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韓国映画「高地戦」が10月27日より公開だそうです。http://www.kouchisen.com/朝鮮戦争の末期を描いた作品で、この時期を題材にしたものは結構レアです。韓国映画だけあって、戦闘シーンは激しく残酷で見ごたえあり。ただし、やっぱり韓国映画なので、異常なほどの情念描写がいささか、ウザそう(笑)。ストーリーも南北朝鮮公平に描くなど、ちょっと時代錯誤だったり、史実を無視して、かなり盛っているのも韓国映画ならでは。とはいえ、一度は見ておきたいものです。てか、北陸でやんねーじゃん・・・・。
2012年10月25日
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6月22日に映画「ネイビーシールズ」公開だそうです。なんといっても、現役隊員が登場するんだそうで、そこが見ものですね。最近戦争映画系はちょっと寂しかったんで、こういうのは楽しみです。AVIREXと映画のコラボTシャツもあります。ミリタリー・フライトジャケットブランドのAVIREX(アヴィレックス・アビレックス)【AVIREX(映画NAVY SEALS|ネイビーシールズ)】半袖Tシャツ"THE STARS AND STRIPES"T-SHIRTミリタリー・フライトジャケットブランドのAVIREX(アヴィレックス・アビレックス)【AVIREX(映画NAVY SEALS|ネイビーシールズ)】半袖Tシャツ"SEAL"T-SHIRT
2012年06月16日
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2011 フジテレビ プロデューサー:森 憲一出演者:佐藤健、要潤、手塚里美、 大杉 漣ほか130分 カラー DVD検索「最後の絆」を探す(楽天) 沖縄に住んでいた兄弟が第二次世界大戦勃発によって、日米両軍兵に別れて戦うことになった悲劇を描いたドキュメンタリードラマ。2011年の終戦記念ドラマとしてフジテレビが製作したものだが、もとは2010年に関東ローカルで放映されたドキュメンタリー番組だったようだ。史実に基づいたドラマで、ドラマも実名で登場し、合間にご本人がインタビューという形で登場する。 兄の東江盛勇は開戦前に出稼ぎでアメリカに移住し、徴兵を受けて米兵に。1941年12月の開戦後もやむなく米兵として従軍する羽目に。弟康治は鉄血勤皇隊として沖縄戦に駆り出されるのだ。そして奇しくも二人は沖縄で再会する。なんともドラマのような出来事だが、実際にあった話ともなると、衝撃的だ。 鉄血勤皇隊は沖縄の中学生(現在の高校)や師範学校生で構成された少年部隊で、当初は予備兵的に労働従事などだったが、戦局の悪化とともに実質一般兵として前線に駆り出され、切り込み隊などとして多くが戦死した。一方兄はMIS(米陸軍情報部)として沖縄入りする。沖縄戦でのMISは日系兵が通訳などとして多く参加しており、その立場を利用して家族との再会を果たしたようだ。 テレビドラマのため、映像的には臨場感に欠け、戦争ものとしてのリアル感は乏しいが、佐藤健や要潤のイケメン熱演で緊張感のある作品となった。これまでの終戦記念ドラマにありがちな、余計な蛇足部分や恣意的な反戦メッセージがあまり入っていないのも好感。内容が濃いだけに、ドキュメンタリードラマとして必要なエピソードを描くだけで精いっぱいだったのかもしれないが。 ただ、実在の人物のエピソードを忠実に描こうとしたためか、全体の戦争の流れや地理的状況はかなり省かれている。そのため、登場人物のおかれた状況や、推移はちょっとわかりづらいかも。 興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★★★感涙度★★★★
2012年03月27日
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2012 アメリカ 監督:スティーブン・スピルバーグ出演者:ジェレミー・アーヴァイン、エミリー・ワトソン、ニエル・アレストリュプ、トム・ヒドルストンほか146分 カラー WAR HORSE DVD検索「戦火の馬」を探す(楽天) 第一次大戦時のヨーロッパを舞台に、一頭のサラブレッドが戦火に巻き込まれ、転々とするという、ヒューマンドラマ。原作はマイケル・モーパーゴの同名児童小説で、設定的には映画では若干の変更がなされているようだ。もとが児童小説というだけあって、いわゆるヒューマンタッチでかつ感動的な物語なわけだが、そこはスピルバーグ的な映像感と人物設定によって大人向けの映画に仕上がっている。 第一次大戦時のヨーロッパはフランスを中心に泥沼の戦いが繰り広げられ、人も馬も生き延びることが困難だった時代である。特に軍馬は農村地帯からも多く徴用され、消耗品のように酷使されていった。本作は軍馬の視点で第一次大戦を見るという点で、戦争映画にとって非常に斬新であり、忘れられていた戦争の側面を教えてくれる佳作だといえる。 主人公の少年と主役の軍馬「ジョーイ」はイギリスの農村出身で、1914年の第一次大戦勃発から1918年の終結までが描かれる。戦場は主にフランスで、大戦初期からソンムの戦いまでだが、地理的感覚や戦史的な描写は著しく少なく、戦史を知らなくても見ることができる内容とはいえ、いささか軽んじられている感はある。もう少し戦史的な解説があった方が誤解なく見ることができたのではないか。 例えば、第一次大戦では多くの兵器が試行錯誤で開発され、使用されている。最初に軍馬としてジョーイに乗った英軍将校らは騎兵隊でサーベル一本で突撃していく。これを迎え撃つのはドイツ軍の機関銃隊で、サーベルと機関銃が対決するのはいささか違和感を感じるはずだ。しかし、第一次大戦初期にはこうした時代錯誤的な戦闘が実際に存在し、その後に登場する塹壕戦における中間地帯での肉弾突撃もしかりだ。逆に近代兵器としてはイギリス軍のMk戦車や毒ガス弾が登場する。とはいえ、これらは試行段階として大きな功績を残せておらず、情報伝達は伝書鳩に頼っていたというのが実態なのだ。 また、見た人の感想で誤解されているのは、はじめは主人公が年齢制限で志願できなかったはずなのに、いつの間にか塹壕にいたのは年齢を嘘ついたのか、という点で、これは本作の年月経過がわかりづらいために既に4年の歳月がたっていることを感じさせなかったことによる。また、ドイツ少年兵の兄弟が逃げて銃殺されるシーンで、その程度で余りにかわいそうという声もあったが、軍における逃亡罪、戦場離脱罪は兵士の士気を下げる意味で、非常に重罪だということも描いて欲しかった。対するイギリス軍でも主人公の友人が逃げ戻ってきた兵を撃てと言われるシーンもしかりで、日本軍、ソヴィエト赤軍ばかりが強調される非道な行いは、どこの軍でもあったことなのだ。さらに、中間地帯での白旗休戦シーンで、戦闘中にありえないといった声もあった。第二次大戦やベトナム戦争などでは余りなくなったことだが、第一次大戦時にはこうした騎士道精神に乗っ取った休戦はしばしば見られたことで、日露戦争時の203高地でも日露軍が負傷者救助のため一時休戦をしていたことが知られている。 これらのように、第一次大戦はすでに100年近い年月がたち、現代の感覚や知識では理解できにくいことも多い。そういう面では、多少の解説があった方が良かったのではないかと感じた。 また、トリビア的なシーンもあった。最初の対戦で敵陣を偵察していたのはターバンを頭に巻いていた義勇インド兵。多くのイギリス属国から義勇兵が集められていたのも第一次大戦の特徴だ。 映像的にはあまりSFXやCGを多用しない、実写重視の映像が良かった。セット的にも経費がかけられていて、チープ感はない。ただ、残念なのは塹壕や中間地帯のスケール感は感じられなかったこと。このあたりが実写のつらいところか。 また、本作の売りはなんといいっても馬の演技だろう。なんでも14頭のサラブレッドがジョーイを演じたのだそうで、途中で馬視点の感情移入までしそうになるくらい、馬の眼、動きの表現が素晴らしい。馬の力強さばかりでなく、知性をもうまく引き出している。さらに、馬のアクションシーンも凄い。ただ走るだけでなく、塹壕を飛び越え、鉄条網を引き抜き、最後は一回転というシーンは、まさに馬のスタント賞だろう。撮影では安全のため鉄条網はゴム製だったそうだ。一部はアニマトロニクスが利用されているそうだが、それにしても凄い。 役者陣は特に目立った人はおらず、特に感情移入するということもなかった。馬が主役ということもあって、ちょうど良かったかもしれない。その中で、フランス人の祖父は、何度見ても西田敏行を思い出した(笑)。雰囲気も似てるのだが、声がよく似てる。 全般に良く出来た見やすい映画だったが、中身の濃度はやや薄い印象。4年の歳月を一気に流したため、エピソードが多すぎて、中抜きした感じだ。随所に感動シーンも含んではいたのだが、それぞれがちょっと短めのエピソードになっていたので、感涙度も少なめだ。また、原作が児童小説だったためか、内容的にはちょっと出来すぎのストーリーというのも、やや冷めてしまった要因かもしれない。興奮度★★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★★★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 第一次世界大戦の前(1914年)、イギリスのデヴォン州にある農村。脚が悪く貧しい農夫テッド・ナラカットは競売にかけられた、額に菱形の白い毛のある一頭のサラブレッドに惹かれ、嫌味な地主のライオンズに対抗して30ギルをはたいて買ってしまう。本来は農耕馬を買うはずだったのだが、農耕に使えないサラブレッドを買ったことを妻のローズは激怒する。しかし、このサラブレッドに興味を持っていた息子のアルバートは非常に喜び、自分が調教すると約束する。 アルバートは気性の荒いサラブレッドを「ジョーイ」と名づけ、次第に手なづけていく。しかし、父はライオンズの小作料を払えず、荒れた下の畑を耕し、植えカブの秋の収穫で払うことに。そのため、ジョーイは馴れない馬鍬を引かされることに。母ローズは、アルバートに父の秘密を打ち明ける。テッドは南アフリカでのボーア戦争で義勇騎兵連隊に従軍し、戦友を助け勲章を得ているが、人を殺した罪悪感で頑固になっているのだと。母は父が捨てた連隊旗をアルバートに授ける。 ライオンズをはじめ村中の人が興味本位で見に来る中、アルバートとジョーイは見事畑を開墾する。しかし、暴風によってカブは全滅。ほどなく。第一次大戦が勃発し、テッドはやむなくジョーイを軍馬としてニコルス大尉に売ってしまう。アルバートは取り乱すが、どうしようもなく、ジョーイに連隊旗をくくりつけて見送る。 ニコルス大尉は英国陸軍騎兵隊の副隊長格で、ジョーイとともに訓練を重ねる。隊長のジェイミー・スチュワート少佐の黒馬トップソーンとの競争にも勝ち、ジョーイ自身がトップソーンとの友情を得ていく。ニコルス大尉はスチュワート少佐、シャルリエ・ウェイヴァリー中尉とともに、フランス戦線に出動する。 義勇インド兵の偵察により敵ドイツ軍の大隊規模(600人)を発見し、少佐は約半数だが騎兵による奇襲攻撃をかけることに。奇襲は成功したかに見えたが、実は森の中に機関銃を配置し待ち構えていたドイツ軍の策略にはまり、少佐は捕虜に、ニコルス大尉は戦死する。生き残ったトップソーンとジョーイはドイツ軍の負傷者運搬馬車として使役されることに。 ドイツ軍の馬を管理するのは、若いドイツ兵ギュンターと弟ミヒャエル。しかし弟ミヒャエルが前線に送られることとなり、兄ギュンターは母に弟のそばで見守るという約束ができなくなることに悩む。いったんは弟に軍馬ジョーイについていた幸運の印である連隊旗を渡すが、ついにトップソーンとジョーイを盗み、行進中のミヒャエルを連れ去る。二人はフランスの水車小屋に隠れるが、ほどなくドイツ軍の追っ手に見つかり、二人は戦場離脱の脱走罪で銃殺される。 水車小屋に残されたトップソーンとジョーイは、水車小屋の持ち主であるジャム農家の孫娘エミリーによって発見される。エミリーは祖父と暮らしており、体が弱いが、すぐに2頭の馬と仲良くなる。だが、近隣で戦闘するドイツ軍の徴用にあい、農作物を根こそぎ持っていかれる。抵抗しない祖父にエミリーは怒るが、実はエミリーの両親は抵抗したことによってドイツ軍に殺されたらしい。さらに月日がたち、ついにドイツ軍は2頭の馬も連れて行ってしまう。 1918年、第二次ソンムの戦いでドイツ軍とフランス軍が塹壕戦で対峙している。フランス側には、その後徴兵されたアルバート、友人のアンドリューが地主の息子デヴィッド・ライオンズの指揮下で塹壕の中にいた。アルバートはここでもジョーイを探すが、デヴィッドはこれを馬鹿にする。いよいよ突撃が開始されようとし、アンドリューは怖気て戻ってくる兵を射殺するよう命じられ、アルバートらは突撃を開始する。ドイツ軍の機銃掃射で次々に倒れ、デヴィッドも足を撃たれてしまう。アルバートはデヴィッドを助け、さらに突撃して敵機銃座を破壊し、敵塹壕に入る。アンドリューは逃げてきた味方兵を撃つことができず、自ら突撃に参加し、敵塹壕でアルバートと再会する。しかし、そこにドイツ軍の毒ガスが投げ込まれ、アンドリューは戦死、アルバートも目を負傷する。 一方ドイツ軍で、ジョーイとトップソーンは砲兵隊の大砲牽引馬として酷使されていた。ジョーイは脚を汚しているトップソーンの代わりになって砲を引く。ドイツ軍砲兵下士官は2頭に眼をかけるが、酷使の余りトップソーンは死んでしまう。そこにイギリス軍戦車が突入してドイツ軍は後退。ジョーイは自由の身となり、戦場を駆け巡る。ドイツ軍の塹壕を飛び越え、中間地帯の鉄条網や杭をぶち抜きながら突進するが、鉄条網にからまって動けなくなる。これを見ていたイギリス軍のコリン伍長は白旗をあげてジョーイの救出に向う。ドイツ兵ペーターもそれに呼応して、協力してカッターでジョーイを助ける。つかの間の友情だったが、ジョーイはコリンに連れられていき、「奇跡の馬」として注目を浴びる。 コリン伍長は軍医にジョーイの治療を頼むが、破傷風がひどく助からないとされ、フライ軍曹によって射殺されそうになる。そこに目の治療で後送されていたアルバートが奇跡の馬の噂を聞き、慣れ親しんだフクロウの声真似でジョーイを呼ぶ。ジョーイはこれに反応し、軍医等はジョーイの毛の特徴などからアルバートの飼い馬と確信し、治療することに。 ほどなくして、戦争は終結するが、軍の規則で将校以外の馬は競売にかけられることに。しかし、トムキンス少佐、フライ軍曹、デヴィッドらの協力で募金がなされ、競売で買い戻すことに。しかし、落札したのは法外の100ポンドで落とした老人だった。彼はエミリーの祖父で、奇跡の馬の噂を聞いて取り戻しにきたのだ。当初はアルバートに耳をかさなかった老人だが、持っていた連隊旗がアルバートの父のものと知り、ジョーイをアルバートに譲渡するのだった。 アルバートはジョーイとともに故郷へ帰る。アルバートは父に連隊旗を返すのだった。
2012年03月08日
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【送料無料】戦火の馬戦火の馬見てきたので、感想書こうと思いましたが、テレビで女子サッカー・・・すげえ。2点取られて2点追いつき、後半42分にPKとられ、すぐに同点・・・ああ、でもまた取られた。しかし、凄いねこの粘り。立派なものです。話は元に戻って、戦火の馬はスピルバーグだけあって、無難にまとめてきましたね。それにしても、サラブレッドの映像はきれいでした。戦争映画としてもそれなりに評価できそうです。感動シーンもそこそこあるので、見て損はないでしょう。詳しい感想は明日にでもレビューします。
2012年03月07日
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4月に公開予定の「バトルシップ」・・・。なんでも世界各国の海軍演習やってる設定で、エイリアンと戦うんだそうで、自衛隊も出てきます。映像ではアメリカ軍の空母や戦艦写ってますね。戦闘機も一瞬出てきてバリア?かなんかに粉砕されてる(笑)。映像ではDDG-177ミサイル護衛艦あたごやDD-108護衛艦あけぼのが出てきます。でも、米軍の旧式戦艦以外の空母や駆逐艦類はどうもCGぽく見えますね。戦闘機は一瞬でよくわかりませんけど、ラプター?。まあ、敵がエイリアンなので(笑)、どうでもいいんですが、ユニバーサル映画100周年というわりに、さほどお金はかけてなさそう(笑)。うーん、兵器類がたくさん出てくるなら見に行ってもいいけど、どうなんでしょう?
2012年02月12日
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2012 韓国(東映配給) 監督:カン・ジェギュ出演者:オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、キム・イングォン、山本太郎ほか140分 カラー DVD検索「マイウェイ」を探す(楽天) 日中戦争から第二次世界大戦まで、朝鮮、ソ連、ドイツを舞台に、マラソンを共通に出会い、時代に翻弄され、憎しみあい、友情を芽生えさせた日韓の青年を描いたヒューマンドラマ。日本、韓国、中国の俳優を共演させ、「実話から生まれた衝撃と感動の物語」というキャッチフレーズで上映された。激しい戦闘シーンを背景に、過酷な収容所生活、脱走などを経て、憎しみが融和され友情を芽生えさせる、激動のストーリーが描かれる。 監督のカン・ジェギュは戦争映画「ブラザーフッド」を手がけ、戦争映画や感動的なストーリーを描くのには定評がある。 さて、事前予告での期待は高まる一方だったが、視聴したところ正直がっかりの作品であった。本作品の良い点一つと悪い点三つをあげてみる。 まず、良い点だが、さすが韓国映画だけあって、戦闘シーンの激しさはさすが。火薬使用量はもとより、銃火器類、戦車にいたるまできちんと形作って撮影しているのが良い。多くの箇所でCGも使用されているが、上出来の部類。また、なかなか日本では作れないようなエグイシーンも多く、このあたりは韓国映画の真骨頂か。ただ、惜しむらくはノモンハン戦、ノルマンディー上陸戦での距離感で、敵戦車、敵艦船が異様に近く描かれてしまっている点。せっかくのレプリカやCGを大きく見せたいのだろうが、戦場の空間を認識するには狭すぎた。 悪い点の一つ目。日本人の描き方がひどすぎること。確かに日韓併合時には厳しくあたる日本人もいたことは事実だろうが、あまりに強調しすぎて、全ての日本人が悪人であったかのような錯覚を抱く。レビューなどでは日韓公正に描かれたという記述も見られるが、全くそんなことはない。事実、映画館で見終わった若い女性が「日本人が心底嫌いになった」と言っていたが、歴史を知らない人にとっては、最良の悪玉チョッパリの刷り込み映画となったであろう。まあ、この点は日本人ならではの減点部分ではあるが、不快感を覚えたことは確かだ。 二つ目は、戦史の検証が著しくいい加減なこと。近年の戦争映画は史実に忠実に作り、慎重に歴史検証を行うのが主流だが、本作は実話をベースにと言いながら、実にいい加減で、加えて、戦闘シーンでの不可思議さも多い。 ノモンハン戦でのソ連軍戦車への肉弾突撃強制は何に基づいたものなのか。また、主人公長谷川辰雄(オダギリ)は若干20歳そこそこなのに、いきなり連隊長級大佐で登場。入隊数年で大佐になるとは唖然とした。 ソ連ベルミの収容所シーンも、軍の階級剥奪で韓国人がリーダー就任しているが、抑留収容所の史実と比較して違和感があるが、こうした史実はあったのかどうか。 ジュコーフスキーでの独ソ戦は、「スターリングラード(2000 米・独・英・愛)」「捕虜大隊 シュトラフバット(2004 露)」でもお馴染みの退却兵皆殺しシーンだが、それはいいとして、生き残った主人公二人がドイツ軍軍服に着替えるシーンで、あの激戦後戦場に誰もいなくなっているのは不自然。あまりにご都合主義の映像はリアリティを著しく阻害した。 ノルマンディー上陸戦では空爆のあと艦砲射撃までは良いとして、戦場離脱した主人公らが落下傘降下してきた空挺部隊に囲まれるシーンは、時系列や部隊配置から見てありえない。いくらヒューマンドラマ主体でフィクション映画だとはいえ、苦難や奇跡を乗り越えてきた感動を描く以上、多少はリアリティを持たせて欲しかったところだ。このあたりで、この監督は史実などまるで眼中にないのだということに気付いた。言い換えれば捏造したって関係ないということだ。 最後に、感動映画なのにまるで感動できなかったこと。オダギリジョーもチャン・ドンゴンも、悪役曹長役の山本太郎も(笑)、役者としては良い演技をしていたと思う。演技力だけから言えば、十分に感動できたかもしれないが、いかんせん、心情変化が手抜きだった。オダギリが鬼指揮官に変貌する理由、捕虜の辱めから生への執着に変わる時、チャン・ドンゴンに友情を感じる瞬間など、映画のターニングポイントがいともさらっと流されてしまっており、溜めがないので感動に結びつかないのだ。感情の変化にはそれなりの理由やきっかけがあるのであって、その葛藤や感情を描いてこそ視聴者は理解できるのに。とにかく浅い。浅いのだ。 狂気で腰抜けの日本人指揮官と、男気あふれた人情派の韓国人という対極ばかりが強調され、ラストシーンに融合昇華がみられるものの、既に時遅し。すっかり冷め切った心には何も響いてこなかった。 ロケ地はノモンハンなどが韓国、ノルマンディーはラトビア。兵器類ではソ連軍のBT戦車風、I-16戦闘機、ドイツ軍ではIII号戦車風のものが登場する。戦車は実寸大模型、戦闘機はCGであろうが、まあまあ良くできている。 全体から見て、映像やスケール感はそれなりの評価が出来るが、ストーリーや設定はかなり駄作。しかも感動できないとなると、やはり高い評価はできない作品であった。興奮度★★★沈痛度★★★爽快度★感涙度★
2012年01月23日
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韓国映画の戦争映画「マイウェイ 12,000キロの真実」みてきました。結構評判よさげだったので、期待して行きましたが、結論から言うとかなりの期待裏切りでした・・・・。レビューはまた書きますが、ダメな点が3つ。いい点が一つ。いい点から言うと、さすが韓国映画だけあって戦闘シーンは金かけて迫力あり。しかもエグイ。戦争映画はこうでなきゃという点で評価できます。駄目な点。まず一つ目に、カン・ジェギュ監督・・・日韓公正に描かれている・・・なんて評判もありましたが、いやいや明らかに嫌日的でしたね。日本人ほぼ全員性悪すぎでしょう。監督は意図しなかったにせよ、余りに悪い日本人というか戦時の狂気に狂った日本人を通常の日本人として描いてます。まあ、韓国映画ですからその点をさしひいたとしても、日本人から見ると不快そのもの。実際に、映画を見終わった見知らぬ若い女性が「日本人嫌いになった」と申しておりました(笑)。確かにこういう日本人がいたことも事実でしょうが、全てがそうではなかったとう点をきちんと描かないと、史実を知らない人には、こうした誤った歴史観を植え付けてしまうでしょう。次に戦史的な史実がかなりいい加減な点。もう至る所でおかしなシーン、展開だらけで、しらけました。ノモンハンの日ソ戦シーンもしかり、ソ連の強制収容所シーンもしかり、独ソ戦、ノルマンディーいずれも全く戦史を検証してないですね。ラストのノルマンディーなんて、時系列や軍の動きが滅茶苦茶。まあ、フィクションだからいいじゃないかと言われればそうなんですが、やっぱり友情とか奇跡のようなものを描く以上、ありえない設定や展開は駄目です。なんだか事実の考古学ものと称して、インディージョーンズを見ているような感覚でした。このあたり、適当な韓国映画らしいといえばそうなんですが。余談ですが、主人公のオダギリ君、1939年のノモンハン段階で、多分20歳ちょっとだと思うのですが、いきなり大佐で赴任してくるんですよね。軍に入って数年で連隊長ですか・・なんじゃそりゃって感じです。最後に、心情表現がまるでできていなかったこと。日本軍将校オダギリ君、とにかく軍国主義なんですが、そこに至る心情とか、次第に生きる欲望を見出したり、韓国人のチャンドンゴンと友情を結んでいくあたり、すごく重要なのに、ほんとさらっとしか描かれていないんですね。ほかの軍人や韓国人もそうですが、伏線とか葛藤とかもっと描くべきでしたね。ほんと心に響いてこない。お涙ちょうだいシーンもすっかり心が乾いてました。同じ監督の「ブラザーフッド」は朝鮮人だけなのでもっと激情を描いてましたけど、日本人やソ連人、ドイツ人まで描こうとしたあまり、その辺がないがしろになってしまったのでしょうか。いずれにせよ、かなり大きく期待をはずした作品だったという印象。戦闘シーンだけはそれなりに良かったですけど、史実に反しているのはいただけない。ちなみに、史実はドイツで捕虜になった日本兵がいたということのみで、ストーリーも登場人物もみなフィクションのようです。星2つか2.5といったところです。
2012年01月22日
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スピルバーグ監督の新作「戦火の馬」というのが3月2日公開だそうです。第一次大戦のヨーロッパを舞台に、ジョーイと呼ばれる馬が主人公のようで。馬が主人公というのもレアですが、結構な感動作品となっているようです。戦火の馬(公式)前売り券特典はないみたい・・・さて、出来具合はいかがなものでしょうか。昨日はやっぱり一人飲みしてました(汗)。でも誕生日覚えててくれるひともいるもんですね。電話とかメールきました。ほんと有難いものです。まあ、メールは娘だったですけど(笑)。現実には一人ぼっちだったけど、一人じゃないんだなって。さらに、飲み屋さんで、誕生日プレゼントでボトル1本もらったし、2軒目では飲み代タダの上、お酒まで貰ってきました。ほんとありがとう。
2012年01月07日
