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1999 アメリカ 監督:アン・リー出演:トビー・マグワイア、スキート・ウールリッチ、ジュエル、サイモン・ベイカーほか 138分 カラー 台湾出身のアン・リー監督がアメリカ南北戦争を題材に描く、ヒューマン系戦争映画。それなりに戦闘シーンはあるが、人の心の葛藤とつながりを重視したヒューマンドラマとして見るべきものだろう。しかも、アメリカにとっては、「よそ者」のアン・リー監督が南部の「よそ者」を主人公として描くあたりは、アメリカ人監督の映画とはひと味もふた味も違う点だ。 この映画の元ネタは1863年8月のブッシュワーカー(南軍ゲリラ)がカンザス州ローレンスの町を襲撃し、多くの住民を殺害した事件であり、そこに至るまでの経過を(多分)ノンフィクションで構成した映画と思われる。 (以下ネタバレ注意) 1861年南北戦争が勃発し、南北軍の境界に位置するカンザス州ミズーリは、北軍派、南軍派の住民が対立する悲劇に見舞われていた。ジャック(ウールリッチ)は農場の経営者の息子でドイツ系移民のジェイク(マグワイア)と幼なじみだ。ジャックの父親が北軍ゲリラに殺害されると、本来北軍派につくべきドイツ系移民のジェイクは、ジャックとともに南軍ゲリラ(ブッシュワーカー)に加わる。 ブッシュワーカーはブラック・ジョンが率いる南軍ゲリラで正規軍ではない。ジェイクとジャックはまず父を殺した北軍ゲリラを殺害し復讐を果たす。ブッシュワーカーの野営地には北軍の捕虜がいた。その一人にミズーリでの知り合いがおり、ジェイクは彼を生かしてやるために、敵への伝言役として北軍へ返すことを提案する。しかし、北軍へ戻った知り合いはジェイクの父を南軍ゲリラの親として殺害してしまうのだった。それを知ったジェイクは深い怒りを覚えるのだった。 次第に北軍が優勢になり、カンザス州も北軍派が支配するようになる。冬になり、ブッシュワーカーは南軍派の農家などに潜伏して冬ごもりをする。ジャックとジェイクはジョージとホルトを加えた4人でエヴァンス家の世話になる。ホルトは黒人で、もとは隣家の奴隷だったがジョージに買い取られ、ジョージのニガーとして事実上奴隷から解放されており、二人には厚い信頼関係があった。エヴァンス家には南軍で戦死した息子の嫁スー・リー(ジュエル)が未亡人として同居しており、ジャックは恋に落ちる。冬が終わろうという時期になり、エヴァンス家が北軍に襲撃され、追撃したジャックは腕を負傷する。スー・リーらの介護むなしく、ジャックは死亡する。とりあえず、ジェイクらは南軍派のブラウン農場にスー・リーを預け、再びブッシュワーカーの野営地に戻る。 ブラック・ジョンはもはや劣勢と悟り、最後の総攻撃を計画する。北軍派の町ローレンスの襲撃だ。しかし、そこには北軍正規軍はおらず、襲撃は住民の虐殺と掠奪と化す。冷酷なピットの無法ぶりにジェイクは苦言を呈するが、それがピットの機嫌を損ねてしまう。 いよいよ北軍正規軍との対決となり、次々に打ち倒されていく中、ジェイクは背後からピットに撃たれる。また撃たれたホルトを助けようとしたジョージも死んでしまう。負傷したジェイクとホルトは、スー・リーのいる農家へ戻る。そこには、赤ん坊を抱いたスー・リーがいた。傷が癒えれば再び戦線に戻ろうとするジェイクだが、農家の主人らはジェイクが赤ん坊の父親と信じており、スー・リーとの結婚を勧める。主人であり親友を失ったホルトももはや戦う意義を失っている。ジェイクの傷が癒えた頃、農家の主人とホルトの策略でジェイクとスー・リーは結婚する。二人はカリフォルニアで新生活を送ることとし、ホルトは生き別れとなった母親を捜すためにテキサスへ向かう。その途中、ジェイクを狙うピットに出会うが、既に彼も北軍に追われる身であり、死を覚悟で北軍に支配された彼の生まれた町へ戻っていくのであった。 登場人物の名が皆「ジ」で始まるので、初めのうちは誰が誰なのかわからなくなった。特に、人物描写中心の映画なので、混乱すると映画の醍醐味が失われてしまう。また、ゲリラになった時点でロン毛になっているので、顔つきも変化していて誰だこれって感じで混乱した。 戦闘シーンはそこそこあるが、ヒューマン主題の映画と言うことで流血等は極力抑えられており、血なまぐささはほとんどない。森の中に敵を引き入れての一斉射撃シーンも「グローリー」のような迫力はさすがにない。 登場人物は南軍派なのだが、純粋なアメリカンはどちらかというと脇役で、ドイツ系と黒人という「よそ者」に焦点をあてることで、アメリカ人の覇権争い、利権争いという利己的な争いに巻き込まれた「よそ者」の困惑が見えてくる。日本人だからスムーズに映画の中に入って行けたが、この映画をアメリカ人(白人)はどのように見たのであろうか。興奮度★★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★★シビル・ガン 楽園をください
2004年10月16日
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1939 海軍省 監督:不明出演:記録映画 66分 モノクロ この時期の記録映画が後方記録として戦闘後の映像がメインであるのに対し、これは海軍省直営のためか、実戦シーンが盛りだくさんである。従って、非常に臨場感があるし、兵器も沢山登場する。十分に見応えがある映画だ。ただし、近年発見されたものであり、映像的に失われている箇所もあるようだ。「海軍作戦記録」という題で第一号から第七号(以上)あり、本作には第一、第三、第五、第七の四編が入っている。1937年(昭和12年)の通州事件から1938年(昭和13年)末の漢口攻略までの支那事変(第二次上海事変または日中戦争)を描いている。 最初の「第一号」は昭和12年7月29日の通州事件から始まる。通州事件は315人の在住邦人のうち200名以上が虐殺された事件であり、これが支那事変への不穏な動きの始まりと位置づけている。続いて、8月9日の上海での海軍陸戦隊大山中尉(死後大尉)、斉藤一等兵(死後軍曹)が何者かに殺害された大山事件を取り上げ、殺人事件の追及を支那軍に要望したが、全く無視されたことから邦人の保護のために上海事変が勃発したと描いている。8月13日に艦船からの発砲が始まり、対抗して支那軍の空襲が始まる。支那軍の空襲はメクラ爆撃で、共同租界の英人、支那人に死者が出ているが、その空襲シーンも出てくる。以後、巡洋艦や駆逐艦からの艦砲射撃シーン、航空機による爆撃シーン、海軍陸戦隊の上陸戦、突撃戦の映像が盛り込まれている。この中で、特記すべきは実戦の兵器が多数出てくること。艦船系は詳しくないのでよくわからないが、遠方に空母が写っているほか、戦闘機の発艦シーンもある。空母は多分「鳳翔」ではないかと思われる。また、艦の脇で「中島九五式水上偵察機」の離水シーンも出てくる。航空機での爆撃は「渡洋爆撃(長躯渡洋)」と呼ばれ、日本の大村基地から「九六式陸上攻撃機」の編隊が慶徳、蘇州などの爆撃を行っているが、九六式陸攻の離陸シーンと飛行爆撃シーンが出てくる。上海地区での海軍陸戦隊の戦闘シーンでは、同調して行動している戦車連隊のものと思われる「八九式中戦車」や六輪の石川島自動車製「簡易装甲自動車」が登場する。 「第三号」は昭和12年の10月31日の四行倉庫内の残敵掃討戦から始まる。これは上海市内に立てこもる最後の支那軍が英国租界へ逃げ込んだ証拠ともなる作戦である。侍従武官の観閲シーンが入り、11/5の杭州湾北岸上陸作戦、さらに、浦東、南市の残敵掃討作戦のシーンになる。これらは海軍陸戦隊が敵前上陸を果たしながら空爆を行うシーンがメインとなっている。ここでは空爆に参加する航空機として「空廠 九二式艦攻」が登場する。爆弾を抱いての飛行シーンは臨場感たっぷりである。 「第五号」は南京陥落後の正月を祝うシーンから始まる。臨時の門松や餅つきなど日本の風物詩が南京の地に置いても兵士らによって敢行されているのが面白い。一方戦闘は支那軍が立てこもる山東半島へ移る。支那軍は半島にある日本企業の工場を爆破するなど、邦人が危機にさらされている。12月26日に陸戦隊は青島の交通封鎖と揚子江の上流へ進撃を始める。1月10日、青島に敵前上陸し、翌日占領する。こうして山東半島全体が日本軍の手中に収められていく。 途中で「第七号」に移行しているようだが、どこで移行したかはわからない。映像は作戦の成功を祝って高官の観閲式及び大本営への報告シーンとなる。良くわからないが、皇族の武官と思しき人または建物が映像に出るたびに画像右端に「脱帽」という文字が出るのが面白い。 日本軍はさらに、金門島、●(がんだれに夏)門島、徐州戦線へと移動していく。さらに、漢口へ到達し、空爆と陸上戦により昭和13年10月23日に漢口を占領する。空爆シーンでは九二式艦攻が出てくる。 最後は漢口での閲艇式と皇居での式典映像で終わる。皇居では遠目に馬に騎乗した天皇陛下らしき姿も見えるのが興味深い。 後半になるとやや映像的に面白味に欠ける上、実戦の映像が少なくなる。戦線が拡大しすぎて映像班の撮影が追いつかなかったのだろう。それに比して、上海事変までの映像は非常に良く撮られており、資料的にも大変興味深いものとなっている。それを見るだけでも十分に満足できるのではなかろうか。興奮度★★★沈痛度★★爽快度★★感涙度★戦記映画 復刻版シリーズ(5)支那事変海軍作戦記録新作戦争映画DVD情報レニングラード大攻防 194111月5日発売。1985年ソ連制作。どんな内容か情報は少ないので不明だが、1974年製作の超大作「レニングラード攻防戦」があるのでかぶった内容ではないと思います。バトル・フォー・スターリングラード【前編】バトル・フォー・スターリングラード【後編】12月1日発売。1975年ソ連制作。こちらも1972年に「スターリングラード大攻防戦」という映画を製作したばかりであり、どのような内容か今ひとつ不明。1972年の映画はどちらかというと郊外での対戦車反撃戦がメインとなっているので、こちらは市街戦だったらいいなと勝手に思っています。しかも、前編、後編と長編になっているのはこの時期のソ連映画の特徴で、多分ややだらけた感じはあるでしょうが、物量と人海戦術の大スケール映画が期待できそうです。
2004年10月15日
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2003 フランス 監督:ジャン・ベッケル出演:ジャック・ヴィユレ、アンドレ・デュソリエ、イザベル・カンドリエ、ほか 95分 カラー 戦後世代のミシェル・カンのベストセラー原作を、ジャン・ベッケル監督が映画化したもの。原作はどちらかというとミステリー調でもう少し長いようだが、小説のエキスとなる部分をうまく抽出して製作した、映画としては完結度の高い作品。舞台は1960年代のフランスだが、主人公らの第二次世界大戦中のドイツ軍占領下におけるレジスタンス活動が伏線となっている。戦争アクションやドンパチはほとんどなく、典型的なヒューマンドラマである。余計な部分が少なく、背景の説明がほとんどないにも関わらず、実に完結にわかりやくまとめられ、見る者に感動を与える作品だ。どちらかというと、短編の部類でやや沈痛な場面もあるが、さわやかに見終わることができる良作。随所で涙腺がゆるむこと請け合い。また、ドイツ軍、レジスタンスともに善悪を分けない作りにも好感が持てる。 主演のジャック・ヴィユレやアンドレ・デュソリエの演技は秀逸。さすが、老練の演技だ。特にヴィユレの愛嬌のある顔立ちと道化師ぶりは楽しいのに妙にもの悲しさを醸し出す名演技。ただ、映像上、15年ほど前にフラッシュバックするのだが、ほとんど老け具合が一緒なのはちょっと興ざめ。リシュアン役の子役はこれまた不細工な顔つきだが、実にいい味を出している。 また、シャルル・トレネの「よろこびのうた」がひとつのキーワードにもなっている。この音楽の醸し出す雰囲気そのものが映画のテーマのような気がする。唯一このあたりだけがフランス映画っぽさを出している。フランス映画なのに、ストーリーや台詞がはっきりしていて、ある意味おフランスぽくないのである。とはいえ、フランス人特有のプライドの高さは随所に生きている。 シネスイッチ銀座にて公開中(2004/10/09より) (以下ネタバレ注意) 1960年代のフランス。14歳の男の子リシュアンは、小学校教師の父親ジャックが日曜日ごとに演ずるピエロが大嫌いだ。観客は大喜びだが、何故父親があんな恥ずかしいピエロをするのか理解できず、憂鬱だ。 ある日、ピエロを演じる父親をしらけた目で見ていたリシュアンに、父ジャックの親友アンドレが話しかける。「お父さんは嫌いかね」「いいや僕はピエロが嫌いなんだ」。アンドレは何故父親がピエロになったのか、その理由を話し始めた。 第二次世界大戦末期、ドイツ占領下のフランス。時代は、徐々にドイツ軍が劣勢となり、国内でもレジスタンス活動が行われている。しかし、レジスタンスなどとは無縁の小学校教師のジャックと親友の帽子屋実業家アンドレは、酒場の女給ルイーズに入れあげている。ところが、酒に酔ってたまたまワイン瓶を通過するドイツ軍列車に投げつけた二人は、その快感からドイツ軍へのレジスタンス活動に目覚め始めてしまった。もちろん、ルイーズに良い格好を見せたい気持ちもあったのだが。 ついに、二人は、列車のポイント切り替え所を爆破する計画を立てる。反対するルイーズをよそに、素人にもかかわらず、二人は破壊活動を実行してしまう。破壊は成功するが、施設にはフランス人技師の老人フェリクスが寝泊まりしており、重傷を負ってしまう。 そのことを知らない二人はルイーズのもとで祝杯をあげる。が、すぐにドイツ軍によって住民が集められ、真犯人が名乗り出るまでジャック、アンドレ、ティエール、エミールの4人が人質とされてしまった。犯人が名乗りでない時は4人を射殺すると通告するドイツ軍に対し、本当の犯人のジャックとアンドレは困惑する 4人は深い穴の中に監禁される。何故4人が選ばれたのか。共通するのはドイツ軍に協力する役場の役人に4人が嫌われていたということ。様々な案を考えてはみたものの、絶対に犯人が名乗りでないことを知っている二人はついに、自分たちが犯人だと告白する。しかし、ティエールとエミールは一笑に付す。 空腹と恐怖で極限に達していた4人のところへ、一人のドイツ兵が近づく。わざと滑って転んだり、ヒトラーの真似をしたりと道化るドイツ兵に「馬鹿にするのか」と怒る4人だったが、ドイツ兵はおもむろに赤い鼻をつけさらにおどける。さすがの4人も思わず笑ってしまった。兵士はベルントといい、パリのサーカスで「ゾゾ」という名でピエロをやっていたというのだ。ベルントは4人に内緒で食料や酒を分け与えた。翌日には小さなアコーディオンでシャルル・トレネの「よろこびのうた」を唄って4人の心を和ませてくれるのだった。(以下完全ネタバレ激注意) いよいよ、自首の期限が迫り、強硬派のSS親衛隊将校は4人の射殺命令を下す。しかし、ベルントは銃を投げ出し、代わりに赤い鼻をつけて反抗するのだった。SS親衛隊将校はベルントの頭を撃ち抜いた。 と、その時、本部から連絡が入る。真犯人が名乗り出たというのだ。実は、瀕死の重傷のフェリクスが必死に拒む妻マリーを説き伏せて、自分が真犯人だと名乗り出たのだ。フェリクスはジャックらの犯行と全てを知っていながら、4人を救うために身を挺したのだった。 4人はそのことを知らずに解放される。やがてドイツ軍が撤退する。ベルントが殺された場所に赴く2人。そこには彼の墓すらないのだった。さらに、ルイーズのもとで過ごしていた、ジャックとアンドレのもとに、フェリクスが身代わりで死んだという事実が知らされる。ドイツ兵やフェリクスらの死が自らの行動が招いたものだという罪の意識に駆られた2人は、フェリクスの妻マリーの元を真実を告げるために訪れる。しかし、マリーはすでにそのことを知っていた。「真実を話したことであなた方は許された」。 ルイーズと結婚したジャックは、ゾゾという名でピエロになることを決めた。もちろん、マリーも含めて皆に笑いを与えるために。 話を聞き終わったリシュアンは、ピエロの父親に笑顔で拍手を送るのだった。 個人的には、ドイツ兵ゾゾに泣いた。あまりに哀れなゾゾ。あとで、ジャックが「ドイツ兵は皆帰ったと」いうシーンで、「いや、帰れなかった兵士もいる」というのにもグッと来る。また、映画館内でも最初は笑いが起こっていたピエロのシーンでも、後半になって深い思いの詰まったピエロだということがわかると、会場の笑いもなくなった。同じピエロの演技にも哀愁を感じるものだと感心した。 シャルル・トレネの「よろこびのうた」はとても懐かしい感じがする音楽だ。フランスの古き良き戦前を印象づけるかのような音楽だ。興奮度★★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★★★★公式HP ジャン・ベッケル監督、ジャック・ヴィユレ出演作品クリクリのいた夏
2004年10月14日
