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2023.03.11

映画「Winny」公開日に見てきました！　感動の実話（少しネタバレ）

テーマ：最近観た映画。(40136)

カテゴリ：映画

2023年3月10日、映画「Winny」の公開日に第一回上映を見てきました。
コンピュータ・エンジニアの経験のある私にとっては、とても興味があり楽しみにしていた作品です。

■ Winny事件とは
この「Winny」事件とは、東大大学院の助手であった金子勇氏が2002年に開発を始めたP2P型のファイル共有ソフトによって起こった事件です。

金子氏は情報の検閲が難しい匿名性の高いシステムを目指してソフトを開発していました。このソフトにより権力による情報の検閲や削除を無くそうと思っていたはずなのに、予想外の展開で逮捕されることになってしまいます。

P2P型というのは、現在主流のネットワーク形式（大規模サーバーに情報を集めそこにアクセスして情報を得る）のではなく、個人のパソコンを対等な関係で接続しデータをやり取りする形式です。
言ってみれば、今話題になっている「Web3.0」の前身のような感じといえるかもしれません。
Web3.0は情報漏洩やプライバシー保護に強いといわれていますので、金子氏はこのような形を目指していたのかもしれませんね。

しかし、Winnyは開発途上で公開したため、そこに潜んでいた脆弱性によりWinnyを使用していた人のパソコンが感染したウィルスが原因でパソコン内の情報が漏出してしまうという事件が頻発しました。
また、このソフトを悪用して映画や音楽を無料でダウンロードできる違法サイトも現れ、著作権が侵害されるという金子氏の思惑に反する事件も起こりました。

役所や政府でもWinnyによる機密文書漏洩なども起こり、政府・マスコミはWinnyを使わないようにと広報するようになり、金子氏は「著作権法違反幇助」の容疑で逮捕されてしまいます。

私も、この時期のこの騒動はしっかりと覚えています。しかし、金子氏が逮捕されたあとどのようになったかは。あまり記憶にありません。ひょっとしたら、金子氏の逮捕後マスコミ報道も沈静化して話題にならなくなってしまったからかもしれません。

この映画は、金子氏の逮捕から弁護士とともに裁判で戦っていく姿を描いています。

↓金子勇氏（左：映画では東出昌大）　と　壇俊光弁護士（右：映画では三浦貴大）

■ 映画「Winny」
出演者の皆さんの迫真の演技により素晴らしい作品になっています。
コンピュータ用語も飛び交いますので、コンピュータに詳しくない人には難しい場面もあるかもしれませんが、コンピュータが苦手の弁護士を登場させ彼に説明する形でなるべくわかりやすくする努力がされていました。

金子氏は、天才的だが世間に疎い純粋な技術者として描かれています。技術者の世界には、程度の差こそあれ時々見受けられるタイプですので、私としては違和感もなく大いに共感できました。そして彼の純粋さ・かわいさに感動すらしてしまいました。

この映画には印象的な言葉が多く出てきます。（正確な言い回しは覚えていませんが）

予告にも出てくる「ナイフで刺殺したら、刺殺した人が罪に問われるのであって、ナイフを開発した人は罪に問われない。」という言葉が最も印象的でした。
意図なく作ったプログラムで罪に問われたら、今後誰も新しいプログラムの開発にチャレンジしなくなってしまう、という考えの元に裁判で戦っていくことを決意します。
彼に続くプログラマーを守るための裁判でした。

ドラマチックで息をつかせない展開に、最後まで画面にくぎ付けで２時間10分ほどの時間があっという間でした。

映画最後のエンドロールに「彼のプログラムは今もどこかで動いている。」という文字が流れました。
天才プログラマーである金子氏はWinny以外にも多くのプログラムを残しましたが、わずか42歳で亡くなっています。でも彼の作品であるプログラムが残っているというのは、プログラマーとして喜ぶべきことと思います。

この場面で、私も一介のプログラマーとして、お粗末ながら自分のプログラムがどこかでまだ動いてくれていると思うと感慨深く感じました。

映画の最後の最後で、実際の金子氏のインタビュー映像が流れますのでそれも見逃せません。

私の評価は90点。「見に行ってよかった」です。
ぜひ、ご覧になってみてください。

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