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2011 東映 監督:成島 出出演者:役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部博、吉田栄作、椎名桔平ほか140分 カラー DVD検索「聯合艦隊司令長官 山本五十六」を探す(楽天) 第二次世界大戦(太平洋戦争)開戦のキーマンだった海軍大将山本五十六の半生を描いたヒューマンドラマ。戦後70年を契機に、半藤一利の同名著作を映画化したもの。日本が対米開戦に至る経緯と、開始された対米戦を山本五十六の立ち位置を中心に描く。ヒューマンドラマ中心だが、山本五十六自身の視点というよりは、第三者の視点で淡々と戦史を紡いでいく作りとなっている。 役所広司演じる山本五十六は貫録十分で、これまで製作された山本五十六作品である「軍神山本元帥と連合艦隊(1956新東宝)」での佐分利信、「連合艦隊司令長官山本五十六(1968東宝)」での三船敏郎、「連合艦隊(1981東宝)」での小林桂樹に劣らない人物像を描き出している。ただ、山本五十六は確かに人格、能力ともに傑出した人物だったようだが、半藤原作ではやや美化しすぎている、というか現代価値観とのズレがうまく表現しきれていない感はぬぐい切れず、本作上ではただ単にいい人的に捉えられてしまう危険性がある。当時の軍人は厳格に軍務に忠誠を尽くしており、多分それを忠実に描くと、今で言うパワハラ、モラハラ的になるだろう。しかし、軍とはそういうものであり、戦時とはそういうものだという点も忘れてはいけないだろう。 登場人物の大半は実在の人物となっている。米内海軍大臣、井上成美軍務局長、永野修身軍令部総長、南雲忠一中将、山口多聞少将、宇垣纏少将、黒島亀人大佐、堀元中将など。何ゆえか唯一、三和義勇中佐(連合艦隊作戦参謀)のみ三宅義勇という仮名になっている。新聞社(東京日報)、パイロット等は架空の設定のようだ。概ね史実に沿った作りとなってはいるが、後述の民衆の姿などを盛り込むために、そのあたりはフィクションとして織り込んだようだ。 ストーリー的には、従前の連合艦隊もの映画と大差ない。著名な半藤作品がもとになっているだから当然と言えば当然だが、特に目新しいエピソードがあるわけではない。しかし、全体のエピソードのバランス、映画の流れが大変スムーズで、いわゆる戦史的映画としては良くできている。特に素晴らしいのは、対米開戦に至る経緯について、これまでの戦争映画のような単純な軍部悪玉史観ではなく、戦争を煽る国民たちと、民意を戦争に誘導し、戦後は手のひらを反すマスコミをきちんと描いた点で、戦争を知らない若者が見ても正しい歴史観を感じることができるだろう。三国同盟締結に際して、右翼団体のみならず多くの国民やマスコミが無責任な開戦論を論じたことをしっかりと認識すべきで、戦争の発端は軍人でも政治家でもなく、我々自分たち国民なのだということを描いたのは良かった。 軍装や戦史検証はかなり良くできている。ちょっと感動したのは、陸軍部隊が海軍省を取り囲んだ際の歩兵の銃が使い込まれて一つ一つ異なった風合いになっていたこと(笑)。艦内の風景や挙動にしても違和感がない。 何といっても素晴らしいのは航空機や艦船、そして戦闘シーン。赤城甲板と零戦1機だけ実寸大模型で、それをCGによって増殖させているらしいが、なかなか良い出来。また、ハワイ真珠湾攻撃シーンはCG主体のようだが、これまた秀逸で、真珠湾攻撃の鳥瞰映像など実写に近いものがある。空母から航空機が発進するシーンでは、かつての特撮もののような稚拙さは感じられず、発艦直後に機体が沈み込むあたりもきちんと描かれているのもいい。ただ、CGでは重量感が感じられないのが唯一の欠点かもしれないが。このほか、一式陸攻はミニチュア撮影とCGの併用で描かれたようで、これもなかなか良い。 全般に戦史もの映画としては良くできており、特に真面目に歴史を描いたという印象が強い。時間的にも非常に見やすく、スムーズな展開は急ぎすぎず、ダレすぎずちょうどいい。ただ、大変良い内容なのだが、ちょっとインパクトには欠けたかもしれない。見終わった後に印象のあったシーンがあまり思い出せないのだ。これは良い点でもあったのだが、効果音やBGMが大人しく、恣意的な感情起伏を呼び起さなかったかわりに、印象に残らないということもあったかと思う。主題歌、テーマ音楽もしかり。後世に残る名作か、というとその点で若干残念だったかもしれない。興奮度★★★★沈痛度★★★★爽快度★★★感涙度★★
2011年12月25日
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本日公開の映画「聯合艦隊長官 山本五十六」を見てきました。結論から言うと、なかなか良くできた作品でした。半藤一利の原作を映画化なので、特に目新しいエピソードなどはありませんが、映画として非常にバランス良く、内容的にも戦争を煽る国民と、民意を誘導するマスコミをきちんと描いた点で、戦史的にも良い出来となっていると感じました。戦争のことを知らない若い人にも、きちんとした歴史観を学ぶことができる作品と思います。ただ、登場人物にテロップが出ないので、戦史を知らない人には誰がどうなって・・・とチンプンカンプンかも。難しいところだけど、人間関係や政治背景を勉強してから見るのと、そうでないのでは相当作品から感じる意味は異なってくるでしょう。そういう意味で、かなり上級者向けの映画ともいえるでしょう。レビューはあしたかな(笑)。
2011年12月23日
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いま、NHK土曜ドラマスペシャルで、真珠湾攻撃の甲標的で唯一生き残って捕虜となった酒巻少尉のドラマをやってますね。「真珠湾からの帰還」なかなか良いドラマになってますね。変な史観や恣意的な誘導もなく、淡々と描いていく感じが好感。出演者も好青年でいい。ドラマ中のセリフ「死を願うのと、死を覚悟するのは違う・・・」はっとさせられました。最近戦争系の映画やドラマをあまり見ていませんでしたが、何か原点に戻れと言われたような気がします。自分らしさ、自分の生きる道を見失っていたこの数年間。自分のやらねばならないことから逃げ、目先の一喜一憂にうつつを抜かしていたかもしれない。見てよかった。
2011年12月10日
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2006 アメリカ 監督:レイン・ニシカワ出演者:レイン・ニシカワ、タムリン・トミタ、ユージ・オクモトほか122分 カラー Only the Brave【新品DVD】【5000円以上送料無料】ザ・ブレイブ・ウォー 第442部隊/マーク・ダカスコス【ADX.1014】[新品] DVD検索「ザ・ブレイブ・ウォー」を探す(楽天) 第二次世界大戦において、最も多くの勲章を授与された部隊として知られる、アメリカ陸軍日系人部隊第442連隊戦闘団の活躍を描いたシリアスドラマ。登場人物自体はフィクションのようだが、概ね史実に沿った作りとなっており、特に1944年10月のフランスにおける「失われた大隊(テキサス大隊)」救出作戦がメインに描かれている。監督、出演者ともに日系人のようだが、監督としては名前を知られているわけではないようだ。勇敢ながらも悲壮な戦闘を題材にしたインパクトのある映画だが、映像、編集、台詞ともに素人感を強く感じてしまい、やや残念なものとなってしまった。 第442連隊戦闘団は高級士官を除いて日系人のみで構成された部隊で、歩兵のみならず砲兵大隊や工兵中隊を加えたため、連隊戦闘団と呼ばれる。構成員の大半はハワイ出身の日系人で、このほかに本土の日系人収容所から志願したもので構成される。さらに、イタリア戦線頃にハワイの日系人で構成されていた第 100歩兵大隊が編入されている。 日系人の勇敢な戦いぶりは、日本人を蔑視するアメリカ人の度肝を抜くほどだったが、その分死傷者の数も尋常ではなく、終戦時には連隊の人員は約半分ほどになっていたという。イタリアのモンテカッシーノの激戦でも多くの死傷者を出したが、最も著名な活躍は1944年10月のドイツ軍に包囲され絶望視されたテキサス大隊(第34師団141連隊第1大隊のこと)救出作戦である。包囲されたテキサス大隊211名を救うために第442連隊は約800名の死者を出している。この戦功により白人の士官が日系人部隊に敬意を表したエピソードが語り継がれているほどだ。本作でもそのあたりの出来事やエピソードがちりばめられている。同様に第442連隊を描いた作品に「二世部隊(1951 米)」がある。 さて、本作はハワイオアフ島出身のジミー・タカタ軍曹を主人公に、所属する中隊兵士の人間模様を回想シーンを織り交ぜながら描いていく。ハワイ出身者、日系人収容所出身者、医者、僧侶など多様な人生背景があり、アメリカ人として戦う日本人の複雑な心境を描く、ヒューマンドラマタッチの色合いが強い。しかし、登場人物の紹介時間が多い割りに顔が覚えられず、戦死したのが誰なのかわからないこともしばしば。また、回想シーンを多様することで登場人物への感情を高めようとする意図は感じるが、シーンの挿入の仕方、時間、エピソードの内容ともに稚拙で、逆に映画の流れを断ち切ってしまっているのが残念。全般に非常に流れの悪い印象で、せっかくの感情移入がしきれなかった。 戦闘シーンはそこそこで、特に金がかかっているわけではない。映像は全般に暗め。それはいいとしても、先にも述べたようにシーンの挿入タイミングや時間が非常にバランス悪いので、せっかくの迫力ある戦闘シーンがぶつ切りでもったいない。そのため、全体の戦闘像が分からないうえ、登場してくる人物に何が起こっているのかがわかりずらい。このあたりは監督、編集等の技術の問題だろう。 登場する兵器類は森林戦がメインのため、歩兵火器のみ。航空機も戦車もなし。 本来はもっと感動するべき内容のはずなのだが、起承転結がないうえに、各シーンのバランスが悪いために半減されてしまった印象だ。加えて、第 442連隊戦闘団の動きも、テキサス大隊救出戦の全体像も明確になっていないため、戦史を追うという点でも及第点とは言えないだろう。もう少し頑張って欲しかったところだ。興奮度★★沈痛度★★★★爽快度★★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 日本軍の真珠湾攻撃を受け、ハワイオアフのジミー・タカタの父(僧侶)はスパイ容疑でFBIに連行される。ジミーは第442連隊戦闘団に志願し、日系人兵としてヨーロッパ戦線に赴く。 1944年にフランスに渡り、ジミーは軍曹として小隊を指揮。仲間にはリーダー的資質のあるユック(ナカジョウユキオ)軍曹、突破力のあるタク(タカセ)軍曹、幼馴染のザキ(センザキ)軍曹、ノム(ノムラ)伍長らがいた。フランスの町に入り、司祭兄弟、少女を救出するも、待ち構えていたドイツ軍の激しい反撃を受けて被害を受け、ジミーも頭に銃弾を受けて怪我をする。部隊衛生兵ドク(ナガヌマ)は医者で妻と子がおり、日系人収容所から志願してきた。後方に下がってきたジミーたちの傷の手当を施す。 歩兵第141連隊のテキサス大隊がドイツ軍に包囲されてしまう。第442連隊はその救出作戦を命じられて出動する。ジミーは傷のために一人残ることに。しかし、敵は2個連隊おり非常に手ごわく、間もなくダンスの上手だったユック軍曹が戦死する。その姿を見たジミーはいてもたってもいられなくなり、一人前線に赴こうとする。だが、それを察知したドク、フレディ、デイブ、ミナミらも一緒に前線に向うことに。 途中でドイツ軍のマシンガン隊を撃破し、なんとか前線に合流。この頃本土ではジミーの父が収容所で死亡。ちょうど49日にあたることだった。 テキサス大隊は食料弾丸も尽き始め、大佐が死亡したため急遽指揮官となったテリー中尉が救援を要請。第442連隊は突撃を命じられる。突撃でドクが死亡。フレディはジミーのそばに投げられた手りゅう弾に覆いかぶさって死亡。そのほかにも兵士は勇敢に突撃し、ついにドイツ軍は撤退し、テキサス大隊と合流できる。しかし、このとき合流できた最初の兵はわずか8名しかいなかった。テキサス大隊211名を救出するのに、第442連隊は約800名の戦死者を出していた。テリー中尉は助けに来た兵が日本人と知り、びっくりするも、厚い感謝を述べるのだった。
2011年11月16日
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今年の12月2日公開で「連合艦隊司令長官山本五十六」があるようですね。公式HP役所さんが長官を演じるようで、太平洋戦争70年目の真実だとか。これまでにも数多くの山本五十六を題材にした映画はありますが、この作品はどういった切り口にするんでしょうか。だいぶ、これまでに語りつくされてきた感はあるので、単なる焼き直しだと面白くないなあと思います。さて、出来はどうなっているのでしょうか。
2011年11月06日
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来年1月公開で、オダギリジョー。チャン・ドンゴンの映画「マイウェイ 12,000キロの真実」があるようです。日独ソ連の軍服を着た兵の話だそうで、史実に沿ったものなのかな?この辺はどうにもはっきりしない。製作も韓国のようなので、史実性についてはやや甘い感じはする。ただ、それなりにお金はかけているようなので、迫力なんかはありそうですね。
2011年11月01日
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2010 オーストラリア 監督:ジェレミー・シムズ出演者:ブレンダン・カウエル、ガイトン・グラントリー、エイデン・ヤングほか122分 カラーBENEATH HILL 60【25%OFF】[DVD] THE SILENT WAR 戦場の絆 DVD検索「THE SILENT WAR」を探す(楽天) 第一次世界大戦における西部戦線での坑道戦を描いた戦争ドラマ。坑道戦とは要塞や塹壕戦に閉塞した両軍が地下トンネルを掘削し、地下から敵陣を爆破する作戦のことである。意外に知られていないこの戦法だが、本作に描かれる第一次大戦における最大の爆破作戦には、オーストラリアの炭鉱工夫が多数召集され従事している。登場人物、内容ともに史実に沿った作りとなっているようで、オーストラリア軍トンネル中隊が主人公である。若干のラブロマンスも含まれているが、ほぼ全編に無骨な男性ドラマが中心で、興味深い題材ゆえに、かなり引き込まれた。 映画の舞台は、前半はフランスのアルマンティエールのトンネルだが、後半はベルギー西部フランデレン地方のメシヌとなる。このメシヌの戦い(1917年6月7 日)ではドイツ軍が占拠する60高地(低い丘)の要塞を爆破するため、地下30m、全長4kmのトンネルに約600トンの爆薬が仕掛けられた。この爆破によりドイツ軍は約1万人の死者を出し撤退し、この後のパッツェンデールの戦いの始まりとなっていく。ちなみに、この爆破音は遠くロンドンまで届いたなどと言われるほど、戦史の中でも最大級のものとして知られる。 主役はイギリス帝国軍に属するオーストラリア軍トンネル中隊で、このほかカナダ軍のトンネル部隊も登場する。トンネル掘削と爆破という特殊性から、士官も含めて鉱山技師が召集されており、主人公のウッドワード中尉も鉱山技師で、帰国後オーストラリア人で4名しか受けていない勲章を授与されたそうだ。 内容は、主に落盤、酸欠、暗闇、湧水などトンネル作戦の苦労と恐怖が描かれるのだが、生粋の軍人ではないが故に、そのあたりの微妙な空気感が上手く描かれている。また、第一次大戦特有の無能な上官と、無謀な人名軽視作戦もしっかりと描かれ、風刺的な色合いも感じることができる。登場人物の性格付けも良くできており、それぞれの個性が映画の中で生かされてアクセントとなっている。シーン転換のバランスも良く、フランスからベルギーへの転戦、作戦実行まで流れよく進むのが良い。また、坑道構築方法や、かなり専門的な用語も登場し、ほとんど知ることのなかった坑道戦の実態を知ることができた点でも評価できる。特に、両軍がトンネル作戦を展開し、聴音によって相手のトンネルを探査したり、攻撃トンネルで破壊しあったりするのが見ものだ。静寂の中に聞こえる掘削音や人声。相手の爆破攻撃の恐怖。ある意味、潜水艦の中と共通する緊張感があるかもしれない。 ただ、実際の坑道掘削シーンはかなり少なく、思ったよりも手に汗握ることはない。このあたり、坑道の閉塞感や恐怖感を映像でもっと見せていればより臨場感のある映画となったであろう点が残念。その分、せっかくの登場人物への感情移入がやや薄れてしまったように感じる。 ちなみに坑道戦を扱った映画としては「愛と裏切りの戦場 アルプスの戦士たち(2007 伊)」がある。こちらはイタリア戦線でのイタリア軍のものだが、やはり主人公は鉱夫出身だ。 映像はきれいだが、ロケ地はあまり広くなかったと見える。塹壕戦や要塞などのスケール感はあまり感じることができず、坑道掘削シーンがほとんどないのもそれに起因するのかもしれない。登場する兵器類は当然小火器のみ。 全般に流れも良く、内容的にもレアな題材で面白かった。オーストラリア映画というと、ベタなラブロマンスが、妙に感傷的なもののイメージが強かったが、意外に正統派で戦史的にも価値のある作品となったといえる。興奮度★★★★沈痛度★★★★爽快度★★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1916年5月、フランスのアルマンティエールの塹壕トンネルのオーストラリア軍トンネル中隊に新指揮官ウッドワード中尉が赴任してくる。中尉は鉱山技師で、親友のモファット(騎兵隊少佐)が戦死したのをきっかけに志願してきたのだ。モファットの妹マージョリー(16歳)と婚約した上で赴任してきた。 オーストラリア軍トンネル中隊にはシンプソン軍曹、フレイザー伍長らがいるが、古参のフレイザー伍長はウッドワードに敵意をいだいている。トンネル内で迷った時に出会った、聴音を行っていた少年兵ティフィンは恐怖の余り中尉に助けを求める。指揮所には鉱山での旧友マグプライド中尉、イギリス人のクレイトン中尉がいた。クレイトンはオーストラリア人に軽蔑のまなざしをむけている。 トンネル内でドイツ軍による攻撃爆破がたびたびあり、中尉はモリスとともに敵兵を撃退する。また別の日には、モリスとドワイヤーが行方不明になり、モリスは耳をやられるも生還するがドワイヤーは戦死する。 英軍大佐はこう着状態のために、トンネル中隊に敵陣地の爆破を命じる。敵陣地まで這って行き爆薬を仕掛ける決死の任務だ。中尉のほかモリスとフレイザーが志願し、暗闇の中敵陣に這って行く。ベテランのフレイザーの活躍で敵陣地の爆破に成功するが、帰路の途中で鉄条網破壊に出たクレイトン中尉が瀕死で倒れていた。介抱するものの死亡する。この活躍でウッドワードは大尉に、フレイザーは軍曹に昇進する。 1916年11月6日、中隊はベルギーのメシヌへ。そこは60高地と呼ばれる難攻不落のドイツ軍陣地だ。砲弾の降る中トンネルに向う途中若い3名がはぐれて中間地帯に入ってしまう。びびりまくるウオルター(子)に足の速いストリーキーが囮になってウオルターとティフィンはなんとか自陣に戻るが、ストリーキーはすんでのところで戦死する。 新しい任務地にはマグプライド大尉がおり、トンネルはカナダ人ノース少佐が指揮を執っていた。トンネルは地下30mで、60高地の真下に600トンもの爆薬が仕掛けられていた。時期が来るまで湿気に注意し、ドイツ軍に悟られないようにしなければならない。だが、ドイツ軍もこちらの動向に気付き始めたため、偽の擬音を出したり迂回トンネルを掘削したりと策を練る。さらに、ウッドワード大尉は大佐の反対を押し切って、鉄製のシャフトを3週間で取り付け、さらにポンプで水をくみ上げる。ドイツ軍は不穏な動きを察知し、探査用のシャフトを爆薬庫に向けて掘りはじめる。また、ウオルター(父)は聴音でドイツ軍攻撃の気配を察知するが、持ち場を離れたとして大佐に叱責され、その結果ドイツ軍の攻撃で命を落とす。 6月7日、いよいよ爆破の時期が36時間後に決められる。だが、聴音でドイツ軍シャフト坑が爆破時刻前に到達してしまうことが判明。ウッドワード大尉は敵シャフト坑の爆破を計画し、攻撃用トンネルを掘削して攻撃。なんとか爆破に成功するが、脱出中の落盤でティフィンが取り残されてしまう。フレイザー軍曹はウッドワード大尉に爆破の延期を進上するが、大佐の手前もありティフィンの命と引き換えに爆破スイッチを押す。この爆破でドイツ軍は撤退。ただし、その数ヵ月後高地は再びドイツ軍の手に。 1919年、戦争から帰還したウッドワードはマージョリーと1920年に結婚。勲章を授与されたウッドワードだが、彼の心は晴れなかった。
2011年09月07日
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今日はフジテレビでドラマ「最後の絆 沖縄引き裂かれた兄弟」やってますね。佐藤健と要潤という、超イケメンコンビで兄弟役ですけど(笑)、史実に基づいた内容だけあって結構シリアスです。フジにしてはまあまあ良い出来になりそうな予感。
2011年08月13日
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今年も夏になり、終戦記念ドラマの季節です。今のところわかっているのは8月13日午後9時から フジテレビ最後の絆 沖縄 引き裂かれた兄弟(2011フジテレビ) と8月5日午後9時から 日テレこの世界の片隅に(2011日テレ) のようです。あと、8月13日から新藤監督のラスト?作が全国公開だそうで。一枚のハガキこの人の作品はあんまり好きじゃないんだけど、最後の作品だとすれば、見ておこうかな。てか、富山も石川もやってないじゃん(泣)。東京行った時みてくるしかないか・・・
2011年08月01日
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ザ・パシフィック コンプリート・ボックス(初回限定生産)(DVD) ◆20%OFF!いよいよアメリカテレビムービーの「ザ・パシフィック」のDVDが発売されます。全巻なのでちょっとお高いですが、かなりの傑作ですので持っておきたいところですね。
2011年07月14日
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1942 イギリス 監督:ノエル・カワード、デヴィッド・リーン出演者:ノエル・カワード、ジョン・ミルズ、バーナード・マイルズ、ケイ・ウォルシュほか138分 モノクロ In Which We Serve DVD検索「軍旗の下に」を探す(楽天) 第二次世界大戦時に実際に起きた海戦をもとに描かれた、ドキュメンタリータッチのヒューマンドラマ。主役は実在した英海軍K型駆逐艦ケリー(HMS F01 Kelly)で、製作監督のノエル・カワードはケリーの艦長マウントバッテン大佐の友人だった関係から本作の制作に至ったとされている。製作年は1942年で、ドイツ海軍との激戦期にさしかかった時期でもあるため、多くの戦意高揚的海軍映画が製作されている。本作もそれに漏れず、英国情報省(MOI)の支援を受け、多分に戦意高揚的な要素が見受けられる。ただ、本作は駆逐艦ケリーが撃沈されるなどイギリス海軍にとっては悲惨な敗北であること、漂流する水兵がドイツ軍の機銃掃射にさらされる恐怖など、果たして戦意高揚につながったかどうかは疑問だが。「戦場にかける橋」のデヴィッド・リーン監督のデビュー作でもある。 本作に描かれる海戦は1941年5月23日の地中海クレタ島撤退作戦で、複数の英国艦船がクレタ島撤退作戦に従事中、ドイツ軍機の空爆によって撃沈された。本作主役のK型駆逐艦ケリーもこの海戦でドイツ軍爆撃機の爆撃によって損傷し撃沈しており、映画中では駆逐艦トリン(Torrin)として登場する。また実在の駆逐艦ケリーはルイス・マウントバッテン艦長(大佐)のもと、Uボートとの海戦やナムソス撤退作戦にも従事し、本作でもそのシーンが登場している。 このマウントバッテン艦長は、本作中ではキンロス大佐として登場するが、この撃沈後はディエップ港奇襲作戦や対日ビルマ戦の最高司令官として赴任し戦後処理にもあたった人物である。もともとイギリス皇族家系のため、最後は暗殺されるが、日本人嫌いとしても知られている。 ストーリーは、艦名や人物名など多少の脚色はなされているが、多くは実話に基づいていると思われ、特に関係者の家族関係を中核に据えたヒューマンドラマ仕立てとなっている。時系列による戦闘シーンを芯にしながらも、かなりの部分を各兵の家族との回想シーンに時間を割いており、若干ストーリーを追いかけるのが大変。従って戦記ものというよりはヒューマンドラマの性格が強く、勇猛さや英雄的な雰囲気は余りない。そのため前述したように戦意高揚的に効果があったかどうかは疑問で、海戦戦記として期待するとかなりはずれ感が強いだろう。むしろマウントバッテンを英雄扱いしようという政治的な匂いもする。 そんな中で唯一良かったのは、数少ない海戦シーンにおける音響で、対艦及び対空機関砲のポンポンという音がなかなかリアル。このあたりはさすが戦時中だと思わせる。駆逐艦ケリーのシーンは実物大模型と記録ニュース映像が用いられているようだ。実物大模型はロンドン郊外で製作されたそうで、駆逐艦の細部にわたってリアル感がある。ただ、せっかくの実物模型を海戦シーンで生かしきっておらず、ちょっともったいない。記録映像では1940年当時のケリーや同型艦のカシミール(F12)、D型駆逐艦ディフェンダー(HMS H07)などの映像が登場する。ちなみにカシミールも5月23日にドイツ軍機空爆によって撃沈されている。 海戦シーンは基本的にミニチュア模型が用いられており、火薬使用ともにしょぼく、見るべきものはない。ドイツ軍機は下から撮影した記録映像のようで、本物?のドイツ軍爆撃機Ju88らしきものが度々登場する。また、ダンケルク撤退戦で乗船してくる陸軍兵は本物で、コールドストリームガーズ第5大隊兵によって演じられているそうだ。 役者陣はそれなりの俳優を起用しているようだが、監督兼主役のノエル・カワードはやや好印象に努めすぎたようで、ちょっと印象薄く、性格付けが今一歩。その分、ジョン・ミルズ演じる水兵の個性が濃すぎて全体のバランスが悪くなっている。というか、ジョン・ミルズ若い水兵演じるには歳とり過ぎ(当時34歳位)。 全般に何を焦点を絞ったのかわからないまま終了。海戦ものとしても、ヒーローものとしても、ヒューマンドラマものとしても中途半端。ちょっと色々な思惑に振り回されたのではないかと推測するが、海軍物を多産量産する時期としてはこんなものなのだろうか。ちなみに、本作は1943年のアカデミー賞候補となっている。興奮度★沈痛度★★★爽快度★★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 英国の造船所で駆逐艦が製造され進水していく。1941年5月、英国駆逐艦トリンはキンロス艦長(大佐)のもとクレタ島付近でドイツ軍と戦闘状態にあった。ドイツ軍の艦船を砲撃で撃退するも、ドイツ軍の爆撃機ユンカース88によって直撃弾を受け、トリンは撃沈する。キンロス艦長以下数名の船員はなんとか救命筏にとりつくことができるが、ドイツ軍の機銃掃射などの脅威にさらされ、一人ひとりが英国での家族のことを回想するのだった。 艦長キンロスは妻アリックスとの間に幼い息子ボビーと娘ラビーがいる。忙しい任務の合間に家族と会い、妻アリックスは士官の妻として不安を見せまいと努める。兵曹長のウォルター・ハーディは子供はおらず妻キャシーと母メロンと住んでいる。妻と母の折り合いは決してうまくはいっていないが、夫婦の愛は固い。 駆逐艦トリンは1939年に造船され、1940年にキンロスが艦長として赴任してきた。トリンにはキンロスと古くから馴染みのレイノルド、ショーティ・ブレイク、アダムズ、コーム、パーキンソンらベテランもいた。キンロスは部下に厳しい訓練を課しながらも、楽しく効率的を合言葉として叱咤激励する。士官のパーティではキンロスの妻アリックスがスピーチを述べるなど統率役をまかされる。 (漂流する海上ではドイツ軍機の機銃掃射があり、ショーティ・ブレイクが腕を撃たれて負傷する) 水兵のショーティ・ブレイクは休暇中の電車内で女性のフリーダ・ルイスと出会い、恋に落ちる。彼女はハーディ兵曹長の姪にあたり結婚に至る。新婚旅行をかねた移動中には艦長夫妻に紹介し祝福される。 トリンはドイツの電撃戦頃ドイツ海軍と海戦を繰り返しており、ある時敵艦を撃破しながらも魚雷によって被害をうけてしまう。必死の応戦によって艦はなんとか停泊地に戻ることができたが、海戦の最中に一人の若い兵マックリッジは持ち場を逃げ出してしまっていた。複数の戦死者を出し、帰港した際にキンロス艦長は全員の兵の活躍をねぎらいながらも、ただ一人持ち場を離れた兵のことを残念だと言う。マックリッジはこのことをひどく恥じ、改心するのだった。 1940年5月、フランス沿岸のダンケルクで英国陸軍兵の撤退作戦が開始される。トリンもその輸送部隊として参加。多くの負傷兵を献身的な介護をしながら連れ帰る。 いよいよドイツ軍はパリに侵入。イギリス国内でもドイツ軍機の飛来が見られ、上空ではハリケーンとbf109が空戦を繰り広げている。さらにロンドン市内の爆撃もひどくなり、子を身ごもったフリーダが身を寄せるキャスの家にも空襲警報がなる。だが母親ともどもシェルターに逃げることを良しとしない彼女たちに直撃弾が襲う。フリーダは無事で男の子を出産するも、キャスと母親は死亡。このことを手紙で知らされたショーティは意を決してハーディに知らせに行く。この知らせを聞き毅然と対処するハーディはショーティの子供の誕生を喜ぶ。 ついにトリンが海面から姿を消す。さらに海上で漂流する彼らに再びドイツ軍機が機銃掃射を加え、数名が命を落とす。そこに味方の駆逐艦フロートリアが救助にやってきて残った9名が救助される。船にはすでに90名近くが救助されており、キンロス艦長は瀕死の兵から最後の言葉を聞いてまわるのだった。 彼らはアレクサンドリアに上陸する。撃沈の報を受けて意気消沈していたショーティの妻フリーダのもとにショーティから無事との報が届き喜ぶ。同じくキンロス艦長の妻アリックスのもとにも報が届く。 いよいよキンロス艦長がアレクサンドリアから離れることに。艦はなくなったがトリンの精神は不滅だとし、一人ひとりと握手を交わして去っていく。