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1971 東宝 監督:岡本喜八出演:小林圭樹、丹波哲郎、仲代達矢ほか 149分 カラー 東宝8・15シリーズとして制作された戦記映画。149分の超大作であり、当時の俳優が勢揃いした力作でもある。冒頭に「本作は史実をもとに構成されたフィクションである」とテロップが出るが、いやはや謙遜である。確かに、エピソードの細部や会話については想像を脱しないのだろうが、全体の流れについては限りなく史実に忠実に構成されているし、不明な点のオーバーな脚色もない。また、エピソードについては随時、その根拠を映画中で明示するなど戦記史実に対して実に真摯な作り込みであることに感銘する。ただし、沖縄戦突入前夜から沖縄玉砕までを描いた物であり、映画は長い。途中に休憩暗転あり。 (以下ネタバレ注意) 第二次世界大戦の末期、昭和19年、米軍の反撃によりいよいよ本土決戦も絵空事ではなくなってくる。大本営は米軍の進撃が沖縄か、台湾かの判断を迫られており、沖縄には陸軍第32軍を送り込み防衛を図る。第32軍司令官は当初渡辺中将だが、間もなく牛島中将(小林)が任官する。参謀長は長少将(丹波)、高級参謀に八原大佐(仲代)である。32軍に属するのは陸軍第9師団、第24師団であり、後に第62師団が加えられ、独立第44旅団と戦車大隊、海軍陸戦隊を含め10万人の兵力となった。 沖縄県民も沖縄決戦を目前に決意を固め、成人の男子は徴兵もしくは、軍属として労役に従事し、高等中学や師範の生徒は鉄血勤王隊に、女子は看護婦として準備を進める。子供達は本土へ避難するが、米潜水艦の進出により「対馬丸」の悲劇が起きるなど、いよいよ沖縄の孤立が進む。沖縄県泉知事は本土に逃げ、代わりに島田が知事につくなどの混乱も見られた。 大本営は米軍の狙いが台湾にあると見て、第9師団を沖縄から転属させてしまう。しかも、沖縄に神航空参謀を派遣し、飛行場の整備にあたらせるも、実際に航空機を送り込む決断は下さなかった。しかし、皮肉にも米軍は沖縄に上陸作戦を仕掛けてきたのだった。昭和20年3月26日米軍は特攻用の四式内火艇「震洋」(通称青ガエル)基地があった慶良間諸島を最初に攻めてきた。慶良間の渡嘉敷村では追いつめられた島民三九四名が集団自決する悲劇もあった。 大本営は急遽第84師団を派遣することを決めるが、結局中止する。沖縄を本土決戦のための捨て石にすることを決めたのである。航空機のない沖縄は米軍の艦砲射撃と航空機爆撃にさらされた。 沖縄防衛の32軍は、長少将の総攻撃論と八原大佐の持久戦論に分かれる。結局、持久戦体制に入り、易々と米軍に沖縄上陸を許してしまうのだが、この結果は米軍に「沖縄の日本軍最高司令官は偉大なる戦術家であるか、そうでなければ、大馬鹿者である」と言わしめるのだった。 上陸した米軍に対し、首里周辺では激しい抵抗をする日本軍だが、物量に勝る米軍に太刀打ちできる訳もなく、奮戦むなしく司令部の後退を余儀なくされる。司令部は沖縄南部への撤退を決めるが、そこにはすでに避難していた沖縄県民がいたのだった。島田知事はこの決定に不服を述べるが、軍は南下を進め、追撃する米軍と後退する日本軍との間で島民は混乱を極め、最大の悲劇を生む結果となるのだった。 一方、大本営は本土決戦を少しでも遅らせるため、航空機による特攻作戦「天作戦」や戦艦大和を沖縄に突入させる「菊水一号作戦」を行うが、焼け石に水であった。また、菊水七号作戦としての「義烈空挺隊」の敵飛行場突入も描かれている。 もはや、組織的な抵抗が不可能となった日本軍は、海軍陸戦隊の大田少将が自決し、さらに6月23日牛島中将が自決し、ついに沖縄守備隊は全滅したのだった。 なお、映画中には様々なエピソードが盛り込まれており、女子挺身隊の外科病棟での爆死、バックナー司令官の死、海軍陸戦隊の撤退ミス、八原大佐の投降なども描かれている。余りに全てのエピソードを盛り込みすぎて、構成上は大変なことになっているが。 とにかく、沖縄戦で語られる主要なエピソードがほとんど盛り込まれているため、本当に腹一杯になる。しかし、その都度、図やテロップ、ナレーションで解説が入るために、思ったよりは混乱しない。映画の企画構成がしっかりしているためであろう。なお、準主役級として床屋(田中邦衛)、接客婦が登場し、この二人の行動視点を随所に盛り込むことでストーリー性を持たせているともいえる。このあたりがフィクションという要素だろう。 登場する兵器類はかなり少なめだが、日本軍の武器としては「九八式臼砲(ロケット砲)」が紹介されている。もちろん映画用に製作したものだが、興味深い。戦車類は米軍側のものが何回か登場するが、その都度車種が異なっているようである。日本の少年兵が爆薬を持って突入するシーンでは、「M4A3シャーマン」と思われる戦車が数台登場する。このタイプは戦後に自衛隊に譲与されているらしいが、ちょっと砲塔が変な形で実は映画用に製作した木製だとか。次に登場する戦車は四台ほどが移動しながら砲撃しているのものだが、主砲はT字型の排煙機つき、上部の転輪が3つ、鏡餅タイプのべたっとした砲塔であることから、多分「M41ウォーカーブルドック軽戦車」と思われる。これは、米軍の協力だったのだろうか。最後は、墓の前で乱舞する老婆の前にやってくる複数の戦車だが、こちらはまた異なった戦車だ。砲の先が多角形になっているタイプなのだが、映像がボケていて車形が判然としない。「M26パーシング」にも見えるが違うような気もする。興奮度★★★沈痛度★★★★★爽快度★感涙度★★★ミリタリーグッズ特売情報ミリタリーパーカーの定番「モッズパーカー」がフード、ライナーセットで大特価。踊る大捜査線の青島刑事がこれのレプリカを着ていたことでも有名になったが、本物はやっぱり味が違う。ライナーはかなりヘビーだが、パーカーだけなら春秋にも着ることが出来る。US.M65パーカーセットスペシャルセール1001\22,000→\8,490もうひとつはパイロット用カバーオール。さすがに、パイロット用だけ合って多機能でスタイルもいい。これだけ安ければ買ってもいいかな。US.ARMYカバーオールスペシャルセール1001\12,000→\4,790
2004年10月13日
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1938 東宝(日本映画社) 監督:秋元憲 解説:徳川夢声出演:記録映画 56分 モノクロ 日本軍軍務局の指導で製作された、プロパンダ「戦記映画」。製作は東宝映画社で、完全なる「記録映画」であり、ナレーションメインで構成されている。この作品は完成から半世紀以上経た平成7年に、中国国内で発見された貴重な記録映像である。従って保存状態はあまり良くなく、音声や編集にやや難があるがそれがまた当時の貴重な記録であることを思い出させる。 南京市(南京城)攻略作戦は、第二次上海事変(支那事変)から始まった日中戦争の序盤として重要な位置を占めている。日本軍は、松井大将を司令官とする中支那方面軍(第3、6、13、16、18、114師団)が上海側から南京城攻略及びその周辺の蒋介石軍の掃討作戦を実施した。南京城占領は昭和12年12 月13日に果たし、相当数の支那軍の損害が出た。これがいわゆる「南京大虐殺」と呼ばれる背景であり、虐殺数は1000人とも30万人とも言われる。中国の政治的プロパガンダにも利用され、相当の捏造も含んでいると思われ、その実態は今となってはわからぬが、この映画の中でそのような事態が発生していたのかどうかをじっくりと観察してみる必要がある。特に、南京大虐殺と非難される以前の製作である本作ならではの視点である。 映画は、南京城攻略戦の残骸映像から始まる。南京は、上海側の中山門、北側の和平門、揚子江側のゆう江門で囲まれた城塞都市だが、まず中山門を大野、片桐、伊佐、藤井部隊に、続いて和平門を竹内、助川、奥藤部隊によって攻略される。高い城壁を攻略するに際して3勇士の突入シーンが再現されている。城壁に残る数々の弾痕が戦闘の激しさを示している。 追いつめられた支那軍は揚子江側へ逃げるのだが、実は支那軍自らゆう江門を固く閉ざしており、袋の鼠状態となった。支那軍はせっぱ詰まって、城壁上から布やひもを繋いで飛び降りたようだ。映像では、城壁からぶらさがる数々のひもが映し出され、その下、地面には武器や軍服が累々と並んでいる。つまり、支那軍は正規兵から便衣兵に化けて逃亡したことを示している。その後の映像の中でも、支那軍の神出鬼没の便衣兵に悩まされているコメントがしばしば出てくる。 続いて、映画中では戦没兵士の追悼式が延々と続く。松井大将、長谷川中将らの弔辞がある。映像を見ていて感じたのは、ラッパの音色がバラバラなこと。進軍ラッパ?は音階調節機能がない?ので吹くのがとても難しいようだが、これほど音程がずれていたら「ずっこける」んじゃないかと思うぐらいだ。製作された戦争映画ではこのリアル感は絶対にないだろう。 南京の一般市民は、外国人が組織した難民区に収容されている。ここでも、難民に化けた正規兵や便衣兵が多量の武器を隠し持っていることが述べられている。相当、手を焼いたというイメージが伝わる。また、民間人は、軍が発行する鑑札(官札?)を貰うことで生活保障を受けるシステムとなっていたようで、鑑札をもらうために行列をなしている。そして、その列に無理矢理割り込もうとする輩が写る。「万国共通のズル型人種」のナレーション。そんなことするの中国人くらいじゃないですかねえ。また、行列を4人一組で順番に入場させるために、一本の竹を持たせて「自動入場システム」と言っているのは笑った。 思いの外、戦争捕虜は登場しない。捕虜は捕らないという方針があったことは知られているが、事実捕虜はほとんどいなかったようだ。ほとんどが戦死するか、逃亡したのだろう。しかし、一般人に対しての虐待的な様子はほとんど見られない。プロパガンダ映画なので当然だろうが、少なくとも一般市民を虐殺した罪の意識や、それを隠そうという臭いはしない。末端において虐待や強姦、掠奪等はあったであろうが南京大虐殺と言われるような顕著な事態は認識されていない雰囲気だ。 この映画は南京大虐殺推進派?にも是非見て貰いたいものだ。当時の日本兵と支那人の姿を間近に見た上で、再び議論してもらいたい。全体の悪と個人の善。何を対象にすべきなのかを。 最後に、登場する兵器は少ない。ほとんどが軍馬とトラック。パイロットのインタビューも出てくるが、肝心の航空機は出ない。唯一、南京市街を走行する戦車が登場する。八九式中戦車乙型のようだ。中戦車とはいえ、当時の物はちっちゃいねえ。 興奮度★★沈痛度★★爽快度★★感涙度★戦記映画 復刻版シリーズ(4)南京
2004年10月09日
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1938 東宝(日本映画社) 監督:亀井文夫出演:記録映画 77分 モノクロ 日本軍の軍務局の指導で製作された、プロパンダ「戦記映画」。製作は東宝映画社で、完全なる「記録映画」であり、インタビューやナレーションで構成されている。従って、映画としてはなんら面白みはないが、当時の映像としては非常に貴重な物であり、随所に知られざる日本の姿が映し出されている。 第二次上海事変(支那事変)は、昭和12年8月9日に上海で海軍中尉が殺害されたことに始まる。折から廬溝橋事件で緊張の高まっていた日中間は上海を舞台に激突する。日本艦隊の中国軍陣地への砲撃から始まり、中国空軍は空襲で対抗する。日本陸軍もまた上海の中国軍を攻撃を始め、上海を支配、続いて南京攻略など日中戦争へと突入していく。 当時、上海は日本の他にフランス、ロシア、イギリスなどが租界と称した植民地化支配により、国際都市の様相を呈している。各国の租界は治外法権を有しており、共同租界との境界には「ガーデンブリッジ」と呼ばれる橋がある。 映画は上海のガーデンブリッジとその周辺の映像から入っていく。各国の租界は戦火の対象となっておらず、近代的な建物が並んでいる様は昭和初期とは思えない繁栄ぶりである。しかし、一方戦火となった日本人街、支那人街及び郊外は砲撃、爆撃の跡で散々たる惨状を呈している。映画は激しい戦闘の跡を映像で追っていく。戦闘に参加した隊長のインタビューと日本兵の墓なども盛り込まれている。さらに、プロパガンダ映画であるため、随所に日本人の子どもたち、支那人捕虜や支那人民間人が登場し、日本兵との交流が描かれている。支那人の映像は多分にやらせ的なところもあるのだろうが、日本兵の行進を見守る支那人の表情は冷たくリアルである。 一方、日本の子ども達の映像は心温まる物がある。日本人学校に登校する小学生は学校と警備兵に対して深々とお辞儀をして通過する。さすが、戦前の子ども達だと感心する。だが、支那空軍の爆撃に際しての感想を先生から問われた小学生が「パパもおっかさんも一緒に(アパートに)いたので嬉しかった」と言い、先生に「何故かね」と聞かれて、「わからん」と答える当たりは、今の子どもと全く変わらずホッとさせられた。また、支那の飛行機は怖くなかったかと聞かれ、「こわくないよ。おもしろいよ。」と答える当たりも子どもらしい。 支那軍が最後に立てこもった建物の映像では、建物背後のイギリス租界への抜け道や英国製食料が映し出され、イギリスが暗に支那を支援している様子を批判している。また、戦火を逃れフランス租界に逃れた支那人らが食料を配給されずに苦しんでいる様子も写しだし、英仏といった国々が支那を植民地としてしか見ていない様子も垣間見ることが出来る。 後半には、上海の復興が描かれている。水道の給水や食料の配布がなされ、日本軍の行進で冷たい顔をしていた支那人らの笑い顔が印象的である。日本軍はこんなにやさしいのだというプロパガンダも多分に入っているのだろうが、明らかに映像内での活気は自然なものと見受けられる。 興奮度★★沈痛度★★爽快度★★感涙度★戦記映画 復刻版シリーズ(3)上海食玩悪戦苦闘記 ウイングクラブコレクションLが発売されたところだが、2箱買ってノーマルコンプ+シクレ2種類をゲットしたことは記載済み。2ch等の情報から、シクレ及び97式司偵がレア種となっていることが判明。つまり、シクレと97式司偵は60個中1個づつしか入っていないと言うこと。2箱で97式司偵が入っていたと言うことはある意味ラッキーだったのかも知れない。 さて、あと残りのシクレ3種類が欲しいので、コンビニ等で発売の物を単品で買うことにした。シクレ機種は箱の最前列に位置していることはわかっている。箱のママ店頭に出してあればそれを狙うことは簡単だが、コンビニの場合多くは箱から出して陳列してある。そこで、店員がどのように箱から出したかを推測することが勝負となる。 ある店で10箱が並べられているのを発見。もちろん箱から出ている。いろいろと考えたところ、例えば、下記のような配置(欲しいのは5と10)であったとして、店員が1-5を一気に取り出して陳列したと想定すれば、そのままの配置となり、手前の2つを取れば良い。そこで最も単純に考えて一番手前を左右購入。その結果、どうも本来奥側にあるべき機種が出てきた。そこで、店員は5,10側から一つづつ取り出して奥から陳列したと想定(下記2番目)。会社の帰りに陳列の一番奥左右を購入。しかし、出てきたのは本来4,9の位置にあると思われる機種。どうやら店員は4.5、9.10と2箱づつを手にとって陳列したようだ(下記3番目)。1 6 → 5 10 →4 92 7 → 4 9 →5 103 8 → 3 8 →3 84 9 → 2 7 →2 75 10 → 1 6 →1 6今朝、残り6個のうち一番後ろ(陳列当初は2番目)の左右を購入。見事シクレが出ました。はっきり言って店員の行動を読んだ割には、失敗ですね。約1,500円もかけてやっとゲットですが、こういうのも食玩の醍醐味の一つです。ウイングクラブコレクション L BOX(予約)
2004年10月08日
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1961 大映 監督: 井上梅次出演:本郷功次郎、藤巻潤、川口浩ほか 119分 モノクロ 典型的な戦後の戦争映画で、メンタル重視系の映画。だが、よくありがちなチープな作りではなく、しっかりと練られた脚本でいくつものエピソードが折り重なったものとなっているので、見応えはある。ただし、映像技術的にはかなり劣っているので戦闘シーンなどではややチープさは感じてしまう。配役は、舌足らずの坊ちゃん役が多い本郷の他、藤巻、川崎、大辻、川口といった当時のスターを揃えており、豪華メンバー。また、映画編集上では主役5人の回想シーンとしてフラッシュバックを多用しているのが特徴。 本作は昭和19年5月が舞台となっており、史実では当時日本陸軍はインドから中国への補給路を断ち切る「断作戦」のためミャンマーで戦線を張っており、それに対して米中軍は空輸作戦で戦力を増強、日本第18師団歩兵第114連隊(福岡)の守るミイトキーナを攻撃。2ヶ月後に増援の第56師団の水上少将が自決、2千数百名が戦死。連隊長は生き残りを率いてイラワジ川を越えて撤退している。本作は多分このミイトキーナの悲劇をネタに構成されているものと思われる。 (以下ネタバレ注意) 昭和19年5月、ミャンマー前線を守備する野上大隊(野上中佐)は、連合軍の攻撃で疲弊しもはや持ちこたえられないことを上層部に進言し、撤退を求めていた。しかし、上層部の第33軍司令官(中将)、師団長らは精神力での攻勢を求め、てこ入れのため、野上中佐のもとに旅団長(連隊長?)の曾根少将を送りこむ。 曽根少将は野上中佐のもとに赴く際に野上中佐の息子、野上少尉を副官として連れていく。曾根少将は野上中佐の考え方に一定の理解を示しており、親子の対面を配慮してのことだ。しかし、曽根にしても上層部の命令には逆らえない。敵連合軍は着々と空輸で準備を進めており、斥候の報告により攻撃が近いことを悟る。 曽根少将は思案したあげく、敵陣急襲部隊を送り込みながらその隙に大隊を撤退させることを決意する。敵陣急襲部隊が帰還次第に、敵の追撃を阻止しつつイラワジ川にかかる橋を爆破する計画であった。問題は敵戦車の攻撃であり、これに対抗するため、5人の戦車兵が最後の守備兵兼橋の爆破兵として前線に残された。5人は野上少尉、士官学校に入隊しながら兵役忌避で兵卒降格の一等兵、落語家志望の上等兵、ヤクザで懲役経験のある上等兵、新婚初夜で徴兵された兵卒の5名。5名は敵から奪った戦車を地中に埋め、敵の攻勢に待機した。 大隊本体と傷病兵が撤退をし、最後の敵陣急襲部隊が帰還したとき、遂に連合軍の戦車部隊が向かってきた。最初は5台の敵戦車を戦車砲と地雷、手榴弾で撃破するも、続々と後続が現れ、ついに敵弾に倒れる兵が出る。野上少尉らは橋の爆破に踏み切る。しかし、導火線の不良から爆発しない。兵役忌避の一等兵が爆薬を抱いて突撃する・・・ 一方、撤退を完了した村では曽根少将が撤退の責任をとって自決している。荼毘に伏す野上少尉にもまた敵弾が・・・ なんだか、あまり後味のいい終わり方ではないのですが、史実上ミャンマーの悲劇と呼ばれた戦線を描いたものですから致し方ないでしょう。これに娯楽性を持たせるために個性豊かな5人の兵士を作り出している。特に、野上少尉については、父親である大隊長との確執が次第に溶け、最後は「戦争が終わったら一緒に暮らそう」という言葉を交わしつつ、その願いは報われないと言うもの悲しい結果となる。他の兵士にしてもフラッシュバックで入隊以前のエピソードが盛り込まれており、なかなか面白い。 この映画は戦記物という部分は強く出していないので、時代背景や戦線の状況はかなりわかりづらい。また、敵戦車から逃げる際にジグザクで逃げ回るなど、アクション娯楽性が強い部分もある。もう少し、リアル感を持たせてもよかったのではないかな。なお、映画に登場する敵戦車はM24チャーフィー軽戦車。1944年末に戦役にデビューした戦車で、戦後自衛隊も使っていた戦車。多分、自衛隊から借りて撮影したのではないでしょうか。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★五人の突撃隊 DABY-17】 =>20%OFF!《発売日:01/06/27》ミリタリーな食玩情報ボーフォードの「武 もののふ」シリーズからついに外伝として航空機が登場。その名も「宙-そら- 第1弾 武外伝」。全10種類+シークレットのラインナップで複葉機フォッカーからメッサーシュミットbf109、ムスタングまで。シークレットはモーター、電池付きでプロペラが回るらしい。複葉機には日本の「赤トンボ」まで用意されているのがいい。ただし、観賞用なので展示台スタンドつきでスケールは不明。これまでの1/144シリーズと比べてどうなのだろうか。宙-そら- 第1弾 武(もののふ)外伝 BOX(予約)エフトイズの「アクロチームコレクション」も予約が始まっている。こちらはヘリボーンコレクションで好評を博した続編で、もちろん1/144スケールだ。ラインナップは4種で、それぞれアクロバットチームカラーと実戦配備用カラーの2種類となっている。「T-4」は航空自衛隊「ブルーインパルス」と航空自衛隊204飛行隊、「HAWKTA1」は英空軍「レッドアローズ」と英空軍第74中隊、「F-16C」は米空軍「サンダーバーズ」と米空軍第35戦闘航空団三沢基地2002、「MB339A(エアロマッキ)」は伊空軍「フレッチェトリコローリ」と伊空軍100機生産記念塗装となっている。このシリーズはそれぞれの種類までは箱書きがされていて選択が可能で、何が出るかは1/2の確率となっている。好き嫌いによって品薄が出るかも。アクロチームコレクション BOX(予約)
