺をしたそうだ。その息子も国民に毒ガスを使う人間となったわけだ。 イラクのマリキ政権はシーア派で、イランもシーア派、サウジはスンニ派だそうだ。 サウジでは、今でも女性の教育は小学生5年生程度に制限され、運転も禁止、妻帯は4人まで認められ、国会はなく、王の一族1500人が支配しているそうだ。 サウジにとって米軍はボディーカードで、更に、核兵器についてもパキスタンが保有できたのはサウジの支援によるもので、サウジはイランの核保有に備えていつでも核を手に入れられるようにするためにパキスタンを支援したというのがもっぱらの噂だそうだ。 シリア、イラクにまたがって繰り広げられている紛争は、もはや戦争であるそうだ。もし、クリントンが政権をとったら、躊躇せず地上軍を投入すると著者は言う。 また、この地域には800万人がおり、人道支援で200万人も域外に脱出させれば、この地域経済はなりたたなくなり、難民人道支援が敵対行為になるそうだ。だから、日本も敵とみなされるそうだ。 ウクライナの停戦は、アメリカ抜きで独、仏、露、ウの四か国で決まったそうだ。ウクライナが引いてロシアは引かない内容で、ロシアの勝ちと。ウクライナはつくづく利に恵まれぬ地で人の和も築けない地のようだ。 ティモシースナイダーの「ブラッドランド」によれば、スターリンが集団農場政策推進して土地と作物を取り上げ、農産物は海外輸出し、ウクライナ人4百万人を餓死させたらしい。佐藤優は当時の肉屋の写真に人肉を見たそうだ。 ヒトラーが登場するとウクライナ各地でドイツ人による大量銃殺がはじまり、大量銃殺で谷が埋め尽くされたりしたそうだ。肥沃な土地をウクライナ人から奪い、ドイツ人を養うためにドイツ人の入植をめざし、虐殺、移住させたとある。ドイツが降伏すると、スターリンは、ウクライナの民族活動家を弾圧し、ユダヤ人も排除したそうだ。 ウクライナは取り囲まれる国に蹂躙される地のようだ。共産圏の崩壊後は、トッドによれば、ドイツに隷属することになったそうだ。ドイツが終着となるロシアからのガスパイプラインがウクライナを走り、ドイツとロシアの重要経由地になっているそうだ。 クリミアは、ロシアに戻ったが、水と電気はウクライナからの供給なしにはなりたたないので、ロシアは決してウクライナへの支配を緩めないらしい。佐藤優によれば、ウクライナ東部、南部には、ロシアの航空機、ミサイル、宇宙産業、兵器工場があり、ロシアにとっては死活地域となっているそうだ。 ウクライナ西部は、もともと反ソビエト闘争の歴史があり、貧しい、辺境で、ウクライナ人の地域だそうだ。ソビエト共産圏となり、難民となるが、大国は受け入れないためブラジル、カナダに大勢亡命していったそうだ。カナダには120万人のウクライナ人が住み、ウクライナ語を話し、ウクライナを支援しているそうだ。 ウクライナの大統領は歴代、美人の誉れ高い元大統領も含め、不正蓄財で私腹を肥やす歓迎されない指導者であるそうだ。地の利も人の和も危うい地のようだ。 つくづく日本の地の利は、海と辺境にあると思う。更に、人の和を世界に語れるほどの国になれれば、この上ない地になれるかも知れない。
Jan 28, 2016
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獅子吼 浅田次郎 2016年 ままならぬ話が六編。いずれもなすすべない時になんとかしようとしても予想外のことになる話だった。一話 獅子吼 あらがえぬと覚悟した時、なりかわってくれる意気にあずかれることもある。二話 帰り道 負い目をおいたくないと決意した時、差し伸べてくれた人をも失うことがある。三話 九泉閣へようこそ この世への未練を断たれた時、救われることがある。四話 うきよご 孤独になった時、他人の中は居心地が良い。五話 流離人 せっぱつまったら、迷いさまよえばよい。自分で期限を定める必要はない。六話 ブルー・ブルー・スカイ 行き詰まり身の危険を感じたら、ジタバタせずにしのいでいればなんとかなる。結論 世の中捨てたもんじゃない。
Jan 25, 2016