2011年06月20日
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このところ、朝鮮戦争映画がいくつか公開されるようで。小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件韓国20102011年5月28日 より K's Cinemaにて【送料無料】ノグンリ虐殺事件戦火の中へ韓国20102011年2月19日 より 角川シネマ新宿ほか全国にて DVDももう出るようです【27%OFF】[DVD] 戦火の中へ スタンダード・エディションこのほかレッド・バロンドイツ(2008年)2011年5月21日 より 丸の内ルーブルほか全国にて順次公開
2011年05月26日
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ちょっと古いネタですが、昨年末に出ていた別冊映画秘宝の「戦艦大和 映画大全」なかなかいいですね。買ったまま放置してあったのですが、これまでの大和関係映画の裏話や撮影秘話などが満載で、戦争映画好きにはたまらん内容です。特に特撮関係の情報はレビュー書くのに参考になります。こういうシリーズもっと欲しいですね。【送料無料】戦艦大和映画大全
2011年04月27日
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2008 チェコ、スロバキア 監督:ヴァーツラフ・マルホウ出演者: ヤン・メドゥナ、ベトゥル・ヴァネク、ロベルト・ネブランスキー、ミハウ・ノヴォトニーほか99分 カラー TOBRUK【23%OFF!】戦場の黙示録(DVD) DVD検索「戦場の黙示録」を探す(楽天) 第二次世界大戦時の北アフリカ戦「トブルク攻防戦」をチェコスロバキア人義勇軍をメインに描いた戦争ドラマ。今はそれぞれ独立したチェコ、スロバキアが製作した映画で、スティーブン・クレイン著「赤い武功章」を原作としている。巻末に「1941年秋トブルクに駐留し、カレル・クラパレック中佐の指揮下で戦った第11歩兵大隊の779名の兵に深謝する」とあることからも、史実に基づいて義勇兵を讃える製作意図があるようだ。 全般にシリアスでシュールな映画で、無音を多用するソヴィエト映画的な雰囲気も漂う。また、カメラワークや台詞回しなどは、感情を前面に出す感じで、中東(イスラム圏)映画的ともいえるかもしれない。いずれにせよ、ハリウッドなどの欧米系映画とは一線を画するものだ。 チェコスロバキアといえば、1939年にドイツの圧力によって事実上の国家解体以降、ロンドンに亡命政府が成立。亡命チェコスロバキア人が英国陸軍の一部として義勇軍となって枢軸国と戦った。本作のチェコスロバキア人部隊は第11大隊と呼ばれており、英国陸軍第70歩兵師団と歩調を共にしているようだ。英国にはこうした義勇軍が多く存在し、亡命型の自由フランス、ポーランド、チェコスロバキアのほか、宗主国としてオーストラリア、ニュージーランド、インド、南アフリカ、アビシニア、スーダン兵が参加している。 本作の舞台となっているトブルクは現リビアの重要港で、連合軍、枢軸軍が目の色を変えて攻防を繰り広げた地である。1941年には連合軍守備隊が籠る箱形のトブルク防衛陣地に対し、ロンメル率いる独伊軍が包囲網を狭めてくる。本作のチェコスロバキア義勇軍は、トブルク守備増援に向かう第70師団とともにアレクサンドリアから海路でトブルクに上陸し、ポーランド師団と合流して枢軸国側のイタリア軍と対峙するため、塹壕線を構築する任務についている。 内容はアクション系ではなく、どちらかというと義勇兵の精神的な交錯を描いたヒューマンタッチ。ドイツに占領されたチェコスロバキア人の義勇心と戦場のむなしさや恐怖を描く。さらに、部下と上官の確執と友情も描かれるが、全般に深みがないので総体でみるとインパクトに欠ける嫌いがある。新兵2名をめぐるいくつものエピソードが描かれている割に、最後に心に残るものがないのだ。 原因としては台詞や背景描写などによる説明が不足していることがあげられる。そもそもトブルク攻防戦の背景がわかりにくいうえ、義勇軍の立場や戦闘状況がほとんど描かれないため、登場人物の置かれている心理状態が探りにくい。演技による表情だけでは、ユダヤ系の新兵、新兵を嫌う伍長、物静かな軍曹などストーリーの核となる登場人物の心情が響いてこないのだ。響いてこないがゆえに、それぞれのエピソードに対する思い入れが薄くなってしまった。このあたりもう少し台詞などで性格づけがなされていれば良かったかな。 ロケはチェコとチュニジアらしい。砂漠のシーンはチュニジアだろうが、さすがにスケール感がある。砂漠に起こる砂塵嵐はものすごい。戦闘シーンでは銃撃戦もあるが、なんといっても砲着弾シーンに力が入っている。爆薬使用量はなかなかのもので、所構わず砂煙がたち起こり、かなりリアルだ。一部兵が足を吹っ飛ばされるグロシーンもある。ただし、兵器類はあまり資金がなかったと見え、連合軍も枢軸側も戦車が一台も登場しない。やはり北アフリカ戦は戦車戦のイメージがあるのでちょっと残念。残念と言えばトルブク塹壕線の雰囲気がもう一つだった。もっと地雷原や塹壕の位置関係を考慮した戦闘シーン描写があったら良かった。 チェコ、スロバキアで製作した意欲作だが、十分にストーリー、編集とも練られていない不完全作といった印象。ヒューマンドラマとしてはやや中途半端になってしまった感があるし、過去の英雄を讃える作品としてもちょっと消化不良。製作陣の思い入れがもっと前面に出てきて欲しかった作品。ただ、戦史的にはなかなか面白い部隊を取り上げているので、もっと戦闘的な描写が見てみたかった気がする。 ちなみに、チェコスロバキア空軍義勇兵を扱った映画には「ダーク・ブルー(2001)」がある。こちらもなかなか良い作品で、チェコスロバキアの置かれた立場が良く描かれている。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1941 年のエジプト。連合軍のチェコスロバキア義勇兵第11歩兵大隊の訓練キャンプに新兵が二人やってくる。ユダヤ人のリーベルマンとポスピカル二等兵だ。指揮官は軍曹の代理コハック伍長が行うが、部下に冷酷で特にユダヤ人リーベルマンに厳しく当たる。リーベルマンはコハック伍長にボクシングを挑むがこてんぱにやられる。だが、こうして小隊のメンバーとなじんでいく。リーベルマンとポスピカルは仲良くなり、休暇にはともに飲みに出たり、海に行ったりしていた。 いよいよ前線に赴くこととなり、大隊は第 70歩兵師団の支援のためアレクサンドリアから船でトブルクへ上陸することに。そこで、、ポーランド師団と合流し、枢軸国側の包囲網に対して西側の6km に13の塹壕を布陣する。 最前線の塹壕掘りは過酷で、かつ敵の砲撃がやってくる。これまで寡黙で謎だったボルニー軍曹も行動を始める。陽気なルージャは別の部隊の塹壕に入り飼っていた鶏の卵を調達する。敵の砲撃は突然行われ、外で水浴びをしていた仲間の一人が直撃を受けて戦死する。その姿をみたポスピカルは恐怖心を抱く。 新しくスウェザウスキー少尉が着任し、ポーランド人の観的手がやってくるために監視所を作ることに。だが監視所は敵の砲撃の的になる危険があり、少尉は観測中に砲の直撃を受けて戦死する。そしていよいよイタリア軍が突撃を開始してくる。小隊は必死で反撃し撃退。だが、敵の砲撃が再び始まり、ポスピカルは砲の至近弾を受けて意識もうろうとなり、恐怖のあまり戦場を離脱してしまう。 しばらく砂漠地帯を放浪し水も食料もなく道にへばっているところを救急車両に拾われる。そこには瀕死となったトニクが乗っていた。途中でタイヤがパンクし、修理中にトニクが歩いて行ってしまう。最後の力で逃げようとしたのだ。そこで倒れたトニクから別の兵が指輪を盗もうとし、止めたポスピカルは頭を殴られて失神。車は行ってしまい、再びポスピカルは放浪する。ようやく元の陣地に戻ったが、伍長は逃亡兵として報告すると詰め寄る。だが、ボルニー軍曹が制止しポスピカルは再び任務に就く。だが、軍曹が本部に行っている間に伍長は捕まえてきた捕虜を勝手に射殺。問題視したポスピカルと殴り合いとなる。そこに軍曹が戻り、伍長、リーベルマン、ポスピカルに偵察を命じる。 3人は偵察に出かけるが、敵の陣地目前で二人を先にやらせた伍長が撃たれてしまう。二人は塹壕に隠れるが、ポスピカルは伍長を助けようとする。だが腕を撃たれてしまい、伍長救出をためらっていたリーベルマンはポスピカルに援護射撃を頼んで伍長を助けに行く。リーベルマンは伍長を連れもどるが、そこには撃たれて死亡したポスピカルの姿があった。
2011年04月25日
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4月16日から公開のロシア映画です。「戦火のナージャ」アカデミー賞外国語映画賞とカンヌ国際映画祭グランプリに輝いた、巨匠ニキータ・ミハルコフ監督の『太陽に灼かれて』。同作から16年、製作&準備に8年かけ、ロシア映画史上最大となる製作費をかけて完成させたその続編となる人間ドラマ。第2次大戦末期、スターリン大粛清の下、生き別れた父娘の絆が感動を呼ぶ。ロシア映画だけにかつてのソヴィエト映画のように爆薬使用量や兵器類は凄いのでしょうか。近年のロシア映画はそうでもなかっただけに、ちよっと期待してしまいます。予告編見る限りは・・・最近のロシア映画の雰囲気が漂ってるのが微妙な感じ。でも、粛清された元師団長が一兵卒で参戦というのは面白そう(笑)。ただ、こっちでは上映予定がないのです・・・。夏ころにはやってくれないかな・・・。
2011年04月12日
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1943 イギリス 監督:ジョージ・キング出演者:クラッシュ・ミラー、ブレストン・ジェームス・ヒリアー ほか84分 モノクロ Tomorrow We Live/At Dawn We Die 第二次世界大戦時、ドイツ軍に占領されたフランスの小さな町で起こったレジスタンス活動を描いた、スパイ系サスペンスドラマ。実話に基づいたという表記も見られるが、戦時中の作品でもあり、多分に戦意高揚的な企図もあることだろうため、どこまで史実に沿っているかは疑わしい。冒頭クレジットには「ドゴール将軍と自由フランスの公式協力」とあることからも、かなりプロパガンダ的な要素が窺われる。 内容はスパイやレジスタンス活動がメインとなり、戦闘シーンはほぼなし。英語版での視聴のため細かい部分がよく分からなかったが(汗)、誰がレジスタンスで、誰が裏切り者かといったあたりがストーリーのキーになっているようだ。また、フランス人の愛国心とプライドをかけて、ドイツ軍の残忍な手口に死を持って対抗するという、決意的な部分も強調されている。 内容的にはかなり悲壮的なものだが、映画自体は主人公の男性バティストがひょうきんな性格で楽しげな雰囲気を醸し出し、ドイツ軍司令官なども間抜けな男たちとして描かれるなど全般にコミカルな出来となっている。さらに、美女も脇役として複数人登場し、全般に華やかさも加わっている。役者の演技力が光る作品だともいえよう。 従って、ドゴール将軍や自由フランス協力とはいうものの、まったりとした流れの中でコミカルにストーリーが展開していくため、実際には戦意高揚的な雰囲気はあまり感じられない。イギリス製作だが、フランス人に気を使いつつフランス人気質を描いた作品なのだろう。間抜けなドイツ兵の、この時期にイギリスで描かれる典型的な描写だともいえる。 見どころはやはり女性陣の行動による謎かけと、ドイツ軍SS将校による謎解きになるだろう。サスペンスにしては結構バレバレの展開ではあるが、それでも若干手に汗握るシーンもある。 登場する兵器類は全くなく、銃撃戦もない。唯一列車の爆破シーンだけミニチュアの貨車が爆発しているのみ。ロケセットもかなりこじんまりした室内だと思われ、全般に資金はかかっていないお手軽映画のようだ。 ストーリー上で出てくる内容で興味深かったのは、主人公がイギリスに情報提供しようとしている事柄が、大西洋に面したドイツ潜水艦(Uボート)基地と関連発電施設の配置である点で、やはりDデイを目前にする連合軍にとって、フランスレジスタンスからのこうした軍事情報がいかに重要だったかということを匂わせている。 また、たびたびロレーヌ十字が登場する。ストーリー上の謎解きでポイントとものだが、これは自由フランスの国旗にも描かれる象徴的なもので、そこに込められた祖国解放への願いというものも感じることができる。 全般にまったりとしたサスペンスで、 特に内容があるわけでもなく、さほど面白いというものでもないが、戦中におけるフランス、ドイツの見方というものを知る上では興味深いものがあるだろう。興奮度★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) ドイツ軍に占領されたフランスの小さな町 St Pierre-le-Portに、大西洋に面したドイツ軍主要軍港でUボート基地のあるSaint-Nazaireから、若いフランス人理想主義者ジャン・バティストがやってくる。彼は身分証明書を持たず、ドイツ兵の目を逃れるようにあるバーに入っていく。そこにはフランス人たちがいたが、ドイツ兵がやってくるや否や逃げ出していく。バーのマダムのジェルマン・ベルタンはバティストにホテルを教えてやる。だが、ホテルは満室で入れず、通りかかったドイツ兵に追われる。慌てて逃げ入った家は、占領ドイツ軍に協力している地元の名士メイヤー・ピエール・ドュシェンの家で、娘のマリーが応対に出る。父ピエールは厄介ものとの関わりを嫌がったが、娘マリーはバティストをマダム・ラブッシュの家に紹介してあげる。マダム・ラブッシュの家にもドイツ兵がやってくるが、マダムがその場を凌ぐ。 町ではレジスタンスによる抵抗活動が続いており、司令官のフリセット中佐、フォン・クライスト少佐らは手を焼いている。この日も車のタイヤがことごとくパンクし、移動すらままならない。司令官はピエールに協力を要請してくるが、娘マリーが色仕掛けで司令官を煙に巻くのだった。バティストはドイツ兵と仲良くするマリーに疑惑の目を向ける。 バティストはマダムの手引きでレジスタンスの地下組織アジトに接触する。そこで、自分がSaint-Nazaireから来たパイロットで、潜水艦基地や軍港、発電施設の詳細をイギリス本土に報告するため、密出国したいと告白する。そしてレジスタンス活動にも協力することになる。 レジスタンスは地下水道から舟で密出国を助けながら武器を調達し、列車などの爆破活動を続ける。バティストはジェルマン・ベルタンと映画を見に行くが、大あくびをするなど妨害し、司令官の怒りを買う。ドイツ軍は電話盗聴などを続けレジスタンスの情報を仕入れようとしている。ジェルマン・ベルタンはマリーの経営する?洋品店の洋服が欲しいが、フォン・クライスト少佐からレジスタンスの情報の代わりに2万フランを提供する提案を受けて心が動く。 ジェルマン・ベルタンは店に来た民間人の話から列車爆破の計画を知り、ドイツ軍に報告。ドイツ軍は列車警護のためポイント切り替え所の警備を強化する。その話を恋心を抱くバティスタにすると、バティスタは切り替え所に向う。 バティストは切り替え所に潜入し、警備兵を倒してドイツ兵のふりをする。そこにマリーが一通の手紙を持ってやってきて司令官に渡す。床下に爆弾がしかけてあるという密告書だ。慌てて調査する司令官の隙を見て、マリーはポイントの切り替え小屋に。そこでポイントを切り替えて列車の爆破に成功する。バティストは少佐を殴って脱出。その隙に衣服を破いてしまったマリーも何食わぬ顔で司令官とともに帰るのだった。 戻ったバティスタのもとに一通の手紙が届く。「ありがとう」の文字とともにロレーヌ十字が入っている。外に出たバティスタだが、レジスタンス情報を求めるドイツ軍の張り紙が。そこに司令官とマリーが通りかかり、道を譲らなかった駅長が射殺される。また、ジェルマン・ベルタンの店にレジスタンスリーダーの男の帽子が届けられる。帽子から英国のマッチが見つかり、取りに来たレジスタンスの男の後をつけたジェルマンはレジスタンスのアジトを見つけ出す。すぐにドイツ軍少佐に電話を入れると、司令官と少佐はアジトに向う。だが、そこにジェルマン・ベルタンが恋心を抱くバティストが入っていくのを見て、ジェルマン・ベルタンはやってきた司令官と少佐を射殺する。後からやってきたマリーにバティストはスパイ容疑をかけるが、マリーは実は父も自分もレジスタンスであることを告白する。 ドイツ軍はついにSS(親衛隊)を呼ぶ。親衛隊指揮官は冷酷に捜査を開始し、ピエール・ドュシェンに人質21名の供出を命令。さらに切り替えポイント爆破事件で見つかった布切れとロレーヌ十字に着目する。SSはジェルマン・ベルタンを呼びつけ尋問。己の行為を恥じたジェルマンは口を割らなかったが、帰りにマリーを訪ねたところで射殺されてしまう。マリーのもとにSSが捜査に訪れ、その場で庭のヤブ椿と落ちていたロレーヌ十字を見つける。SSはロレーヌ十字がヤブ椿の箱で作成されたことを突き止め、マリーが爆破の犯人と判明する。すぐさま、マリーの行方を追う。一方、バティストもドイツ軍の身分照会に会い、ドイツ兵を殴って逃走。マリーとバティストはイギリスへ密出国することにする。だが、残された父ピエール、マダム・ラブッシュなど多くのフランス人が人質となり、処刑の時刻が迫る。怯える人もいたがマダム・ラブッシュの言葉でフランスの名誉を取り戻し、処刑場に進んでいく。バティストとマリーが地下水道から脱出を図った後、アジトにSSが襲撃をかけレジスタンスリーダーらは殺され、父ピエールらも処刑される。 脱出する途中で二人はSSに追いつかれる。だが、その時連合軍の空襲が始まる。危険を顧みず灯火管制下で明かりをともすマチュー。爆撃の隙をついて二人は大海原へ脱出するのだった。
2011年03月22日
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2008 ドイツ(TVM) 監督:ウォルフガング・パンツァー出演者: フランカ・ポテンテ、フランソワ・グースケ、ラース・シュタインホーフェル、ロベルト・ホーラーほか97分 カラー DIE BRUCKE /THE BRIDGE【25%OFF】[DVD] 1945戦場への橋 -ナチス武装戦線- DVD検索「1945 戦場への橋」を探す(楽天) 第二次世界大戦末期のドイツ。召集された若干16歳の7名の少年兵たちが、迫りくる連合軍を相手に橋を死守することとなる悲劇を描いた戦争ヒューマンドラマ。 1959年に制作された名作映画「橋(1959)」のテレビ版リメイク作。「橋」は混乱した大人の社会に翻弄された重苦しくもつたない少年の命を描いた、沈痛度では群を抜いた名作だったが、何分古く、モノクロ映画だったため、カラーでのリメイクには嫌がおうにも期待が膨らむのだった。 本作は原作の「橋」のストーリーと主な登場人物を基本的に踏襲してはいるものの、より一層数人の少年兵の性格づけに力を入れ、それに絡む人物設定が付加されている。また、主なエピソードは一致しているものの、細かい契機づけや描写はアレンジされている。概ね8割がた合致したリメイクといった感じか。 結論から言ってしまうと、期待が過ぎたためか、やや残念な出来と感じた。テレビムービーゆえの限界だったのだろうか、原作のような重厚さとシュールさが感じられなかった。いや、もともと少年兵の心情と混乱した大人の社会を描いたものであったのだから、もっと違った描き方があったのではないだろうか。そんな風に思わせるほど、心に響く部分のすれ違いがあったのだ。 本作は数人の少年兵の性格づけに力を入れている。見る側に思い入れを強くさせるには必要な手法ではあるが、本作のような少年兵の儚さを主題に置く場合、逆にその性格づけが邪魔になった感じがある。むしろ淡々と没個性的に描いた方が、シュールな儚さを表現できたのではないか。 また細かい部分だが、町や住民の位置関係や戦闘状態の配置が不明瞭で、特に戦闘シーンにおける違和感があったのが残念。橋をめぐる連合軍との激しい銃撃戦の中、住民たちが橋の両側でごく普通に居住していたり、陣地を構築して防御銃撃している中、脇の橋で工兵が平然と爆破準備しているなど不自然な点が多いのだ。このあたりのリアリティ検証が手抜きされているのはいただけない。 映像はテレビムービーの割に出来がいい。カメラはビデオではなく、映画用カメラを使用したのだろうか、色合いや奥行きなどがしっかりと映し出されていた。戦闘シーンやや間延びしてだらけた印象もあるが、航空機以外はリアルで、銃弾、爆薬類も十分。先に述べた戦闘配置などがもう少しリアルに描かれていればもっと良かったのだが。 登場する兵器類では米軍戦車としてスイス製のPz61戦車とカナダ製のグリズリー巡航戦車がそのまま登場するほか、アメリカ製M16自走四連装重機関銃が出てくる。ロケ地はラトビアということなので、こうした外国製兵器を所有していたのだろうか。対するドイツ少年兵たちは機関銃と小銃、対戦車パンツァーファウストで対抗する。 全般に名作「橋」のリメイクを意図したにしては、やや格落ちの感は否めないが、「橋」のもう一つの見方という点では楽しめた作品でもあった。興奮度★★沈痛度★★★★爽快度★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) ドイツのある町に都市部からの避難民を乗せたトラックが到着する。彼らは連合軍の爆撃で家を失った避難民で、町の各家に居候することとなる。その中に、6 年生のアルベルト・ムッツがおり、同年の女の子パウラの家に居候するととなる。学校の同級生には党幹部(大佐)を父に持つヴァルターがおり、彼は学校の女教師バウアーと肉体関係を持つ。 学校では国防軍負傷者収容のため体育館が使用され、臨戦態勢が顕著になっていく。パウラはプールで抱き合う女教師とヴァルターの姿を目撃してしまう。ヴァルターは父の権威をかさに悪事を働き、ムッツを無理に誘って近所の農家で子豚を盗む。だが、女教師との関係が警察にばれ、ヴァルターは警察で事情聴取を受けるも、父により解放。女教師は退職のうえ強制収容所送りされることに。 いよいよ戦局が悪化し、学校では16歳以上の少年に入隊志願が言い渡される。ヴァルター、ムッツらは喜んで志願し、16歳に満たない少年ジギーも志願する。学校からは7名の少年が国防軍に編入されることに。ただ、ヴァルターの父フォルスト大佐は息子を軍に送りたくないため、青年団への入隊を企図するが、ヴァルターはそれを無視する。ヴァルターはメイドのハンネを奴隷のように扱う父に反抗心を抱いていたのだ。また、子豚を盗んだ罪がばれ、巡査長に咎められ、ヴァルターは皮肉を言われる。 軍ではショーベック伍長が指導にあたることに。7名は訓練を受け始めるが、うちナポラ出身で訓練経験のあるエルンストがリーダーとなる。そんな中、ムッツはパウラに会いにキャンプを抜け出そうとするが、伍長に見つかってしまい引き戻される。そのときいよいよ米軍の最終配備が完了したの情報が入り、全軍出動となる。だが、指揮官の中尉は少年兵を実戦から逃がしてやるため、伍長に少年兵等を後方に移動させ家に帰すよう命じる。 伍長は少年兵を橋の警備に当たらせる。だが、伍長は大きなリュックを背負い、その場を離れる。彼は逃亡を画策しており、民間人の服を着たところで武装警察によって射殺されてしまう。命令や指揮がないまま少年等は橋に佇んでいるが、そのとき米軍機が飛来銃撃を受ける。ジギーは恐怖で地面に這いつくばってしまい、ヴァルターらの失笑を買う。次に米軍機が爆弾を投下したとき、ジギーだけが直立したままでいたため、ジギーは破片を受けて戦死する。友人の死に動揺した彼らだが、むしろ怒りで戦うことを決意し、賢いムッツをリーダーにする。 橋には負傷し退却する国防軍兵士が次々に通り過ぎていく。だが、誰も何も言わない。そしてドイツ軍将軍が通りかかると、将軍は少年等に橋の死守防御を命じる。少年等は将軍に言われたとおり陣地を構え防御体制に入る。機関銃を入手するため司令部に行くが、そこはもぬけの殻となっていた。 女教師は巡査長の尋問を受けていたが、隙を見て逃亡。その際にフォルスト大佐のユダヤ人アウシュヴィッツ送りの悪事ファイルをみつけて持ち出し、フォルスト大佐を脅す。ファイルが米軍に渡れば戦犯になるからだ。女教師はフォルスト大佐に少年等の除隊帰還を命じるよう頼むが、少年等はフォルスト大佐も女教師の言うことも聞かなかった。 ついに連合軍がやってくる。ヴァルターは戦車に対戦車ロケットを発射し撃破。激しい銃撃戦が始まる。一方橋には工兵隊が到着し爆破準備にかかる。将軍は橋を爆破するため少年等に時間稼ぎをさせようとしていたのだ。次の戦車が到着しヴァルターは勇敢にそれを撃破する。家に逃げ込んだヴァルターはそこで米兵と出会うが、格闘するも止めを刺すことなく逃げ戻る。 女教師はこんどは巡査長に少年等の戦闘をやめさせるよう頼むがこれも失敗する。米兵が侵入した家にはパウラがおり、パウラは彼らは少年だと言う。米軍指揮官は戦闘をやめ、兵のローゼンバイクに少年等の説得に向わせる。だが、少年らは彼を銃撃し、再び戦闘が再開してしまう。木の上に陣取った狙撃手ユルゲンは米軍の指揮官である軍曹を射殺。米軍は撤退を始める。だが、そのユルゲンも撃たれて木から落下。ムッツが助けに行くがユルゲンは死亡。ムッツも腕を撃たれる。さらに機関銃座にいたクラウスも戦死。恐怖におかしくなったカールも撃たれて死亡する。 残った3人はなんとか夜を過ごすが、朝になると米軍の姿はいなくなっていた。3人はいったん戦列を離れようとするが、その際にエルンストがパンツァーファウストを触って暴発させて死亡。ムッツとヴァルターは二人で橋に行くとそこには爆破しようとする工兵隊がいた。二人は仲間が死を持って守った橋を爆破することが許せず、銃で脅して工兵隊を帰還させる。その時に工兵隊に撃たれてヴァルターが死亡。残されたムッツは放心状態で橋に佇む。そこに女教師バウアーがやってきてヴァルターの遺体を見つける。その脇を米軍車両が次々と通り過ぎていく。ムッツはパウラの姿を見つけ抱き合うのだった。