2004年10月07日
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1997 アメリカ 監督:チャールズ・ハイド出演:ダニー・グローバー、ミケルティ・ウイリアムソンほか 94分 カラー テレビ放映用に製作された映画で日本では未公開。スカパーのスーパーチャンネルで放映したものを視聴。1866年南北戦争終結後にアメリカ合衆国陸軍は第9,第10騎兵連隊組織のために黒人兵の募集をかけるが、その黒人部隊がバッファロー・ソルジャーと呼ばれる。彼らの奴隷からの解放に喜びを感じつつ、相変わらずの差別と自立へのとまどいが描かれている。テレビ用のためかあまり予算はかけられてはいないが、ストーリー重視でチープ感はない。戦闘シーンにやや物足りなさは感じるが、全体として満足感は得られる。史実に乗っ取りながらもストーリーそのものはフィクションのようだ。 (以下ネタバレ注意) 1880年、登場するバッファロー・ソルジャー(黒牛兵士)は第10騎兵連隊のH中隊に所属している。連隊中このH中隊が黒人部隊となっているようだ。連隊には、編成時から目をかけてくれるグリーソン大佐がいるが、中隊指揮官は白人の士官が交代でついている。連隊長はパイル将軍で黒人部隊に強い偏見を持っている。 バッファロー・ソルジャーの黒人トップはワイアット曹長。歴戦の勇士を取りまとめる頼りがいのある男だが、下士官のため指揮権を持たずに上司からの偏見に耐えている。あくまでも軍規に徹し、部下や他のものからは奴隷のままではないかと陰口も叩かれている。 第10騎兵連隊はテキサスのアパッチ居留地の警護に当たっている。将軍は黒人とアパッチのハーフである偵察兵を使い、抵抗するアパッチ、メスカレロ族のビクトリオが管内で、祈祷師ナナをトップとする地元アパッチと合流を図っているとの情報を得る。C中隊とH中隊に出動命令が出る。H中隊は黒人に理解のある若い白人中尉の指揮で出動する。出動の際街を通る際に馬を下りるのを見て中尉は驚く。黒人は街中で馬に乗ったまま通過してはいけないことになっているのだった。 H中隊は敵の待ち伏せに会い、中尉は戦死してしまう。指揮を引き継いだワイアット曹長はアパッチの首領ナナを捕らえることができた。そこに、C中隊に随行していた偵察兵から「至急C中隊に合流支援するように」との伝令が届く。しかし、曹長はナナの護送を優先して帰隊する。将軍らはナナの捕縛を喜ぶが、間もなくひどい被害を受けてC中隊が戻る。C中隊の指揮官で偏見の強いカー少佐が「曹長は我々を見捨てた」との進言で、曹長は頭ごなしに罵倒される。偵察兵の取りなしもあったが、曹長は何一つ弁明しないのだった。こうした姿を見て、部下も偵察兵も「奴隷のままなのか」と曹長を責める。 間もなく、アパッチのビクトリオらが泉に向かっているとの情報を得る。泉で待ち伏せするH中隊は、アパッチを包囲することが出来た。首領と話をする曹長だが、ビクトリオに「奴隷時代の主の命令にどうして従うのか」と詰問され答を出せない。ついに、投降を拒否するビクトリオに対して曹長は全員射殺を命じる。躊躇する部下たち。そこに、アパッチの子どもが一人曹長の前に歩んでいく。曹長は引いた劇鉄を戻し、アパッチに国境を越えてメキシコへ逃げるよう命じるのだった。 結果的にアパッチを逃したH中隊は帰隊する。しかし、そこには街中を通っても馬を降りない黒人兵達があった。白人の市民も行進に拍手で迎えるのだった。黒人兵が受け入れられた井瞬間である。 奴隷から解放され、組織されたばかりの黒人部隊の混乱と苦悩は、想像に難くない。様々な活躍もあったようだがアメリカ国内ではタブー視されており、あまり語られることがなかったようだ。本作は、その一部を垣間見ることができる良作であり、奴隷の心をひきずりながらも徐々にアメリカ国民とての誇りと自覚を得ていく過程をうまく描いている。ただ、エピソード的には、かなり限定しており、アメリカ社会全体の背景など歴史的なものを知るにはちょっと物足りない。興奮度★★★沈痛度★★爽快度★★★★感涙度★★2005年ミリタリージャケット情報 いよいよ冬が近づいて来ましたが、ミリタリージャケットも徐々に2005年冬物が新入荷されてきているようです。フライトジャケット類の情報はこちらのHPで掲載しておりましたが、大分リンク切れなどが多くなっていたので、新作を含め徐々に2005ヴァージョンに更新していきたいと思います。手始めに革ジャンの定番
2004年10月06日
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1943 日本映画社 後援:陸軍航空本部 撮影:陸軍報道班員出演:記録映画 91分 モノクロ 戦記映画復刻版シリーズ(8)。昭和17年初期のミャンマー戦線における陸軍航空隊の活躍を記録した貴重な映画。実機が多数登場するのみならず、命がけの従軍カメラマンによる機上撮影フィルムなどが盛りだくさん。迫力のある映像とともに、自ら前線に参加しているかのような手に汗握る緊迫感が伝わってくる。ストーリー仕立てではない完全なる記録映画であるが、画面に登場するシーンには目を奪われるばかりだ。同じ戦記映画復刻版シリーズの中でも佳作。なお、映画の挿入歌は「撃ちてしやまむ」。 昭和17年1月。対米開戦間もない時期に、南方戦線において日本陸軍は盟友タイ国に進軍する。英国と中国重慶政府軍はミャンマーのラングーン、ヴィクトリアポイント、マグイ、ダヴォイに拠点を張っており、援蒋ルートを阻止したい日本軍にとっては極めて邪魔な存在であった。そこで、英軍の拠点であるラングーン等の敵戦力を撃滅するため、陸軍航空隊がタイに進駐する。 映像は飛行場(多分バンコク)に来飛する陸軍機の勇姿から始まる。重爆(三菱九七式重爆撃機)、軽爆(川崎九九式双発軽爆撃機)、偵察機(九七式司令部偵察機)、戦闘機(一式(隼)戦闘機)の姿が見える。 手始めに、敵基地の状況を探るため偵察機が出動する。尾翼マーキングは「タコハチ」なので飛行第8戦隊の所属であることがわかる。偵察機は単機で出動し、交戦は避けて写真を撮影してくるのが重要な任務である。偵察機に同乗したカメラマンの撮影は機内音ともに迫力がある。撮影してきたフィルムはすぐさま写真班員によって現像され貼り合わされる。手でちぎって貼り合わせる作業は実に手早い。また、別の場面では基地の通信隊が傍受する偵察機からの交信が生々しい。「貨物車の列を発見」「敵戦闘機三機現る」「交戦中、交戦中・・・・・・ツー」。やられたか!即座に「稲妻」マーキングの第一一戦隊と思われる隼隊が救援に向かう。間もなく、110発の敵弾を受けながらも無事帰還する偵察機。弾痕跡が生々しい。 昭和17年1月26日、ついに第一次ラングーン総攻撃が開始される。手回し発動で重爆のペラを回す整備員。編隊をなして飛ぶ重爆と軽爆を偵察機上のカメラマンが追う。ラングーン上空で爆弾投下。敵高射砲の黒い弾幕も見える。一次総攻撃は全機帰還を果たした。 夜間攻撃も実施された。無線で敵戦闘機撃墜の交信がある。飛行場の着陸誘導用のかがり火が妖しい。 地上部隊は1/31日モールメンの陥落に成功。飛行隊はモールメンに進出。続いて2/3には第二次ラングーン総攻撃でラングーン周辺の飛行場爆撃を敢行する。重爆隊には第十二戦隊のマーキングが見える。後日の映像で、敵軍施設のみを破壊し、寺院は無傷である点を映して、いかに日本軍のピンポイント爆撃が正確かをアピール。 別日、ラングーン川を遡る海軍輸送船団の援護のため隼中隊6機が飛び立つ。尾翼マーキングは「矢印」のようなので加藤隼戦闘隊で知られる飛行第64戦隊と思われる。 戦線が敵陣と接するにつれ、飛行場は敵航空機の爆撃も受ける。英国ブレンハイム爆撃機が来襲し、高射砲と対空機銃を撃つ基地守備隊。うち一機が黒煙をあげて墜落するシーンは実に壮絶だ。 第三次ラングーン総攻撃では「タコハチ」マークの第8戦隊所属の軽爆が出撃する。中には迷彩塗装の軽爆も見える。 3/8 ついにラングーン占領。北部の重慶政府軍、西の英軍と対峙する。ラングーンでの飛行場建設のため、自発的に英人経営ゴム林を切り開く労役に参加するミャンマー人やインド人の姿がある。西欧植民地からの解放を喜んでいるようにみえる。ラングーンに進撃する地上軍には九五式軽戦車に乗る兵士が見える。 北部進撃の地上部隊の支援は九九式襲撃機が受け持つ。尾翼マーキングはZ字状で、飛行第二七戦隊の襲撃機と思われる。敵前線基地を発見するやいなや急降下で機銃掃射。日本版スツーカである。機内からの映像は実にリアル。いつも機銃掃射されるシーンばかりの日本だが、このシーンこそは胸が空く。しかし、1機の襲撃機が不時着してしまう。救援部隊は搭乗員を救出し、機密書類と重要部品を回収後、機に火を放つ。実に現実的な対応だ。 5/1地上軍はラシオ・マンダレーを占領し、ついにミャンマー全土を占領する。英軍はインドに、蒋介石軍は雲南に逃げ込んだ。しかし、日本陸軍の払った代償も少なくない。隼戦闘隊の加藤中佐(少将)も戦死したのだった。 登場する航空機は実に多彩だ。先に述べたように、九七式重爆、九九式双発軽爆、九七式司偵、一式戦、九九式襲など。タイ進駐直後は、映像中のマーキングで、軽爆と司がは第八戦隊であることがわかっている。このことから、昭和17年1月の配置で第八戦隊がいるバンコクを見ると、バンコクには第五飛行集団- 第四飛行団司令部があり、第八戦隊のほか第三十一戦隊(軽爆)、第十四戦隊(重爆)、第六十二戦隊(重爆)、第五十戦隊(戦闘機)が所属している。重爆隊は機密保持のためなのか、執拗に尾翼マーキングを撮影しないので所属が不明だが、多分第十四戦隊か第六十二戦隊だと思われる。戦闘機隊も明確なマーキングは不明である。ラングーン進軍後になると第三飛行集団が加わり、第7飛行団の第六四戦隊(隼)や第十二戦隊(重爆)、第三飛行団の第二七戦隊(襲撃機)、第十二飛行団の第十一戦隊(隼)が登場する。 左から九七式重爆、九九式双発軽爆、一式戦(*アイコン&お絵描き工房さん作)*97式司偵はウィングクラブコレクションでも発売されたので、マーキングは参考になりますね。 この映像に修められているのは、戦果輝く戦争初期のもの。この後わずか半年後には、兵站補給線の伸びた日本軍は物量に勝る連合軍に押し返され、多分、この映画に登場したパイロット達のほとんどが空に散華したものと想像される。そういう意味で、陸軍パイロットの勇壮さと活躍に心躍ると共に、結果を知っている我々現代人にとってはとても胸の詰まる映画でもある。興奮度★★★★沈痛度★★★爽快度★★★★感涙度★★戦記映画 復刻版シリーズ(8)陸軍航空戦記このシリーズ買って損なし
2004年10月04日
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2003 アメリカ 監督:ライアン・リトル出演:コービン・オールレッド、ラリー・バグビー、カービー・ヘイボーンほか 90分 カラー 劇場未公開のアメリカ映画で、1944年12月のベルギー、アルデンヌ攻勢を題材にしたもの。題名からしても2流ぽいイメージだが、内容は結構コンパクトにまとまっており、映像や音楽等の雰囲気は「バンド・オブ・ブラザーズ」によく似ている。手ぶれ撮影の使用により、リアル感が良く出ている。しかし、映画はアルデンヌ攻勢(バルジ作戦)のうち、マルメディ事件(米兵捕虜が独軍パイパーSS親衛隊に虐殺されたと言われる事件)からの数週間を取り上げているのだが、エピソード等はやや安易な設定でチープ感は否めない。マルメディ事件以外はフィクションだという点が強く出過ぎているのがやや残念。 (以下ネタバレ注意) 冒頭に書いたとおり、スタートはマルメディ事件から。独軍の電撃攻勢により、捕虜になった米兵はベルギーの前線、マルメディに集められた。そこで、偶発的な出来事から逃亡する米兵の射殺という事件が発生する。これが「マルメディ事件(虐殺)」と言われるもので、戦後の軍事裁判では指揮したパイパーSS大佐が虐殺の角で死刑宣告、後に釈放されているが、その後の調査で偶発的な出来事であったというのが通説となっている。映画でもそのように描いているので、かなり史実に沿った映画かという期待をいだかせる。 主人公は射殺からなんとか逃れた4人の米兵だ。うち2人ガンダーソン二等軍曹とディーコン(ディーク)伍長は「スクリーミングイーグルス」の肩章を付けているので第101空挺師団の兵士とわかる。ほかの二人はグルド(衛生兵階級不明)とケンドリック(階級不明二等兵?)で字幕では「第285師団」となっているが、実際には第285野砲観測大隊( 285th Field Artillery Observation Battalion)のことのようだ(うみさんご教示による)。第285野砲観測大隊は第1軍、第3軍と第9軍の前線を担当しており、広範囲の業務をまかされていたようだ。事実上も、285大隊はバイパー戦闘団と直接戦禍交え、65名以上の捕虜を出している。なお、101空挺師団は当時、かなり南方のバストゥーニュで包囲されているのですが、すでに捕虜となりマルメディに移送されていたということになります。本当のところはそういう事実があったのでしょうか。 頼もしいガンダーソン軍曹と生真面目な元神父、ディーク伍長は故郷の親友。共に助け合ってきている。一方、グルド衛生兵は現実的にさめており、冷徹に死体から物を漁る。ケンドリックは暴力的だがやや臆病だ。 4人は空き家に隠れているが、そこに撃墜された英空軍パイロット、ウィンリー上等兵曹が加わる。彼は偵察要員で重要な敵情報を得ており、早急にマンハイムの司令部に伝達しなければならないと言う。どうやらドイツ軍はミューズ川を渡って連合軍の弾薬庫があるリエージュを目指しているらしい(これはほぼ史実)。ウィンリーは煙草を誰にも分けてやらず本音を語らない嫌みな性格。しかし、味方を救うには快進撃中のドイツ機甲師団のど真ん中を抜けて味方陣地へ到達しなければならない。5人は小銃1丁と拳銃1丁という貧しい兵器で歩んでいく。 途中でディークは何度も幻に悩まされる。実は彼は建物内にこもる敵兵と間違えて女子供らを殺害してしまった経緯があり、その呵責に苛まれていたのだ。 味方陣地まであと10kmということろで、吹雪のため一軒の民家に滞在する。そこにはフランス人母娘がいた(ベルギー国内なのに何故フランス人なのか?)。母娘の助けで暖を取るが、そこに独軍がやってくる。銃撃戦の末一人の独兵を捕らえるが、彼はディークが神父時代にドイツ滞在中に世話になった相手だった。ディークは独兵を逃がすが、かわりに独軍の展開情報も得ていた。前線への突破を図る5人。しかし、ドイツ兵がひしめきあう前線で、ドイツ兵にみつかってしまい、銃撃戦となる。逃げる5人だが、一人、二人と倒れていく。始めは馴染み合わなかった彼らだが、今や心は一つにまとまりつつある。残った3人は、再び出会ったディークの旧友である独兵の手助けで味方前線へジープに乗って突入するのだった。 戦闘シーンは、そこそこ激しく、ドイツ兵との追跡劇はなかなか緊迫感がある。無駄なシチュエーションもなく、かなりまとまっていると言える。しかし、ちょっとコンパクトにまとめすぎて、全体の迫力という点においてはやや物足りない。マルメディ事件や、パイパー戦車隊の行き先など史実に沿って作られている点はいいのだが、兵隊の構成やベルギー国内なのに何故かフランス人の家だったりと、ちょっとおかしいかなという点もある。その辺で若干興ざめかな。 また、各兵士の個性がそれぞれあって、次第に結びつきあっていくという構成は戦争物としては定番なのだが、時間がなかったせいか、個性のぶつかり合いという部分の表現があまり描かれていない。それだけに、その後にそれぞれが結びついていくきっかけに蓋然性がさほど見あたらず、唐突に友情が芽生えているという感じが否めないのは残念。それでも、ラストシーンで冷めていた衛生兵が見向きもしなかった聖書をポケットにしまうシーンなど、「戦場における冷ややかな友情」という感動的な部分もあるので、なかなか泣かせます。 ディークが撃たれて倒れる際に、自分が殺してしまった女子どもの幻が現れるシーンはちょっとやりすぎかな。シリアス戦争映画と、娯楽アクションとの中途半端な間に陥ってしまっているかも。 バンド・オブ・ブラザーズの一エピソードという位置づけなら十分納得。興奮度★★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★★★極寒激戦地アルデンヌ~西部戦線 1944~
2004年09月30日
