楽しく ひまつぶし Labo

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2024.08.28
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カテゴリ: 読書
今年の直木賞の候補になり惜しくも受賞はできませんでしたが、「本格ミステリ大賞」や「日本推理作家協会賞」「山本周五郎賞」とトリプル受賞して話題の作品の「地雷グリコ」を読んでみました。



著者は「水族館の殺人」や「図書館の殺人」などで人気のミステリー作家、青崎有吾さんです。

地雷グリコ」という奇妙な題名が表わすように、チョッと変わった小説です。
ミステリーと言えばミステリーなのでしょうが、殺人事件は起こらないし、犯人も探偵も出てきません、高校生の学園生活の中で繰り広げられるゲームの実況がメインになっています。

しかも、そのゲームと言ったらパソコンやスマホのゲームではなく伝統的でアナログなゲームばかりです。しかし、そのゲームにはひとひねりしたルールが追加されていて、そのひと手間がゲームを複雑にしていて、相手の戦略や感情を読みあうという面白味を出しています。

例えば、表題の「地雷グリコ」では、グー・チョキ・パーで勝った人がグリコ・チヨコレイト’・パイナツプルと言って階段を登るゲームに、お互い好きな位置に地雷を仕掛けることができるというルールが加わります。地雷を踏んだら10段下がらなければいけません。
このルールが加わるだけで、俄然難易度が増しお互いの戦略の探り合いになります。数学的な思考も加わって物語が進むので、理系の人には好物になるかもしれません。


主人公は、都立頬白高校(ほおじろこうこう)
一年女子の 射守矢真兎(いもりやまと)、ちょっとぼんやりしているようだけど勝負にはめっぽう強い変わった女の子です。親友の鉱田ちゃん が語り手として物語は進みます。見方によっては学園青春小説と言えるかもしれません。 真兎ちゃんと 鉱田ちゃんの関係を見ていると何だか「成瀬は天下を取りに行く」の成瀬と島崎を思い出してしまいました。

「地雷グリコ」「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」「だるまさんがかぞえた」「フォールーム・ポーカー」「エピローグ」の6つの章で構成されていますが、
「エピローグ」を除く各章に斬新な仕掛けのゲームが登場し、対戦の面白さを楽しむことができます。
作者の青崎有吾さんのは創造力の素晴らしさを感じます。


地雷グリコ(1) [ 青崎 有吾 ]

出版社の宣伝では「究極の頭脳戦小説」と表現していますが、まさに頭脳戦です。
この小説、一気に読んでしまいましたが、さすがに私の頭脳も疲労困憊気味になりました。
確かに痛快で面白い小説ですが、頭を休めながら読んだ方がいいのかもしれません。










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最終更新日  2024.08.28 11:20:45
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