2011年03月06日
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2008 イギリス・アメリカ 監督:マーク・ハーマン出演者: エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、アンバー・ビーティ、デヴィッド・シューリスほか95分 カラー THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS【25%OFF】[DVD] 縞模様のパジャマの少年 DVD検索「縞模様のパジャマの少年」を探す(楽天) 第二次世界大戦時、ナチスの設置したユダヤ人強制収容所における、ドイツ軍人の子供と収容されたユダヤ人少年の交流を描いたヒューマンドラマ。ジョン・ボインの小説「縞模様のパジャマの少年」の映画化で、小説自体はかなり泣けるらしい。だが、映画化された本作は衝撃的な結末の是非もあり、どちらかというと泣ける映画と言うよりはサスペンスフルな作品と言ったほうがいいかもしれない。 ユダヤ人強制収容所における虐殺(ホロコースト)は、今なおくすぶる根の深い問題だが、本作で扱ったホロコーストの位置づけはなかなか微妙だ。まず、本作が小説をベースにしたフィクションであることから、ホロコースト問題に創造を入れる危険性を内包している。ドイツ人にとってもユダヤ人にとっても余り過敏な対象だけに、一言一句に重みと責任が伴ってしまうのだ。従って本作にとって社会派風刺としての位置づけは極めて厳しいものとなる。 また、小説を忠実に描いたと見え、無垢なドイツ人少年のホロコーストに対する無知、ユダヤ人少年の収容所生活、少年の姉の愛の芽生えと右傾化、収容所長の父の葛藤、家庭に問題を抱えた親衛隊部下、ホロコーストに拒絶反応する母と祖母など、それぞれに奥深いエピソードがいくつも並べられる。これら一つ一つには史実の中で様々な事象や影響があって成り立った出来事が背景となっており、それだけで十分に映画化できそうなものでもある。だが、本作では時間の関係か、各エピソードに掘り込みがほとんどないので、実に薄っぺらな作りとなり、ホロコーストが間近にあるにも関わらず緊迫感、真実味がない。 以上の点から、本作は一見ホロコーストを扱った社会派戦争映画のようにも見えるが、むしろ奇想天外な顛末を楽しむサスペンスドラマなのではないかとさえ思う。ホロコーストはただ単にその素材に過ぎない。むしろ、無知でホロコーストについて何も知らない少年の視線というのであれば、徹底的にそれに特化してしまえば良かったような気がする。ドイツで起こっている事柄、父や家族が考えていることなどをもっとオブラートに包み、謎解きのような形で展開させれば、フィクションでもサスペンスドラマとして成り立ったかもしれない。そのあたりはかなり中途半端なぬるい感じは否めない。 さて、もう一つの問題はラストの衝撃的な顛末だ。正直驚きはあるのだが、ホロコーストを社会風刺的に描いたつもりならば、実に下品な結末という印象だ。それまで時代背景や状況説明の描写が浅く、のっぺりと流れてきた映画の流れを一気に昇華させたつもりだろうが、本作がフィクションであることを考えると、余りに恣意的な操作に思えてくるのだ。しかも、何とも稚拙で下品な表現なのか。多分小説ならば許されるのだろうが、映像は直接的に視聴者に語りかけるために、非リアリティと衝撃のバランスに不快感を感じるのだ。 また、全編英語と言うのも違和感がある。やはりドイツ語であってこそホロコーストの雰囲気を醸し出すのだろう。このあたり、英米で製作したホロコーストという点で、製作側に何か肝心の緊迫感が抜け落ちていたのではないかという印象を得た。オープニングをはじめ、叙情的な映像やカット割りには秀逸なものもあっただけに、誰に何を訴えかけるかといったあたりでもう少し練りこまれていれば・・・・。 登場する兵器はドラマ仕立てのためない。銃撃シーンもないし、虐殺などのグロい場面もほとんどない。軍装ではSS(武装親衛隊)パッチだった中佐(父)が収容所長に異動になった時点で収容所?パッチに変わっているのが細かい考証がなされていることを示唆する。 ロケ地はハンガリーのブダペストだそうで、旧ドイツ風のイメージが残されているのはさすが東欧なのだなと思わせる。ただ、映像はかなりきれいに映されているが、全般にスケール感はあまり感じられない。収容所などのセットを作るのに経費がかかったのだろうが、国土の広がりというイメージはあまりない。興奮度★★沈痛度★★★★★爽快度★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) ドイツのベルリン。無邪気な少年ブルーノたちが駆け抜けていくかたわら、ユダヤ人たちがドイツ兵に強制収用されている。ブルーノの父ラルフSS中佐はドイツ郊外の強制収容所長昇進異動のためお祝いパーティと引越しの準備を進める。ブルーノは友人と会えなくなるのが嫌だったが、母エルサ、姉グレーテル、お手伝いのマリアとともに引っ越すことに。パーティでは親ナチスの祖父がラルフを賞賛するが、祖母はそんなラルフに嫌悪感を抱いていた。 引越し先はガランとした建物で、親衛隊の部下が多数勤務している。友人もおらず、屋敷の外へ出れず、学校は週2回先生がやってくる退屈なものだった。ブルーノの部屋の窓からは農場のような建物が見え、大人子供がいるのが見えた。ブルーノはその子供たちと遊ぶことを望むが、彼等は一様に縞模様のパジャマを着、父も母も交流することを良しとしなかった。家のキッチンにも一人の老人ペヴェルが働いており、彼もパジャマを着ていた。冒険心豊かなブルーノは何とか外に出たいと思うが、ある日タイヤで作ったブランコで遊んでいて、農場の煙突から黒煙が出ているのを見ようとして落下。怪我はペヴェルが治療してくれた。母エルサはペヴェルにお礼を言う。次第に縞模様の人々は収容されたユダヤ人だとわかってくるが、ブルーノには何故なのか、何をしているのかがわからない。ブルーノは密かに屋敷を抜け出して収容所の鉄条網に行き、そこで同じ8歳のユダヤ人少年シュムールに出会う。シュムールに興味を持ったブルーノは食料を持っていったりと交流を深める。 そんな折、母エルサは部下のコトラー中尉から黒煙がユダヤ人を燃やしていることを聞き、ラルフに激怒する。次第に母エルサはラルフの行為に嫌悪感を抱くように。祖父が来たある日の晩餐でペヴェルがワインをこぼし、コトラー中尉はペヴェルに暴力を振るう。父ラルフはそれを停めようともしない。ブルーノとエルサは父の行為が正しいのかどうか不安感を抱く。姉グレーテルは次第に右傾化していく。 ある日、シュムールがグラス磨きのため屋敷にやってくる。ブルーノは話しかけお菓子を与えるが、そこにコトラー中尉がやってきて叱責。ブルーノはお菓子をあげたことを言えずに、シュムールは懲罰を受けてしまう。その後、収容所に行くもシュムールの姿はなかった。 コトラー中尉は晩餐の際に彼の父が文学者でスイスに亡命したことを漏らしてしまい、ラルフは報告をしなかった罰でコトラーを前線に送ってしまう。また、ベルリンが爆撃を受け、祖母が死亡する。 母エルサはこの地にいることを拒否し、子供たちと別の場所にいくことに。ようやくシュムールと仲直りしたブルーノは最後に、収容所内でいなくなったシュムールの父を一緒に探すことにする。シュムールの用意したパジャマに着替え、穴を掘って収容所内に入るが、突然集合をかけられブルーノはシュムールたちと一緒にガス室に押し込まれてしまう。 引越しのためブルーノを探す母と姉は父ラルフにも報告。兵たちとともにブルーノを探すと、鉄条網にブルーノの衣服を発見。ラルフは収容所内を探すが、そのときガス室にはガスが注入された後だった。
2011年02月22日
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2011 東宝 監督:平山秀幸出演者: 竹野内豊、唐沢寿明、山田孝之、井上真央、中嶋朋子、ショーン・マクゴーウァンほか128分 カラー DVD検索「太平洋の奇跡」を探す(楽天) 第二次世界大戦時のサイパン島を舞台に、終戦後もタッポーチョ山に篭り抗戦を続け、米軍から「フォックス」と呼ばれて恐れられた実在の陸軍大場栄大尉をモデルにした戦争ドラマ。原作はドン・ジョーンズの「タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日」で、これをもとに西岡琢也が脚本化し、平山秀幸が監督を務めた。 平山監督は「学校の怪談」などを手がけた監督で、正直言って本作のような映画を作るとは思ってもみなかったが、良い意味で期待を裏切られた。もともと原作はハリウッド映画化が以前から噂されていたのだが、本作は日本映画とハリウッド映画の良いところを取ったような、新しい戦争邦画の誕生を予感させた。雰囲気的にはクリント・イーストウッドの「硫黄島からの手紙」と似ているが、より日本人の感情や感覚に沿った出来栄えで、日本人にとっても外国人にとっても十分理解できる作品となったのではないだろうか。 なお、本作は大場栄大尉が多くの日本兵や民間人を救ったという美談英雄的なPRがなされていたが、そういうものではなく、むしろ名も無き日本兵、民間人、米兵も含めた、戦争に翻弄された苦悩や無念さを如実に表わしたものと言った方が良いだろう。 サイパン島は日本軍にとって太平洋防衛の重要な拠点で、歩兵第43師団が主力として防衛にあたっていた。1944年6月に米軍が上陸戦を開始し、物量に勝る米軍はアスリート飛行場を占領し、7月の日本兵による総攻撃玉砕をもってほぼサイパン島は陥落している。その後、島中央部のタッポーチョ山に篭る大場栄大尉ら少数の日本兵や民間人らが投降を拒み、1945年11月になって上官からの投降命令をもって47名の日本兵が下山している。サイパン島では米軍投降を拒んだ民間人が崖から飛び降りた、バンザイクリフも良く知られている。 大場栄大尉は歩兵第29師団歩兵第18連隊に所属の衛生隊大尉で、第18連隊の主力大半はサイパン上陸時に撃沈戦死し、残りはグアム島に転進していたが、衛生隊だけがサイパン島に残っていたらしい。その前には中隊長も経験していたようなので、当時は大隊長格だったと思われる。また、映画中に登場する日本兵には歩兵第43師団のほか、海軍横須賀陸戦隊や戦車第9連隊と思しき姿もみえる。 米軍側は第2海兵師団、第4海兵師団、第27歩兵師団が主力となって上陸しているが、本作中では第2海兵師団の第6海兵連隊所属の情報将校の大尉が主役となっている。 本作は原作段階から登場人物等の設定に若干脚色がなされており、大場大尉以外の登場人物は実名で登場するものの、完全にノンフィクショという訳でもないらしい。様々なエピソードも、多くは大場大尉等への取材で実際にあった出来事をモデルにしているようだが、細部についてはやはり脚色がなされているそうだ。原作を読んだ大場大尉自身も、若干美化されすぎている点に違和感をもったとのこと。このあたり、史実に沿っていればもっと良かったのだが、なかなか日本側の史実を正しくひも解くことは難しいかもしれない。 ストーリーは、日本軍(大場大尉)、日本民間人、米海兵隊の3視点で主に展開する。米兵は英語で話し、公平な視点で描かれているのが良い。現実の善悪、優劣を語るのはなかなか難しい問題ではあるが、米兵役に親日的人物を置いたのが効を奏したと思われる。エピソード類も角が立たず、かといって平坦でもない、なかなか微妙なスタンスで描かれ、悲壮感や憎悪心を強調させすぎないのが良い。 また、各エピソードのつながりが効果的だった。短かすぎず、ダレすぎず、三者の関係が次々に展開し、最後まで画面に食いつくことができた。 役者陣がやや肉付きがいいのはちょっと違和感あるし、民間看護師の井上真央ちゃんが美人すぎるのも何だが(笑)、まあそれは大目に見て、時代考証はかなり良くできていると感じた。軍装や陸海軍の敬礼などもきちんとしている。弾薬も食料もなく・・・という悲惨な史実が良く言われ、バンザイ突撃時の豊富な武器弾薬に違和感を覚える向きもあろうが、突撃時は日本軍にはまだ相応の弾薬類が備蓄されていたのでおかしくはない。逆に1年ちかくの潜伏を続け、民間人を収容所に送った後のわずかな映像シーンこそ、武器弾薬に乏しい状況を見事に描いていたことに感動した。さらにこの頃、米軍は「翻弄」されていたというよりは、かなり自由に傍観していたようで、大尉らが収容所に出入りできたり、医薬品類が持ち出されることをある意味許容している描写もなかなか現実的で良い。唐沢演じるごろつきの堀内一等兵はいささかやりすぎかとも思ったが、実際にモデルになる兵がいたのだとか。 また、教員出の大場大尉が意地でも投降しない感情を、現代の我々はなかなか理解し難いのだが、そのあたりの描写はもう少しあっても良かったかもしれない。米兵への憎悪もあっただろうが、それよりも忠誠に名を借りた「恥」の文化の結果であり、責任ある上官になればなるほど投降を許容できない無限ループの苦悩がそこにはある。上官の命令を絶対にしなければ生き残れないという極限の戦地共同体において、正当性などまるで無意味な運命共同意識こそが、彼らを突き動かした原動力で、その場での唯一の民意なのである。この一種危険な思考が、極限の中ではいつ生まれても不思議ではない、その不条理を戦後世代でも理解できるようになっていればもっと良かった。 ある意味、戦史や日本人を理解していなければ、この作品の裏にある重要なメッセージを汲み取れないかもしれない。私自身は多くをオブラートに包んだ本作の表現方法を高く評価するのだが、本作を単に娯楽やヒューマンドラマとして捉える人にとっては面白くないかもしれない。 本作で良かったのは日本映画にしては秀逸の戦闘シーン。CG等も多様しているだろうが、白兵戦のあたりは実に圧巻。音響の効果とあいまって、バンザイ突撃の恐ろしさ、そして悲惨さが見事に表現された。爆薬使用量も日本映画にしては多いほうで、このあたりでリアル感を十分感じることができた。航空機類は CG。願わくば、日米戦車戦や米軍による洞窟掃討戦の悲惨さが描かれていれば良かったが、そこまで入れると作品が重くなりすぎたかも。 繰り返すが、本作は名も無き兵や民間人の無念さ、悲痛な叫びを表現したものとして秀作であり、押しつけがましい言葉や表現の羅列ではなく、全体の流れの中から自然にそれを感じ取れるのが良い。ラストシーンで大場大尉が「私はこの島で褒められるようなことは1つもしていない」という台詞がそれを一層感じさせた。彼自身が戦争という狂気に翻弄された身であり、それまでに失われた幾多の命への後悔と無念の気持ちがあふれているのだ。 是非視聴者には、日本映画ならではのストレートな表現ではない、本作の裏に込められた無名戦士、民間人の心を拾い上げて欲しいと思う。様々な戦史書などをひも解き、そこに描かれた悲しみや苦しみを、本作の裏側に見出すことも可能な作品として、高く評価したい。邦画ゆえ、若干評価が甘めだが(笑)、日本人にとっては後世に語り継いでいく意味でも、貴重な作品となったと思う。興奮度★★★★★沈痛度★★★★爽快度★★★★感涙度★★★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1944年6月サイパン島を守備する日本軍に対し、アメリカ軍が総攻撃上陸を敢行する。島は艦砲射撃等で破壊され、上陸した米軍の脇を非難する民間人の列が歩いていく。そんな中、新たに米海兵隊に配属された情報将校ハーマン・ルイス大尉は司令部に向うジープで、日本人を馬鹿にする運転兵に日本人を軽視しないよう叱責する。大尉はかつて2年間日本に留学した経験があり、日本語を話し、日本人の決して降伏しない精神を理解していた。司令部では上官のボラード大佐がおり、日本兵のしぶとさについて大尉は将棋の駒を用いて忠誠心を解くのだった。 日本軍は水際作戦で大打撃を受け、第43師団の斎藤中将以下はサイパン島放棄の命令を受けて、玉砕総攻撃を決意する。中将以下4名の将官は自決し、翌日から陸軍兵によって、歩けないものは自決し、バンザイ突撃が決定される。第18連隊の大場栄大尉も部下をひきつれて南部に移動し、総攻撃の時を待つ。いよいよ総攻撃が敢行され、日本兵は全滅する。 大場大尉は爆風を受けて気を失っていたが生還し、ごろつき風の堀内一等兵(後にサイパンタイガーと呼ばれる)等と合流してタッポーチョ山に隠れる。その途中孤児となった赤ん坊を見つけ、米軍に保護してもらうため軒先に帯を巻いて目印にする。運よくルイス大尉らが発見し孤児は保護された。さらに、別に逃げていた木谷曹長らと合流し、アメリカ兵を倒すためにゲリラ戦を開始し始める。 アメリカ海兵隊は山に篭る日本軍の残党を掃討しようとするが、霧や地形を利用した大場大尉らの仕掛けた罠で損害をこうむる。ルイス大尉の部下の軍曹も負傷し、死の間際に大場大尉を「フォックス」だと言い残す。大場大尉はさらに山中で金原海軍少尉、永田憲兵隊少尉らが率いる民間人約200人に野営地に出会う。そこで民間の大城一雄や看護師の青野千恵子らに警護を頼まれるが、米兵を倒すのが役目だとして去っていく。だが、直後野営地は米軍の砲撃で大打撃を受ける。その姿を見て大場大尉は民間人らを守るのが使命と感じる。 大場大尉は民間人らを3つの野営地に分散させるが、次第に米軍の偵察が迫ってくる。そこで、ジャングルの崖の上に隠れることとするが、老婆を抱える奥野春子らは隠れることができず捕虜となり米軍収容所に入る。そこで、ルイス大尉は奥野春子からフォックスが大場大尉であることを知る。ルイス大尉はいつまでもたって完全支配できぬことにいらだつ大佐を説得し、ビラや広報活動で日本兵の投降を呼びかけることにする。 焼け野原となった東京の写真ビラに兵や民間人は動揺し、真偽を確かめるため大場大尉は米軍収容所に潜入する。そこで、米軍に協力した民間人元木末吉から真実らしいことを聞かされ、投降を求められるが、大尉は投降を良しとしなかった。また、山中に娘と息子がいることを知った、収容所の民間人馬場明夫が山中に投降を呼びかけに来るが、山の兵らはそれを追い返してしまう。 山中に篭る大場大尉ら民間人は次第に食料、医薬品が欠乏してくる。いらだつ看護師の青野千恵子は堀内一等兵に頼んで、収容所に忍び込む。一方大場大尉も収容所の元木と連絡し、医薬品を調達しようとしていた。その時、堀内一等兵が米兵に気付いて銃を乱射し、堀内一等兵らが戦死し、看護師の青野も捕らえられてしまう。 さらに時が流れ、1945年8月15日終戦を迎える。しかし、大場大尉らはそれを信じようとしなかったが、疲弊する民間人の姿に民間人だけの投降を決意する。民間人らは山をおり、収容所に入る。 山に篭り疲弊する大場大尉らだが、民間人元木の取り持ちでルイス大尉と面談することに。そこで、 に恨みを持つ木谷曹長が元木を射殺してしまうが、大場大尉は上官の命令であれば投降するとルイス大尉に申し出る。そして、天羽少将の投降命令が届き、1945年12月1日、大場大尉は投降を決意し、軍装も新たに行進してアメリカ軍に下るのだった。
2011年02月19日
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今、フジテレビ系のアンビリバボー見てましたら、何やら戦争ものが・・・どうやらフォックスと呼ばれた男、大場栄大尉夫婦の手紙のやり取りの感動秘話が紹介されていました。まあ、それは良い話で良かったんですけど・・・映像や史実が結構めちゃくちゃ(笑)。最初ほかの事しながら見てたんで、誰の話かわからなかったんですが、日中戦争に赤紙召集で出征していくシーンが二等兵の恰好で・・・それなのに、戦闘で負傷したシーンで「中隊長殿」とか言われるんで????と思ってよく見たら大場大尉の話でした(笑)。サイパン島のシーンもずっと一等兵の襟章だし、帰国後の軍服もえらく古い時代ぽいし・・・。まあ、適当に作ったとはいえねえ、びっくりしますよ(笑)。しかも、米軍に投降するシーンでは、上官からの命令ではなく、捕虜の呼びかけで投降を決心したことになってるし、いま他局(日本テレビ)系で、もろ大場大尉の映画やってるんだから、もうちょっとしっかり作った方が良かったんじゃないかな(笑)。まあ、これが日テレなら大チョンボだけど、他局だからまあいいのか(笑)。映画レビューは鋭意製作中です。 太平洋の奇跡 (小学館文庫) (文庫) / 大石直紀
2011年02月17日
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太平洋の奇跡、いい映画でしたが、評価は結構二分されているようで・・・わからん人にはわからんのかな、良さが。まあ、とりあえず、レビュー書くのに原作読んどかなくてはと購入しました。【送料無料】タッポーチョ太平洋の奇跡どうも登場人物はこの原作からきているようですね。史記ではなく小説になっていますので、映画自体はある程度フィクションとなっているようですね。これから全部読んでみます。
2011年02月14日
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早速初日に見てきました。サイパン島で最後まで抗戦し、民間人を含め兵の命を救ったという大場栄大尉の話です。 いやあ、素晴らしい出来でした。これが邦画かというくらい、これまでの戦争系邦画とは一線を画するものでした。あまりの出来の良さにレビューを書くのはしばらくかかりそうです(笑)。 もともとハリウッド映画予定もあったそうで、映画的にはハリウッド的な雰囲気もあって、それが邦画の人情型ベタ系とあいまった非の打ちどころないものとなったようです。戦闘シーンも邦画とは思えないほど良かったし、ストーリーの展開や、ちょっとしたハリウッド的ユニークさもあり、もちろん日本人ならではの感涙シーンもほどほどに。アメリカ海兵隊、日本兵、民間人ともに公平に描かれ、米人は英語字幕というこだわりも良かった。あえて言うなら、日本兵の性格づけの掘り下げはあまり深くないので、その分感涙度が少なめだったかもしれませんが、本作においてはそれで良かったかも。 たぶん、戦争映画の中で私のベスト3に入る出来といってもいいでしょう。主人公以外の登場人物がどこまで史実に沿っているかは微妙ですが、その点を除いてもほぼ欠点を探すことが不可能な出来だったと言っていいでしょう。 なお、本作はプレレビューなどでも、大場大尉の武勇伝的なイメージが強いですが、むしろそういうものではなく、日本兵、民間人、米兵も含めた不条理に翻弄された人間の悲痛なうめき声を描写したものと言えます。私的には戦場で散った名もなき兵士や民間人の無念の気持ちをいかに拾い上げるかが、戦争映画フリークとしての主テーマなので、まさにそれに沿った素晴らしいものでした。 間違いなく★5つの最高作です 本当は一緒に誰かと見に行って、感動を分かち合いたかったところです(泣)寂しい・・・。 とりあえず、興奮さめやらないので、今日はここまで。久しぶりに何回も見るかもしれません(笑)。【送料無料】太平洋の奇跡【送料無料】タッポーチョ太平洋の奇跡《送料無料》加古(音楽)/太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- オリジナル・サウンドトラック(CD)
2011年02月11日