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1981 リビア・アメリカ・イギリス 監督:ムスタファ・アッカド出演:アンソニー・クイン、オリヴァー・リードほか 163分 カラー 「砂漠の狐」と呼ばれたロンメル、対抗する英軍を描いた映画「砂漠の鼠」と並ぶような名称「砂漠のライオン」だが、時代は全く違う第一次世界大戦後の 1929から31年頃の話だ。1911年にイタリアがムッソリーニによるファシスト政権をとり、領土拡大のために北アフリカのリビアを植民地化しようとするのに対し、地元ベドウィン族の反抗にあうという史実が題材である。163分と映画にしては長い部類で、内容的にも盛り上がり(抑揚)が少ないため、はっきり言って眠くなる長さ。通常なら★2つのところだが、レアな内容と史実に沿って作られている点を加算して★3つに。 (以下ネタバレ注意) 第一次世界大戦と第二次世界大戦の間はヨーロッパの列強が競って植民地政策をとる時期である。アジアではフランスやイギリス、ドイツが中国、ベトナム、インドネシア、インドを植民地化。アフリカでもフランス、イギリス、スペインらがこぞって植民地化を図っていた。イタリアもこれに負けじとリビアの植民地化に力を入れる。 リビアの教師で反抗勢力の指導者オマール・ムクタールの頑強な抵抗により、なかなか支配を進められないことにいらだったムッソリーニは1929年に強硬派で知られるグラツィアーニ将軍をリビアに派遣する。 グラツィアーニ将軍は冷徹でも知られており、遊撃戦で神出鬼没のムクタールらを閉め出すために、リビア国民を強制的に柵の中に収容するほか、毒ガスや当時としては最新兵器の戦車や装甲車、戦闘機を投入してムクタールを攻撃する。さらには、エジプトや収容所の人民からムクタールへの支援を断ち切るために、延々と鉄条網を設置する。 勇猛さを馳せたムクタールらだが、ついに山岳地帯に追いつめられムクタールは捕らえられる。降伏や、懐柔策を一切断るムクタールはリビア人が見守る中 1931年処刑される。 はっきり言って、ストーリーそのものは単純だ。似たような戦闘を何回も続け、段々と減って弱ってくるムクタールを描いている。使える手段も限られて、あとは不退却の肉弾戦のみ。一方、イタリア軍は機関銃、戦車、装甲車、野砲、戦闘機を次第に投入し、近代戦を挑んでくる。戦力の差は開く一方で、見ている方がつらくなってくる。しかし、絶対に服従しない、「全ては神の思し召し」というイスラム教の信念をもとに戦い抜くムクタールの精神力だけが頼りなのだ。 一方、イタリア側では強硬派のグラツィアーニ将軍ら冷血ばかりの中に、一人の温情派の大佐や中尉が描かれており、映画に清涼剤を与えている。占領側のイタリアにも人間らしさがあるということを顕したかったのだろう。だが、やはりアメリカやイギリスと言った植民地支配側国家の息のかかった映画だけあって、決して植民地政策を絶対悪とはしていないあたりがイヤな感じ。こういう映画を日本の自虐的史観の平和運動家に見せたいものだ。中国や韓国に対して日本が求めていた要求と、ここでのイタリアのリビアに対する要求のレベルの違いをとくと見て欲しい。それだけ、植民地化政策というものは残虐なのである。 映画に登場する兵器類は、博物館等からレプリカを作成したり、記録写真類からの復原だったりするそうで、なかなか凝っている。あまり兵器は詳しくないのだが、新兵器として登場する戦車はファイアット3000戦車(モデロ1930)ではないかと思われる。1930年製だし年代的にも合致する。ただし、砲塔は回転式で37mm砲搭載と辞典には書いてあるが、映画中ではもっと短く細い機銃状のもの。初期段階はそんな程度だったのかも知れない。また、装甲車や装甲トラックが多数登場するが、装甲車はどうも一致する形状のものが辞典には見あたらない。最も近いかなと思うものに、フランス製のパナールM165四輪装甲車。前面ボンネットの形状と、前面坊盾の窓形状、車体上部の機銃砲塔が円形である点がよく似ている。こちらは1926年製なのでまあ妥当な線かな。戦闘機は複葉機でちゃんと調べてないのでよくわかりません。 グラツィアーニ将軍は第二次世界大戦後に軍事裁判で裁かれ、1955年に獄死したそうです。しかし、リビアでは戦後、カダフィ大佐による独裁政権が樹立し、国際テロの温床になったというのはこれまた皮肉なことでござります。最近は穏健路線に転換しているようですが。 アフリカの植民地映画としては「サハラに舞う羽」「ズール戦争」があります。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★★砂漠のライオン
2004年09月29日
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1998 アメリカ 監督:リチャード・ベンジャミン出演:ケイリー・エルウィズ、ケルシー・グラマーほか 104分 カラー 映画館では上映されていないアメリカのテレビ用映画のようです。ペンタゴンと言えば、アメリカの国防総省のことで、軍の中枢でもあります。ここでは、もちろん新兵器の開発もしており、この映画はペンタゴンで行われている兵器開発に関わる腐敗と陰謀を描いたものです。と、ここまではありがちな内容ですが、なんとこの映画のすごいところは、内容がノンフィクションであるということ。それだけで、リアル感が全然違います。 (以下ネタバレ注意) 主人公は空軍のエリート、バートン中佐で議会からの指示でペンタゴンの新兵器開発の調査(お目付)として派遣された人物だ。実際には3年間在籍したらしい。 ペンタゴンの兵器開発局は兵器産業業界との癒着(天下り先)や自分の出世のために動くなど、かなり腐敗していることは公然の事実。しかし、軍は仲間を尊重する体質から、歴代の調査員たちもうまくまるめこまれてしまう。議会やマスコミとすれば、税金を大量に投資したに値する兵器ができているのかが最大の関心事だが、なんだかんだでうまく交わされる。 新しく派遣されてきたバートン中佐は、陸軍「ブラッドレー」の調査を担当する。後にM2ブラッドレー歩兵戦闘車としてベストセラーになるのだが、当初は「兵員輸送車」として計画されたものだった。途中で将軍らの思いつきなどで実効性や安全性が無視され、最終的に生産直前までこぎつけたブラッドレーは戦闘にも輸送にも中途半端な代物だった。もともと兵員輸送車だった車体に、大口径砲やミサイルの搭載が無理になされたため、走行速度を維持するのに、搭載兵員を減らしたあげく装甲はアルミ製だ。しかも、アルミは被弾すると毒ガスを発生する始末。しかも、開発に当たる少将、大佐、少佐は自分の出世のためにそれらの欠陥を認めようとせず、早く生産ラインに乗せるため、被弾実験もインチキをしている。バートン中佐はその実態を知るにつれ、実際に使用する兵員の安全性を確保すべきだと、適正な実験を要求するが、受け入れられない。現場で実験に当たる曹長にも問いつめるが、「上官の命令だ」ととりつく島もない。 やがて、真実を追究するあまり、煙たがられた中佐は異動を命じられる。しかし、そこに元ブラッドレーの開発に携わって苦渋をなめた人物の手助けが入り、マスコミに欠陥のことがリークされる。異動を取り消されたバートン中佐は欠陥であることを報告書にするが、上官の少将はこれを改ざんする。このことが議会に知れ、ついに上官らが議会に召喚され、17年、150億ドルもの巨額がかけられていることが明るみに出、正式な実験をするよう命じられる。 実験現場では、大佐らが欠陥ブラッドレーに細工を施して実験に備える。バートン中佐は現場の曹長らに「実際に現場で乗る兵員のことを考えろ」と細工をやめるように説得するが・・・。いよいよ議員らが見守る中被弾実験が開始される。 全体に、ノンフィクションとはいうもののコメディタッチで進んでいくので、とても面白く見ることができるが、反面本当にこれは実話なのかという疑問も生じる。ラストシーンは結構感動的な場面となるのだが、実話ではその後にバートン中佐は退役を余儀なくされ、欠陥開発に関わった将軍らは昇進したという皮肉な結末だったようだ。なんだかんだ言って軍の事なかれ主義、身内温情主義は変わらなかったようだ。召喚された少将が「軍はチームワークが大切だ」と何度も強調していたように、実戦では良いも悪いもなくチームワークが不可欠であるから、これも一理あるので何とも言えないが、実戦ではない国防総省や後方部隊における腐敗というのは、外部から見るとやはりいただけないですな。前線で死んでいく兵士と後方でたらふく食っている将官という構図が見えます。それも軍隊の宿命なのでしょうか。 もうひとつの視点として、M2ブラッドレーがどのように産み出されたかの裏話を知るうえでは大変興味深い。兵員輸送車計画では11人乗りが6人乗りになったということだが、確かにM2は6人乗りになっている。興奮度★★★沈痛度★★爽快度★★★★感涙度★★10月のスカパー放映お勧め戦争映画260シネフィルイマジカ 「フルメタル・ジャケット」261NECO 「協力防空戦」(戦前アニメ、テレビ初、未ビデオ化)312ムービープラス 「エージェント・レッド」、「リトル・ニキータ」このほか、717テレ朝チャンネルで韓国戦争映画 「クラッシュ・フォース」をやるようです。
2004年09月28日
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1952 大映 監督:田坂具隆出演:アーリントン・ロールマン、京マチ子、久我美子ほか 131分 モノクロ 戦争のもの悲しさと戦後をたくましく生きようとする一筋の光明をドラマティックに描いた佳作。舞台が長崎だけに被爆の生々しさと、キリスト教のメロディの奏でる異国情緒も、新世代への幕開けを予感させる。役者の演技やカメラワーク技術に乏しさはあるものの、これだけの純粋ストーリーを作ることが出来た、当時の日本映画界の力を感じる。 (以下ネタバレ注意) ハワイの日本軍捕虜収容所でピアノを弾いていた音楽家グレイ(ロールマン)は、絶命寸前の日本兵から未完の曲の完成を託される。しばらくして、グレイは父の使いで陶器のバイヤーとして長崎に訪れるが、主目的は日本兵の故郷での遺族捜しと、曲の完成のため日本を知ることだった。 しかし、日本兵は偽名を使っていたらしく遺族を探し出すことはできなかった。グレイは、ホテルの従業員桃子(久我)と知り合いになり、桃子の叔父である陶芸家の家に行く。そこで、被爆のために盲目となった桃子の姉綾子(京)の弾く琴の音色に興味を覚える。戦地に行ったまま戻らぬ夫が綾子のために作曲したメロディをグレイは聴きたいと言うが、敵国だった人間に対し綾子は拒否する。 帰国が近づいたある日、桃子はグレイの弾くピアノ(日本兵がグレイに託した曲「心の真珠」)を聞いて、日本兵が綾子の夫であることを確信する。しかし、桃子は綾子に夫道信が死んだことを伝えることが出来なかった。 夫、道信の帰国を希望にして明るく努める綾子だったが、ある日教会の修道女が綾子に道信の死を伝えてしまう。生きる希望を失った綾子は、雪の中夫との想い出の地である教会に赴く。そこで、聞こえてきたのが夫の作曲した未完のメロディだった。道信が弾いていると錯覚し、音のする方へ引き寄せられていく綾子。だが、実際に弾いているのは、曲が完成し再来日したグレイだった。綾子を捜して桃子も教会へやってくる。グレイのもとに歩み寄っていく綾子の姿を見て、桃子は哀れみのあまり涙する。しかし、桃子の泣き声に綾子は笑いながら答えるのだった。「道信さんはこの曲の中に生きている」 古い日本映画というのは、実に美しい展開と結末を迎える。ハッピーエンドを好む日本人にとってはこれほど感動を与えるものはない。アメリカ映画のような押しつけがましい強者のハッピーエンドとも異なり、韓国映画のような激情的な悲壮感でもない。ささやかな悲哀とささやかな幸せで構成されるのだ。こうした、映画は日本人にしか理解できないかもしれないが、外国人に目にはどのように映るのか知りたいものである。興奮度★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★★今週のお買い得品情報フランスAFコンバットJKT (LA-BOYS)7,800→2,750 アメリカ軍ものよりもスタイルのいいジャケットです。さすが、フランス。新品でこの価格は驚き。オランダコンバットJKT(LA-BOYS)9,800→3,450 三角襟がユニーク。ヨーロッパテイストバリバリの逸品。新品です。ドイツカモパーカー(LA-BOYS)9,800→3,450 最近見かけるようになってきましたがドイツカモは独特です。機能性は抜群です。ライナー付きもあります。イタリアウールシャツ(la-boys)\3,800→1,000 珍しいイタリアもの。肌さわりの良いウール。普通に普段着としても違和感なし。新品です。
2004年09月26日
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1974 韓国 監督:イム・グォンテク出演:シン・イルリョンほか 120分 カラー 以前に紹介した作品ですが、DVD購入したので、加筆しました。 韓国映画振興公社が国策映画政策推進のため、初めて製作した戦争映画だとか。1968年の青瓦台事件(北朝鮮ゲリラが浸透して大統領官邸近くまで攻撃した事件)があり、さらにちょうどこの映画の放映された1974年には北朝鮮の南進トンネルが発見されるという緊迫の時期でもあり、韓国の意気込を感じさせるスケールだ。爆薬の使用量や兵器や兵士(エキストラ)の登場数はかなり多く、2流の戦争映画とは一線を画する資金力を想像させる。イム・グォンテク監督の戦争映画の中では一番いい (以下ネタバレ注意) 一応、映画は1950年6月25日の北朝鮮南進から、韓国の女子大生スナと恋人のチャン少尉の3ヶ月間を描くというストーリー仕立てになっている。 1950年の北朝鮮南進の日の平和な韓国ソウルから始まる。北朝鮮のヤク戦闘機3機が京城の飛行場を空爆し、地上からは戦車隊が侵入する。北朝鮮の南侵を受けて、チャンは部隊に戻る。北朝鮮軍のソ連製Tー34戦車(映画中ではM47パットンを使用)に対して韓国軍はバズーカ砲も利かず、火炎瓶と手榴弾だけで肉弾攻撃するが、北朝鮮軍の進撃を止めることは出来ない。チャン少尉は再編成された部隊を率いて前線に陣取る。 一方、スナは、ソウル市内の混乱に巻き込まれたうえ、混乱し弱腰になった韓国軍司令部が、前線の主力部隊を残したままソウルを退却し、漢江の橋を爆破したことによって、ソウル市内に取り残されてしまう。北朝鮮軍に支配されたソウル市内は、共産党シンパが幅を利かせ、恐怖の密告が始まる。少年達は義勇軍として強制的に徴兵される。スナも、スナに恋心を抱いていた「アカ」の男に、振られた腹いせで密告されてしまう。スパイとして次々と市民が銃殺されていく中、スナはすんでのところで逃げる。途中、かつてのチャンの部下と出会いともに逃亡するが、北朝鮮兵に見つかり部下はスナを逃がすために死ぬ。スナは一人で南下していくが、途中にも虐殺された韓国人の死体を多数目撃する。スナは再び、北朝鮮兵に捕まってしまう。共産主義を信奉しているかのように振る舞うが、鋭い党員に見破られ銃殺に回される。しかし、ここでも偶然命拾いし、さらに南下していく。途中で、避難民を盾にして前進する北朝鮮の戦車部隊に遭遇する。戦車部隊は抵抗した避難民を全員射殺してしまう。その北朝鮮軍兵士の中の一人が、自軍のやっている非人道的な行動に疑問を持ち、スナとともに南へ逃亡することを決意する。その兵士の助けで北朝鮮軍の将校に化けたスナは、いよいよ南北対峙の場所、洛東江へたどり着く。そこには、北に徴兵された韓国人の少年兵が多数いた。彼らは逃げれば銃殺されるため、前進するしかなかったのだ。母の名を呼び死んでいく少年兵。中には、逃亡できぬよう鎖でつながれたまま銃座につかされている兵士もいた。スナらは国連軍の空爆の隙に、洛東江を渡河する。 渡河したスナらだが、追っ手の北朝鮮軍に同行の兵が殺されてしまう。ただ一人となったスナは韓国軍に合流しようとするが、それは韓国軍に変装した北朝鮮軍だった。2回目に遭遇した本物の韓国軍に保護され、やっと韓国支配地内にたどりつくが、スパイ容疑をかけられてしまう。 主にスナの目を通した展開だが、ソウル陥落、韓国軍の混乱、北朝鮮軍と共産党支持者のソウル支配の恐怖、北朝鮮軍の虐殺、北朝鮮支配地からの脱出など次々にエピソードが繰り広げられる盛りだくさんの内容だ。盛りだくさんではあるが、それぞれのエピソードが適度の長さなので、飽きることなく、息をつかせぬ展開で進むので十分に見応えがある。 この映画で特筆すべきなのは、朝鮮戦争勃発からの戦史をかなり正確に追っていることだ。冒頭のヤク戦闘機画が3機で飛行場を攻撃する事実や、当初のバズーカ砲では敵戦車に対抗できなかったこと、韓国軍内部で情報が錯綜し軍司令部が前線部隊を見捨てて退却したあげく、市民が乗ったままの漢江の橋を爆破するエピソード、北朝鮮支配下となったソウルなどの恐怖自治、さらには北朝鮮による強制的な少年兵の徴兵と鎖に繋がれて逃げられない徴用兵など、これまであまり語られることのなかったエピソードがしっかりと盛り込まれているのがいい。さらに、面白いのはやはりベールに包まれた朝鮮戦争の実態(朝鮮人が朝鮮戦争をどう思ったか)が如実に描かれている点だ。我々日本人から見れば朝鮮内乱であり、米ソ、米中の代理戦争でしかないのだが、その内乱時に分断された朝鮮人が何を考えていたのかを垣間見ることが出来て興味深い。とかく、勇敢で頑強な韓国兵を描きがちだった中で、韓国軍の弱さや汚さを描いたのは評価できる。とはいえ、随所に死を恐れない勇敢な韓国兵を格好良く描きすぎる所はきちんとあるのですが。 欠点といえば、やはり国策映画と言うことで、事実に反して韓国軍ばかりが頑張っているところ。特に、2.3ヶ月たって反撃していく頃は、実際は米軍が頑張って戦っているのだが、韓国軍だけの力で盛り返したような雰囲気となっている。また、この映画では開戦3ヶ月だけを取り上げているが、この後の数ヶ年が本当の朝鮮戦争の泥沼であったことには触れられていない。この当たりを戦史的にきちんと押さえた映画も欲しいところではある。 国策映画なので韓国軍の協力を得ている割には登場する兵器類はいささかしょぼい。北朝鮮軍のT-34は思い切りM47パットンだし、戦闘機などはミニチュアの特撮で、撮影技術力が乏しい。まあ、映画技術・技法としては3流だが、レアな内容を描いた映画という点で評価しちゃおうか。 ちなみに、この映画の邦題は「ホワイト・バッジ」となっているが、1992年の映画「ホワイト・バッジ」やその前の「ホワイト・バッジ2」「ホワイト・バッジ3」とは何の関係もない。あちらはベトナム戦争だし。日本の邦題って本当にいい加減だよね。さらに、新発売のDVDでは「ソウル奪還大作戦 大反撃」などという題になっている。興奮度★★★★沈痛度★★★★★爽快度★★感涙度★★イム・グォンテク監督 戦争映画 DVD-BOX
2004年09月25日