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破獄 吉村昭 1983年 「賊軍の昭和史」で半藤一利は、北海道は言わば隠れ家で、龍馬の実家も釧路に渡り、秩父事件の井上伝蔵も北見に隠れたと。屯田兵は長州の回し者で札幌や旭川など適地に駐屯し、民間が奥地をあてがわれ、森林伐採、開墾をしたと。北海道の軍人や官吏には屯田兵の家系が多いと。 「国道者」で佐藤健太郎は、国道333号は網走監獄のルーツで囚人による突貫工事によって開かれたそうだ。路肩には無縁仏が埋まっている、通ったら手を合わせたらと。「破獄」によれば、明治24年に囚人一千人以上がかりだされ、四か月で完工させるも、二百人弱が亡くなり、残りの人は病気となってしまい、ほぼ全滅であったと。 吉村昭の1971年の「逃亡」のモデルとなった人物と北海道史家との共著「雪の墓標」では、昭和19年、死刑判決を受けた兵が霞ケ浦航空隊の営倉から脱走し、北海道軍事用鉱物採掘現場などのタコ部屋に潜伏し、厳冬下の過酷な労働環境に、監禁監視・逃亡虐待に加担するようになったことが明かされていた。戦後、贖罪に努め、亡骸への慰霊がなされていた。 1971年の「総員起し」に収録されていた「海の棺」では、海軍将校が溺れる兵に刀を振るって生き延びた暴挙、怒る北海道漁民が描かれていた。1977年の「羆嵐」では、北海道開拓民の過酷な自然との格闘が描かれていた。 「破獄」は、青森、秋田、網走、札幌、東京などが舞台となるが、極寒が覆いかぶさるような展開であった。「破獄」が1983年に発表されるまでに発表されていた吉村昭の小説を凝縮したかのような各種の時代の要素が描かれていると思えた。 対峙した人々の死闘と最後に訪れる安寧が描かれていたが、そこには戦前戦中の窒息と息継ぎに喘いだ日本人の姿が、籠められているようにも思えた。
Jan 24, 2016
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忘れられた島々 井上亮 2015年「南洋群島」の現代史 ミクロネシアにおいても16世紀に西欧文明と接触して以降、征服、暴政、植民が、いろいろな「先進」国により永くなされてきたらしい。 スペイン、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、再びアメリカと変遷する制圧史の中で、日本が整理されていた。いずれの国も自国以外の地での戦争を繰り広げた国々だ。それらの為政の優劣を持って自賛することはあまり意味がないようで、皆、自らの国益確保と自文明の優越思考をかざして他の文民を支配し、自らを正当化してきた。西欧文明の利己がミクロネシアでも歴史に刻まれていたということのようだ。 刻みこまれた歴史を披露されると、科学文明がどのように進んでもそれを利用した国々の精神は、どの国も収奪し合う争いに勝たんとする底辺の水準でしかなかったと言うことのようだ。 吉村昭は惨事を現実として端的に描いていた。この本の記述で思い出される作品がいくつかあった。 サイバンの玉砕での民間人の生死の状況が描かれた「珊瑚礁」、沖縄摩文仁に追い詰められていく沖縄の人々の惨劇を描いた「殉国」、沖縄の人びとに対する本土の差別と敗れた郷土の惨状を描いた「他人の城」、身を挺した海の探索網とアメリカでの俘虜の現実を描いた「背中の勲章」、虜囚の辱めは自らには問わない海軍高級将校のご都合を描いた「海軍乙事件」など、いずれも不条理に故郷を死地にされた人々が描かれていた。 本書を読んで、吉村昭が忘れてはならない島々を残してくれていたことがよくわかった。
Jan 20, 2016