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2009 ドイツ 監督:ランスロ・フォン・ナッソ出演者: マックス・フォン・プーフェンドルフ、テクラ・ルーテン、マティアス・ハービッヒほか99分 カラー CEASEFIRE/WAFFENSTILLSTAND【23%OFF!】エネミーズ・ゾーン(DVD) DVD検索「エネミーズ・ゾーン」を探す(楽天) イラク戦争におけるバグダッド陥落後の2004年、米軍による誤爆で民間人殺害が起きているファルージャに、ドイツ人ジャーナリストと、アメリカ人女性医師が潜入するサスペンス風ヒューマンドラマ。いかにもドイツ映画らしいのっぺりとした出来具合で、いわゆる米軍のファルージャ誤爆、民間人殺害事件を題材にした社会派ドラマを企図したと思われるのだが、出来具合はあまり良くない。正義感や人情が空虚に空回りし、薄っぺらいヒューマンドラマなので、むしろサスペンス的に見た方がましかもしれない。 米軍によるファルージャ誤爆、民間人殺害事件は、マスコミによって米軍の失態が暴露されたが、その間ファルージャはイスラム武装勢力の支配下となる。民間人負傷者が続出するファルージャに医薬品を届けようとする女性医師とファルージャの実態をスクープしたいドイツ人ジャーナリストが危険を顧みずファルージャに潜入するのだが、いま一つ主題が見えてこない。米軍批判なのか、ジャーナリストの活躍なのか、女性医師の博愛なのかが中途半端に描かれ、互いの印象を消しあってしまい、映画に重みがない。 さらに、何よりも設定や状況描写が適当で、リアリティが感じられないのもいただけない。登場人物それぞれの立場やここに至るまでの背景がよくわからないので、思い入れができないし、行動を起こすための契機も理解しがたい。アメリカ人女性医師が危険を冒してまでファルージャに薬を届けたい気持ちはわかるが、彼女の選択した手段はあまりに無謀すぎる。また、ドイツ人ジャーナリストもあまりに無謀で、本当に無知蒙昧としか印象が残らない。ひどい事態に巻き込まれるのも自業自得としか思えないし、スクープのために手段を選らばない姿はまさにマスコミの傲慢さを露呈するのみ。確かに民間人を救おうとするシーンもあることはあるのだが、それ以上にマスコミのエゴが出すぎていて、不快感の方が強い。結局この映画は何を言いたかったのだろうか、と見終わった後にすっきり感がない。 ロケはドイツとモロッコだそうだ。イラク市街地はたぶんモロッコロケだろうが、まあまあの雰囲気をだしている。ただ、武装勢力との銃撃戦シーンはあまり迫力がなく、米軍も含めてエキストラ数が少なく、ややしょぼい印象。また、一行の乗ったバンが武装勢力の銃弾でハチの巣になるのだが、負傷者がほとんど出ないというのも違和感あり。当然兵器類は銃器以外は皆無だ。 全般に面白みもインパクトも、そして社会風刺性もない、のっぺりとした映画であった。従って、見終わった後の感動も爽快感もないし、得るものもない。まあ、イラク国内では実際にこうしたジャーナリストたちが活動し、人質になったり殺害されたりしているので、彼らの活動の一端を垣間見るという点では興味深いとも言えるのだが。興奮度★★沈痛度★★★爽快度★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 2003年4月バグダッドが陥落し、3週間後ファルージャで米軍がデモ隊に発砲し、女性や子供を含む15人が死亡。その後ファルージャはスンニ派の支配下となり、2004年3月には4人の米民間人が射殺され遺体が吊るされる事件が世界に発信される。 4月に入り、米軍はテロ組織掃討戦を開始するが、戦闘により多くの民間人の命が失われていく。イラク人でファルージャに病院を持つアラン医師と米人女性医師キムはファルージャに医薬品を届けようと試みる。だが、ファルージャはテロ組織の支配下で危険極まりない前線だった。米軍は許可を出さないが、キムはひそかに朝5時まで停戦協定が結ばれたことを知り、勝手にファルージャへ潜入することを決意する。その際に知り合いのドイツ人ジャーナリストのオリバーを誘い、オリバーは特ダネを得るために、乗り気でないカメラマンのラルフを無理に誘って便乗する。 一行はイラク人運転手フサンの運転するバンに乗ってファルージャへ移動する。正式な通行許可を得ていないため、高速を避け下道を走っていく。片道80kmもあり急がなければ朝までに帰ってこれない。途中でラルフは狙撃兵の姿を見て恐れ、羊の群れを強引に突っ込ませる。そのため車の調子がおかしくなり、途中のガソリンスタンドに寄る。そこには避難したイラク人が多数おり、オリバーらは撮影を開始するが、気のたったイラク人たちは撮影料を要求する。また、途中から後ろを謎の車に追跡される。危険を感じた一行だが、米軍の検問所にたどり着き助かる。検問所はメイベリー准尉が指揮官だが、許可証を持たない一行に、行くのは勝手だが、我々は自分たちで手いっぱいであり、助ける余裕はないと通告する。これを聞き、ラルフは行くのをやめようというが、キムらは強行する。 夜になり、案内役のサイードの車と合流。だが、市街地で一行の車はテロ組織の銃撃を受ける。車は被弾し、オリバーは足を撃たれる。逃げ込んだ民家でオリバーの手当てをし、車の修理をしようとするがなかなかうまくいかない。オリバーが隣の民家へ行くとそこには銃を持った男がいた。男の息子は武装勢力に参加していたが、修理を手伝ってくれ、修理が完了する。だが、男とフサムは車でいなくなってしまう。逃げたと感じたオリバーらは徒歩でアランの病院に行くことを決意。夜間外出禁止令の出ている夜を歩きはじめるが、そこにフサムらが戻ってくる。フサムの従妹を連れにいっただけだった。一行はアランの病院に到着する。だがそこは爆破され、残っていた医師も死亡したり重傷となっていた。米軍の爆撃により被害を受けたのだった。医薬品を運び込んだアランは治療を開始し、キムに危険なので早く戻れと言う。キムは子供や重症患者を車に乗せてバグダッドに戻ることを決意。オリバーもその手助けをし、その間ラルフが怪我をした医師エリックに起こった出来事を取材する。 車に負傷者を乗せて帰路につく。だが、途中で武装組織に出会い、銃を向けられる。ラルフの機転で武装勢力からなんとか逃げるが、その際にラルフが撃たれて死亡してしまう。バグダッドについたオリバーは落胆にくれる。ラルフが最後にとった取材ビデオだけが残されたのだった。
2011年01月25日
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2007 イギリス 監督:ニック・ブルームフィールド出演者:エリオット・ルイス、ファラー・フレイエ、ヤスミン・ハナニ、アンドリュー・マクラレンほか93分 カラー Battle for Hadithaハート・アタッカー(DVD) ◆20%OFF! DVD検索「ハート・アタッカー」を探す(楽天) イラク戦後のイラクにおけるアメリカ海兵隊とテロリスト、イラク市民のすれ違いを描いた、ドキュメント風ヒューマンドラマ。実際に起こったハディサのイラク市民殺害事件を題材にしており、米海兵隊員、テロリスト、イラク市民らの視点で、複数のエピソードを描いていく。全般的にストーリーもしっかりしているのだが、冒頭からドキュメンタリー的な雰囲気が漂っており、登場人物が実在の人物のような妙なリアル感を感じる。というのも、どうやら本作ではおおまかなストーリーは設定されているものの、各役者はかなり自由にアドリブ演技を行っているようで、それが芝居くさくないリアリティに繋がっているようだ。 監督、役者ともに無名に近く、それほど多くの資金は投入されていないようだが、出来としてはなかなか良い。 2003年のイラク戦争後のイラクでは、反乱分子やテロリストが数多く残っており、新イラク政府樹立後もアメリカ軍をはじめ外国の軍隊が治安維持のために駐留している。本作は駐留していたアメリカ海兵隊が2005年11月19日、路肩爆弾で1名の兵を失い、犯人捜索の過程で無抵抗のイラク市民24人を殺害したとされるハディサ事件を題材にしている。この事件では米兵8人が訴追されている。本作では、登場人物の一部や細かな設定、会話は若干フィクションとなっているようだが、おおまかな流れで事実に基づいているようだ。 本作は非常に奥の深い問題点がいくつも練りこまれており、映像上は比較的淡々と進んでいくのだが、視聴後には思い感情を抱かざるを得ない。それは非日常の世界の不条理で、米海兵隊員にとっては、本国の生活や家族になんら関係のない異国の地で恐怖に耐え、命を削らなければならない不条理である。特に若い兵士にとってはイラクの存在も、自身が命を掛けなければならない理由も見つけることができないのだ。 一方、イラク国民にとっては、自国の地を他民族に侵略された屈辱感と、戦闘に巻き込まれ家族を失ったやり場のない怒りなのである。海兵隊員とテロリストの間に挟まれ、自身が生き延びるための究極の選択を迫られ、決断しなければならない不条理である。これらは全て、ボタンの掛け違いから生じた不条理であり、映像を見る冷静な我々からすれば解決の糸口はあるようにも思えるが、やはり非日常の世界ではままあることなのだと痛感させられる。 また本作で描かれたのは、怒りや憎しみからは何も生まれてこないという事実で、感情の増幅が紛争や殺人を引き起こすのだと言うテーゼでもある。命の大事さは冷静ならば万人が重々承知しているはずなのだが、こうした戦争や紛争ともなると、無感情に人を殺すことができるようになってしまうのである。人間の心の箍をはずす一線はどこにあるのだろうか。ただ単に、戦争は嫌だと言う感情だけでなく、心の箍がはずれそうになる時、我々はどのように対処できるのか、深く考えさせられる。 ロケ地はヨルダンで行われたようで、比較的良く雰囲気が出ていた。全般にコンパクトなエピソード構成なのでスケール感はあまりないが、カメラワークも映像も上出来。 登場する兵器類は米軍のハンヴィーが数台とヘリコプターのUH-1イロコイ程度。銃撃戦シーンは迫力があって良くできているし、道路わきの爆弾炸裂シーンも非常にリアルでインパクトがある。爆弾は携帯電話による遠隔起爆装置付きとなっている。なお、数回登場するモニター映像からの人物ピンポイント攻撃だが、無人攻撃機によるものか? 全般にややこじんまりとしてはいるが、ストーリー性、映像、戦闘シーンともに完成度は高いと言える。イラク戦争における米兵の葛藤を描いた作品が数多くある中で、イラク国民の目線も公平に取り上げたという点は特に評価できるだろう。ただ、本作はイラクにおける負の部分をことさらに強調した内容だけに、イラクにおいてはこのような米兵やイラク人ばかりではないであろうと思うと、やや陰鬱な気持ちになってしまったのが残念。興奮度★★★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) イラクに駐留する米海兵隊員ラミレス伍長らは、イラクの町ハディサ周辺の治安維持や検問任務についている。彼らは陽気な若者だが、極度の緊張は彼等の心をしだいに蝕んでいく。 町ではテロリスト集団のアルカイダがアメリカ寄りのイラク人を殺害している。市民は米兵にも親近感を抱けず、テロリストの恐怖にも怯えている。 イラク人の中年アフマドと青年のジャファーはトラックで郊外のアルカイダ拠点に向う。彼等は携帯電話による遠隔操作爆弾を貰い受け、実行するかわりに謝礼をもらう。彼等のトラックは米軍の検問所も切り抜けて、ハディサの町の道路に爆弾を埋め始める。 アフマドらが爆弾を埋めているすぐ脇の家にはヒバと夫のラシードの家がある。近所の子供たちもたくさんいる中、ヒバは夫のラシードに相談する。ラシードは父のワリードに相談し、ワリードはさらに長老に相談するも、長老は「祈れば神が助ける」というのみだった。女たちは米軍にもアルカイダにも協力できず、戦々恐々とする。さらにアフマドらは遠隔操作する隠れ場所を求めて、市民を銃で脅して退去させる。 午後5:20。ラミレス伍長らは反乱分子の爆弾工場の強行偵察に行く。1軒目は何もなかったが、2軒目で爆弾と不審な男たちを発見する。この時は道路の反対車線を通過し、爆発できなかった。 午後10:30。ヒバたちは割礼のパーティーを開催する。その帰り道、シャベルを持った男がピンポイント攻撃で誤爆される。 11月19日午前6:30。ラミレスらは検問所に食料を輸送することに。ラミレスらの3台のハンヴィーは爆弾の仕掛けられた道を通り、3台目が爆破され、新兵のカスバートが即死。TJ、ロバーツが重傷を負う。すぐさまラミレスらは応戦するが、アフマドらは悠々逃亡する。カスバートを殺され頭に血が上ったラミレスは通りかかったタクシーに乗っていた学生4人を射殺。さらに、町の中から一人の男が銃撃したために、ラミレスらは町にテロリストがいると判断し、掃討戦を開始する。ラミレスは以前の失敗から、女子供でも銃を撃ってくるため、容赦なく撃ち殺せと指示する。その結果、ハディサの町は殺戮の場と化していく。その様子をアフマドは撮影するが、こんなことになるなんて、と後悔し始める。だが、隣にいた長老は世界に米国の蛮行を認めさせるためだと言うのだった。長老はテロリストの片棒を担いでいたのだった。 ラミレスらは応援部隊の支援を受け、ヒバを探していたラシードを射殺。ヒバは夫の死体を発見しラミレスに憎悪の目を向ける。そこに上官のサンプソン大尉がやってきて、ラミレスの冷静な行動を賞賛し、軍曹昇格を言い渡す。だがラミレスは、市民を殺害した罪と、仲間を失った罪悪感で眠れない。 長老、アフマドらは生き残った少女サファをビデオ撮影し、米軍の蛮行を作り話も交えて語らせる。これが世界の報道機関に流れ、米軍のハディサでの蛮行が非難される。そして、ハディサの町の男たちは米軍憎しでテロリストとして戦うことを決起する。 米軍はアルカイダの爆発で市民に死者が出たと報じていたが、報道によってやむなくラミレス伍長らを告発する。褒めてくれた上官も手のひらを返すように、ラミレス伍長、マシューズ伍長、デル・クルーズ伍長、ロス軍曹の4人に殺人罪を言い渡すのだった。
2011年01月12日
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2009 ロシア 監督:アレクサンドル・ブラフスキー出演者: ミラ・ソルヴィノ、ガブリエル・バーン、アーミン・ミュラー・スターン、オルガ・ストルゥーヴァほか110分 カラー LENINGRAD【送料無料選択可!】レニングラード 900日の大包囲戦 / 洋画 DVD検索「レニングラード 900日の大包囲戦」を探す(楽天) 第二次世界大戦の独ソ戦の中で熾烈を極めたレニングラードの戦いにおける、レニングラード市民の姿を描いたヒューマンドラマ。初見、かの大作「レニングラード攻防戦 (1974,1977ソ)」を彷彿とさせるが、アクション性は低めで、より欧米的映画風のタッチを取り入れた、人情的な人間模様が展開される。ソヴィエト時代の芸術記録映画的な抒情的でアジテート満載のものではなく、普通のヒューマンドラマとなっているので、比較的見やすい。 レニングラードの戦いは、ドイツ軍の対ソヴィエトの主要攻撃地点として、指導者レーニンの名を掲げた都市レニングラードを対象にしたことにはじまる。 1941年の攻撃開始から約900日にわたってドイツ軍が町を包囲し、食料および武器の欠乏したレニングラードは飢餓の町と化したのだ。本作では食料不足に飢え、生きるために奔走する市民の姿をありありと描いている。そのリアルさは先のレニングラード攻防戦に勝るとも劣らない出来となっている。、 ストーリーは英国人女性記者とソビエト女性警官、さらに知人の家族と幼い子供たちとの交流がメインとなっている。レニングラードにおける飢餓状態の中で、いかに生き抜いていくかである。次第に減っていくパンの配給ややせ細っていく子供の姿は痛々しい。ロシア映画にしては政治的な匂いはあまり前面に出ず、むしろスターリンが滑稽に描かれるなど、ロシア映画の変化を感じさせる。ただ、アクション部分の割合が低いために、レニングラード包囲戦900日間という長い時間をあまり感じることができなかったのは残念。淡々とした時系列が浮き彫りになれば、より飢餓の苦しさが感じられただろう。 また、ヒューマンドラマ部分の出来は良くできた部類だが、スターリンやほかの指導者たち、ドイツ軍部の描写が手抜きで、歴史的な描写が適当なのもいただけない。中途半端に描くならば、むしろ描かずにヒューマンドラマの登場人物に特化しても良かったような気がする。 映像はレニングラード(サンクトペテルブルグ)で行われたそうで、ロケ地、エキストラともに立派な部類。破壊される建物や、氷結する湖などのスケール感は良い。会話もロシア語は当然として、ドイツ軍がドイツ語を話しているのは良い。 登場する兵器類はドイツ軍の戦車、装甲車が出てくるが、何かの改造と思しきIV号戦車風のほかは、MT-LB装甲兵員輸送車改造の装甲車程度。それも自走するだけであまりリアルな戦闘シーンはない。航空機では、地上駐機するドイツ軍機がYAK-18そのままの形で数機登場するほか、ソヴィエト軍では輸送機とLa-5風の機体が登場する。飛行するシーンは全てCGで、FW-190風のものが編隊を組んだり、レニングラードを攻撃する。ただ、戦闘機のFW- 190が地上にロシア人をみつけて急降下するシーンで、機銃掃射ではなく爆弾が破裂するのはちょっとおかしい。 全般に、そこそこの出来で、起承転結もしっかりしているので映画として楽しむことはできる。ただ、どうせレニングラードを描くのならばもう少しインパクトが欲しかったのも正直な感想だ。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1941年9月、レニングラード郊外では攻め込もうとするドイツ軍に瀕死のソヴィエト軍が抵抗している。前線の塹壕には中尉の部隊がいるが、もはや全滅必至で、女性警官ニーナが老人ら市民による義勇軍を連れて応援にやってくる。武器もままならない義勇軍たちはドイツ軍の戦車に突撃し、バタバタと撃ち倒れるもなんとか攻撃を食い止める。 レニングラードの市内はドイツ軍の包囲により食糧、弾薬が欠乏し、1日300gのパンの配給制となっている。ドイツ軍はなかなかレニングラードを攻め落とせないレープ将軍を非難するが、将軍は包囲による兵糧攻めに転じていく。現在はラドガ湖における船輸送が細々と行われ、ドイツ軍の攻撃で20隻のうち1隻がつく程度だが、湖が凍る冬季になれば氷上輸送が可能になってしまう可能性があった。 モスクワでは外国人記者たちのレニングラード取材が計画されていた。英国人女性記者ケイトは仲間のフィル、フィンリーらとレニングラード入りを熱望し、なんとかレニングラード入りを果たす。だが、ソヴィエトは飢餓状態の市民の姿を悟られたくなく、取材規制を敷く。ニーナも命令により、市民に芝居をうたせ、姿を見せないようにするが、ケイトと偶然出会う。ケイトはソヴィエト人記者ヴァルニク、コルネエフらと前線の取材に行くが、そこでドイツ軍の空襲に遭遇し、行方不明になってしまう。ニーナらの捜索でようやくケイトは発見されるも、外国人記者団の帰りの飛行機に間に合わなかった。ニーナはケイトを自宅に保護するが、警官上司はケイトが死亡したと報告してしまい、存在を消そうとする。そこでニーナは偽のスペイン人難民の証明書を偽造してケイトに持たせる。ニーナの家ではオペラ歌手や幼い男の子(チェス名人)ユーラ、妹のシーマとその母親ソーニャが住んでいた。ユーラは栄養失調のため歩くことすらままならない状態だった。パンの配給はますます減り、1日 150gになる。 市民の飢えはますますひどくなり、ドイツ軍の落したパラシュート爆弾に砂糖と書いてあったため、殺到するが爆弾は爆発する。ユーラの母親は生き残るため、ユーラと自分の食料を減らし、元気なシーマに分け与える。そんな姿を見たケイトはユーラにチョコをあげる。 イギリスに戻ったフィルはケイトの父親が白ロシア軍の将軍だったことを知る。ケイトはどうしても祖国ロシアに足を踏み入れたかったのだ。その情報はスターリンの耳にも入り、怒ったスターリンはケイトの捜索と逮捕を命じる。そのことを知ったニーナはケイトに怒るが、その素性を明かすことはしなかった。オペラ歌手はレニングラード脱出を計画する。ケイトは彼女の持っていた指輪を盗んで売り、食料にかえてユーラに与える。町では闇商人が横行し、盗みもひどくなる。ニーナは盗人を追い詰めるが、まだ幼い少年だった。だが抵抗したため殺害する。一方、攻めるドイツ軍パイロットのヴァルターは飢えに苦しむ市民への攻撃が嫌になり、自殺行為の攻撃で自爆する。 食糧事情は一層悪くなり、ケイトも幻想を見るようになる。さらにソーニャが餓死し、ユーラとシーマが残され、ケイトがその面倒をみるようになる。そんな中、レニングラードにやってきたコルエネフがケイトを発見し、飛行機での帰国を勧める。だがケイトはユーラらを置いていくことができず、断念する。町では人肉を食らう人々も出始める。 いよいよオルガ湖が凍結を始め、輸送ルート探索のため数隊の捜索隊が結成される。遭難者が多く出る中、ニーナの所属する隊がなんとかルートを発見。その功績から捜索隊の家族のレニングラード脱出が認められる。ニーナはケイトとユーラ、シーマを家族として脱出させることに。だが、脱出の日ユーラはもはや歩くことができなかった。ケイトもおぶることもできず、泣く泣くシーマだけを連れて輸送車に乗って脱出する。湖のほとりにはニーナから連絡を受けたフィルが待ち受けていた。だが、ケイトはユーラのことを捨て置けず、シーマをフィルに託し、またレニングラードに戻っていくのだった。 1965年のレニングラード。大きくなったユーラとシーマはフィルに再会する。そして1943年に死亡した恩人ニーナとケイト(ゴンザーレス・カテリナ・ガルツェブナ)の墓標を偲ぶのだった。
2011年01月06日
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2009 アメリカ 監督:ザッド・T・スミス出演者:コール・カーソン、エリック・リード、マイク・ブロッサー ほか105分 カラー everyman's war【送料無料】戦火の最前線 バルジの戦い/コール・カーソン[DVD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 DVD検索「戦火の最前線」を探す(楽天) 第二次世界大戦時のヨーロッパ戦線、バルジの戦いを背景にアメリカ陸軍第94師団の凄惨な戦いを描いた、シリアス系戦争映画。近年では久しぶりの本格派戦争映画だ。ただ、監督も役者も聞いたことのない無名が多く、そんなに資金をかけた大作ではないようだ。その割にと言っては何だが、良くできている部類だ。脚本がスミスという人物で、主人公もスミスという名のところから類推するに、ある程度実話に基づいた映画である可能性があり、確かに史実に沿った良くできた内容と言えるだろう。しかも、これまでにバルジの戦い(アルデンヌ攻勢)を題材にした映画は数多くある中で、第94師団という表舞台にほとんど登場しない部隊を主役に扱っているという点では、戦争史的にもミリタリー的にも大変興味深いものとなっている。 バルジの戦いは連合軍対ドイツ軍の最後の大攻防戦となった戦いで、1944年の12月から2月にかけてドイツ国境近くのフランス、ベルギー、ルクセンブルグの森林地帯で行われた。雪深い厳冬期のうえに防御線や補給線の伸びきった米英軍に対して、ドイツ軍が機甲師団も投入した最後の大攻勢に出たのだ。多くの米兵が死傷し捕虜となったが、パットン率いる機甲師団などの応援部隊によってなんとか撃退するのだ。映画としては「戦場 (1949米)」「攻撃(1956 米)」「バルジ大作戦(1965米)」「真夜中の戦場/クリスマスを贈ります(1992米)」「プライベート・ソルジャー(1998米)」「極寒激戦地アルデンヌ~西部戦線1944~(2003米)」「バンド・オブ・ブラザーズ(2001 米)」あたりが有名どころだが、いずれも第28師団、第90師団、第101空挺師団など当初に最前線にたった部隊を題材にしている。 本作の主役は第94師団で、バルジの戦い開始からやや遅れてフランス入りし、1945年の1月になって疲弊した第90師団らと交代している。最も激しい戦いはドイツ国内のジークフリート線に立て篭もるドイツ軍と、1月20日頃にオルショルツ(Orscholz)の村で攻防戦を繰り広げている。本作では明確な日付が出てこないが、クリスマス以後のことで、オルショルツ近辺のテッティンゲン(Tettingen)やネニッヒ(Nennig)、モーゼル (Mosel)といった地名が登場するので、ほぼこの攻防戦を題材にしていると考えてよいだろう。そういう意味ではかなり史実に沿っていると思われる。 ストーリーは第94師団に召集される1943年から始まり、1944年9月に英国に渡り、バルジの戦いに向かっていく。主人公のドン・スミスを中心に同じ小隊に属する兵隊たちの過酷な戦いが描かれる。やや主人公の邂逅録的なイメージもあるが、戦史的な流れもしっかりしているので悪くない。戦闘シーンの割合や描かれるエピソードの数はそう多くないため、やや薄っぺらい印象はあるが、無駄なシーンや会話も少なく、全体によくまとまっている。戦史を追っていくだけでなく、友情や人情、恋愛も適度に盛り込まれており、かなり盛りだくさんだ。ただ、ユダヤ人に対する描写だけは恣意的なものが感じられ、蛇足感があった。また、日付や戦闘シーンの背景描写がほとんど説明されない点もちょっと残念。戦史に詳しくないと、理解できない部分もあるかも。 役者は無名の割に、人物の性格づけにあった個性のある演技がなされ、スムーズだ。ドイツ兵の描写も出てくるが、きちんとドイツ語を話しているのも好感。 戦闘シーンは、やや資金がなかったのか派手さに欠けるのと、戦車などの大型兵器類が模型なのが残念。小銃の銃撃シーンはなかなかの出来だが、重火器類の火薬使用量がもう少しあれば、臨場感が増しただろう。 ロケはほとんどアメリカ国内で行われたようだが、バルジの森のイメージや寒さは良く出ている。軍装はやや小奇麗な感じはあるが、袖パッチはきちんと94師団のものをつけている。なお、主人公の所属する連隊は第301連隊と思われる。兄弟連隊には302と376連隊があり、本作中にもたびたび名称が登場している。一方、ドイツ軍側は110連隊の名称が出てくる。 登場する兵器類はさほど多くなく、小火器類以外ではドイツ軍のIV号戦車があるが、これは模型か改造車のようだ。 全般に程よくまとまった作品といえ、バンド・オブ・ブラザーズの続編といった雰囲気を感じた。もう少しインパクトがあっても良かったが、何といってもレアな師団を取り上げた作品としては大変貴重だといえる。興奮度★★★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) アメリカに住む老人ドン・スミスのもとに一通の手紙が届く。それは友人フラーが死亡したとの連絡で、スミスに対する最後の言葉は「3発以上は欲しかった」というものだった。 1943年、ヨーロッパ戦線に参加しようとするアメリカは徴兵を開始する。カンザス州では農夫の息子フラーが19歳で徴兵されていく。ニューヨークシティでは盗人のアンジェロ・ベネデトが公判中に罪の免除の変わりに軍への志願させられる。マサチューセッツ州のボストンではガソリンスタンドで働くドイツ系アメリカ人のハインリヒが、世間の偏見を目を浴び、自分はアメリカ人だと軍に志願する。ニューヨーク州サケッツハーバーではスタークス伍長が妻と子供を残して再び軍に従軍していく。オレゴン州フォレストグローブの木材工場に働くドン・スミスは、知り合った娘ドリーンとダンスパーティの約束をするが、仕事で遅れてしまう。自分のことを好きかどうか図りかねるスミスに、召集令状が来る。ドリーンは音楽大学に合格し、スミスは明確な告白もできずに出征していく。 9月になり、94師団第301連隊に配属された彼等は徴用船クイーンエリザベス号で英国に渡る。さらに10月にはフランスのサンナゼールに移動し、ドイツ軍との戦闘に直面していく。 当初はドイツ軍との戦いの緊張もなかったが、次第に最前線になるにつれ死傷者の姿や砲撃などで緊張感が高まる。ドイツ軍はノルマンディ以降の連合軍の攻勢により、5万人の兵が要塞に篭って応戦していた。94師団はこれに対峙し、スミスらは掩蔽壕に篭って防御線をひいている。ドイツ軍は夜間になると 88mm高射砲や迫撃砲による砲撃を加え、歩兵攻撃に出てくる。 この日もドイツ軍の攻撃は始まり、スミスらは反撃を開始する。しかし、ベネデトだけは抜け出してフランスレジスタンスのモリスのもとへ盗品の商売に出かけており、目の前でモリスが直撃段を受けて戦死する。敵の迫撃砲や沿岸砲から逃れるために、敵の観的手を狙撃するためスミスらは狙撃兵を探して攻撃する。観的手がやられたドイツ軍は撤退していく。 ある日、後方で休養ととったスタークス伍長とスミスは前線に戻っていくが、突然のドイツ軍の砲撃でスタークス伍長が戦死してしまう。スミスは遺体から家族の写真を見つける。スミスはずっとドリーンへの手紙を持ち続けているが、出す気にならない。自分のことを好きかどうかわからないうえに、戦争での嫌気がそうさせているのだ。 スミスはM中隊本部の中尉に呼び出される。そこには窃盗の容疑で捕まっているベネデトがおり、スミスは営倉入りされそうなベネデトを必要な人材と擁護して救ってやる。そして中尉から伍長昇進を言い渡される。しかし、スミスは昇進を重荷に思い、気が進まない。部隊はドイツ国境を突破した第376連隊の支援のため最前線に向うことに。 補充兵のハインリヒが加わり、スミス、フラー、ハインリヒ、ベネデトらは301連隊と交代のためにドイツ軍と対峙する丘の南端の砲床やポンプ室のそばに移動する。 ドイツ軍は連合軍部隊が交代中で防御が手薄な今、最後の攻勢を図ろうとする。ループレヒト少佐の連隊はモーゼルへ展開し、110連隊はテッティンゲン攻撃、戦車隊はネニッヒの南北に展開して包囲する計画だ。 その日の早朝、スミスは交代して前線の蛸壺に入る。しかしここにはバズーカ砲も無線もなく、敵戦車が来たらどうしようもないと思った。その不安が的中し、4時にドイツ軍IV号戦車が進撃を開始する。戦車の音を聞いたスミスは、ポンプ小屋にいる仲間に知らせようと壕をでるが、途中で戦車に乗ったドイツ兵に見つかる。銃撃をなんとか逃れポンプ室に向うが、その直後戦車の砲弾が炸裂する。爆風で吹き飛ばされたスミスはようやく身を起すが、周囲ではドイツ兵に味方が撃ち殺されていく。ベネデトやハインリヒは怪我をし、後方に移送されていく。ライリーは戦死し、フラーは土砂に下半身を埋められていた。掘り出そうとするスミスだが、掘り起こせず、スミスはフラーに拳銃を渡して後退する。必死に走るスミスだが、地雷原に足を踏み入れてしまう。そこを必死に突破するが、追ってきたドイツ兵に腕を撃たれてしまう。なんとかもがきながら逃げるスミスを、ドイツ兵は見逃してやる。 怪我から復帰したスミスは軍曹としてM中隊に戻る。その後も94師団は一度の失敗もなく快進撃し、1945年にはドイツ・チェコ国境に達する。そこでスミスは一人のドイツ人捕虜をみつけ移送するが、ドイツ人はヒトラーを嫌い、ユダヤ人の妻子が収容所送りになったとして、悲観し自殺してしまう。 戦後、本国に戻ったスミスは駅で一人のドイツ人と会う。自殺したドイツ人の手紙を読んでもらい、送り主に返したいと言うが、ドイツ人は送り主はもはやこの世にいないだろうというのだった。 その後、スミスは帰りを待っていたドリーンと結婚する。そして送らなかった手紙をみせるのだった。 戦後、ハインリヒはボストンで牧師となり、1970年交通事故死。ベネデトは戦死。フラーは捕虜となり、帰国後農場をついで2006年死去。