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「アベンコ特殊空挺部隊 奇襲大作戦(アベンコ空輸軍団)」評価★★★ 生還の見込みのない韓国特殊部隊1982 韓国 監督:イム・グォンテク出演:シン・イルヨン、ナムグン・ウォン、ビック・モローほか 136分 カラー 韓国戦争映画の代表作とも言える、朝鮮戦争を題材にした大作。2時間を超える内容は、相変わらず韓国映画にありがちな間延びさはあるものの、これでもか、これでもかと言わんばかりの悲壮感を漂わせている。もちろん韓国映画の定石「激情」「悲壮感」「おちゃらけ」の3点セットは健在である。これほど、馴染まない3点を盛り込める韓国映画は素晴らしい。とはいえ、他の韓国戦争映画に比べるとおちゃらけ部分は少なめ。悲壮感漂うシーンが大多数を占める、なかなか重たい映画である。なのに、戦争シーンはアクション系というのも韓国映画ならではか。 (以下ネタバレ注意) 映画の冒頭は、一人の韓国人青年呉が韓国陸軍成少将のもとを訪ねてくるシーンから始まる。青年の父の死について将軍に聞くためだ。将軍は昔の朝鮮戦争の話を始める。 朝鮮戦争が始まって2ヶ月くらいたった8月頃から仁川上陸作戦の9月15日頃までの間の話だ。北朝鮮軍に洛東江まで押し込まれ苦戦する米軍と韓国軍だが、北朝鮮軍内部に潜入工作するための韓国軍特殊部隊「アベンコ」があった。「アベンコ」はマッカーサー司令部直属とされ、CIAの指導のもと、部隊長アレクサンダー中佐、ベンダブル少佐(モロー)、高中佐の3名の頭文字を取って付けられている。 アベンコはそれまでに数度の潜入工作を続けているが、一度も成功せず、部下が犬死にしていくことで韓国人の長である高中佐は心を痛めている。いよいよ、次の作戦として北朝鮮の補給弾薬庫の爆破が命じられる。編成は下士官と兵卒ばかりの6人。その一人に呉の父親がいた。出撃前の自由行動で呉はバーで働く女と恋に落ち、出撃前に結婚式を挙げる。そして、輸送機に乗り込んだ6人は北朝鮮領内に降下していく。すぐに北朝鮮兵に発見されてしまい銃撃戦になるが、その後は北朝鮮兵になりすまし、米空軍の支援を受けて、敵弾薬庫の爆破に成功する。その際に、爆破専門の兵が命を落とす。すぐに帰還のための集合場所へ移動するが、司令部からの指令がない。しばらく待機するうちに北出身の兵士の一人が両親を見るために、街へ出かけていく。しかし、共産軍に支配された街はすでに面影もなく、密告と恐怖が支配している。密告により両親が殺されたことを知った兵は、密告者を射殺する。 司令部からは、続けて北朝鮮軍の作戦参謀将校を拉致する命令が届く。ほとんど自殺行為に近い命令だが、やむなく残った兵達は作戦を実行する。北朝鮮軍の将官に化けた一行は敵司令部に潜り込み、作戦参謀の拉致に成功するが、すぐにバレてしまう。しかし、この場も一人の下士官が北に残してきた元妻との再会により元妻の助けで何とか脱出に成功する。ところが、包囲網脱出のさいにまたもやバレ、激しい銃撃戦になる。もはや脱出は困難と判断した兵士たちは呉に拉致した将校を連れて逃げることを指示し、残った3人は敵弾に倒れる。 呉は負傷して集合地に残っていた通信兵のもとへたどり着き、司令部に指示を仰ぐが、司令部からは敵捕虜を海岸部に待機する収容部隊に引き渡した後、そのまま北朝鮮内に残れと言う非情な命令が下るのだった。呉は捕虜を引き渡した後、北朝鮮軍の少年兵の弾に倒れる。 部下を見殺しにするCIAの方針に憤慨する高中佐に、ベンダブル少佐は「兵士は駒だ。駒の死によって戦争の勝利が近づくのだ」と言い捨てる。新たに CIAはアベンコに将校クラスの北朝鮮潜入作戦を指示する。この作戦こそは、将校をわざと北朝鮮軍に捕らえさせて国連軍が元山上陸を計画していると思わせる陽動作戦だ。当然の事ながら北の捕虜となることは死を意味する。CIAは高中佐に人選を指示する。高中佐は苦渋のすえ、成中尉(冒頭の少将)を任命するが、その時、テグのCIAから北領内に取り残された高中佐の妻が洛東江を渡ってきたとの報告が入る。高中佐は、成中尉に部隊出発の延期を伝え、さらに成中尉にテグへ行って妻を確認してくるよう命令する。成中尉がテグへ行っている間、高中佐は輸送機の上にいた。そして北朝鮮領内へ降下するのだった。 呉が死亡した時点で映画が終わるのかと思いきや、高中佐のエピソードまで続きかなり盛りだくさんの内容となっている。この映画は特殊部隊だけに戦争娯楽と言われることが多いが、全体的には上層部から見捨てられる捨て駒兵士の悲惨さと、北朝鮮支配地内に残された家族の苦悩などの重いテーマで縛られている。戦争によって引き裂かれた家族の苦悩というものの題材としてはこれに勝るものはないだろう。 ただし、これらを打開(北朝鮮に勝利)する原動力に、韓国軍兵士の死を恐れない勇壮さと憎しみから来る激情であらわしているのだが、グォンテク監督の戦争映画に共通するように国策映画としてのナショナリズム昂揚的要素は多分に感じざるを得ない。特に、エンディングの成少将と呉青年の戦後の会話は、映画としては全く不要な部分であり、必要があるとすれば勇敢に戦って死んだ韓国軍兵士へのレクイエムとしてである。 戦闘シーンは、二流アクション並でリアリティに欠ける上、爆薬使用、登場兵器ともにかなりしょぼい。航空機は輸送機とセスナ?のほかP80シューティングスターもしくはF84サンダージェットと思しきものが少し登場するのみ(もちろん模型でしょうが)。 まあ、全体的にみれば、やっぱり韓国戦争映画特有のインパクトに圧倒されたという感じ。日本の映画のような繊細な感情描写は期待できないが、アメリカアクション映画的な部分を楽しむことは出来る。でも、やっぱりこの重苦しさは韓国映画なのだなあ。朝鮮戦争史を知るには見て損はなし。 ちなみに、ビック・モローは「コンバット」に登場する名優。コンバット人気にあやかって出演してもらったのだろうことがミエミエである。 なお、朝鮮戦争って敵国でも言葉が通じるのである意味便利ですね。通訳いらないし。でも、南進当初の北朝鮮軍戦車兵は朝鮮系ロシア人なのでロシア語しか話せなかったらしいね。興奮度★★★★沈痛度★★★★爽快度★感涙度★★★ イム・グォンテク監督 戦争映画 DVD-BOX北朝鮮ミサイル発射準備か?今回の騒動を見ていて映画「アベンコ」との関連で思ったことを。今回の騒動を韓国統一省、国防省ともに「定例の訓練の可能性が高い」としている。しかも、この根拠について情報当局が信頼の置ける情報を持っていることを示唆している。この背景には、米軍や韓国の衛星等からの情報収集も一面にあるのだろうが、やはり人的情報筋によるものが大きいと思われる。 全てはベールに包まれているが、1950年代から現在に至るまで、軍人、民間人として相当数の工作員が北朝鮮内に潜入していると言われている。映画「アベンコ」もその一つであり破壊工作員だが、民間レベルでの潜入やもしくは南シンパの確保は頻繁に行われていると思われる。事実、脱北者の証言から北朝鮮内の情報よりも早く韓国筋が情報を知っていること、北朝鮮高官の中に韓国工作員がいると噂されていることなどがある。また、今年日本で公開された映画「シルミド」も死刑囚を用いた金日成暗殺部隊が実際にあったことを示すものだ。 今回のミサイル騒動についても、先日の爆発騒ぎにしても韓国情報筋はかなりの情報を持っていると想定される。しかし、韓国筋が常に今ひとつ明確に情報を公開しないのは何故か。敵国と国境を接していながら本当に知らないとは思えない。知っているのに隠していると見た方が的確のような気がする。この点は、脱北者も疑問に思っているようで、韓国が北朝鮮内に相当な情報網と影響を持っているにもかかわらず、何故クーデターを起こさないのかということである。収賄に満ち、規律が乱れた北朝鮮において政府転覆はさほど難しいことではないと思われるのだ。 韓国の思惑が浮かび上がる。大衆の意見とは裏腹に、北朝鮮が転覆し朝鮮が統一されることを望まない指導者一派がいるということだ。米軍の力を継続して利用したいから。憎しみの矛先を日本に向け続けるため。貧しい北朝鮮を強調することで政治的に利用したいから。など様々な憶測ができるが、親日派の遡及処分など対外政策を政治派閥の抗争材料にも使う韓国のこと。果たして誰が何を考えているのか。韓国指導者は「偉大なる戦術家なのか、あるいは大馬鹿者」なのか。もしかもすると、第二次朝鮮戦争を目論んでいるのかもしれない・・・なんてね。 先日の新聞報道で、韓国民の最も嫌いな国=「日本」。最も見習うべき国=「日本」だそうだ。わしだったら、嫌いな国など見習おうなどとは絶対に思わない。このあたりにも、政治指導者の情報操作に翻弄される国民の姿が見て取れる。指導者が本当は何を考えているのか、知っている大衆はほとんどいないだろう。そういえば、朝鮮戦争の時もそうだった。日韓併合の時もそうだった。結局の所、大衆は政治家の私欲と臆病に惑わされ、血を流すのだ。それが、韓国の宿命なのね。迷走する韓国よどこへ行く。
2004年09月24日
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1979 東宝(角川) 監督:斉藤光正出演:千葉真一、渡瀬恒彦、薬師丸ひろ子、小野みゆきほか 138分 カラー 1970年代末、一世を風靡したタイムスリップもの。半村良の原作を角川春樹が映画化した。自衛隊最新装備が登場して、戦国時代にぶっ放すという奇想天外な発想で、「最新装備vs戦国人海戦術」どちらが勝つのかというロマンをかきたてた。「もし歴史がこうだったら」という仮想物の走りにもなった。今となっては映像的、音響的に劣って見えるが、公開当時としては迫力満点であった。 (以下ネタバレ注意) 陸上自衛隊伊庭三尉以下21名の自衛隊員は、演習に参加するため新潟県の第5補給地へ向かう。朝5時18分、時空のゆがみが生じ、彼らは61式戦車、M3A1装甲車、ジープの装備品とともに400年前の時代にタイムスリップしてしまう。400年前の戦国時代は織田や武田、上杉らがしのぎを削っている時である。また、付近では海上自衛隊の哨戒艇と陸上自衛隊のヘリコプター(シコルスキーs62)も同時にタイムスリップしている。 そこに、3騎の騎馬武者が登場する。威嚇する騎馬武者に隊員は銃撃を加えてしまう。それを見ていた長尾影虎(上杉謙信)は伊庭らに近づいてくる。初めは時代の混乱を避けるため、協力を拒む伊庭であったが、長尾と交流を深めるに連れ、次第に自分自身に武士の心があることを感じ始める。成り行きで長尾に荷担する羽目になった伊庭らは結局、長尾と組んで天下取りの野望に巻き込まれていく。 隊員の中には、彼女と待ち合わせをしていた菊池一等陸士やマラソンの期待の星森下一等陸士などがおり、それぞれ現世での葛藤を抱えている。一方、早くも戦国時代に順応する者もおり、狙撃手の三村一等陸士は農家の娘と恋に落ちる。また、武器を逆手に横暴を企てる謀反者も出る。もともと伊庭に反抗的な矢野陸士長、島田三等陸曹、加納一等陸士の三人は哨戒艇を奪って、村々を襲い、強姦や掠奪の興にふける。伊庭は矢野らと対決し、彼らを殺害する。 正義のために動いていた伊庭だが、次第に長尾と心が通い始め、一人の戦国武将と化していく。隊員達はその変化に付いていけない者も出てくるが、長尾と伊庭は春日山城を攻め、さらに京へ上る決意を固める。 長尾は浅井・朝倉の連合軍と、伊庭は川中島で武田信玄と戦うこととなり、戦車、ジープ、ヘリコプターを駆使した総力戦となる。次々に死んでいく自衛隊員。ついに伊庭は敵将武田信玄の首を取ることに成功する。しかし、長尾は敵側と和議を図ることとなり、結果、伊庭らを売ることになる。それが戦国時代なのだ。生き残った隊員らが籠もる寺を長尾が取り囲む。自衛隊員達は現世への未練を残しつつも、最後は戦国武士らしい死を遂げるのだった。 なんとも、もの悲しい結末なのであるが、「あり得ない」展開を妙に納得させてしまうあたりがすごい。それもやはり千葉真一の傑出した唯我独尊的演技の賜だと私は思う。自衛隊の装備も登場するが、時代考証や戦国時代の時代考証はあまり気にしてはいけない。戦国武将の捉え方もかなり偏見に満ちていると思うが、インパクト勝負で行けばこうなるのかもしれない。当時、我々若者に、間違った戦国武将、武士道の認識を刷り込んだのはこの映画の罪ともいえる。反面、戦国期の戦いをリアルに表現したことは高く評価できる。構成、演出、撮影、音響ともに普通レベルなのであるが、題材の突飛性という点で、日本映画史上において画期的な映画と言え、星4つ。 なお、薬師丸ひろ子の若武者ぶりと、安堵して近づく自衛隊員に槍でぶすりは強烈。また、小野みゆきの泥臭い顔つきと芝居は戦国物にはまりであった。興奮度★★★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★★戦国自衛隊DVD続戦国自衛隊(1(関ケ原死闘編)) 書き下ろしSF歴史小説 ( 著者: 宇治谷順 / 半村良 戦国自衛隊 上巻 楽天ダウンロード戦国自衛隊 下巻 楽天ダウンロードこれから製作される自衛隊関連映画「戦国自衛隊」江口&京香で「戦国自衛隊」 物語一新で26年ぶり“復活 今度こそは戦国武将の描き方を緻密に的確にして欲しいですね。このご時世ですからあんまり大ざっぱだと批判がでるでしょう。それから、あんまり骨太の自衛隊員だとリアル感ないので、現代的気質で描いて欲しいですね。そこにおとぼけな「平和主義者」でもかませてくれれば面白くなるのだけれど。今作は90式戦車やコブラなど自衛隊の最新装備ですから、期待しておきましょう。なお、富士演習場でのエキストラ募集もやっているようです。「亡国のイージス」空自全面協力、戦闘機飛びまくる「亡国のイージス」こちらは空自が強力支援のようです。真木くんF-2に乗っているではないですか。うらやましい。てか、彼の顔って濃いねえ。そんなことはどうでもいいが、迫力のある離発着や飛行シーンの撮影をしているようだが、単に迫力だけで終わらないようにして貰いたい。F-2の迫力の必然性を導き出すようなストーリーを期待したい。いずれにしても、期待できそうな映画だ。日本映画頑張れ。
2004年09月23日
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1980 アメリカ 監督:アミュエル・フラー出演:リー・マーヴィンほか 110分 カラー 結構評判の高い戦争映画で、かなり前に視聴していたのですがレビューを書くのを忘れておりました。思い出しながらとも思ったのですが、なかなか完全にはよみがえらず、結局再視聴しました。 実は、1回目の視聴の際には、戦争を描くにしては今ひとつピントがずれているなあと言う印象があり、死なない分隊というのも何か意図的なものが見えすぎていると、どちらかというと批判的な感じだったのですが、今回再視聴してみて、あれ、なかなかいいじゃんという印象に変わりました。 (以下ネタバレ注意) この映画は、第二次世界大戦の米歩兵第1師団第16連隊第3大隊I中隊第1小隊第1分隊の兵士の話です。この第1師団というのは史実上でも、ヨーロッパ戦の最初から最後まで激戦を戦った師団で、この映画も北アフリカ、イタリア、フランス、ベルギー、ドイツ、チェコスロバキアと実に多岐にわたる戦線を題材にしています。この点が最初に見たときに、あまりに展開が早すぎて食傷気味であり、戦争の深みを得ていないという印象を与えたのでした。しかし、2回目の視聴でその淡々と戦線を渡り歩いていく兵士の描写にも意味があったのだとわかりました。 主人公は分隊長の軍曹(マーヴィン)と4人の部下。軍曹は第一次世界大戦でも従軍しており、その際に停戦になったのを知らずに、敵兵を殺してしまったという殺人へのトラウマを心に持っている。しかし、いざ戦闘状態になれば敵兵は動物だと思って殺さねばならぬということも良く理解しており、部下にもそのように指導していく。 最初のヴィシー政府軍が守備する北アフリカ上陸作戦、内陸部でのロンメル戦車軍団の激戦で、軍曹は傷を負ってしまう。彼の分隊の部下も12人中4人しか生き残っていない。しかし、この4人と軍曹が不死身となっていくのだ。 次のイタリアシシリー島上陸作戦では、ドイツ軍戦車部隊に蹂躙されながらも味方駆逐艦の艦砲射撃で命をつなぐ。イタリア上陸後には敵自走砲の捜索と壊滅作戦に出るが、そこで出会った母親の死体を運ぶ子どもと、彼らに開放された村の女どもの歓迎が印象的だ。戦争の冷血さを身に持って知る軍曹が、子どもから鉄兜に花飾りをつけてもらった時の複雑な照れは、死と生の執着の間で揺れ動く軍曹の心があらわれているようだ。 続いて分隊はフランス沿岸のノルマンディー上陸作戦に参加する。上陸前の船上で新兵の加わった分隊では突撃の順番を決める。早い順番は死を意味する。これも運なのだ。歴戦を生き残った4人はもはや神の扱いだ。上陸戦は熾烈を極める。分隊は血路を切り開くため敵陣地でパイプ爆弾を爆破させる任務につく。軍曹は冷徹に「ナンバー1」と突撃順一番の兵士を呼ぶ。突入後すぐに銃弾に倒れる。「ナンバー2」・・・「ナンバー3」・・・「ナンバー4」次々に兵士は倒れる。「ナンバー9」ついに歴戦の4人の一人の順番になる。途中で尻込みする兵士。それを軍曹は後ろから銃撃する。戦場では自分の生は自分でコントロールできないのだ。おまえの命など俺の知ったことではない。仲間が生きるためには誰かが死ね。そこに意義や理由などないのだ。言葉にはなっていないが、戦場におけるセオリーとも言える軍曹の信念が読み取れるシーンだ。歴戦の勇士は爆破に成功する。 戦場では新兵から死んでいく。生き残りの古参兵にあやかろうと水を汲んでくる新兵がいる。しかし、彼も地雷で大けがを負ってしまう。結局の所、戦争は運命に流されながらも生への強い執着と経験がなければならないのだ。 フランス内陸部の戦いで、分隊はドイツ軍の死んだふりの待ち伏せに合う。しかし、軍曹の持ち前の嗅覚と経験で襲撃を未然に防ぐ。そこに、身ごもったフランス人農婦が通りかかり、出産の危機に陥る。軍曹は衛生兵に出産を命じる。敵兵を殺害したばかりなのに、新しい生への執着である。ここにも、軍曹の生と死へのトラウマが見て取れる。 分隊は続いてベルギーに入る。そこにはドイツ軍が列車砲を隠している修道院がある。しかし、実はそこは精神病院でもあった。分隊は、精神病患者を装ったレジスタンスの手引きでドイツ兵を倒していく。そんな中、本物の精神病患者が手にした機関銃で「俺は正気だ!」と叫びながらドイツ兵らをなぎ倒していく。分隊兵士が言う。「彼が本当に正気かと思った」。監督は、戦時の兵士も精神病患者も紙一重であるということを言いたかったのだろう。 チェコスロバキアに入り、分隊はユダヤ人収容所を目にする。軍曹は、一人の衰弱した少年にチーズを当たる。少年を肩にかつぎながら、微笑み返してくる少年に軍曹は心のゆとりを取り戻したかのようにも見える。しかし、少年は軍曹の肩の上で息絶える。戦争とは実に残酷な物だ。軍曹の心は冷えに冷え切ったことだろう。 そして、停戦が来る。軍曹はそれを知らずに近づいてきたドイツ兵を刺してしまう。そこに、部下から停戦の報告が。軍曹はまだ息のあるドイツ兵の救命を衛生兵に命じるのだった。「(こんどこそ)死なせはしない」。 改めてみると、実にいろいろな思いが隠されていることがわかった。実は、監督のフラーは実際に北アフリカ戦線やノルマンディー戦線に従軍した経歴があるのだ。だからこそ、戦場でも兵士の心情に思い入れがあるようだ。特に、戦場での心理と呼ぶべき部分が色々な手法で散りばめられている。軍曹のみならず部下の4人についても同様のことが言える。戦場では正しいか、正しくないかなどという判断は不可能だし、自分の生のためには必要ないという極限の論理。そういう極限状態の中で垣間見る他人の生と優しさ。兵士の心の中の矛盾と葛藤が痛いほど伝わってくる。平和主義者だろうが、戦争好きだろうが、極限の戦闘で人間はどのように感じ、行動するか。監督はそれを知って欲しかったのだろうとしみじみ思うのでありました。 ちなみに、アフリカ戦で出てくるロンメル軍団の戦車がM4シャーマンだったのはちょっと残念。まあ、そういうことはどうでもいい映画でしたが。あと、原題のビッグレッドワンとは歩兵第1師団の愛称です。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★★★感涙度★★★2000年にDVDが発売されていますが、楽天では取り扱っていないようです。購入されたい方はこちらからご購入下さい(現在、UBOOK(古本市場)、MUSICNAVI、eでじ、で販売確認済)米第1師団の概要HPへリンク
2004年09月21日