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蚤と爆弾 吉村昭 1970年 細菌の改題 優秀な科学者が兵器の開発にその能力をいかんなく発揮すると極悪非道な事柄を成果として出現させてしまう。人間とは、能力を制約なしに発揮できてしまうものなのだという事実が突きつけられた。 軍事的勝利を至上として目的を合理的に実現する兵器の開発を課せられると、平時には躊躇して出来なかったことも、科学的に組織的に行ってしまう、人間はそういう特質を持ち合わせているということを明らかにしている。 勝利が人道に優先される時、手段の合理性があればいかなることをも許してしまう人間がいる。戦争は、国家が認めた人道を超えた殺人・破壊行為であるから、その極悪非道は無限となってしまうわけだ。 細菌兵器開発の実績は、米ソも捜し求め、排除・消去するのではなく、我が物にしようとした。米軍は、対価を払って入手した。開発し使用した者の罪は隠蔽され、非道な科学的成果は米軍に秘匿された。 極悪非道でない戦争などは、人間はできないのだろう。極悪非道を科学して勝利を目指してしまうのだ。歴史を知るとはそういう人間であることをわかることなのかもしれない。
Jan 15, 2016
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賊軍の昭和史 半藤一利 保坂正康 2015年 勝てば官軍負ければ賊軍とは、現代史を言いえているそうだ。大方の歴史は、真偽のほどは勝敗に従うことになるらしい。争いとはしたたかさの勝負でもあると言う事か。 御一新とは、尊王の藩が賊軍とされ、玉を手玉に取って自らの国造りを目指した薩長が官軍と自称したという事であるらしい。戊辰戦争では、略奪・虐待が、賊軍ではなく、官軍によって賊軍の非戦闘員に対して繰り広げられたのが実態であると。強者が弱者をなぶりものにする戦争の本質は、いつの時代でもいずこの紛争地でも変わらないらしい。勝者の蛮行はやまないようだ。 陸軍、海軍とも明治は薩長派閥が支配し、陸軍はその反動で次第に反長州が働き、昭和になると長州色は消え、官軍、賊軍の差別もなくなっていたそうだ。しかしながら、官軍の思想は陸軍を支配していたそうだ。長州嫌いの東条英機は、官軍思考であったと。海軍は、限られた要員規模であったので昭和でも薩摩が主流であったと。 軍では、陸海軍大学出などの暗記成績優秀者が選抜されて支配層となり、実践経験もない者が参謀になり、国の行末よりも自己軍事組織の教条思考の貫徹に拘りぬき、政治と民衆を翻弄したようだ。玉を手玉にとって越権するその態度は、官軍的であると。陸軍悪で海軍が善玉のイメージは、流行小説の影響であって、幻影であると。 徹底抗戦、玉砕をとなえる軍人達をとどめて、日本人を自滅から救って終戦に持ち込んだのは、賊軍派であったと。敗戦・被抑圧・濡れ衣を着た祖先を持つ軍人達が滅亡を留めたということらしい。 鈴木貫太郎は、譜代藩士の子で鳥羽伏見で大阪詰めの時に生まれ、海軍兵学校を成績上位ででるも、冷遇され、戦功をあげても同じ役に留められ、賊軍としての覚悟が必要な最期に登場となり、終戦の聖断を導きだせたのだと。 濡れ衣を着た敗者が、敗者でなくなった時に日本は滅亡から辛うじて逃れられたようだ。
Jan 13, 2016
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2020年世界はこうなる 長谷川慶太郎 田原総一郎 2016年 被害者を騙る政治は、為政者が造り出した専制と収奪の隠れ蓑であると「ブラッドランド」を読んでわかった。ヒトラーとスターリンは、被害者を騙り、敵の影をつくりだし、「正義」のために自民族、自勢力以外の皆殺しを企て滅んだ。国益を騙る正義に国民は熱狂して喜々と邁進したものの、惨劇に加担してようやく自身の正体を知った時には、取り返しのつかない歴史を抱えることになっていたようだ。 「動くものはすべて殺せ」を読むと、ベトナムでスターリン主義や反共のためにアメリカは正義を推進したつもりであったのかもしれないが、実態は、軍内部の評価獲得のために非戦闘員の民間人を大量殺害して戦果と偽装し、軍も容認し、「正義」の実績として本国も叙勲、昇進評価し、国益の英雄として安住させたのが真実のようだ。「一流」新聞も対立政治家も将軍達もベトナムの民間人を米軍の長年に亘る大量虐殺から守らなかったことになる。 