2010年12月27日
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2006 ロシア 監督:アンドレイ・カヴン出演者:ワレリー・トドロフスキー、イリヤ・ネレチン、ディミトリ・ツヴェルコフ ほか119分 カラー Okhota na Piranyu【25%OFF】[DVD] 怒りの戦場 CODE:PIRANAH DVD検索「怒りの戦場」を探す(楽天) ロシアの海軍特殊部隊員が極秘任務中に、未知のアクシデントに巻き込まれる、サスペンス系サバイバルアクション。主人公の一人が海軍特殊部隊員というだけで、特に戦争ものではない。湖底に沈んだ細菌兵器の処理を美女の化学生物学者とともに実施するが、謎の集団に囚われ、追われる身となるのだ。そこそこのアクション性と、サバイバルサスペンスがストーリーの中核となるが、リアリティ、サスペンス性ともに今一歩。 正直、ストーリー設定も、役柄設定もまるでありえないほど滑稽でチープなのだが、サバイバルシーンだけはまあまあ引き込まれる。狩られる者と狩る者の駆け引きが見どころで、いくつかの場面ではなかなか凝った演出もあるが、せっかく海軍特殊部隊員が主人公なのだからもっと破天荒なアクションがあっても良かったか。主人公らを捕える謎の集団は、はっきりとわからないが、辺境の地に隠れ住む逃亡者や原住民のようにも見える。いわゆるアメリカのアーミッシュやケイジャンのような感じか。同様に軍隊が謎の集団に襲撃される「サザン・コンフォート ブラボー小隊・恐怖の脱出(1981米)」にやや似た感じのする映画だった。 さて、ストーリー設定的には突っ込みどころが満載なのだが、それはまあ置いておいて、本作で興味深いのは、旧ソヴィエト時代にロシアが細菌化学兵器を作っていたという点。架空の設定とは言え、今ではロシア映画で堂々とこうしたことを言えるようになったのだと感心する。また、細菌研究所のあった場所が中国の領土に移管されるという設定にも驚き。どういった経緯なのか知らぬが、本作では中国を狡猾で気の許せない相手として悪意的に描いている。ロシアと中国の微妙な関係が垣間見える。ちなみに、舞台は「シャンタル地域」となっており、外満州にあるシャンタル諸島のことを指しているのだろうか。だとすれば、元は清国領だったところなので、中国領に返還するという設定なのかもしれない。 一つ一つのシーンは結構ぶつ切りで、ストーリー展開が見えにくい。練られていない脚本だけに、もう少しつながりのある編集がしてあると楽しめたのだが。登場人物の数はさほど多くなく、顔もわかりやすいのは良い。ただ、誰が敵で誰が味方かというのがサスペンス部分の売りなのだが、そこのどんでん返しなどが余り活かされていないのは残念なところ。アクションもそこそこなのだが、終盤の徒手格闘戦だけはひどい。滅茶苦茶強かったり、敵が不死身だったり・・・ (笑)。美女とのラブロマンスもあることはあるが、どうってことない。 唯一感心したのは主人公の海軍特殊部隊大佐が、武器として弓矢を自作するシーン。弓の部分はきちんと火であぶってしならせ、弦は髪の毛を撚って作る。矢の方は矢柄の中に重量を持たせるために石を詰めたり、フクロウの羽を利用したりと妙にリアル。こういうのをもっと満載してくれればサバイバル映画として面白かったかも。 登場する兵器類は小火器のほかヘリでMi-8ヒップが1機。 全体に安上がりのお手軽作品と言え、特に面白い部分があるわけでもないので、そんなにお勧めできるものでもない。興奮度★★沈痛度★★爽快度★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1974年ロシアのシャンタル近郊。ロシアの細菌兵器研究所で事故が起き、緊急拡散防止措置で研究所や研究員ごと湖底に水没してしまう。その中で唯一少年のみが生き残った。 現代。キリル・マズール海軍大佐はグラゴレフ将軍に呼び出される。キリル大佐は20年間海軍の特殊部隊にいた功績のある男で、今度のピラニア作戦の任務遂行者として指名されたのだ。作戦は中国領になる予定地にある湖底の細菌基地と細菌兵器の爆破だった。その臨時隊長として女性の化学生物学者のオリガ・フメルニツカヤがやってくる。二人は折り合いが悪く、喧嘩をしながらも目的地の湖に到着する。そして細菌兵器を爆破するも、手違いで失敗し二人は気絶してしまう。 二人は謎の集団に拉致される。そこはタイムスリップしたかのような古い村で、怪しい男女が住んでいた。二人は捕虜として幽閉されるが、そこには二人のほかにテノール、夫婦、ジマなどが捕えられていた。どうも村には細菌兵器をいくつか盗んで持っているようだった。 武器商人のイブラギムとプロホールは武器を集めていたが、壊れているプロホールはイブラギムやシュグトフを連れて「ゲーム」に出かける。そのゲームとはキリルらが捕まっている村のことで、プロホールは捕虜をわざと逃がして自分や村人たちで狩りをするのだ。イブラギムは狩りをするよりも細菌兵器を持って帰ろうとプロホールに進言するが、プロホールは聞き入れない。キリル、オリガ、テノール、夫婦、ジマらはヘリで移送され、逃亡を始める。追跡を始めるプロホールら。 キリルは特殊部隊の経験を生かして、追手を殺害し、銃を入手する。そしてあらかじめ渡されたナイフに仕込まれた発信機の存在に気付く。只者ではない対応にプロホールらは驚くが、俄然やる気をだしはじめる。ジマは囚人の脱走者で、初めはキリルの銃の弾を抜くなど好意的でない。しかし、逃亡中にテノールが殺され、次第に協力的になる。逃げていた一行だが、キリルは戦うことを決意する。弓を自作し、ジマと二人でプロホールの野営地に近づき、罠を仕掛ける。夫婦とオリガは待機していらが、小児科医の夫は妻ヴィカを残して一人で逃亡してしまう。キリルとジマは敵を倒していくが、途中でキリルを追いかけてきたオリガがプロホールの女と対決になる。オリガは間一髪のところで女を殺すが、これによりプロホールの怒りに火がつき、総動員で追手をかけることに。キリルらは奪った携帯で本部に連絡し、救援を求める。しかし、本部では研究所の存在が世間に知れることを恐れて対応を拒否。しかし、キリルの友人がなんとか手をまわして、シャンタルの内務省に救出を掛け合ってくれる。 逃げる途中でヴィカが転落して死亡。そして近くの村に逃げ込む。ジマは脱獄囚のために隠れ、キリルとオリガは村から電話をかけようとする。しかし、村には既に二人の賞金手配がかかっており、オリガはプロホールに捕まってしまう。キリルは村人を殺害し、ジマの助けを借りる。ジマはプロホールのもとに一緒行くが、ジマが裏切る。キリルはプロホールの手下を次々に殺害し、ジマも流れ弾で死亡する。いよいよプロホールのもとにたどり着くが、キリルは銃弾を受けて倒れる。そしてプロホールはオリガのいる小屋に火をつけ、細菌兵器を持って中国側へ逃げていく。 キリルは防弾チョッキのおかげで助かるが、カギのかかった小屋を開けられずにオリガを助けられなかった。怒りのキリルは到着した友人とともにプロホールの後を追う。列車に乗ったプロホールを追ってキリルは列車に飛び乗る。列車の中で二人の壮絶な戦いが始まる。痛みを失ったプロホールは不死身だったが、なんとかキリルはプロホールを殺すことに成功し、細菌兵器も奪取することができる。 列車から降りたキリルのもとに無事だったオリガが駆け寄ってくる。
2010年12月23日
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2008 コロンビア 監督:ラファエル・ララ出演者:アントニオ・メルラーノ、ギレルモ・イヴァン、モニカ・ゴメス ほか109分 カラー La milagrosaホステージ・オブ・エネミーライン(DVD) ◆20%OFF! DVD検索「ホステージ・オブ・エネミーライン」を探す(楽天) 1970年代から現在まで続く、南米のコロンビア内戦を描いた社会派アクションドラマ。コロンビア製作と言うだけでなく、監督も役者も全くの無名なレア作品だが、内容、映像ともに欧米映画に負けないだけの立派な作品である。コロンビアのテロ誘拐という深い闇の部分を社会派的に告発しつつ、登場する人物たちのヒューマニズムを切々と描いている。物語の完成度も高いが、現在もなお頻発するテロ誘拐殺人の実話に基づいた作品だけに、そのリアリティはおどろおどろしいものがある。これだけの作品が日本未公開だったのはもったいないレベルだ。 コロンビア内戦は1959年のキューバ革命(「チェ 28歳の革命(2008)」「チェ 39歳別れの手紙(2008)」で映画になっている)の影響を受け、アメリカが支援する政府に対し、共産主義革命を標榜するコロンビア革命軍がゲリラ戦を開始する。1980年代には政府軍と革命軍、さらには極右準軍組織がからむテロ合戦となり、数度の和平停戦を迎えるも、政府側のテロ組織壊滅作戦に対抗し、現在も左翼革命軍はテロ活動を続けている。 この泥試合の背景には、政治的・思想的対立もあるが、麻薬や武器などの非合法商売が影を落としており、単純な構造ではないようだ。このコロンビア革命軍は、一般人の身代金目的誘拐、殺人を頻繁に実行しており、今なお3,000人余りが人質になっているそうだ。現地日本人に対しても容赦なく行われ、 2003年には矢崎総業現地法人副社長が殺害された記憶は新しいところだ。また、革命軍はジリ貧の体制を維持するため、兵隊育成のために少年少女の拉致誘拐も多発させているといわれる。 本作はもちろんコロンビア政府の支援を受けて製作されてはいるが、決して政府側に肩入れしたものでもない。テロ行為に対する糾弾の意図は見えるが、革命軍に対する理解も示しているのが特徴的だ。従って、作品としてフェアな印象が強く、ストーリー全般のまとまりが良くなっている。 ストーリーは金持ちの子息が革命軍に誘拐され、山岳地を引き回された後、開放されるまでを描いたものだが、資本主義社会にどっぷり浸かる青年と、親を殺され革命軍に身を投じざるをえなかった姉弟の対比が衝撃的だ。登場人物はさほど多くはないが、登場する一人一人にきちんとした性格付けがなされ、それぞれがストーリーに重要な味付けをしている。そのため、登場人物に対する理解度が高まっているので、決して後味の良い映画ではないが、かといって重く沈みこむばかりでもない。 同時に人質となったフランス人や気が触れかかっている若い女性などはその良い例だろう。また、ゲリラのリーダー格も独特な存在感を醸し出していたが、残念だったのは、革命軍ゲリラに対する説明がやや足りないところか。リーダー格の言っている理想が、なじみのない日本人にはやや理解しにくいことと、革命軍の全体組織像が把握しにくいため、何ゆえ人質を獲っているのかがピンと来ないかも。 役者では人質青年役を演じたアントニオ・メルラーノが焦燥していく様子を好演。ただ、いつまでたってもふくよかなのは残念だったが(笑)。ゲリラ女性兵士を演じたモニカ・ゴメスはなかなかの豊満美女で、わずかながらヌードも披露。彼女の目の奥の冷諦感と情熱のアンバランスは魅惑的だ。 映像もしっかりしており、山岳地のロケーションも良い。戦闘シーンは銃撃戦がメインだが、なかなか派手目。戦争アクションとしても評価できる。ただ、ハンディカメラを多用しすぎて目がわまる。 登場する兵器にはコロンビア政府軍のものと思われるU-60ブラックホークヘリがちょっとだけ。一応政府軍の支援を受けていることがわかる。 全般にかなり完成度が高い映画だ。コロンビア製作ということで、やや色眼鏡で高評価となったが、メジャー系公開でもおかしくないレベル。内容がやや日本人に馴染み薄かなとも思うが、チェ・ゲバラの映画の延長として視聴するのも悪くないだろう。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1980年代のコロンビア。左翼組織のコロンビア革命軍や極右準軍組織のテロ行為が頻発していた。ボゴタの資産家の家では息子のエドワルド、友人のフリオが遊んでいたが、家の前で車が爆発するテロ事件を目撃する。一方、農村部では村に極右準軍が侵入し村民の殺害、レイプを行っていた。少女マイラも弟ラガルトの前で兵士に暴行され、左翼ゲリラのチノに助けられる。マイラらは父親も殺されたため、チノに連れられていく。 1999年のボゴタ。青年となったエドワルドは友人のフリオ、ボディガードのモンチョとともに旅行に出る。途中で政府軍の検問にあうが、実はそれはゲリラの偽装で、モンチョは射殺され、フリオとともに人質となってしまう。山岳にあるゲリラ拠点に向う途中で極右組織の襲撃にあい、フリオが死亡、エドワルドは恐怖の中ゲリラ基地に連行される。ゲリラリーダーのチノは共産革命を志す余り、資本家のエドワルドとその家族に冷酷だ。ビデオカメラの前で家族へ戦争税(金)の要求をさせる。また、ゲリラ部隊から逃亡しようとした同士も見せしめで射殺する。ゲリラの中には兵士となったマイラとラガルトの姿もあった。 人質にはフランス人のジャックもいた。ジャックはもう3年も捕らえられていると聞き、エドワルドは失望する。また、若い女性のカローラもやってくるが、気が触れており、体に触れると絶叫するのだった。ゲリラはアジトを転々とし、時折戦闘状態となる。エドワルドの両親は政府軍の大将に救出を求めるが、なかなかアジトが見つからずゲリラからの身代金要求を待つしか手がない。 時が経ち、エドワルドらはラガルトの妻と子のいる村に逗留することに。そこは安全でラガルトたちゲリラも酒を飲み宴に興じる。エドワルドはギターを弾かされ、次第にラガルトとも打ち解け始め、サッカーに興じる。また、マイラはチノの女だったが、エドワルドに興味を示しキスをする仲に。 そんな中、チノがやってくる。人質の交渉人が政府軍に情報を流し、夜襲を受けたというのだ。その人質を処刑すると言う。3人とも恐怖におびえる中、カローラが射殺される。エドワルドはすっかり恐怖におびえ、次第に気がおかしくなっていく。 ついに、政府軍の大将がゲリラの居所をつきとめ、政府軍はゲリラのアジトに急襲をかける。急を襲われたゲリラは奮戦するも次々に倒れていく。エドワルドも足を負傷し、倒れたところにチノがやってくる。チノはエドワルドを射殺しようとするが、ラガルトに制止される。チノはラガルトを射殺し、再びエドワルドを撃とうとするが、マイラによって射殺される。マイラはエドワルドを木陰に隠し、仲間とともに逃げていく。エドワルドは救出され、両親と再会を果たすことができるのだった。 コロンビアでは14,000人の少年少女が拉致され兵隊になっている。また多くの人が地雷で死亡し、20年間で7万人の市民が死亡している。これまでに13,000人が誘拐され、2008年現在 3,000人が誘拐されたままである。
2010年12月12日
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2010 若松プロ 監督:若松孝二出演者: 寺島しのぶ、大西信満、粕谷佳五、篠原勝之、河原さぶほか84分 カラー caterpillar DVD検索「キャタピラー」を探す(楽天) 中国戦線で四肢を失う負傷を負った軍人が軍神として凱旋し、その世話をする妻との奇妙な生活を描いたサスペンス風ドラマ。公式には出てこないが、ストーリーや設定等は江戸川乱歩のミステリー小説「芋虫」をネタにしていると思われ、題名のキャタピラーとは英語で芋虫のことからも関連性が伺われる。本作はパンフや解説等でも反戦社会風刺ドラマとして位置づけられてもいるようだが、私的な見解ではそうした反戦的風刺はあまり感じられず、むしろエログロ的サスペンスとして理解した方が良いと感じた。 監督の若松孝二は「実録・連合赤軍あさま山荘への道程」など特殊作で知られるが、全般に的確に社会風刺をした作品はなく、むしろ社会的間隙を縫った異端作品、悪い言い方をすればうけ狙い的な要素が強い。本作も結局はその域を脱しなかったという印象だ。 そもそも江戸川乱歩の「芋虫」はエログロ的倒錯をネタにしたサスペンス小説だったわけで、四肢を失った姿を芋虫と称し、芋虫のような姿で勲章を貰う滑稽さや、その姿で性交を行う異常さ、妻側の倒錯した欲望を描いたものだ。それを無理に反戦的企図を潜り込ませて映画化した時点で、本作には無理がある。 本作では勲章、中国人女性暴行、村人の全体主義意識など、反戦に結びつく事象を用意し、中国人暴行シーンや原爆投下シーンなどの記録映像を多用した。だが、これらは恣意的であることが見え見えで逆にしらけてしまううえ、エログロシーンとはまるで乖離していたのだ。 エログロシーンは、四肢のない人間がどのように人としての尊厳を維持していくかが嫌でも焦点となり、人権の発達した現代においては単なる滑稽では済まされない部分がある。先の乱歩の「芋虫」は単にサスペンスとして描いたもので、そこに正義や理屈は存在する必要はない。だが、本映画のように社会派を気取った場合、そこには正義や理屈が必要なのであり、それが例え戦争であっても軍神の四肢のない男を反戦のネタとして利用することに違和感を感じるのだ。つまり、笑うべきところで笑えない。余計に恣意的な反戦的メッセージが悪趣味に感じられてくるのだ。 また、エンディングの元ちとせの歌「死んだ女の子」挿入、反戦的浮浪人役の篠原勝之の起用も悪趣味のきわみ。全く必要ないだろう。 このように、本作は社会派反戦ドラマ部分とサスペンス的エログロ部分が、最後まで融合することなく終わっていった。むしろ、エログロ部分のインパクトが強すぎて、反戦メッセージ部分は余り印象に残らないままであった。エログロ部分に関して言えば、四肢を失った主人公久蔵と妻シゲ子の心情変化の描写はなかなか秀逸であったし、久蔵がおかしくなる理由を除けば、その終わらせ方も悪くなかった。変な反戦メッセージを挿入せずに、単にサスペンスとして構成しておけばもっと秀作になったかもしれない。 妻役は寺島しのぶでヌードを披露。演技も昭和的な妖艶さでなかなか良かったが、エッチシーンはややグロ調。寺島しのぶが上になるのは普通だが、夫が上になるシーンは変な興味ばかりが先行して不思議な感覚。エロさはさほどでもないが。 なお、主人公久蔵が四肢を失ったのは、終戦間際ということで、第二次大戦の中国戦線と思われるが、敵陣に先陣を切って突入したことによるようだ。中国戦線での爆弾三銃士的なイメージなのだろうか。出征時は一等兵の襟章をつけており、それなりに昇進したのち負傷して少尉に特進したものと思われる。 また、四肢を失った兵士を描いた作品としては「ジョニーは戦場に行った(1971米)」があるが、内容的にはかなり別物。勲章を題材にしたものに「勲章 (1954日本)」というものがあり、勲章に固執する旧軍人の姿を描いている。 特に反戦映画として評価できるものでもなく、サスペンス部分の良さが帳消しににもなっており、なんとも中途半端な作品だった。単にエログロを見たいだけにしても、思ったほどインパクトはないかも。興奮度★★★沈痛度★★★★爽快度★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) ある田舎の村で若い兵士の出征行進が進む。その隊列に逆行するように日本陸軍の乗用車が黒川家に入っていく。以前に出征し中国戦線で肉弾突撃の大功績を挙げるも、四肢を切断し顔におおやけどをおった黒河久蔵少尉の凱旋である。久蔵は3つもの勲章を授与されるも耳が聞こえにくく話すこともできない。妻のシゲ子は変わり果てた久蔵にショックを受ける。だが、周囲の久蔵の父、妹は久蔵を軍神としてたたえ、面倒を見てもらうことにする。久蔵の弟忠だけはシゲ子を支えようとする。村人たちもシゲ子に同情を抱きながらも軍神の久蔵に敬意を示すのだった。 寝ること、食べることしかできない久蔵にシゲ子は戸惑いを隠せないが、軍神の妻として立派にお世話をしようと努力する。だが、やはり話すことさえできない久蔵にいらだちも隠せないのだった。さらに、久蔵はシゲ子の服を引っ張って、夜の営みを要求する。シゲ子はそれに答えていくが、軍神として多少の頂きものはあるものの、自分が働き、今後将来久蔵の世話をしていくことに絶望感を感じるのだった。 次第にシゲ子は動けず話すことさえできない久蔵に虐待的行為をすることで優位感を感じるようになる。勲章をつけて村の中をリヤカーに乗せて久蔵を引き回す行為に、久蔵は見世物のようで不快感を示すが、シゲ子は楽しかったですねえと無視する。また、夜の営みも自分から「ご褒美」と称して強要するようになり、久蔵はたたなくなってしまう。そんな自分の行為にシゲ子は嫌気がさすこともあり、一生一緒に生きていきましょうと思い直すこともあった。 久蔵はシゲ子に営みを強要される際に、中国戦線で犯した中国女のことを思い出し、次第に気がおかしくなっていく。 そして終戦の日を迎える。田んぼで終戦を聞いたシゲ子は笑みを浮かべる。一方久蔵は地べたを這って、池に入水自殺を図るのだった。
2010年11月22日
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いよいよ来春2月11日に封切りとなります。太平洋の軌跡 フォックスと呼ばれた男サイパン島で多くの民間人を守りながらも戦い抜いた大場栄大尉の実話をもとにした感動作です。はて、どのような出来になるのでしょうか。主役は竹野内豊です。久しぶりに期待できそうな、楽しめそうな戦争邦画が登場です。原作はドン・ジョーンズの「OBA,THE LAST SAMURAI」だそうです。ラストサムライ・・・どこかで聞いたような名前ですが(笑)。なお、テーマ曲はバイオリンの宮本笑里さんが曲を弾いているようで、このへんも全体の出来にかかわってくるかな。★【初回予約のみ】ポストカード付き!(外付け)《送料無料》宮本笑里(vn)/for(通常盤)(初回仕様)(CD)
2010年11月21日