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2001 フランス・ドイツ・アメリカ 監督:J・デビッド・ライヴァ出演:マレーネ・ディートリッヒ、ジャン・ギャバンほか 105分 カラー 伝説の女優マレーネ・ディートリッヒの生涯を描いたドキュメンタリー映画。実は、私個人的には外国人女優や俳優の知識が乏しく、なんとなく名前を知っている程度でした。マレーネはドイツ生まれのドイツ人でしたが、ヒトラーの施策に反対してアメリカに渡って活躍した女優です。反ナチスの広告塔となるとともに、第二次世界大戦中の精力的な従軍慰安活動が評価されている人でもあります。しかし、その生涯は決して平坦なものではなく、波乱に満ちた生涯を映画化したものです。監督はマレーネの孫に当たる人物だそうで、大部分がマレーネらの記録映像と関係者のインタビューで構成されています。 マレーネは1901年ベルリンで生まれ、演劇学校に通うかたわら舞台に上がるようになる。さほど売れっ子というわけではなかったが、持ち前の退廃的で不良っぽい魅力がイギリス映画のスタンバーグ監督に見いだされ、「モロッコ」で映画メジャーデビューをする。その後、活動の拠点をアメリカに移し、スタンバーグ監督と「嘆きの天使」「間諜X27」「上海特急」などヒット作を次々と飛ばし、黄金時代を築く。 ヒトラーはマレーネの活躍を利用するためドイツ国内での映画活動を強要するが、マレーネは拒否し、逆にアメリカ国籍を取得する。既に結婚し一女をもうけていたマレーネだが、良き理解者である夫とは離婚せずに自由奔放な恋愛を続けていた。恋人が戦争に赴くと失意と心配から戦争慰問活動に精力を傾けるようになる。前線への慰問も厭わないマレーネの行動により戦後、自由勲章を受けた。 戦後はジャン・ギャバンとの秘めた恋愛を続けるが、決して結婚することはなかった。最初の夫や、ギャバンらとの深い信頼関係があったからこそだ。戦後も映画に出演を続けるが、持ち前の毒のある美しさは世間から受け入れられなくなり、世代の交代が進む。失意の中、名曲「リリー・マルレーン」の大ヒットで歌手として息を吹き返す。世界各国でリリー・マルレーンを歌い続けるマレーネだが、いよいよ祖国ドイツでのリサイタルの機会が訪れる。しかし、観客やマスコミの反応は冷ややかだった。祖国を捨てた女という烙印はなかなかぬぐわれないのだった。 晩年はほとんど人前から姿を消す。衰え、醜くなった姿を見られたくないという気持ちがあったのだろう。1992年人知れずマレーネはこの世を去るのだった。 この映画が戦争系に入るかどうかは若干疑問はあるが、少なくとも第二次世界大戦、ヒトラーの政略に翻弄された人物であることだけは間違いない。ドイツ国民の多くがヒトラーの恐怖の前に屈服したのに対し、真っ向から対抗したマレーネの心意気は彼女の人生そのものをあらわしている。若き頃の小悪魔的な魅力は今でも通用するだろう。また、晩年の波乱の人生全てを背負ったような重厚なリリー・マルレーンの歌声。あまり知らなかったとはいえ、私の断片的な知識が一本の線でつながったドキュメンタリー映画でありました。ドキュメンタリーですが、決して飽きはしません。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★★感涙度★★★真実のマレーネ・ディートリッヒ デラックス版マレーネ・ディートリッヒ出演作品DVDモロッコ(1930) ◆20%OFF!<DVD>メジャーデビューとなったスタンバーグ監督とのコラボ第一作嘆きの天使(1930) ディートリッヒの小悪魔的魅力と脚線美で魅惑する上海特急(1932) 【IVCF-2104】 =>20%OFF!スタンバーグとディートリッヒコンビ絶頂期。東洋に輝く艶めかしさ。鎧なき騎士(1937) 【IVCF-2116】 =>20%OFFスタンバーグと離れ、輝きを失いつつある時期の作品"スポイラース(1942)戦乱に巻き込まれ、演技に熱中できない時期。舞台恐怖症(1950) 特別版ヒッチコック作品にも出演している。大人の魅力に挑戦。80日間世界一周(1956) スペシャル・エディション世代交代に失意の中だが、出演作はやはり存在感大だ。情婦(1957) 【GXBA-16236】新境地を切り開きつつある円熟味のある演技パリで一緒に(1963)【PDA-204】 =>20%OFF!もはやオードリーの脇役ではあるが・・・音楽マレーネ・ディートリッヒ/今宵あなたと-ライヴ・イン・ロンドン(DVD)
2004年09月17日
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1976 韓国 監督:イム・ヅォンテク出演:チン・ユヨン、ユ・ヨングン、イ・イェミン、チャン・ヒョクほか 95分 カラー 韓国戦争映画の真骨頂炸裂といった典型的映画です。韓国映画の特性として、異常なほどのシリアスさとヒステリックなまでの悲壮さを前面に出しながら、3枚目役の役者によるおちゃらけを随所に散りばめるという点があります。本作も見事なまでに忠実に作られています。 なお、この作品の原題は「洛東江は流れるのか?」ですが、ビデオ発売の邦題は「新ホワイト・バッジ 地獄の戦場」となっています。多分1973年に製作された「ホワイト・バッジ 史上最大の作戦」を意識してつけられた名前だと思います。同じ監督の作品ですし、続編を意識していたのかもしれません。また、DVD化されたタイトルで「史上最大の戦場 洛東江大決戦」となったようです。どうも韓国映画は題名が入り乱れるのでわかりにくいです。1976年の韓国演劇映画芸術賞/監督賞,助演男優賞,新人賞を獲得している。18歳未満閲覧不可だったそうな。 (以下ネタバレ注意) さて、話は北朝鮮軍がソウルを攻め落とし、洛東江まで攻め込んできた段階を描いている。北朝鮮軍と韓国軍・連合軍は洛東江で対峙しており、洛東江渡河作戦が思うように行かない北朝鮮軍が、ついにコン大佐率いる精鋭戦車隊を用いて、洛東江渡河、ユアク山攻略、そしてテグ(大邱)占領を図る。テグを占領すれば、韓国最後の砦釜山も落ちるからだ。 一方、韓国軍守備隊は北朝鮮軍の戦車と人民兵に圧倒され、苦しい戦いを強いられる。次から次へと前線へ補充兵が送られてくるが、その中に徴兵年齢に満たないが年齢詐称で入隊してきた17歳のチョン二等兵がいた。チョンは肺病を病む恋人がソウルにおり、彼女に薬を渡したいが故に前線に志願してきたのだった。小隊長チャ中尉(准尉?)の計らいで除隊を勧められるが、チョンは言うことを聞かずに前線に出てしまう。小隊長らは敵戦車を決死の作戦で撃破する特攻隊となって出撃するが、途中で一人さまようチョンを拾う。特攻隊は敵戦車を対戦車地雷やTNT爆弾で待ち伏せ、最後は爆弾を抱いて突入する決死の覚悟をする。小隊長はここでもチョンを生かすため、捕虜の後送任務につかせる。 待ち伏せは、紛れ込んだ北朝鮮の女スパイの密告によってバレてしまう。特攻隊は奮戦するも次々に屍れていく。それを見たチョン二等兵は、護送する捕虜に「なんで、こんな戦争を始めたのだ。あなたがた大人ならわかるだろう。僕のような子どもが何故戦場にいるのだ。」と絶叫し、捕虜に「韓国軍司令部へ行け」と命じて自ら爆弾を抱えて敵戦車に体当たりするのだった。 前半部分は3枚目の役者(いつも戦争映画に出てくるおじさん)演じる上士と、情けなさ爆裂の主人公チャン二等兵らが織りなすおちゃらけと、北朝鮮軍との戦闘シーンがなんともミスマッチで、シリアスな展開と思わせながら、チャン二等兵の大ボケぶりや泣き顔などでモチベーションが思い切り下げられる。この映画はどうなるのか、最悪の映画かもしれないという疑念が浮かぶのでした。しかし、後半になると徐々にシリアス度が増し、緊迫した戦争映画へと変貌していきます。しかも、チャン二等兵がいっぱしの兵士として肉弾戦に突入していくシーンでは不覚にも涙腺が緩くなりました。なるほど、それまでのチャン二等兵の駄目駄目ぶりはこのための伏線だったのだなと。17歳という少年であり、せっかく上官の計らいで後方に生き延びられたにも関わらず、爆弾を抱いて突入せざるをえない程の心理にさせる、戦場の不条理さと悲壮さを物の見事に描いています。さすが、韓国映画だ。こういうシチュエーションを描かせたら天下一品です(反面、赤面するほどクサさ爆裂ですが)。 いつも思うのですが、本作にも登場する上士(曹長相当)役のお下劣で勇気があって、ちょっとやさしいおちゃらけ専用の役柄は本当に必要なのでしょうか。映画の強弱をつけるためには必要と言うことなのでしょうか。それとも、韓国ではグループ内には必ずああいうタイプがいてそれを忠実に再現しているということなのでしょうか。個人的には、韓国語でのおちゃらけシーンは本当にひょうきんなので結構好きです。どうせなら、デブゴンのサム・ハン・キンポーのように全編おちゃらけで通してしまえばと思います。 主人公のチャン二等兵(貧相な大鶴義丹似)は実にイヤな役です。泣いたり騒いだり、大声出したりと韓国人特有の気質の荒さが出ていて見ていて結構不愉快になりました。しかし、チャン二等兵が肉弾戦に挑む段ではそれもありかなと思わせます。日本人ならじっくりと内に秘めて突入するのでしょうが、韓国人は感情にまかせて突入する。それはそれで人種の違いをまざまざと見せてくれるので良かったです。でも、せっかく感動的なチャン二等兵の突入シーンで、彼のかぶっていたヘルメットが壊れて落下してくるシーンで終わりにすれば、感動はクライマックスで終わったものを、その後もダラダラと続けてしまったため、作品としてはしまりがなくなってしまっています。多分、捕虜となった北朝鮮戦車兵が捕虜として投降するシーンを入れたかったのだろうと想像します。政治的思索で、北朝鮮が始めたこの戦争は間違いだったと北朝鮮兵に暗に語らせたかったのでしょう。 北朝鮮側の女スパイ、コ・ヨンソル同志(トンジ)が登場しますが、果たしてこの役は必要だったのか。妙に無駄な色っぽさを出している役柄で、流れ的にも今ひとつでした。必要なかったんじゃないでしょうか。 さて、映画に登場する兵器ですが、北朝鮮軍のT-34戦車役として、アメリカ製の戦車が登場します。戦車については良くわからないのですが、多分キャタピラの転輪数と砲塔の形状からM47パットンと思われるものが5.6両は登場します。朝鮮戦争後に米軍が韓国国内に多数残していったそうですから、韓国陸軍から借用したのでしょうか。 最後に、苦言をひとつ。最後のエピローグシーンは多分仁川上陸作戦をイメージした映像だと思いますが、上陸しているの韓国軍じゃないですか?実際は米軍の実施した作戦ですから。あんまり史実をねじまげるのはいけませんね。この映画に限りませんが。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★★感涙度★★★★イム・グォンテク監督 戦争映画 DVD-BOX
2004年09月15日
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1968 イギリス 監督:マイケル・ウィナー出演:オリヴァー・リード、マイケル・J・ポラードほか 102分 カラー フィクションの話だが、元ネタはカルタゴ将軍ハンニバルの象での山脈踏破の歴史にあるらしい。戦争映画と動物、しかもヨーロッパで象というなんともミスマッチな設定だが、愉快な娯楽作品に仕上がっている上に、戦争映画としても十分成り立っている佳作だ。 (以下ネタバレ注意) 英軍兵士ブルックス(リード)は捕虜としてドイツ軍の収容所に入れられ、ミュンヘンにある動物園の飼育係として働かされることとなる。ブルックスはルーシーという象の飼育を割り当てられる。当初はとまどったが、次第にルーシーに愛情が芽生えてくる。時代は大戦末期となり、動物園にも連合軍の空爆が来るようになり、動物園は閉鎖され、象のルーシーはオーストリアへ避難することとなった。避難が近くなった日にも空爆があり、同じ収容所に収容されていた米軍兵士パッキー(ポラード)は空爆に乗じて脱走を図る。ブルックスにも勧めるが、ブルックスは象への責任感から断ってルーシーの護送任務につくことを選ぶ。 オーストリアへの護送は、当初計画の列車が使えず、徒歩での護送となる。ブルックスの監視にドイツ兵士クルトとウィリー、女性のブロニアがつき、4人での護送が始まる。途中、頭の固いクルトとブルックスは喧嘩となり、拍子からクルトを殺害してしまう。ブルックスは象と共にアルプス越えでスイスへ逃亡することを決める。ドイツ兵だが進歩的なウィリーはブルックスに好意的であり、それを見逃し自らも生家へ戻ることにする。 ドイツ軍SS親衛隊の追っ手が迫ってくるが、ルーシーの働きもあり何度も撃退する。加えて、先に脱走しパルチザン化していた米兵パッキーの助けもあった。そんな矢先、象のルーシーが病気にかかる。助けを求めてウィリーの生家へ赴いたブルックスだが、家族を盾に脅されたウィリーの密告により親衛隊に捕らえられてしまう。投獄されたブルックスだが、密告を悔やむウィリーの命を賭した行動と、パッキーの支援ででなんとか脱出する。パッキーらパルチザンの支援を受けたブルックスはルーシーを連れてスイス国境へ向かうが、そこには先回りしたSS大佐がいた。激しい銃撃戦が始まる・・・・・ 主人公のリードとポラードの個性が際だつ映画である。リードの端正な顔立ちと潔い行動力が格好いい。反対にポラードの猿顔でちょっと弾けた性格は娯楽性を高める上で大いに効果を上げている。そこに、象という動物が介在することで、映画としてかなりの深みを得ている。この2人だけであったら個性のぶつかり合いが気になるところだったろう。 随所で象のルーシーが活躍するのだが、ちょっとやりすぎの面があったり、パルチザン化したパッキーらの戦闘シーンにもアクション的要素が強すぎるかなという印象もあるのだが、そこは娯楽性を重視したものとして看過できるレベルである。この手は面白ければいいのだ。確かに、途中で準主役クラスが結構死んでいったりと、悲しいシーンもあることはあるのだが、終わりよければそれで良しという典型的な展開でクリアしている。 もう一つ、この映画で印象的なのは音楽。フランシス・レイが手がける軽やかで情緒的な音楽は戦争映画に似つかわしくない。しかし、象との旅のシーンに画面が切り替わるたびにブツ切れ的に挿入されるこの音楽は何とも耳に残るのだ。映画の流れを娯楽部分と戦闘部分とをうまく切り分ける効果として生かされているような気がする。他の映画ではあまり見られないこの手法はなかなか素晴らしいと思う。興奮度★★★★沈痛度★★★爽快度★★★★感涙度★脱走山脈
2004年09月13日
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1945 イタリア 監督:ロベルト・ロッセリーニ出演:マルセル・パリエロほか 103分 モノクロ イタリアのネオレアリズムのきっかけとなった作品で、ネオレアリズムの巨匠ロベルト・ロッセリーニ監督3部作の最初の作品。イタリア解放間もない 1945年製作で、ドイツ軍支配の傷跡も生々しい雰囲気が伝わってくる。ちなみに、ネオレアリズムとは、ありのままの姿を写実的に描こうとするリアリズムであり、一般市民の起用やロケーションの多用が特徴だそうだ。今では多様な作品が製作されているので、本作を見てどこが顕著なリアリズムかというと、ちょっとわかりづらいが、当時としては戦争の悲惨さを隠すことなく顕すといった点でも画期的なリアリズムであったと思われる。ロッセリーニ監督の3部作はこのほかに「戦火のかなた」「ドイツ零年」と続く。 (以下ネタバレ注意) 映画の舞台は第二次大戦末期のローマ。イタリア人レジスタンスのマンフレーディはゲシュタポに追われ、同志のランチェスコのもとに潜む。ランチェスコの婚約者ピーナがそれを助ける。また、表だった活動ができないため、資金の運搬役としてドン・ピエトロ神父も協力する。 ランチェスコとピーナの結婚式の日、子ども達が仕掛けたテロの追求でランチェスコが捕らえられる。それを追いかけたピーナは射殺される。護送途中のレジスタンスの襲撃でランチェスコは解放され、マンフレーディと共にマンフレーディの恋人マリーナの元に隠れる。しかし、マリーナは麻薬中毒になっており、ゲシュタポのスパイに買収されてマンフレーディらの情報を密告してしまう。マンフレーディらは捕らえられ厳しい拷問を受ける・・・・ イタリアレジスタンスは決して華々しい活躍はない。それに関わった人々はゲシュタポの手に堕ちていく。暗く、重苦しく、それでいて、自由の希望を求めて力強く生きようとする民衆の姿を描いている。また、異質なのが子ども達の姿だ。まだ、6.7歳とも思しき子ども達が手製爆弾でテロを行っている。日本での戦後闇市等で暗躍する子ども達ともオーバーラップする彼らの強い生命力を感じさせる。ピーナの生命力も戦乱期の女の強さを彷彿とさせる。パン屋の襲撃や子ども達に対しての言動などは気丈なイタリア女そのものだ。見ていて安心感すら感じさせる。 さらに、最後に神父が銃殺されるシーンで、銃を撃つイタリア警察の隊員はことごとく的をはずす。最後はゲシュタポ将校が頭を撃ち抜くのだが、イタリア人同志の殺し合いという占領下ならではの縮図もここに垣間見ることが出来る。興奮度★★沈痛度★★★★★爽快度★感涙度★★無防備都市(トールケース仕様) ◆20%OFF!新作ミリタリーウエア情報BUZZ RICKSON'S バズリクソンズ フリーダムクルースウェット 『JOHNSON AB JAPAN』 ゴールドいよいよ秋物が出そろってくる時期ですが、先んじてこれが出ました。定番のスエットですが、胸のフェルトの空軍ワッペンがなかなかいいです。洗濯にはちょっと気をつかうかもしれませんが、秋用にスエットを羽織るにはいい商品ではないでしょうか。追加情報 ミリタリーフィギュア特売情報ミリタリーフィギュア1/6が50から75%割引で大特売中です。お勧めは日本陸軍空の神兵。最高の出来です。このほかにも多数出ていますので要チェック。MODERN US Army Afghanistan PLAY SETWWII GERMAN UKRAINE 1943HEER INFANTRY LANDSER"Udo"PEARL HARBOR DISPLAY SET大日本帝國陸軍空中挺進部隊"空の神兵
2004年09月10日