高度成長を遂げてGDP「一流」国となった国も、為政者が権力闘争の果てに専制の君となり、腐敗・汚職撲滅の「正義」のもとに専制の障害となる知識人、民族を拘束、排除、粛清していく様は、20世紀の大量虐殺を犯し始めた頃の政権と似ているようで、似たような事を犯さないか不安が募る。 「一流」新聞は、正義を語るようだが、スポンサーにおもね、売り上げ部数に筆をはしらせ、扇動・捏造記事を掲載するようでは、一流の騙りとなる。トクダネに逸り、事実を都合よく取捨選択して大見出しをつけていく新聞では真実はわからない。独善的、功名にはやる自説は許さない真実報道の規範のある新聞が一流のはずなのだが。 「一流」新聞で事実を知ることができない日本では、様々な事実を提供してくれる出版社はありがたいが、「一流」新聞と同じように正義を騙る出版物もまた多かろう。それでも、新聞のような大量流布による汚染が少なくて済むならまだ安全なメディアかもしれない。 この本には、新聞には掲載されていないことが多く書かれている。腑に落ちる話ばかり。著者は言う、「血の海になる、何千万人かも知れない。」と。果たして20世紀の世界史がまた繰り返されてしまうのか。 日本は、その前にそこから撤収しておけと著者は勧めている。
Jan 10, 2016
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ヨーロッパから民主主義が消える 川口マーン惠美 2015年難民・テロ・甦る国境 国境審査なし、関税無しで往来自由の協定、それが、シュンゲン協定で、共同体の証で、ヨーロッパの26ヶ国が結んでいて、EU加盟国は22ヶ国だそうだ。これが、経済難民問題で揺らいでいるそうだ。 ユーロ通貨に移行した国は、19ヶ国だそうだ。EUで非ユーロの国は9ヶ国で、英、ポーランド、スウェーデン、デンマーク、ハンガリー、ルーマニアなどだそうだ。 イギリスは、両方とも参加していないことになる。国境あり、関税あり、別通貨・為替ありとなると、同床異夢でなく異床異夢なのか。拠出金も66%の免除をサッチャーが勝ち取り以来そのままで、イタリアよりも少ないそうだ。 イギリスの負担が格安になった理由は、EUの歳出の45%が農業補助金で、それではイギリスにはメリットがない、拠出は不公平だとの理屈だそうだ。 農業は、戦略国内産業であって、アメリカも巨額の補助金を大農家にだしつづけて保護している。米欧は、食物は決して他国にゆだねない、命は握られないとの意志と言うことか。 東欧でのスターリンやヒトラーによる餓え死に殲滅戦法の大量殺戮を知れば、ヨーロッパの飢餓の歴史がなせる業か。食品を海外にゆだねてしまっている日本のおおらかさは、他国による飢餓戦法での民族絶命の危機の歴史がわからないからとなるのか。 イギリスは、外国人を呼び込み、金融で再生してきたが、ドイツとは全く異なり、問題となっている難民は受け入れていないそうだ。 ドイツは、70年前に他民族大量殺害の民族浄化なる残虐行為を繰り広げたことから、憲法にあたる基本法に「政治的に迫害される者は庇護権を享有する」と決めていて、見過せないことになっているそうだ。去年110万人の難民が中東などから入り、難民申請審査、保護、給付負担増と問題が大きくなり、国境検問が復活し、難民審査を迅速化して強制送還を厳格運用し始めようとしているらしい。 難民を受け入れた理屈には、安価な労働力の確保、国内賃金の抑制、難民景気への期待などがあるそうだ。アメリカもタイラー・コーエンなど大量移民による経済成長、低賃金労働者の確保が基本シナリオで必要と言っていた。 もともと、ユーロ通貨圏で、ドイツにとってはユーロ安、成長の滞るユーロ通貨の国にとってはユーロ高で、ドイツの輸出154兆円は増加し続け、6割はEU域内にはかれていてユーロ圏で独り勝ちだそうだ。 東欧の低賃金労働者を受け入れ、国内賃金上昇を抑え、格差を拡大させ、国内社会資本の充実は後回しにして成長しつづけているそうだ。 