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2008 アメリカ 監督:マーク・C・アンドリュー出演者: ジェレミー・ディヴィス、ケン・ギャンブル、ザック・マッゴーワンほか96分 カラー SEAL TEAM VI【23%OFF!】エネミーズ・エリア 地獄の勇者たち(DVD) DVD検索「エネミーズ・エリア」を探す(楽天) 1991年の湾岸戦争を背景に、米国を中心とした多国籍軍による「砂漠の盾」作戦から「砂漠の嵐」作戦まで、米海軍特殊部隊シールズの活躍を中心に描いた戦争アクション。主人公となる米海軍特殊部隊シール6は砂漠の嵐作戦のピンポイント空爆のために、事前にイラク領内に潜入し、イラク軍陽動作戦のほか目標物の誘導支援任務を担う。戦争アクション映画としては面白い素材設定なのだが、何分ストーリー、映像ともにかなりの駄目駄目。せっかくの題材の割には、ほとんど見るべきものがないし、見終わった後に妙な脱力感が襲う。 1990年にクウェートに侵入したイラクに対し、アメリカ等の多国籍軍は隣国のサウジアラビアに集結。イラクのフセインに対し、撤退を迫っていたが、結局1991年1月の撤退期限を守らなかったために、空爆を中心とする武力行使「砂漠の嵐」作戦を実行することとなる。この空爆作戦は近代戦だけあって、民間人への被害を最小に防ぐため、軍事施設等へのピンポイント爆撃が実行された。空爆実施にあたっては、事前にイラク軍陽動や軍事施設攻撃目標のターゲットなどの必要性があり、実際にもシールズが活動を行っていたようだ。ちなみに、本作のシール6はシールズの中でも特に選抜された対テロリスト部隊 DEVGRU(チーム6)を指していると思われる。 まずストーリーだが、シリアスな雰囲気を前面に出している割に、設定や台詞がずさんすぎる。シール6の指揮官マック上等兵曹は軍法会議に何度もかけられるような無法者という二流の設定から始まって、イラク攻撃に際してシール6を投入するのに、上院議員まで巻き込んでのドタバタ騒ぎ。イラク潜入任務の内容もさっぱり不明だし、時系列もどうなっているのかよく分からない。イラク潜入後もシールズとは思えないようなお粗末な行動に、強引なお涙頂戴劇。なまじ真面目に作ろうという意図が見えるために、余りに陳腐なストーリーと展開が痛すぎる。 台詞もかなり唐突なものが多いが、それよりも場面のつながりが稚拙で、起こっている背景事象の説明がほとんどないので、ストーリーが理解しづらい。また、上等兵層の実子の事故死や、イラク人の子供射殺といった、人情ストーリーが突っ込まれており、これが大いに混乱させる。前半まではシール6のアクション的活躍がメインの映画だと思っていたが、終盤はお涙頂戴ヒューマンドラマに大転換する。そもそも、ヒューマンドラマになるような緻密なストーリーではないので、これは蛇足以外の何者でもない。エンディングのあたりはもはや失笑するばかりだった。 映像はハンディカメラを利用するも、実戦シーンが多くないため、効果はあまりない。多くの戦闘シーンは航空機記録映像が多用されている。だが、ありがちな映像であるうえに、画像とストーリーの因果関係がまるでないのでしらけてしまう。映画で撮影された兵器類はヘリのブラックホークぐらいではないだろうか。 ちなみに、記録映像で出てくるのは空母ミッドウェイ(CV41)とVFA-137のホーネット(410)、VFA-151のホーネットのほか、EA-6 プラウラー、E-2Cホークアイなどの姿が見える。飛行映像ではF-117などが出てくる。 総じて、何を作ろうとしたのかわからない結果になり、映画として楽しむことも、ミリタリーの興味を満たすものにもならなかった残念作だ。興奮度★★沈痛度★★爽快度★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1990年ペルシャ湾上の空母ミッドウェイ。クウェートに侵攻したイラク軍に対し、アメリカ軍は「砂漠の盾」作戦を展開しようとしていた。米軍の司令官はイラクに極秘任務として海軍特殊部隊のシール6を投入することを考える。だが、シール6はマック上等兵層に指揮され、マックはセルビアで無謀な任務を遂行したことで危険人物視されている。政府の上院議員の委員長はこれを承認したくないが、米軍の将軍に説得され、やむなく承認する。 シール6はイラクに潜入し、陽動作戦を実施することで、大規模な戦闘を仕掛けることを任務としていた。従って、シール6の存在とイラク潜入は公式にはなかったこととされ、指揮官の少佐の権限で行われた。シール6はマックのほか4名で構成され、デイビスは新入りで厳しい訓練を課せられていた。ようやくデイビスも一人前になり、イラクに潜入することに。出発間際にマック上等兵層の妻がやってくる。直前に息子を事故でなくしており、妻はナーバスになっている。息子の死の直前の言葉を聞く妻に、マックは何も言わずに去っていく。 ブラックホークに乗った5名はパラシュートで海上に降下し、海岸線に上陸。だが、イラク人案内人との合流地点までにイラク軍がおり、空爆を要請する。だが、デイビスのミスで危うく誤爆に。ようやく、案内人ジャマールと合流するが、ジャマールは強盗に襲われそうになっており、目の前で強盗が射殺されてナーバスになっている。ジャマールはクルド人でフセインに家族を殺されていた。 いよいよイラク軍の軍事施設を発見し、空爆の誘導を行う。ピンポイント爆撃が成功し、シール6は脱出に。だが、方位を誤り、偶然化学兵器工場を発見する。空爆を要請するが、その直前にイラク人の子供を発見。子供はシール6の姿を見て叫び始める。マックはやむなく少年を撃つ。必死の救命を続けるマックらだが、少年は死んでしまう。事故死した息子と姿を重ねたマックは少年を丁寧に埋葬する。 シール6にイラク軍の追っ手が迫る。海岸線にたどり着き、空爆を要請するが、味方の巻き添えの危険があった。足を撃たれたデイビスらはなんとか海中に潜るが、一人残ったマックは重傷を負っていた。救難機の捜索が行われたが、なかなか発見されない。マックは海中で息を引き取る。 マックの妻はちょうどマックと別れた日妊娠を知った。3年度、3歳になった息子デボンを連れてマックの墓参りに来るのだった。
2010年11月14日
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1944 イギリス 監督:ジョージ・キング出演者:ジェームズ・メーソン、カルラ・レーマン、レイモンド・ラベル、イーニッド・スタンプテイラー ほか82分 モノクロ 1942年の連合軍による北アフリカ上陸作戦「トーチ作戦」を背景に、作戦決行前夜のスパイ活動を描いたサスペンスドラマ。戦争を題材にしているとは言え、ほとんどが室内やセットロケで、作品自体は大人しいものである。内容的にも、まだ戦時中ということもあるのだろうが、リアルなスパイ活動というものではなく、華々しさを前面に出したヒーロー物といった感じである。日本では未公開で、さほど面白い部類でもなく、この時期の英国映画にありがちな戦意高揚的な作品でもない。 トーチ作戦は、1942年11月8日に行われた連合軍によるモロッコとアルジェリアへの上陸作戦で、当時の北アフリカはドイツ軍影響下のフランスヴィシー政府の支配地だった。ヴィシー政府はイギリスと敵対関係にあったが、アメリカ軍とはまだ交戦状態になかったために、トーチ作戦は表向きアメリカ軍主体として実施された。上陸戦実施にあたっては、両軍間で事前の調整があったようで、小規模な戦闘があった以外はほぼ無血での上陸に成功している。本作は、その事前調整にあたるスパイ活動を描いたもので、上陸沿岸部の写真の入手と、連合軍将校とヴィシー政府軍との密談が描写されている。 同じ北アフリカでもエジプト方面ではドイツ軍と英軍の激しい砂漠戦が行われている時期なのだが、本作の舞台アルジェリアは信じられないくらいに平穏である。ヴィシー政府軍、アメリカ軍将校、ドイツ軍将校が和気藹々とパーティーに参加していたりする。現地のフランス人も連合軍側に好意的に描かれ、複雑な政治状況の様相が感じられる。多分これよりも前の上陸戦を描いたと思われる「最後の突撃(1944英)」では、悲愴な突撃で全滅する英軍兵を描いているだけに、その温度差が著しく感じる。 役者陣はどれも今ひとつ華がない。主人公の英軍スパイのサーストンも、アメリカ人女性スーザンも特に個性的というわけでもなく、印象に残るわけでもない。ストーリーを淡々とこなしていく感じにしか見えず、やや残念。ドイツ人のミュラー博士も主要な役柄であるのだが、あまりミステリアスな所が強調されず、ストーリー上でも活きていない。全般にやっつけ仕事的な匂いが強く、とりあえずシナリオ通りに撮影、編集したという感じか。 時折、戦車や戦闘機の影像が入るが、ほとんどが記録映像の使い回しで、一部の航空機はミニチュア特撮。連合軍の潜水艦はT型のようにも見えるが、これも記録映像の可能性が高い。後半に入るカーチェスシーンは早廻しを利用したものだが、余り緊張感は感じられないレベル。 全般に印象に残らないレベルの映画であった。戦史的な背景についてもさほど資料価値のあるものでもない。先述したとおり、ストーリーや映像も大したことはないので、戦争映画としては必見の部類にはならないだろう。興奮度★★沈痛度★★爽快度★★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1942 年のアフリカ、チェニジア。アメリカ人女性彫刻家のスーザン・フォスターの家に男が侵入し、机から金を盗もうとしている。スーザンは男に銃をつきつけるが、そこにヴィシー政府警察が追ってくる。咄嗟的にスーザンは男を匿い、追ってきた警察官とドイツ人ミュラー博士に嘘をつく。男はアラン・トゥールストンと言い、イギリス人のスパイだった。トゥールストンはスーザンに、ドイツ軍高官のもとにいる協力者ナイトクラブ歌手Martizaが持っている、アルジェ海岸の位置情報が写ったカメラのフィルムが必要だと、協力を頼む。スーザンはこれを了承し、アルジェリアのカスバ(城塞に囲まれた居住区域)のカフェでトゥールストンと待ち合わせを約束する。日中にアメリカ軍の友人ローン大尉に会った後、スーザンはカフェに向かうが、トゥールストンとは会えなかった。カフェの女イヴェットも素っ気無い回答をする。 スーザンはそのままドイツ軍大佐の家に侵入。大佐に気付かれるも、うまくごまかしてカメラを盗むことに成功する。だが、トゥールストンを信用できなくなったスーザンは、アメリカ領事館に引き渡すことを考え、ローン大尉のもとに向かう。だが、すぐさまミュラー博士がやってきて、スーザンは捕らえられてしまう。ミュラー博士が尋問を行い、ローン大尉が助けに来るも、あしらわれる。 スーザンは面通しのためにホテルにいるドイツ軍大佐のもとに連れて行かれるが、大佐はスーザンにメロメロで隙だらけだった。後をつけてきたトゥールストンはボーイに変装してスーザンを救出し、トゥールストンの隠れ家に行く。そこには、カフェのイヴェット女が寝ている。カフェの女イヴェットは早くパリに帰りたいと言い、かいがいしく世話をしている。スーザンはトゥールストンにカメラを渡し、トゥールストンは現像する。 その頃、海上に英軍の潜水艦が浮上し、ボートで米英兵が上陸してくる。近くの洋館にはヴィシー政府高官も来ており、密談が始まる。カフェの女イヴェットはトゥールストンにそのことを伝えに家に戻っていくが、その前にトゥールストンの家にミュラー博士がやってきている。博士はトゥールストンに銃を突きつけ、フィルムを取り戻そうとするが、隠れていたスーザンの一撃でミュラー博士を倒すことに成功する。外にはミュラー博士の部下が待機していたが、これにカフェの女イヴェットが体を張って抵抗し、敵を倒すことに成功するも、カフェの女も命を落とす。 スーザンとトゥールストンは海岸の洋館に向かうが、博士の志望を知ったドイツ軍スパイも洋館に向かう。洋館には通報を受けたヴィシー警察が訪ねてくるが、ヴィシー政府高官がうまくそれをごまかす。到着したトゥールストンは写真と情報を提供し、ドイツ軍スパイの手から会合の高官らを守るために、車で囮になる。カーチェイスが続き、トゥールストンはスーザンを下ろし、車をクラッシュさせて逃げ出す。 その後、海岸の情報を得て、ヴィシー政府との密約を行った米英軍は北アフリカに無事上陸する。さらに米軍によってアルジェリアは占領され、ドイツ軍は後退していく。 スーザンはアルジェリアの病院で入院している。そこにトゥールストンが現れて再開するのだった。
2010年11月09日
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明日3日から5日連続で戦争系ドラマがあるようです。99年の愛(TBS系)予告編で主演の草薙君が兵士姿を披露していますが、どの程度戦争系なのかは不明。雰囲気的には日系人部隊442に参加しているようにも見えるんですが。hpの関連サイトもなかなか面白いです。日系人でもアメリカに忠誠を誓って442部隊に参加する人もいれば、日本に忠誠を誓った親日派の人たちもいたようですね。まあ、アメリカも本当に非人道的な行為を働いたもんだとつくづく思います。さて、どんなドラマになっているんでしょうか。録画しよう・・・
2010年11月02日
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戦争映画にもよく登場した俳優の池部良さんが亡くなりました。92歳だそうです。いわゆるイケメン俳優で、戦争映画ではちょっと浮気味でしたが(笑)、活躍されました。池部さんは南方戦線に4年間従軍し、衛生隊の中尉だったそうです。また、芸術家の岡本太郎氏と従兄弟だったそうで。著名な戦争映画ではさらばラバウル(1954)潜水艦イー57降伏せず(1959)ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐(1960)太平洋の翼(1963)青島要塞爆撃命令(1963)人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊(1968)激動の昭和史 沖縄決戦(1971)あゝ決戦航空隊(1974)があります。ご冥福をお祈りします。
2010年10月11日
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2009 アメリカ 監督:ジャン・リベルテ出演者:クラッシュ・ミラー、ブレストン・ジェームス・ヒリアー ほか87分 カラー SPOILS OF WARエネミー・フォース 米軍特殊部隊OSS ナチス潜入作戦(DVD) ◆20%OFF!DVD検索「エネミー・フォース」を探す(楽天) 第二次世界大戦のオーストリアを舞台に、アメリカ軍特殊部隊OSS(戦略情報局)の特殊任務を描いたアクション映画。主役はOSSの分遣隊5名で、ドイツ軍の偽札製造作戦(ベルンハルト作戦)指揮官の拉致を任務としている。と、ここまではごくごく普通の戦争映画ぽいのだが、内容的にはかなりグダグダ。映像、ストーリーともに、テレビドラマレベル以下で、設定や編集も典型的B級映画。しかも、B級としての見どころもほとんどないに等しい。 一応、第二次大戦の歴史的史実を題材にしているのだが、映画的には歴史的背景についてはほとんど意味がない。設定も時代考証もろくろくされていない印象だ。OSS分遣隊は1944年6月のノルマンディ上陸戦直後に作戦指示されているのだが、ナチス親衛隊が偽札をトープリッツ湖に移動し始めたのは1945 年の終戦間際のことだし、途中でパリ解放(1944年8月)の映像も出てくる。時系列がかなりいい加減だ。 また、とにかくストーリー展開が下手すぎ。設定のフリが浅すぎて、次の展開への伏線がまるでない。話がぶつ切り、飛びすぎで映画に集中できないうえ、エンディングも余りにあっけない。人物設定もひどく、登場人物の性格付けもほとんどされていないうえに、僅かな設定さえも活かされていない。二重スパイの設定もあまり意味ないし、キーマンと思われた分遣隊指揮官が負傷して寝てばかり(笑)。金に目がくらむ英兵も性格不明だし、時折見せる戦友愛も絵空事。 映像も大したことはなく、銃撃戦の銃火は思い切りCG。兵器類もトラック、ソフトスキンが数台のみで、航空機は合成のようだ。森の中で超短距離で離陸するシーンには唖然。シュトルヒか・・・。それよりも最もいただけないのは、モノクロの記録映像がやたら挿入されている点だろう。オープニング、途中、エンディングにかなりの量の記録映像が使用されているうえ、なんだか記録映画のような史実列記のナレーションが続くのだ。中身がまるでない映画のくせに、そんな所で史実を並べられても興ざめするのみだ。 総じて、娯楽作品としても、リアル戦争作品としても評価できないレベルだった。観終わった後に何も残らない。唯一おまけ映像?でついているアニメ「一等兵スナフ」が救いだったかもしれない。興奮度★沈痛度★★爽快度★★感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1944年、ノルマンディーで任務を終えたOSS部隊エバーハート大尉に大佐から新たな任務が命じられる。ドイツ軍ベルンハルト作戦の指揮官ヘルマン・ヴェクスラー大佐を拉致して帰還しろというのだ。ヴェクスラー大佐はザルツブルグの山小屋で偽札を製造し、トブリッツ湖に移動しようとしているのだ。大尉はすぐさま、ミラー軍曹以下おしゃべりのマルティノ、英兵のウイリス、狙撃兵のハリソンを招集する。 5名はオーストリアのザルツブルグにパラシュート降下する。山小屋には二重スパイがおり、手引きするというのだ。アルプス山中に降下した5名だが、途中でドイツ兵を乗せたトラックに遭遇。銃撃戦となってしまう。なんとか全員を射殺し、山小屋に到達する。そこで歩哨を倒して、中にいたヴェクスラー大佐を難なく拉致する。しかし、その帰路でドイツ軍塹壕に出くわし、排除するも大尉が腹を撃たれて意識を失う。 近くの小屋に退避するが、大尉は意識がない。ヴェクスラー大佐の適切な指示で止血するも、一刻の猶予もない。だが、ウイリスは山小屋にあった偽札を持って帰ると言い始める。ミラーはそれを制止するも、強引に飛び出したウイリスに仕方なくマルティノとともについていく。山小屋は無人で、3人は5箱の偽札を持ち出すが、そこにドイツ軍が。銃撃戦となりウイリスは腕を負傷。さらに、ウイリスが再度偽札を取りに戻ると言い始め、ミラーとマルティノはドイツ軍に捕まってしまう。ウイリスは大尉のもとに戻る。ヴェクスラー大佐は二重スパイで連合軍に協力するという。ハリソンは大尉を連れて合流地点に向かう。ウイリスと大佐は再び山小屋に戻るのだった。 山小屋に大佐はウイリスを捕虜として連れていく。大佐は3名の捕虜を銃殺すると見せかけて、ドイツ兵を殺害して救出する。そのまま飛行機の待つ合流地点に向かい、大尉らと合流して帰還するのだった。
2010年10月07日
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2008 オーストラリア・中国・ドイツ 監督:ロジャー・スポティスウッド出演者:ジョナサン・リス・マイヤーズ、ラダ・ミッチェル、チョウ・ユンファ ほか125分 カラー THE CHILDREN OF HUANG SHIチルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道(DVD) ◆20%OFF! DVD検索「チルドレン・オブ・ホァンシー」を探す(楽天) 1937、8年頃の中国を舞台に、中国人孤児たちを戦乱から避難させるため、英国人記者ジョージ・ホッグが手助けした700マイルに及ぶ逃避行を描いたヒューマンドラマ。エンドロールに孤児の生存者映像が出ることから実話に基づく映画のようだが、ジョージ・ホッグが実在の人物なのか、ストーリーがどれほど史実に沿っているかは不明。ただ、監督のロジャー・スポティスウッドは「ジ・エンド・オブ・パールハーバーHIROSHIMA(1995米日加)」などドキュメンタリーベースの映画を多く手がけていることから、何らかの資料に基づいたものであることは想像できる。 映画は日本軍の南京攻略を皮切りに内陸部進撃を受け、苦戦後退する中国国民党軍と共産ゲリラが描かれ、市民や孤児たちもそれに沿って避難を余儀なくされるのだ。本作の主人公英国人記者ジョージ・ホッグは日本軍の規制をくぐりぬけて戦地に入り、戦乱に巻き込まれるが、共産党ゲリラに助けられ中国人孤児たちの保護に傾倒していく。英国人女性医師リーもまたボランティア精神から中国軍医師(看護師)として従事している。 本作に描かれる時系列はあまり明確に示されていないが、南京攻略戦は1937年12月のことで、ホッグはそこから黄石に逃れていく。ホッグが孤児を保護する黄石は武漢市の近くにあり、日本軍が武漢攻略戦として進軍してくるのは1938年秋のことなので、黄石から蘭州、山丹への逃避行はその頃ということになるのだろう。日本軍の進撃はほぼここで終わっており、ホッグと孤児らは日本軍影響範囲からの脱出を図ったことになる。ただ、蘭州、山丹は湖北省、陝西省、甘粛省へと北西に山地を渡る難行程であり、単純に西に行けば国民党臨時政府のある重慶に行けるのにそれを選択していない。このことはホッグが中国共産党と緊密な関係にあり、甘粛省が数少ない共産党支配地であったことと無関係ではないだろう。 本作は中国ロケでもあり中国政府の関与があったものと想像され、日本軍による南京虐殺描写や共産党美化の観点はどうしても色濃く感じる。同じ中国軍でも実際に日本軍と戦っている国民政府(国民党)軍はかなり悪辣に描かれているし、戦時背景の歴史性についてはかなりフィルターをかけて見る必要はあるだろう。監督自身はドキュメンタリーを得意とすることもあって、全般には恣意的な悪玉作りを避けようとする意図は感じることができるのだが、やはり随所に入る史実に基づかない描写は中国当局の圧力を感じる(笑)。また、本作では英国人ら欧米人がいかにも善人のように描かれているが、もともと中国は中国植民地化を狙う英米独の脅威にさらされていたのであって、英米独人が好意で中国を救ったというよりは、新興国日本の権力増大に対抗するために中国の肩を持っていたということを理解した上で視聴すると面白いだろう。 さて、歴史的史実の齟齬について言及しだすと枚挙に暇がないので、それはさておき(笑)、映画としての出来をみてみるが、本作は長編のわりに奥行きがあまり感じられない。描かれているエピソードはそれなりの数があるのだが、一つ一つの掘り下げが甘めなのと、人物性格描写が心に響いてこない。確かに人物の心情を描いてはいるのだが、何か絵空事というかリアル感を感じないのだ。このあたり、何か奥歯に挟まったようなもどかしさがあり、本当の史実(真実)を描けなかったのではないかと憶測してしまう。 また、全体のバランスが著しく悪い。序盤での日本軍との戦いにおけるインパクトの割に、中盤以降のホッグによる孤児保護という本題がだらだら続くのみでインパクトが薄いのだ。特に、ホッグという救世主伝記をアピールするためには、彼の行為や言動による感動を盛り上がりの中心に据えるべきなのだろうが、本作は終盤にちょっとだけ登場するのみで、突然の彼の死とともに尻切れトンボで終わってしまう。結局本作は何をメインに描きたかったのだろうかがわからない。 上記とからんで、緩やかな音楽と美しい自然映像が多用されているのも問題だろう。映像と音楽だけ見ればかなりの資金をかけていることがわかるし、決して欠点にはならないのだが、本作の中盤以降のだらだらした流れの中で使用されると逆効果な印象。 登場する兵器類はほとんどない。軍用トラックが多少出るのみで、日本軍では零戦もどきの映像があるが、ミニチュア特撮のようだ。ミリタリー的視点としては見るべきものはほとんどない。 全般に大作のような雰囲気をしながらも、内容の薄い凡作といったところか。歴史史実もかなり疑問符が残るし、英雄伝記としてもインパクトが弱く、映画として期待すべき点があまりない作品であった。 興奮度★沈痛度★★★爽快度★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1937年12月、日本軍が南京に侵攻する。上海租界に駐在する英人記者ジョージ・ホッグは南京で何が起こっているのかを知るために、同じ英人記者のバーンズとともに上海YMCAの職員に化けて南京入りする。そこでホッグは日本軍が中国人民間人を集めて大量銃殺する場を目撃してしまう。さらに、ホッグもまた日本軍に見つかってしまい、将校により斬首刑に処せられそうになる。間一髪のところを共産党ゲリラのチェン・ハンション(通称:ジャック)に助けられる。だが、バーンズは処刑されてしまう。 衝撃に打ちのめされているホッグは、ジャックの勧めで黄石に行って中国を学ぶことにする。その途中、国民党軍を見かけるが、彼らは残忍でかつ強制徴兵を行って前線に兵を送っている。黄石には戦争孤児たちが寺院に住んでいた。ホッグはそこで彼らの世話をすることになる。リーダーは無口で反抗的なリウ・シーカイという少年で、ホッグに敵対心をむき出しにする。そこに英人女性医師リー・ピアソンがやってくる。彼女は本当の医師ではないが、中国軍の救急医療を手伝っている。ホッグは障子張りや電気機器の修理をして次第に子供たちの信頼を得ていくが、シーカイだけはなつかなかった。さらに、子供たちに英語を教え、地域の金持ち王夫人から種を借りて、作物を育て始める。たびたびリーがやってくるが、彼女は王のところでモルヒネとアヘンを入手している。 ある日、ホッグは移動中の中国人の列を銃撃する日本軍機に遭遇し、親を亡くした孤児老四(ラオスー)ら3人を連れ帰ってくる。ラオスーはホッグになつく。だが、そこに国民党軍が退却してきて、駐留しはじめる。ジャックもリーも退却し、ジャックは私服に着替えてゲリラ戦に備える。さらに、国民党軍は孤児らも徴用しようと画策し始めたため、ホッグは反対したところ投獄されてしまう。王夫人の釈放金でなんとか釈放されるが、ホッグは孤児らと山丹に密かに脱出することを計画する。 密かに脱走計画を練っている所に、ジャックがやってきてシーカイを徴兵したいと申し出る。ホッグは断るが、シーカイはジャックを慕って兵になる気だ。リーはかつてジャックと恋仲だったが、次第にホッグにひかれ始めている。 いよいよ移動の日となるが、畑仕事に精を出していたユイリンがいなくなる。畑に探しにいったホッグは賢い少年だったチンが首をつっているのを見つける。チンは逃げることがつらい記憶だったのだ。一行は700マイルもの距離を徒歩で移動し始める。雪の舞う中行進するが、途中で日本の偵察兵と出会う。ホッグの制止も聞かずにジャックとシーカイは日本兵を殺してしまう。さらにその先で日本軍と出会い、荷物検査を受けている間にシーカイが銃を持ち出してしまう。日本兵に見つかる直前にシーカイは荷崩れした荷物の下敷きになって死亡する。また、リーはアヘン中毒であることを告白。そしてジャックは身を引き、ホッグにリーを託す。 ようやく、蘭州についたところで、ホッグとリーは共産党軍の兵士に連行される。そこで、蘭州府の長官から4台のトラックを借りることできた。一行はトラックで山丹へ向けて出発する。山丹につくとホッグらは廃寺を掃除して住処とする。畑を作り電気を発電するが、次第にホッグの具合が悪くなる。破傷風にかかっていたのだ。リーは蘭州に薬を買いにいかせるが、7月24日、ホッグは死亡する。
2010年09月19日