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1943 アメリカ 監督:フリッツ・ラング出演:ブライアン・ドンレヴィほか 135分 モノクロ 1942年にドイツの元国家保安本部長官ラインハルト・ハイドリッヒがチェコのプラハで暗殺された事件を題材にした映画。暗殺翌年にアメリカで製作と言うことで、多分にプロパンガンダ的要素もあるのだろうが、事件の重要性を看取した試みと勢いに驚かされる。プラハで起こっている実態がすぐに連合国側に伝わっていたということでありる(まあ、暗殺計画を裏で仕切ったのは連合軍側なので当たり前でしょうが)。ただ、この映画は史実を描いたものではなく、プラハ市民の勇気を推理小説風にアレンジしたものである。 悪名高いハイドリッヒはプラハの総督として赴任していたが、チェコ人活動家の医師スヴォボダにより暗殺された。プラハに住んでいるノヴォトニー教授の娘マーシャは、スヴォボダを追跡するゲシュタポに異なった方向を教えてスヴォボダを助けたことから騒ぎに巻き込まれる。偶然、スヴォボダはノヴォトニー教授宅に隠れることとなり、マーシャと再会する。 ゲシュタポは、執拗に犯人捜しを行うが犯人は見つからない。業を煮やしたゲシュタポは片っ端から市民を捕らえて処刑していく。ノヴォトニー教授も捕らえられてしまう。そんな中、ゲシュタポに取り入っているチャカの密告でチェコ人活動家達がゲシュタポに殺害される事件が起きる。一方、ノヴォトニー宅に匿われているスヴォボダのもとにもゲシュタポの手が伸びる。寸でのところでマーシャの機転で情事中を装って難を逃れるが、その場をマーシャの恋人に目撃されてしまう。本当のことを知らされていない恋人は絶望と怒りでやけになり、ゲシュタポの尋問にひっかかりそうになる。 いよいよ、ゲシュタポの魔の手がスヴォボダ、マーシャに忍び寄る。ノヴォトニー教授の処刑も迫っている。そこでマーシャらはゲシュタポに密告者チャカが暗殺の真犯人だと告発する行動に出る。チャカは事件当時レストランで食事をしていたと証言するが・・・・・ この後の話は伏せておきますが、びっくりするような、胸のすくような展開が起きます。1943年の戦時中とは思えないような洒落たストーリーは魅力十分。また、登場人物のそれぞれの個性や人間性もしっかりと描かれているうえ、名もないプラハ市民の恐怖、裏切り、団結などの意志や表情が実にうまく描かれている。プロパガンダ要素が強いとはいえ、それを感じさせない魅力たっぷりの映画なのである。あんまり先入観を持たずに見て欲しい映画です。このほかラインハルト・ハイトリッヒ(ハイドリヒ)暗殺事件を扱ったものに「暁の7人」がある。興奮度★★★★沈痛度★★★爽快度★★★★★感涙度★死刑執行人もまた死す 【IVCF-2143】 =>20%OFF!ミリタリーファッション情報 ミリタリーパンツ編意外といいのがないのがパンツ類。今日は秋に向けていけそうなのを探してみました。OMNIGOD リメイクミリタリーパンツこだわりのオムニゴッドのパンツです。オールドな雰囲気がいいです。ミュウミュウメンズミリタリーパンツ[022]タイトな感じが強いパンツ。[ TRICKorTREAT ] ミリタリーパンツだぼっとした感じ。ジップタイプなので、いろいろな着方が可能。腰ばきするといいとコメントがあるが、個人的にはだらしないので嫌いです。D.M.G ドミンゴミリタリーパンツ(レディース)女性用です。カーゴポケットはないですが、本物テイスト十分。
2004年09月07日
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1955 西ドイツ 監督:アルフレッド・ワイデンマン出演:O・Eハッセほか 112分 モノクロ ドイツ国防軍情報部のカナリス提督といえば、敏腕の情報屋で知られていたが、1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂事件(ヴァルキューレ作戦)の罪で処刑された人物としても有名である。この映画はそのカナリスの半生をサスペンス調に描いたものである。 そもそも、ドイツの諜報機関としてはカナリスの属する国防軍情報部と、ナチSSに属する国家保安本部(RSHA)があり、カナリスの国防軍は主に諸外国の情報を扱っている。国家保安本部とは、「SS保安諜報部」「ゲシュタポ」「一般警察」を統括する機関で、ドイツ国民の指導と取り締まり、ユダヤ人対策、占領地住民や反ナチス抵抗運動などを受け持った。 カナリスは人情派であり、冷徹な国家保安本部の長官ハイトリッヒ(ハイドリヒ)とは仲が悪かった。カナリスがハイトリッヒの手が伸びた友人を国外に逃がしてやろうとしてたことがわかると、ハイトリッヒは逮捕した男の娘イレーネを使ってカナリスの失態を探ろうとする。カナリスはそれを知りながらイレーネを雇い保護するのだった。 1938年、参謀本部のベック将軍がヒトラーに解任されたのを機に、反ヒトラー派がクーデターを試みた。クーデターには積極的ではないカナリスも、戦争を回避する手段として参加するが、クーデター直前にヒトラーとイギリス首相チェンバレンとの会談によってミュンヘン条約が締結され、イギリス側の支援が得られなくなったクーデターは中止される。次第に、カナリスは戦争をなんとかして終結させなければならないという思いを強くする。 そんなある時、カナリスの副官ホル大佐の旧友が持ち込んだ最新起爆装置がハイトリッヒに知れ、カナリスらは逮捕されそうになるが、運良くハイトリッヒがチェコで暗殺されて難を逃れる。 そして、1944年7月20日、有名なヒトラー爆弾暗殺未遂事件、ヴァルキューレ作戦が行われ、ヒトラー暗殺は失敗に終わる。カナリスもその一翼に荷担した罪で逮捕状が出る。1945年4 月9日、連合軍が到着する直前にフロッセンビュルク強制収容所で処刑された。 ストーリーそのものはカナリスの半生記ということで、さほど盛り上がるものではないが、カナリス提督を扱った映画や書籍はそう多くないので、人物像を知る上では貴重な映画である。また、映像面で特筆すべきは、随所に織り込まれた記録映像が当時の実写フィルムであること。ヒトラー広場での群衆や、オーストリア併合のヒトラーの謁見シーン。はたまた爆撃機スツーカの飛行シーンもほんのちょっとではあるが見物である。個人的ではあるが、主役のカナリス役のハッセはちょっと個性が強すぎて、本当のカナリス人物像がわからないのが難点。ハッセが演ずると、みんなハッセになってしまうのだ。ちなみにヴァルキューレ作戦を扱った映画としては「ヒトラー暗殺」がある。チェコのラインハルト・ハイトリッヒ(ハイドリヒ)暗殺事件を扱ったものに「暁の7人」「死刑執行人もまた死 す」がある。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★感涙度★戦場ロマンシリーズ(4) 第三帝国~神々黄昏DVD-BOXミリタリーウエア 新作情報ARMY L/S TEA-T汚れ加工した空挺部隊のデザインが描かれたスエット。超かこいい。RECON CRUSADERS L/S-Tこっちは第82空挺師団オールアメリカンとavirexを組み合わせたマークが格好いい。でも、すごい売れ行きです。
2004年09月05日
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1975 アメリカ 監督:ルイス・ギルバート出演:ティモシー・ボトムスほか 106分 カラー ドイツナチ党のヒトラーについで悪名の高かったナンバー2、ラインハルト・ハイドリッヒ暗殺事件を題材にした小説の映画化。ハイドリッヒは国家保安本部(SS諜報部、ゲシュタポ、警察の統轄機関)長官を歴任した大物で、功績を称えられてモラビア・ボヘミアの保護領総督となっていた。 1942年、連合軍側は快進撃のドイツに手を焼いており、ドイツ要人の暗殺によって挽回の機をうかがっていた。ハイドリッヒがそのターゲットとされ、ハイドリッヒの滞在しているチェコのプラハが舞台とされた。そのため、暗殺作戦にはチェコ人が選ばれ、英国本土に亡命していた3人のチェコ解放軍が招集され「デイブレイク作戦」と名付けられた暗殺作戦が始まった。ヤン、ヨセフ、カレルの3人は空路でチェコに降り、現地の4人と合流し暗殺計画に着手した。カレルは一人はぐれてしまうが、恋人と再会し子供を作って生活を始めた。 ヤンとヨセフは現地の4人と合流し、列車で通過するハイドリッヒ狙撃を狙うが、目の前を別の列車が通過し失敗する。その後はなかなか暗殺の機会が訪れない。 しかし、いよいよハイドリッヒがプラハを離任する日が近づいてくる。ヤン、ヨセフらは決死の覚悟でハイドリッヒの車列に手榴弾を投げ込んだ。暗殺は成功し、ハイドリッヒは死んだ。しかし、後任のカール・フランクは冷徹に犯人捜しを始め、手当たり次第に容疑者を逮捕し、さらに報復と称して近隣のリディツェの村を全滅させた。男は全て銃殺、女子供は強制収容所送りだ。また、真犯人の情報提供者には懸賞金がかけられた。これを見ていたカレルは誘惑に負けて仲間の居場所を吐いてしまう。 ゲリラの隠れるセント・シリル教会にドイツ軍に包囲される。ゲリラの6人は地下室にこもって応戦するが、物量に勝るドイツ軍は機関銃、戦車、放水などあらゆる手段で攻撃する。一人二人と倒れ、弾もつきていくのであった。 前半部分は比較的サスペンス調に展開し、ゲリラの勇気と人情が心に響く。後半になると、裏切り者の登場で急展開する。絶望的な状況下での悲壮な戦い。まあ、大どんでん返しと言ってもいいくらいの後半の落差である。映画の内容としても十分面白いので、後半の重苦しさに耐えられる人は是非お勧めしたい。 なお、映像的には薄暗くいイメージが強い。こうした街の描き方や人物的な描き方はアメリカ映画というよりはイギリス映画っぽい。 映画のストーリーが史実とどれくらい合致しているかはわかりません。このほか、同題材を扱った映画に「死刑執行人もまた死す」があります。興奮度★★★沈痛度★★★★★爽快度★★感涙度★
2004年09月04日
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1955 西ドイツ 監督:ファルク・ハルナック出演:ウォルガング・プライスほか 73分 モノクロ ドイツの敗色が濃くなった1944年7月20日に起きたヒトラー暗殺未遂事件「ヴァルキューレ作戦」を描いた準ノンフィクション映画。本当に純粋に暗殺計画を描いたもので、ヒトラーの総統大本営(狼の巣)、ドイツ軍将校の服装などが実に忠実に再現されているらしい。それだけに、ストーリー性には若干の面白さが欠ける。 暗殺未遂事件の中心人物で実行犯の伯爵クラウス・フォン・シュタウッフェンベルク大佐(参謀長)が中心に描かれている。ヴァルキューレ作戦は2段階で行われた。まず、シュタウッフェンベルク大佐がプロイセンの総統大本営でのヒトラーとの作戦会議に出席した際に、アタッシュケースに入った爆弾を爆発させた。第2段階として、ベルリンで待機していた反ナチの一派(ベック大将、オルブリヒト将軍など)は大爆発でヒトラーが死亡したと判断し、国防省や警察、放送局の占拠を目論む。国防省でフロム国防省総司令官の軟禁に成功するが、ナチ宣伝相のゲッペルスはヒトラーが生きていることを知り、逆にゲッペルス逮捕に向かったレーマー少佐の寝返りに成功する。放送局の占拠にも失敗し、反ナチの一派は次第に形勢が不利になる。そして、ついに武装SSによって逮捕される。 情報伝達の不備と指令系統の不備が失敗を招いたのだが、このヴァルキューレ作戦の再検討をしてみるのも面白いだろう。どうすれば成功したのかなど。この映画では出てこないが、ロンメル将軍やクルーゲ将軍も暗殺が成功した暁には指導者の立場になる予定であり、結局この事件の余波を受け自殺を余儀なくされている。ドイツ軍史上最大の事件は奥が深いのである。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★感涙度★戦場ロマンシリーズ(4) 第三帝国~神々黄昏DVD-BOX本日予定していた「民族主義」についてですが、結構書くにも時間がかかるので、明日に延期です。なかなか、奥が深い問題ですね。タイムリーですが、昨日の読売夕刊もしくは今朝の朝刊で「中国ナショナリズムの構図」と題する論壇2004が掲載されていました。この辺も触れたいところですが、今日は時間がないのでまた明日。
2004年08月31日
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「マン・ハント」1941 アメリカ 監督:フリッツ・ラング出演:ウォルター・ピジョンほか 106分 モノクロ フリッツ・ラング監督はヒトラーの映画政策を嫌って1933年にベルリンを脱出し、1941 年にこのマン・ハントを製作した。すでにヒトラーはポーランド侵攻、フランス進撃を果たした後とはいえ、ドイツ勢力真っ盛りのこの時期にヒトラー暗殺を題材とした映画を製作しているとは驚きである。 イギリス人の大尉ゾーンダイクは、兄はドイツ大使も務める名家の出で、世界に名を馳せる名ハンターでもある。第二次大戦が始まる前、ゾーンダイクはドイツ国内のある場所でハンターを楽しんでいるうちに、思わずヒトラーに弾を込めて照準を当ててしまう。そこをドイツ軍警備兵に見つかり逮捕されてしまう。ドイツの秘密警察は、彼をイギリスが公式に送り込んだ暗殺者に仕立て上げるために、文書への署名を強要する。しかし、ゾーンダイクは拒否し、命からがらドイツからイギリスへ逃亡する。 しかし、ドイツの秘密警察は執拗に彼を追い回し、イギリス国内でも徐々に包囲を固める。ゾーンダイクは貧しい女性のもとにやっかいになり、アフリカへの高飛びを試みるが、秘密警察に阻まれる。次第にお互いに惹かれていくゾーンダイクと女性。そして、ついに秘密警察の手が女性に伸びる・・・・ 戦争映画というよりはサスペンスだが、やや間延びした展開は戦前の映画である点から致し方ないかも知れない。ただ、ラングのサスペンス手法を楽しむには基本形とも言えるものである。モノクロを巧みに利用した追跡シーンはなかなか見物。 主役のゾーンダイク役は名家のボンボンという役所だけあって、とても世間知らずな感じが出ている。一見嫌みで高慢な感じもするのだが、当時としてはこういう男が魅力的だったのだろうな。 映画の最後のシーンで、矢継ぎ早に、ドイツ空爆やUボートなどの実写が「開戦!」などの文字と共に出てくる。いよいよ対ドイツに対する決戦だというプロパガンダ的な要素が多分に見られます。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★★感涙度★この作品はDVD化されていないので、スカパーなどでやる機会を見逃さないようにしましょう。続いて同じく、フリッツ・ラング監督の作品で「死刑執行人もまた死す」1943 アメリカ 監督:フリッツ・ラング出演:ブライアン・ドンレヴィほか 135分 モノクロ 1942年にドイツの元国家保安本部長官ラインハルト・ハイドリッヒがチェコのプラハで暗殺された事件を題材にした映画。暗殺翌年にアメリカで製作と言うことで、多分にプロパンガンダ的要素もあるのだろうが、事件の重要性を看取した試みと勢いに驚かされる。プラハで起こっている実態がすぐに連合国側に伝わっていたということでありる(まあ、暗殺計画を裏で仕切ったのは連合軍側なので当たり前でしょうが)。ただ、この映画は史実を描いたものではなく、プラハ市民の勇気を推理小説風にアレンジしたものである。 悪名高いハイドリッヒはプラハの総督として赴任していたが、チェコ人活動家の医師スヴォボダにより暗殺された。プラハに住んでいるノヴォトニー教授の娘マーシャは、スヴォボダを追跡するゲシュタポに異なった方向を教えてスヴォボダを助けたことから騒ぎに巻き込まれる。偶然、スヴォボダはノヴォトニー教授宅に隠れることとなり、マーシャと再会する。 ゲシュタポは、執拗に犯人捜しを行うが犯人は見つからない。業を煮やしたゲシュタポは片っ端から市民を捕らえて処刑していく。ノヴォトニー教授も捕らえられてしまう。そんな中、ゲシュタポに取り入っているチャカの密告でチェコ人活動家達がゲシュタポに殺害される事件が起きる。一方、ノヴォトニー宅に匿われているスヴォボダのもとにもゲシュタポの手が伸びる。寸でのところでマーシャの機転で情事中を装って難を逃れるが、その場をマーシャの恋人に目撃されてしまう。本当のことを知らされていない恋人は絶望と怒りでやけになり、ゲシュタポの尋問にひっかかりそうになる。 いよいよ、ゲシュタポの魔の手がスヴォボダ、マーシャに忍び寄る。ノヴォトニー教授の処刑も迫っている。そこでマーシャらはゲシュタポに密告者チャカが暗殺の真犯人だと告発する行動に出る。チャカは事件当時レストランで食事をしていたと証言するが・・・・・ この後の話は伏せておきますが、びっくりするような、胸のすくような展開が起きます。1943年の戦時中とは思えないような洒落たストーリーは魅力十分。また、登場人物のそれぞれの個性や人間性もしっかりと描かれているうえ、名もないプラハ市民の恐怖、裏切り、団結などの意志や表情が実にうまく描かれている。プロパガンダ要素が強いとはいえ、それを感じさせない魅力たっぷりの映画なのである。あんまり先入観を持たずに見て欲しい映画です。このほかラインハルト・ハイトリッヒ(ハイドリヒ)暗殺事件を扱ったものに「暁の7人」がある。興奮度★★★★沈痛度★★★爽快度★★★★★感涙度★死刑執行人もまた死すこのほかフリッツ・ラング監督作品暗黒街の弾痕
2004年08月27日
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1957 アメリカ 監督:スタンリー・クレイマー出演:フランク・シナトラ、ソフィア・ローレンほか 132分 カラー19世紀のスペインにおけるナポレオン戦争を描いたもので、登場するエキストラの数、広大な撮影現場などスケールの大きい映画である。イタリア人女優ソフィア・ローレンのごく初期作でもある。まだ24歳ころでもあり、プロポーションの素晴らしさは目を引く。19世紀のスペインにナポレオン率いるフランス軍が侵入してくる。スペイン軍はなすすべもなく敗退し、スペインのシンボルとも言える巨砲をまで廃棄して逃亡する。一方、スペインの民衆のなかにゲリラとしてフランス軍に立ち向かおうとするミゲルの姿があった。ある日、ミゲルのもとにイギリス海軍大佐アンソニー(フランク)が訪ねてくる。スペイン軍の司令官と大砲の譲渡の約束をしていたのだった。しかし、大砲は谷底に破壊され放置されたままとなっていた。ミゲルはアンソニーの砲術技術の助けを借りて大砲を修理する。早速、イギリスに大砲を運びたいアンソニーだが、ミゲルは人足の貸し出しの条件として、フランス軍司令部が占領布陣するスペインのアヴィラの城塞攻撃を先にすると言い出した。アンソニーは不満を持つが、仕方なく従う。この裏にはミゲルの愛人ホワナ(ソフィア)の存在もあった。ホワナはミゲルに恩義を感じながらも次第にアンソニーに惹かれていく。度重なる巨砲運搬の困難、フランス軍との戦いを重ねながらようやくゲリラたちはアヴィラ城塞に着く。巨砲による城塞破壊を皮切りに、全滅を覚悟で城塞に突っ込むゲリラたち。そして、ミゲルとホワナもまた突撃するのだった。映像のスケールは大きい。山あり谷ありの壮大な地形をいかにも重たそうな巨砲を運ぶ。膨大な人数が登場する。川を流されていく巨砲、山の斜面を下り落ちる巨砲のシーンはなかなかの迫力だ。しかし、フランス軍との戦いなどのシーンはちょっとあり得ない展開もあっていささかリアリティに欠ける。そもそもスペインの地理的特徴がわからないのだが、極秘の運搬中にあれだけ大きなものを運びながらフランス軍にみつからなかったり、フランス軍が警備する街に簡単に侵入できてしまうあたりは、ちょっと理解しがたい。まあ、映画だからいいかって世界ですな。あと、映像的にすごいと思ったのは、手前で巨砲の発射をすると、遠方の城壁が土煙をあげて崩れるシーン。特撮なのか、実写なのか、どういう手法を使って撮影したのか気になるところ。音声は古いためかやや質が悪い。音楽的にはラテン系ですねやはり。最後になるが、ホワナとミゲルは残念な結果に終わるのですが、それでも最後はきちんとイギリスに巨砲を持ち帰ろうというアンソニー。とっても利己的な国イギリスを垣間見た気がしました。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★残念ながら現在DVDは発売されていないようです。スカパーで時々やるので要チェック。さて、戦場ロマンシリーズDVDですが、いよいよ第5弾です。やや発売が延期されて、9/24予定となっています。今回は「スターリングラード」「犯罪部隊999」「激戦モンテカシノ」の3部作。「スターリングラード」は詳しい情報はないのですが、少なくとも2001年作のスナイパーものの方ではなくて、1993年作のヨゼフ・フィルスマイヤー監督の方のようです。こちらは初DVDのレアものです。スターリングラードでの激戦と犯罪部隊が登場します。犯罪部隊つながりなのでしょうか、「犯罪部隊999」も初お目見えです。犯罪者部隊の独999歩兵大隊の末路です。「激戦モンテカシノ」はやや知られていますがイタリアでの激戦とその裏にある兵士と民間人の愛憎が描かれています。戦場ロマンシリーズ(独編)Vol.5 攻防!燃ゆる戦場に果つ(DVD-BOX)