フランスとは、原子力発電した電気を買い、ロシアとはガス、石油パイプをドイツに何本も直結させ、中国にはアジアで一番大切な国と言い、ドイツメディアは反日報道を繰り返す。 ヨーロッパ諸国も、中国のAIIBにこぞって参加し、人権問題は口にするのを控える。ヨーロッパ文明とは、民主主義より実利まるだしになってきているようだ。 EUでは、規制がどうでもよいことまで数多く、EUの本質は、閉鎖的な営利団体であると。難民問題で目に見えてきたのは、国境が復活し、国家主義が台頭するEUの正体であるらしいと。途上国で搾取を続けながら、その国々の民主化を強化しようとする偽善に満ちた姿であると。 同床異夢も、難局に床が抜けかねないようだ。
Jan 6, 2016
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ブラッド・ランド ティモシー・スナイダー 2015年 原書2010年ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 1933年から1945年の間に、ポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国周辺で銃殺、ガス殺、飢え死にさせられた民間人、捕虜は、合計1400万人に達するそうだ。ヒトラーのドイツと、スターリンのソビエトに殺された非戦闘員の数だそうだ。 本書で明らかにされている残虐さと執拗さは、凄惨を極め、後にベトナム戦争でアメリカ軍が200万人以上の民間人を殺害した極悪行為と同じように、読者の臓腑がこみ上げてくるような凶悪の告発だ。 独とソがしめし合わせて始めた戦争は、他国を侵略して統治、搾取する植民地行為というよりも、他民族を強制排除しながら殲滅して領土を収奪し、自民族を移植する強奪行為のようだ。強制移住からはじまり、収容地が満杯になると、占領地域の知識層を抹殺し、婦女子も殺してしまい、その民族を根絶やしにして絶滅せんとした残虐行為だ。 中世の乱世とかわらない思考だ。20世紀の前半のヨーロッパとは、そういう地域であったようだ。 米英は、1945年に勝利しても、独ソが繰り広げた殺戮の地の惨状はみていないそうだ。ソビエトが占領し、支配し、不都合な事実は隠して被害者に化けてドイツ人の大罪を隠れ蓑にしたそうだ。 1942年には、米英にユダヤ人虐殺は伝わっていたそうだ。更にポーランド亡命政府の大統領とバチカン駐在大使は、教皇にまで公表を懇願したが徒労におわったそうだ。 独もソも、自国は資本から収奪されて攻撃されている被害国であるとの主張から、対外侵略を正当化していったそうだ。資本の正体とは金融資本のユダヤ人であるとの同じ主張を両国とも時期は異なるがしている。 ソビエトは、ウクライナからの穀物と農地の収奪から始め、次にドイツと結んでポーランドを分け合い、その後、裏切り合ってドイツは潰え、ソビエトは、偽り騙り続けて半世紀後に自滅することになると言うところらしい。 ドイツに抗したポーランド人蜂起を見殺しにするスターリンの狡猾さ、残忍さには背筋が寒くなる。また、徹底破壊、殺害したドイツも人間の所業として理解するのは苦痛の限りだ。アメリカがソビエトで給油してポーランドのドイツ軍を空爆する提案をスターリンは拒否し、蜂起が失敗して、ポーランド兵士が死亡し、ソビエトがポーランドを支配することが望ましいとしたと。 スターリンは、戦後、資本主義を敵として自国民の弾圧を強化し、米ソの残虐行為が継続されていったらしい。被害を騙り、目くらましにして支配を確立せんとしたらしい。 そうした国の末路は明らかなはずなのに、今世紀もまた起きていると著者は言う。数字を騙らせず、自己の正当化に数字を誇張させず、記憶を歪曲させず、都合のよい教育はさせないようにするのが歴史の目的と。 百万の死者とは、一人かける百万と理解して、人間性を持てと。人間の所業を超えるとせずに、人間の所業であると理解せよと。 21世紀も果たして同じ末路をとげてしまうのか。
Jan 4, 2016
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