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1941 アメリカ 監督:ラオール・ウオルシュ出演者:エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、アンソニー・クイン 、チャーリー・グレープウィンほか138分 モノクロ They Died with Their Boots On DVD検索「壮烈第七騎兵隊」を探す(楽天) アメリカの南北戦争、インディアン戦争を戦った名将ジョージ・アームストロング・カスター将軍を描いた、伝記風ヒューマンドラマ。カスターの死後65年を経過して製作された作品で、カスター将軍の功績を賞賛する作りとなっている。内容的にも映像的にも当時のものとしては良くできていて、娯楽作品としては十分見応えのある内容となっている。 ただし、当時のアメリカはインディアンに対する偏見差別も強いうえ、カスターの功績や行動が十分に検証されていなかったこともあり、現在知られているカスターの人物像や史実とはかなりかけ離れた内容となっている。従って、歴史物として史実を示す映画としての価値はかなり低く評価せざるを得ず、あくまでも歴史上の人物のフィンクション娯楽として楽しむのがベストである。 史実では、カスター将軍は1857年にウエストポイント(陸軍士官学校)に入校し、ほどなく南北戦争に従軍し、騎兵中尉の時に勇敢な行動で功績をあげている。かなりの暴れん坊だったらしく、問題視される反面、無謀とも言える勇敢さで南軍を撃破していったのだ。この功績を受け、マクレラン将軍やプレソントン将軍の贔屓で、1863年のゲティスバーグの戦いには名誉准将として騎兵隊司令官を勤め、南軍のスチュアート将軍を打ち破る功績をあげる。これによりシェリダン将軍のもとで若干23歳にして義勇軍名誉少将に昇進する。一旦は軍籍を退くがインディアン戦争の勃発と共に、1867年再び陸軍中佐として第七騎兵隊司令官につく。インディアンとの戦いで功績をあげるも、ワシタ川の虐殺やインディアン居留地ブラック・ヒルズへの侵入など、冷酷な一面も見せるのである。1876年カスターはリトルビッグホーンの戦いで多勢のインディアンに敗れ戦死する。 本作では上記の史実と大分齟齬している箇所が多く、特に興味深かったのは名誉少将任官が命令書の打ち間違いであった点、ブラックヒルズ侵入の原因がシャープという悪徳商人の仕業ということになっている点である。全般的にインディアン(スー族)の描写は思ったほど酷くなく、むしろ好感的に描かれてはいるのだが、それ以上にカスターや白人部隊を美化しているのが特徴的だ。 史実と齟齬がある点はさておき、物語としてのストーリー構成は良くできている。二転三転する波瀾万丈の人生をたっぷりと描き、カスターの軍務に対する栄光と名誉への共感を呼び起こす。金の亡者と栄誉への犠牲を対比させることによって、ストーリーの幅と抑揚感を見事に醸し出しているのだ。さらに、新入生いじめや妻リビーとの出会いなど随所にコメディタッチの描写もあり、シリアス一辺倒ではないホットな雰囲気もある。人物の性格設定には若干極端な所もあるが、ラブロマンスや勧善懲悪描写も見ていて歯切れが良く、今となってはかなりベタな演出なのだが、この時代の作品ならではの楽しみ方でもあろう。 映像編集はやや荒いところもあるが、インディアンと騎兵隊の戦闘クライマックスシーンはなかなかの迫力だ。下馬して方形陣を構えるカスター隊に対し、縦横無尽にインディアン騎馬が駆けめぐる。もちろん、映像的には稚拙と感じる部分もあるが、迫り来るインディアンの恐怖は手に汗握る。ちなみに、このシーンの撮影ではスタントマンが二人死亡したそうで、なんと危険な撮影であったかと驚かされる。インディアンを演じるのはほとんどがフィリピン人エキストラだそうで、本物のインディアンはごく僅かだったそうだ。 主人公を演じるのはエロール・フリンで精悍な若者像が良く出ている。妻となるリビー役はオリヴィア・デ・ハヴィランドでなかなかの美人。なんと彼女は東京生まれなのだそうだ。また、カリフォルニア・ジョー役のチャーリー・グレープウィンは癖のある老人役を快演しており、映画の重要なアクセントとなっているのがいい。アンソニー・クインはインディアン酋長クレイジー・ホース役だが、あまり喋らないので存在感はさほどない。 全般に思った以上に完成度が高い作品だった。史実に沿っていないのが残念ではあるが、架空の人物として楽しむ分にはなかなかエキサイティングなものであり、長めの映画にも関わらず最後まで引き込まれて視聴できた。興奮度★★★★沈痛度★★★爽快度★★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1857年ウエストポイントにジョージ・A・カスターが入校する。入校時から将軍の服を着てくるなど横柄な態度に、上級生のシャープ伍長はいらずらをし、カスターを新入生担当司令官テイプ少佐の部屋に割り当てる。少佐の荷物を放り出し、ベッドに寝ころぶカスターの元にテイプ少佐がやってきて叱りとばす。慌てて新入生の列に集合したカスターはシャープの姿を見つけ殴りつけてしまう。学校長のシェリダン大佐はカスターの退学処分を検討するが、手違いで入校手続きもしていないカスターは退学を免れる。 だが、カスターは武術と馬術はいいものの学科はまるでダメ、喧嘩や処分ばかりを受ける問題児だった。そんな中南北戦争が勃発。ウエストポイントからも南軍支持者らが離脱していく。ウエストポイントからも卒業と共に前線に向かっていく。シェリダン大佐のもとに知人の娘リビー・ベーコンが訪ねてくるが、カスターは一目惚れ。夜に会うことを約束するが、その日のうちにカスターに卒業と前線任官の命が出て会うことは出来なかった。 ワシントンに到着しても現役が優先のためなかなかカスターに辞令が下りない。カスターは強引に軍務局長と面会しお願いしにいくが、それは対立していたテイプ少佐だった。即座に却下されたカスターは、今度は食事中のスコット将軍に直接お願いする。懇意になった将軍はすぐさまテイプ少佐に、カスターの第二騎兵隊入隊を命じるのだった。カスターはテイプ少佐の馬を盗んで任務に赴く。 第二騎兵隊に到着するとそこには連隊長となったシャープがいた。1861年7月21日のマナサス攻撃に参加したカスターはG中隊を率いて南軍を攻撃するが、味方は総崩れで退却命令が出る。しかし、カスター少尉は上官のシャープを殴り倒し、南軍を攻撃して撃退する。肩を撃たれて入院したカスターのもとにシェリダン将軍が訪れ勲章を授与する。カスターは代わりにモンローに住むベーコン氏への紹介状を頼むのだった。 モンローにリビーに会うために出かけたカスターはそこでミシガン第一騎兵隊の外国人バトラーと会い、飲んでいるところにリビーの父親ベーコンがやってきて口論となってしまう。その後、リビーを訪ねたカスターは父親と再会し、追い出されてしまう。だが、二人の愛は深く結ばれ、カスターは将軍になったら結婚してくれと求婚する。 テイプ少佐はカスターに馬を帰せと部下に手紙を書かせている最中、将軍が戦死したミシガン隊騎兵隊指揮官の代わりの辞令作成を命じる。辞令書はカスターをミシガン騎兵隊司令官少将にするとしたまま発令されてしまう。最初は驚いたカスターだが、そのまま司令官となりミシガン隊を指揮する。ゲティスバーグの戦いで北軍は苦戦し、南軍のスチュワート将軍は裏を掻いてハノーバーを攻撃。北軍は絶体絶命の危機を迎えるが、実はカスターの部隊は南進しろとの命令を無視してスチュワート軍と対峙し降伏させる功績をあげる。その後、モンテレー峡谷、イエロー・ダーバン、ウッドストック、ウインチェスター、シダー・クリーフ、アポマトックスの戦い、リー将軍降伏など功績をあげる。最年少将軍の活躍にリビーの父も結婚を快諾し、リビーと結婚する。 南北戦争終結後、カスターは除隊しリビーと暮らしていたが、そこに商人となったシャープ親子が現れ、西部鉄道の社長就任を打診する。名前を貸すこと嫌ったカスターだが、生き甲斐を失っている姿にリビーはスコット将軍の元を訪ねて軍に戻して欲しいと頼む。その甲斐あってカスターは陸軍大佐としてリンカーン砦に赴任する。そこはインディアンと対峙する前線であり、カリフォルニア・ジョーが鞭する馬車で赴任中にインディアンの襲撃を受け、カスターは酋長のクレイジー・ホースを捕獲する。砦の騎兵隊は軍紀も乱れ酷い状態で、クレージー・ホースを殺そうとするが、カスターが制止する。隊員たちはシャープの経営する酒場で乱れきっており、カスターは酒場を閉鎖、インディアン向けの銃器店も閉鎖させる。そして、再び訓練を積ませ、第七騎兵隊として生まれ変わるのだった。あのバトラーもカスターを慕って赴任してくる。 第七騎兵隊は逃亡したクレイジー・ホースたちインディアンと戦うが、カスターはクレイジー・ホースと休戦協定を結び、ブラック・ヒルズの不可侵を約束する。 だが、シャープ親子はブラックヒルズの中心を通る予定の西部鉄道建設のため、ブラックヒルズに金が出ると噂を立てて人を集めた上、調査官となっていたテイプと結託してカスターを追い出すことを計画。カスターは策略にまんまとはまってテイプに暴力をふるって解任され軍法会議に。策略を知ったカスターだが軍法会議では証言を採用されずに窮地に。しかも、インディアン居留地のブラックヒルズに白人か侵入し、全面戦争に発展していた。思いあまってカスターはグラント大統領に直談判し、司令官に返り咲く。 砦に戻ったカスターだが、すでにインディアンとの決戦は避けられず、孤立した味方の歩兵隊クルーク、テリー部隊を救うために第七騎兵隊が必死の囮になることを決意。酒場にいたシャープを拉致し、リビーと最後の別れをして出陣する。外国人バトラーもカスターについていくことを決意し、リトル・ビッグホーン川でキャンプする。そこで連れてきたシャープに逃げるか、共に栄誉のために戦うかを問い、ついにシャープも戦うことを決意する。カスターは多勢のインディアンの包囲網に囲まれて苦戦。バトラー、カリフォルニア・ジョー、シャープともに戦死し、最後にはカスター一人だけが残る。そしてクレイジー・ホースの銃弾にカスターもついに倒れるのだった。 妻リビーはカスターの残した告発遺書をもとにシャープの父、テイプに詰め寄る。テイプの辞職、シャープの会社の開発中止を約束させ、シェリダン将軍を通して大統領にインディアン居留地の保護を確約して貰うのだった。
2010年09月14日
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2008 ドイツ・カナダ 監督:ウーヴェ・ボル出演者:マイケル・バレ、ウイルソン・ベセル、ミッチー・イーキンス ほか96分 カラー 1968 Tunnel Rats DVD検索「T-フォース ベトコン地下要塞制圧部隊」を探す(楽天) ベトナム戦争におけるベトコン地下壕掃討戦を題材にした、アクション映画。ただ、確かにベトナム戦争を背景に戦闘シーンなどアクション性もあることはあるのだが、ミステリーやホラー的な、なんとも言えない不思議な雰囲気が漂う映画でもあった。ストーリー性は確かにあるし、アクションシーンもまあまあの出来なのだが、結末と言い、映画の目指す方向性がどうにも不可解で、消化不良なのだ。これは、製作した監督を見て納得(笑)。このボル監督、なにやら 2008年にワーストディレクターとしてラジー賞を獲得した方で、過去にはゲーム作品の映画化を連発して酷評を買っているのだそうだ。本作はゲーム作品から締め出されてシリアス系の再出発といったところのようだ。 ストーリー自体は、ベトコンの地下トンネルの捜索、掃討戦を実施する米陸軍小隊ということで、それなりの臨場感と緊迫感を感じることができる。酷評されるほどのものでもないな・・・と思っていたが、次第に雲行きが・・・。とにかく、死ぬ、死ぬ、死ぬ(笑)。これでもか、というくらい残忍、あっけない死の連続描写で、結局生き残ったのは・・・・(下記あらすじでネタバレ)。もうとにかく希望も救いもない・・・。従って、せっかくの中盤までの戦争映画的なアクションが、終盤になって台無しになっていく。結局、何を描きたかったのか不明で、ホラー的な要素が色濃くなり、最終的には戦争らしさもベトナムらしさも吹き飛んでしまった。 小隊がメインとなるが、登場人物は十数名で名前と顔が一致しにくい。性格付けも結構浅めで、小隊長のハリボード中尉がキーマンかと思ったが、それほどでもない。ベトコン兵士側もそれなりに人間的に描き、終始浅めのヒューマンドラマが繰り返される。なんとも形容しがたいが、心のないヒューマンドラマといった感じか。確かに、人の死をベトコンと米軍兵の戦闘を通して語ろうとしているようにも見えるのだが、そこには重みが感じられないのだ。結局は米軍、ベトコン兵士たちを題材に、さまざまな「死」を享楽的に描きたかったのではないかとさえ思える。本作では「死」に満ち溢れているが、それが心に突き刺さることはない。 ロケ地は南アフリカだそうだ。ジャングルらしい雰囲気は多少出ているが、ちょっと灌木風のものが多い感じはする。問題は米軍小隊の拠点基地。ジャングルの中に突然テントやら機銃陣地やらが林立している。その周囲には有刺鉄線もないし、監視所もない。いきなりベトコンに襲撃を受けるのだが、これじゃ全滅するのも当たり前だ(笑)。そもそも、ベトナム戦争ではベトコンゲリラに備えて、開放地に幾重もの有刺鉄線をまわし、こんな前線基地はなかったはずだ。このあたりはリアリティに欠けている。 ベトコンの地下トンネルはいろいろな仕掛けや工夫が凝らされていてそこそこの出来。せっかくなので、もう少しこのあたりに力を入れてみたら面白かったのに。登場する兵器はヘリでUH-1イロコイがある程度。小隊の所属はパッチから第1騎兵師団のようだが、その他のパッチは良くわからない。 全般的に残念でしたの出来。ベトナム戦を期待してもダメ、トンネル内の緊迫感もあまりなし。ひたすら死が見たい人にはいいかも。まあ、そんな人はほとんどいないだろうけど。 興奮度★沈痛度★★★爽快度☆感涙度★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 1967年ベトナムのクチ。米陸軍小隊がベトコンの地下トンネル掃討作戦に従事している。小隊長はハリボード中尉で、そこに補充兵としてカール・ジョンソン二等兵らがやってくる。ジョンソンは数度のトンネル戦経験があるが、皆トンネル戦の恐怖を感じている。ハリボード中尉は部下をベトコンに惨殺されたことを根に持ち、捕虜になったベトコンにも残忍な絞首刑を命じる。補充兵の一人は中尉のやりかたに反抗するが、中尉とボクシングをして打ちのめされる。 小隊にトンネル掃討の命令が下る。誰もが行きたがらないが、中尉は叱咤して進んでいく。やがてトンネルの入り口を発見。中尉はディーン・ギャリティ二等兵、ジョンソン二等兵、黒人のジョナサン・ポーティソン二等兵の3名にトンネルに入ることを命じ、数名の見張りを地上に残して、自らは基地に戻る。 穴に入った一人目のギャリティ二等兵が下部から腹を銃で撃たれる。ジョンソンらはギャリティを引きずり出すが死亡。穴の中に手りゅう弾やガス弾をぶち込む。ジョンソンとポーティソンは無線を持って中に入っていく。ジョンソンは途中で仕掛け爆弾を発見し解除する。さらに別の出口を発見し、顔を出すが、そこにはベトコンの女兵士マイがおり、ジョンソンは首を竹槍で刺されて死亡する。マイは過去に米兵に暴行された恨みがあった。ポーティソンは一人取り残され、地上にいた見張り兵はジョンソンの死体を発見して混乱する。さらに、マイク・ヘニー軍曹、テレンス・ムラーノ二等兵、ダングリーン伍長の3名がポーティソン救出のために穴に入る。トンネルの中ではベトコン兵のトランらが待ち構えていた。 ヘニー軍曹は罠にかかって死亡。ムラーノ二等兵も待ち構えたベトコンに射殺されて死亡。グリーン伍長のみが取り残される。地上に残っていたジム・リットフォード二等兵とピーター・ハリス二等兵は地上からベトコンの襲撃を受け、リットフォードが足を撃たれ、二人はやむなくトンネル内に入る。リットフォードの背後にベトコン兵マイが忍び寄り背後からリットフォードを刺し殺す。ポーティソン、グリーン、ハリスの3名がトンネル内に取り残され、ポーティソンとグリーンが合流するが、グリーンは恐怖で動かないと言い出す。ポーティソンは一人で移動し、トンネル内の溜まった水中を泳いで出口を探す。浮上した部屋にはベトコンが二人おり、手りゅう弾を投げ込んで撃破する。一人はトランで、瀕死のトランはポーティソンに出口を教えてやる。 グリーンはベトコンに遭遇し、間一髪で射殺する。だが、ベトコンの死体が邪魔で前にも後ろにも進めない。仕方なく、ベトコンの体を切り刻んでどかして前に進む。進んだ先には蓋がしてあった。その蓋を壊すと大量の水が流れてきた。水責めの罠だったのだ。グリーンは水死する。 そのころ、地上の基地ではベトコンの襲撃を受けていた。ほとんどの兵が死亡し、ハリボード中尉も瀕死となる。中尉はもはや無理と判断し、本部に空爆要請を行う。そして中尉も敵弾に倒れてしまう。ポーティソンはなんとかトンネルを脱出し基地に戻る。そこにベトコンの襲撃からなんとか逃れて生き残ったボブ・ミラー二等兵も合流する。基地は全滅状態で、二人は茫然と立ち尽くす。そこに米軍のイントルーダーがやってきて基地を空爆する。二人も巻き添えを食って死亡する。 一方、ハリスは部屋でマイとその子供二人に遭遇していた。敵意を向けるマイをなだめていると、地上で米軍の空爆が始まる。部屋が崩落をはじめ、マイの子供をトンネルに逃がす。だが、その瞬間トンネルが崩落し、子どもたちは生き埋めに。部屋に閉じ込められたマイとハリスはシャベルで穴を掘りはじめるが、穴は全然掘れなかった。次第に酸欠になり、二人は意識を失っていく。
2010年08月27日
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2010 TBS 演出:鴨下信一 脚本:倉本聡 出演者:ビートたけし、小栗旬、堀北真希、ARATA、生瀬勝久、長渕剛、向井理 ほか約140分 カラー 戦後65年を経て、南方で戦死した日本兵の英霊たちが初めて日本を訪れるという設定のヒューマンドラマで、終戦記念日特番のテレビドラマ。もとになる原作は棟田博の「サイパンから来た列車」で、1956年に「姿なき一〇八部隊」として映画化されている。こちらは戦後10年目という設定だが、本作は倉本聡の脚本によって、戦後65年たった2010年という設定になっている。登場人物やエピソードも全て倉本聡による脚色がなされ、英霊が日本に戻ってきて、現代の日本の姿に驚き嘆くという設定のみが踏襲されている。舞台としても上演されているらしい。 本作の根底に流れるのは、名もなき兵士たちの悲しみと怒りであるが、戦後の日本の豹変ぶりと対比することによって、戦後金と権力と欲に溺れた日本人への警鐘でもある。さらに、ただ単に批判するのではなく、戦時の日本兵たちの価値観と、戦後の平和国家日本における価値観の相違を、平和や進歩の意義を問うものとなっている。平和ボケした戦後日本人にとっては非常に耳が痛いテーゼとなっており、作品の主題としては素晴らしい内容だけに作品の出来が気になるところ。 映画の「姿なき一〇八部隊」はモノクロ映画だったということもあるが、かなりおどろおどろしく厳かな雰囲気が流れていたが、本作はある程度その雰囲気を踏襲しつつも、やや現代版的な軽さも感じた。近年の戦争テレビドラマの中では群を抜いてシリアスで、歴史に真面目に取り組んだことは感じるが、正直映画ほど心に響くものがなかったのも事実。 その理由の一つには、倉本脚本が懲りすぎたところと思われる。映画作にはない設定で、たとえば戦死した報道班員が部隊員を案内する設定、検閲係の自殺兵が靖国神社でさまよっているなど、かなり凝った設定がある。これはこれで興味深く良い設定なのだが、逆に面白い設定に気がひかれて、登場人物の心情移入がややおざなりになった感があるのだ。やや舞台的な軽さが感じられた。 もう一点はやはり役者陣で、一番だめだったのは大隊長を演じた長渕剛か。相当の思い入れと感情移入しているのは良くわかるが、本人にオーラがありすぎるのか、余りに常人離れしていて違和感ありすぎ。映画作で部隊長役を演じた笠智衆と比較してしまうと、余りに人間味がない。もう一人はビートたけし。会話が聞き取りにくいのと兵隊らしい演技力はまるでなし。役柄の大宮上等兵と言えば「兵隊やくざ」を思い出すが(笑)、迫力も威厳も悲しみもほぼゼロ。ストーリーの厳かさをまるで殺いでしまった感じ。 とはいえ、その他の役柄、役者はそれなりの出来。設定が設定だけに、多少は泣ける内容となったのが救い。特に検閲係を演じたARATAの苦しい演技は素晴らしく、内容に緊迫感を与え続けた。 このほか、後半の長渕演じる秋吉少佐の御高説とビートたけしと石坂浩二の臭い絡みが間延びしていただけないが、まあこのあたりは倉本らしさが出たと思ってあきらめるしかないか。 ちなみに、本作は沖縄戦に投入され、輸送中に敵機爆撃によって撃沈された大隊が主役となっている。隊長は大隊長の秋吉少佐という設定。ボロボロになった衣装や装備品は良くできている。当然兵器類は登場しないが、学徒出陣シーンなど少しだけ記録映像も登場する。あと、向井が演じる少尉の妻役で女性ヌードがほんの少しあり(笑)。 全般に、テレビドラマとしては良くできた部類。映画作と比較すると残念な部分も多々あるが、倉本脚本による凝った演出で良い部分もあったので、総合的な出来はどっこいどっこいといったところか。興奮度★★沈痛度★★★★爽快度★★感涙度★★(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 昭和85年8月15日午前1時、終戦から65年たち東京駅に南方で戦死した英霊たちが蒸気機関車に乗って帰国する。帰国したのは沖縄戦に出撃するため輸送船に乗り、そのまま撃沈されて行方不明になった陸軍大隊の兵員だ。大隊長の秋吉少佐(長渕)以下、当時の傷を負ったままの姿で英霊たちが汽車を降りる。0時16分、集合は4時05分だ。それまでの間祖国日本のゆかりの地を訪ねて来いと少佐が言う。 士官の木谷少尉(小栗)は上野音楽学校に、日下少尉(向井)は上野美術学校のもとに向かう。上野の音楽学校で、木谷少尉は、報道班員で慶良間基地で逃亡して射殺され、英霊になりきれずにさまよっている立花(生瀬)と出会う。木谷は立花から、木谷らが出動前に制裁した手紙の検閲係志村伍長(ARATA)がその後自殺を図り、英霊になれずに靖国神社をさまよっていることを聞かされる。任務とは言え兵の手紙を情もなく切り捨てた志村は、靖国神社で手紙を朗読しては嗚咽しているというのだ。 1時38分、竹下中尉(塚本)は神宮球場にいた。戦前早稲田大学の投手として活躍した竹下はマウンドにたたずむ。そこで立花と出会うが、竹下は立花がかつて左翼活動家で転向を余儀なくされる際に、恋人だった坂部節子を売り、彼女が自殺したことを非難する。 1時43分、浅草に大宮上等兵(たけし)と坂本上等兵(温水)がやってくる。大宮上等兵はかつて浅草でバナナのたたき売りをしており、二人はかつて華やかだった演芸場をしのぶ。浅草にはリリーあけびというダンサーがおり、彼女は大宮の妹だった。幼い頃親を亡くし、親戚をたらいまわしにされ幼い妹ともに東京へ逃げてきたのだった。水間上等兵(遠藤)は会津若松の床屋を訪れた。 木谷少尉は学徒出陣前はチェロ奏者として活躍し恋人の河西洋子(堀北)と楽曲の制作をしていた。洋子は木谷に軍楽隊に入るよう勧めるが、木谷はそれを潔しとしなかった。その洋子は結婚もせずに現在も生きていたが、視力を失っていた。 2時、大宮上等兵は立花報道員に連れられて新宿大久保の病院にやってくる。そこには延命装置をつけられた老婆が一人いた。彼女こそ妹のあけびだった。もはや死を待つだけの状態だが、大学教授に出世し、政府の金融アドバイザーにもなっていた一人息子の健一(石坂)が、病院に頼んで延命措置をしえいたのだった。だが、健一は多忙を理由に病院を訪れることはない。立花は大宮に人間の冷たさと延命治療の無意味さを問う。そこに同じ病院に入院する少女がやってくる。以前意識のあるとき、あけびから延命装置を止めてくれるよう頼まれていたのだ。少女もまたまもなく命を落とす運命であり、天国で会おうねと言って少女は機械を止める。大宮上等兵は少女に一礼し、怒りの面持ちで健一のもとを訪ねる。 2時25分、秋吉少佐は山梨の実家を訪れる。空き家となった家の中で自分と両親の写真を見つける。そこに生存している遠山中将の声が聞こえてくる。お盆の迎え火で車いすの遠山は秋吉少佐に生き延びた恥を語るのだった。無言で聞き入る秋吉少佐。 2時32分、日下少尉は長野県上田市にある戦没学生の絵を飾った美術館にいた。未完成の自身が描いた妻の裸体の絵を前に、出征前の束の間の愛を思い出す。 靖国神社では相変わらず志村伍長が手紙を朗読していたが、にわかにマスコミらが騒がしくなる。真夜中に政府要人が参拝するというのだ。堂々と参拝しない政府要人の姿に怒りをあらわにする英霊たち。立花は報道のマスコミたちは参拝に賛成でも反対でもない、愛国心のかけらもない奴らだと吐き捨てる。 3時15分、健一は母あけび死去の報を受ける。だが、健一は肩の荷が下りたといい、関係者にばれぬように密葬の指示を部下にする。その姿に怒った大宮は健一を刺し殺そうとする。殺せば英霊に戻れないと制止する立花だったが、ついに大宮は健一を軍刀で刺殺してしまう。 3時45分、志村伍長は日下少尉に検閲の非情を邂逅しながら、かつて木谷が洋子に送った手紙の暗号に気づきつつ検閲を通したことを語る。 河西洋子の家では目の見えない洋子が木谷少尉の存在に気づく。今夜来る予感があったというのだ。どんどん心が貧しくなって行く日本を感じ、洋子はもう死にたいという。だが木谷少尉は洋子に生きろという。 4時05分、集合時間となったが大宮上等兵はもう戻ることができない。東京駅で立花は秋吉少佐と今の日本の姿について議論する。便利さを求めた結果だとする立花に、少佐は便利とはさぼることだ、豊かと便利を勘違いしている、今のような日本を作るために死んだのではないと切り捨てる。そして祖国の平和を祈り、英霊を思い出してもらればいいという。だが立花はすでに日本では誰も覚えてなどいない。人間は二度死ぬ、一度は肉体、二度目は忘れ去られることだと言うのだった。そして、英霊たちは再び乗車し、残された大宮に葬送のラッパを吹いて南海の底に戻っていくのだった。 そのころ、大宮上等兵は健一を殴りつけていた。健一は母を守るために頑張ってきたが、どこかで道をはずしたのかと後悔する。そして天からあけびの笑い声が聞こえてくる。 虎ノ門ではマスコミが健一の死を報道していた。凶器は錆ついて藤壺のついた旧日本軍の軍刀と報じる。
2010年08月16日
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昨日はTBSで終戦特番ドラマ「歸國」でしたね。私も一応見ました。結論から言うと、出来はまあまあ。最近のドラマの中では一番良かったかも。やっぱり、原作がしっかりしているだけに、崩れようがなかったのか・・・(笑)。ただ、倉本聡脚本ということで、登場人物やエピソードは全く新作でしたけど・・・ということで★3.5詳しいレビューは明日にでも・・・
2010年08月15日
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恒例の8月15日前後の戦争テレビドラマですが、今年は2本?かな?昨年はほんと不作でしたから、今年は期待していたのですが、やっぱり少なめ。TBS「歸國」・・・8月14日午後9時NHK「15歳の志願兵」・・・8月15日午後9時「歸國」のほうは原作棟田博の「サイパンから来た列車」です。サイパンから来た列車amazonサイパンから来た列車「15歳の志願兵」のほうは江藤千秋の「積乱雲の彼方に」が原案のようです。積乱雲の彼方に新装版amazon積乱雲の彼方に〈新装版〉―愛知一中予科練総決起事件の記録―どちらもそれなりに期待できそうかな?まあ、テレビドラマなんであんまり期待してはいけないんでしょうけど。ちなみに、15日はNHKの裏で「真夏のオリオン」やるようです。録画したいけど、とろあえずNHK優先か・・・【送料無料】真夏のオリオン/玉木宏[DVD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】
2010年08月09日
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