2004年08月25日
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1962 大蔵 監督:小森白出演:南原宏治、嵐寛寿郎ほか 150分 カラー ご存じ、第二次世界大戦の沖縄戦における女子学生の姫ゆり部隊の話。ひめゆり部隊とは沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒で構成された、いわゆる看護部隊で主に戦傷者の外科病棟で働いていた女子らをさす。主に前線で働いていたため、敗戦が濃くなり部隊が解散させられたあとも、多くの女学生が米軍の毒ガスや火炎放射器等の犠牲となった悲劇である。 映画は、沖縄戦が始まる前の陸軍内部の話から始まる。牛島中将率いる沖縄守備軍と台湾守備軍の確執がある。日本大本営は米軍が台湾へ上陸するか、沖縄へ上陸するかを決めかねていたのだ。結局、沖縄在の第9師団を台湾へ送ることとなり、いわゆる沖縄が見捨てられたという構図をクローズアップしている。やがて、米軍は沖縄へ攻め寄せるが、映画中では牛島司令官らの参謀本部、民間人徴用の施設中隊、姫ゆり部隊の女子学生を中心に語られていく。次々に倒れていく兵士と、看護に走り回る姫ゆり部隊。ついに牛島中将は司令部を解散。自決する。姫ゆり部隊も崖に追いつめられ、服毒自殺で散っていくのであった。 はっきり言って、この映画はとても評価しにくい。良いような悪いような、あらゆる要素が盛り込まれた複雑な映画となっている。ストーリー的には沖縄戦前から終結までを描いてはいるが、戦史的にはあまり明瞭でなく、わかりにくく場面展開に無理がある。一応施設中隊隊長と姫ゆり部隊の先生役、その妹とその家族などヒューマン的つながりもあることはあるが、ぶつぎれの登場であまりヒューマンドラマとしては機能していない。どちらかというと、ドキュメンタリー調なのだが、先に述べたように戦史的にしっかり練られていないのでその評価も低くなってしまう。 映像的にはカラーで戦闘シーンに割く割合がかなり高い。途中には上陸した米軍戦車隊と日本軍の戦いが延々と続き、この映画はバリバリの戦争映画だったかと疑うほどの力の入れようである。しかも、撮影のスケールがかなり大きい。丘陵全体を利用した爆破シーンや戦車や兵士の展開シーンはなかなかのスケールを感じる。さらに、音響が良く、機関銃や小銃の乾いた音や着弾音がかなりリアルである。ただ、米軍の艦砲射撃シーンと航空機の襲撃シーンはおもちゃのようで頂けない。艦船からの艦砲射撃は花火を仕掛けたようで、あっちこっちに火花が飛び散っている。登場する兵器は、米軍戦車がシャーマンに似た感じの戦車。野砲や機関銃は変。日本軍のものではない。あと、日本兵や米兵の軍装がなんだかおかしい。特に、米兵がほとんど装備をつけてなく銃だけもった丸腰なのはなんだか変だぞ。ちなみに、米兵は外国人を多数使っております。 感動できるシーンはボチボチで、ストーリーがきちんと煮詰まっておらず、ぶつ切りなので感動もやや薄な感じ。それでも、民間人の列に機銃掃射する米軍機のシーンで、小さなぼーやが機銃に撃たれて死んだお母さんに取りすがる所は泣けました。 この映画で大きな疑問点が一つ。途中時折、米軍が出てきて英語で話すシーンがあるのですが、名前も登場するし、従軍記者が死んだり、司令官が死んだりと、きちんと字幕で描いている。戦っている敵の姿も映像化するというのは悪くないのだが、あんまり映画の出来に寄与するものではないような気がするのだが。だから何?って感じでやや興ざめ。アメリカでの上映でも考えたの?と思ってしまうほどのいい人アメリカ人を取り込む配慮の仕方は異常です。まあ、全体に長い!ちょっとダラダラしすぎた映画ですが、題材が題材なので見ておいても損はないでしょう。太平洋戦争と姫ゆり部隊突然ですが、現在スカパーのヒストリーチャンネルで「シューティング・ウォー トムハンクスが語る・・・・」という特番をやっています。戦場カメラマンが撮影した秘蔵フィルム満載でなかなか見せてくれます。別にトムハンクスが語らなくても良いけれど、必見です。もうひとつ、ミリタリーファッションのお勧め品を紹介。UKコンバットブーツ\12,000→3,900US.ODジャングルブーツ\9,800→3,450USオリジナルタイガーキャンティーンBAG\7,800→2,750USカモマリーンCAP\3,800→1,350の4品です。ブーツ類はサイズが合えばお買い得品です。カモマリーンのキャップは形状が独特なので、男性よりも女性がスポーティな服装でワイルドにかぶるとお洒落ではないでしょうか。服も迷彩だとちょっとやりすぎですね。
2004年08月24日
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1960 大映 監督:井上芳夫出演:本郷功次郎、三田村元、野口啓二、野添ひとみほか 95分 カラー いわゆる海軍の特別攻撃隊を描いた映画で、この時代においてカラーであるのが特筆すべき点。 主人公は海軍予備学生士官野沢少尉(本郷)。野沢少尉は休暇中に母校の浦和高等学校(井上監督の母校もここだそうです)の図書室で古本屋の娘令子と知り合う。二人は文通で親密になっていく。戦局が悪くなり、野沢少尉の乗り込むべき空母も撃沈され、野沢少尉は里浜の302航空隊に転勤する。そこには海軍兵学校での小笠原中尉(三田村)がいた。小笠原は娑婆っ気の抜けない野沢ら予備学生を事あることに罵倒する。 戦局はさらに悪化し、1944年10月から神風特別攻撃隊が出撃するようになった。野沢らの隊も特攻部隊に編成され、小笠原中尉、野沢少尉らもいよいよ出撃が決まった。野沢は会いに来た母親をいたたまれずに早々に追い返してしまう。そして、女房持ちの林少尉がいち早く出撃。野沢は最後の休暇で令子に会いに行くが、目の前の爆撃で令子は死んでしまう。基地に戻った野沢の目の前で米軍の爆撃が始まり、特攻機が次々に破壊され、小笠原中尉の怪我をする。残った3機で特攻を決意し、野沢は機に乗り込むのだった。 映画のストーリーはともかく、違和感を感じるのは主人公野沢少尉のしゃべり方と令子のケバさ。野沢少尉役の本郷が舌足らずなのか、台詞がとても舌足らずで坊ちゃんか甘えっ子ちゃんのような印象が強い。しかも、台詞がすべて「わたくし」調なので、とてもテンションが下がります。反対に、暴力的な小笠原中尉の方は、常に過激で「きっさまー」てな感じでやりすぎ。もうちょっと普通に演技(演出)できないのかな。ちょっと舞台風すぎるんじゃないかと思いました。さらに、令子役(野添)ですが、その化粧はないんじゃないですか。まるで化け物です。か、年齢を偽っているか。もっと純粋な娘役を演じて(メイク)して欲しかったです。さらに映画そのものにケチをつけると、展開が悪すぎて、はっきり言って盛り上がりに欠ける。特攻に対する悲壮感が今ひとつ。唯一、女房持ちの林少尉が特攻する前日の夫婦のシーンはややお涙ものでした。女房役の吉野妙子がこの作品で唯一当たり役といったところでしょうか。映画の撮影という面で言うと、戦闘機隊と言っていながら特攻機は複座式だし、しかも「テキサン」ではないですか。動く実機を探してきたらこれしかなかったというところでしょうが、それでもほとんどが地上滑空シーンばかりで、ラストにようやく3機が編隊で飛ぶ程度。ちょっとお粗末です。また、令子が空襲で死ぬシーンですが、外に飛び出した令子を直撃したのは手榴弾程度のものが数発。なんじゃそりゃ。いくらなんでもお粗末ですね。最後に。野沢の兵舎に令子が出没。野沢は幻かと思っていたが、会いに行った先で令子が「先ほどわたくし野沢さんのところへいきたいと、そればかり念じておりましたですの」。それって幽体離脱ではないですかぁ。これはオカルト映画ですかぁ。坊ちゃんしゃべりと怖いモノ見たさなら是非どうぞ。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★感涙度★★あゝ特別攻撃隊 DABY-11】 =>20%OFF!《発売日:01/05/25》DVD新発売速報!!<かぽんの超一押し作品>9000マイルの約束昨年夏頃に一部の特定館のみで上映したため、あまり知られていないが「戦場のピアニスト」に匹敵する感動の上出来作品。原作は全世界でベストセラーになった名作で、私もかなり昔ですが読んだ記憶があります。これは、是非お勧めの一品です。ネタバレありですが私のレビューも参考に。ついでなので、スカパー戦争物映画情報!チャンネルNECO(261)で戦争映画・感動名画特集中「太平洋戦争 謎の戦艦陸奥(1960新東宝)」戦艦陸奥の謎の砲塔爆発を題材「戦雲アジアの女王(1957)」清朝の王女と日本軍人の悲哀「重臣と青年将校 陸海軍流血史(1958)」 二・二六事件、五・一五事件などの流血史「巣鴨の母(1952大映)」 戦犯として巣鴨に収容された息子を思う母の苦難「長崎の歌は忘れじ(1952大映)」 捕虜収容所で死んだ日本兵の未完の楽譜を託された米人「姿なき一〇八部隊(1956大映)」 深夜の東京に帰郷したサイパン島で玉砕した将兵の霊たち「君死に給うことなかれ(1954)」 原爆を受け湖に身を投げる女いずれも、未DVD作品ばかりのレアものです。姿なき・・・は涙なくして見れません。ハンカチ用意!続いて日本映画専門チャンネル(707)でも戦争映画特集中「人間魚雷回天(1955)」 回天特別攻撃隊員の手記「激動の昭和史沖縄決戦(1971東宝)」 沖縄戦における軍人と民間人の姿「あゝ零戦(1965大映)」 ラエ、セブでの零戦乗りと特攻まで「潜水艦ろ号 未だ浮上せず(1954新東宝)」 貧弱な装備で奮戦し撃沈されたろ号潜水艦悲話「私は貝になりたい(1959)」 捕虜を殺害した兵卒の軍事裁判と処刑悲話「太平洋の翼(1963東宝)」 紫電改を駆使する343航空隊早くしないと終了してしまいます。お見逃しなく。洋画ではシネフィルイマジカ(260)でレア作品3本立て「ドイツ零年(1948独伊)」「無防備都市(1945伊)」「戦火のかなた(1946伊)」ロベルト・ロッセリーニ監督の3部作。いずれも戦争によって破壊された人間性を痛烈に描く、暗く重い映画。必見だ。スカパー持ってない?ならすぐに買うんだジョー!
2004年08月17日
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かの有名なアリューシャン列島に位置する、キスカ島撤退作戦の映画。真珠湾攻撃以外はあまり芳しくない海軍の戦果の中で、奇跡的な成功をおさめたこの作戦は胸がすっとする数少ない題材である。4つ星をあげます。 キスカ島の戦史について知るための参考図書も紹介しているので今日は戦争映画レビューページにてご覧下さい。なお、この映画は市販されていないようなので、スカパーなどで時たまやるのを見るしかありません。DVD化切望。 あんまり手抜きだと何なので、今日は最近買った戦争DVDを紹介します。イム・グォンテク監督 戦争映画 DVD-BOX朝鮮戦争を扱った韓国映画3本立て。個人的には朝鮮戦争映画なら「ホワイトバッジファイナル」が一番だと思いますが、「史上最大の戦場洛東江大決戦」、「ソウル奪還大作戦大反撃」、「アベンコ特殊空挺部隊奇襲大作戦」の3本も押さえておかなくてはならないでしょう。ってまだ見てません。近日中にレビューします。続いて、戦記映画 復刻版シリーズ7 富士に誓う ◆20%OFF!<DVD>主に日本の戦前の戦争映画の復刻版で、本屋でビデオ発売はされていましたが、初DVD化という垂涎もの。「秘録太平洋戦争全史 前編(1975)」「秘録太平洋戦争全史 後編(1975)」「上海 支那事変後方記録(1938)」「南京 戦線後方記録映画(1938)」「支那事変海軍作戦記録(1939)」「海軍病院船(1943)」「富士に誓ふ 少年戦車兵訓練の記録(1942)」「陸軍航空戦記 ビルマ篇(1943)」「轟沈 印度洋潜水艦作戦記録(1944)」「コレヒドール総攻撃(1942)」 の10本が用意されていますが、実にレアもの。詳しい内容はこちらでどうぞ。最後は戦場ロマンシリーズ(4) 第三帝国~神々黄昏 DVD-BOXいよいよこのシリーズも第4弾です。若干発売日が遅れて今月になって届きましたが、1/144スケールのティーガー戦車がついてくるのがいいですね。なお、このシリーズ全作品を購入すると漏れなく万年筆がもらえます。内容は「スターリングラードからの医者」「ヒトラー暗殺」「誰が祖国を売ったか?」の3本立て。ドイツが制作した戦時国内の内部問題を映画化したものであり、やや重ための内容ですがとても興味深い物です。現在、視聴中なので近日中にレビュー出来るでしょう。ってオリンピックサッカー見ているので遅れ気味。。。。日本負けちゃったね。こちらも参考にどうぞ
2004年08月13日
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海軍に設置されていた14,5歳が入団する横須賀の特別年少兵の話。彼らの多くは硫黄島に配属され、玉砕していったことは有名である。この映画では、入団した少年達が鍛えられ一人前になってくとともに、純真な少年の心を軍人の心に変えていくありさまを描いている。 昭和18年6月、横須賀武山海兵団に14歳の少年達が入団した。彼らは海軍特別年少兵と呼ばれ、海軍軍人の一員となったのである。年少兵のほとんどは貧しい家庭の出であり、親のため、兄弟のため、また家から逃れるためなど様々な理由で志願してきたものばかりである。学問の教官は東大出の吉永中尉ほか優秀な士官だが、精神、肉体の訓練は教班長である工藤上曹が担当する。工藤上曹は精神と肉体の鍛錬のため厳しい課題を与え続ける。しかし、年少兵の貧しい家庭環境にも理解を示す愛情の裏返しでもあった。特に、出来の悪い林には暖かい目で見守っていた。 ある演習の時、林が剣を紛失してしまう。班員、工藤上曹ともに探すが、なかなか見つからない。結局工藤上曹が見つけるのだが、林は首をくくってしまう。 そして、彼らは硫黄島守備隊に配属され、米軍の激しい上陸作戦のもと壊滅状態となる。元教官であった吉永大尉(中隊長)の温情で、最後の突撃から4人の年少兵がはずされるが、彼らの心は少年ではなく軍人そのものだった。彼らもまた玉砕突撃の道を選んだ。 とても重い題材を扱っており、重苦しい結末を途中の訓練シーンなどで明るく仕立て上げようとする努力が見られる。しかし、全体に脚色のバランスが悪く、シーンの配分が良くないため、与える感動がすかしをくらったような感じ。 そんな中で、少年兵林の与える柔らかい印象がいい。木訥とした東北の少年がいい味を出している。また、鬼軍曹役の地井もそこそこの味を出しているが、ちょっと年少兵の演技とのバランスが悪いかな。複数の年少兵の家庭も織り交ぜてはいるが、背景がややわかりづらく、もったいない。脚色をしっかり練ればもっといい作品になっただろう。映像は1970年代の割に暗く劣悪。 ちなみに、海軍特別年少兵の戦死者は5,020名に及んだ。うち硫黄島で3,000名あまりが戦死している。1972 東宝 監督:今井正出演:地井武男、佐々木勝彦ほか 127分 カラー興奮度★★沈痛度★★★★爽快度★感涙度★★★この海軍特別少年兵に関する書籍も出ているので参考に
2004年08月11日
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突然ですが、「エンド・オブ・オール・ウォーズ」(2001英米タイ)を見ました。小説「クワイ河収容所」を映画化したもので、日本軍がどうせ変に描かれているのだろうといういやな予感があったのでありますが、以外にもさほどでもなかったですね。まあ、ありがちな、英米の自己正当化とかやけに自信過剰で英雄的なスコットランド兵がちょっと癪にさわりますが。日本軍の将校と下士官、通訳の兵卒などそれぞれ日本軍の内情もしっかりと描かれていて面白いのですが、兵器類もあまり出てこないので面白みにやや欠けます。以下 2005/02/24 レビュー追加修正2001 イギリス・アメリカ・タイ 監督:デヴィット・L・カニンガム出演:ロバート・カーライム、木村栄ほか 117分 カラー この映画は、日本未公開で、小説「クワイ河収容所」を映画化したものです。 第二次世界大戦での日本軍捕虜となったスコットランド軍兵士の話で、日本軍収容所での虐待とそれに耐えるスコットランド軍兵士、そして日本の敗戦とともに立場が逆転するありさまを心情豊かに描いたもの。 大体、イギリスが絡んでいれば日本軍が変に描かれているのだろうといういやな予感があったのでありますが、以外にもさほどでもなかったですね。まあ、ありがちな、英米の自己正当化とかやけに自信過剰で英雄的なスコットランド兵がちょっと癪にさわりますが。どこの軍隊もそうですが、日本軍の無能な将校と命令にばか忠実な下士官、一般的心を持った通訳の兵卒などそれぞれ日本軍の内情もしっかりと描かれていて面白いのですが、戦闘シーンや兵器類はあまり出てこないので面白みにやや欠けます。それでも、冒頭のシーンにここぞとばかりに零戦が飛び回っているのは爽快です。 決して面白くないわけではないけど、日本人としてはあまり面白くないかな。日本未公開は当然といえば当然か。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★感涙度★★
2003年12月17日
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