山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2022.06.10
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テーマ: 街歩き(652)
カテゴリ: 街歩き

 真昼間から一升瓶を片手に酒を飲んでいるというのは、私にとっては幼いころから最悪な男のイメージだった。私の生家の家族には酒飲みが多かったが昼酒を飲むような人間はいなかった。
 昨日の昼食時、一升瓶からグラスに日本酒を注ぎながら突然そんなことを思い出した。私がやっていることは、最悪の男のイメージそのままなのである。
 60歳のころに、講演を依頼されてウィーンに滞在していたとき、昼食を一緒にしたウィーン大学のメンバーが白ワインを飲んで、勧められた私も喜んで飲んだのである。もちろん、午後は大学に帰って普通に仕事を続けるのである。
 そのころはワインしか飲んでいなかったので、昼食時にワインを一杯というのは悪くないと思いながら、さすがに日本の大学では勤務日の昼に酒を飲むという人は私の周囲にはいなくて、それっきりになっていた。
 退職して「ほぼ休日」という日が多くなった時にウィーンの昼ワインのことを思い出した。退職後、昼食は私が作ることになっていたので、白ワインに合うような(つまり、ワインに食事を合わせて)ランチを作って楽しんでいたのである。
 そして、半年ほど前からおいしい日本酒を見つけて飲むという「終活」を始めて日本酒の一升瓶がわが家に並ぶようになって、「真昼間、一升瓶を抱える酒飲み」像が出来上がったのである。









元鍛冶丁公園から一番町へ。(2022/6/10 18:20~18:33)


 梅雨入りをしたかのように雨が続く仙台で、降りそうで降らない金曜日になった(じつは、デモ終了直後の帰路で一時的に降られた)。25人が集まった集会も雨を心配する挨拶で始まった。

 スピーチでは6月8日に仙台地裁で開かれた「女川原発再稼働差止訴訟」の口頭弁論の傍聴報告があった。事故時の避難経路に設置される汚染検査場所に東北電力の社員600人が配置されるとしながら、宮城県は配置計画や手順など整備を行っていないため、県の言う避難計画にはまったく実効性がないという主張などが紹介され、裁判の結審は9月21日に予定されているとの報告がなされた。

















一番町。(2022/5/27 18:35~18:42)


 原発のことを何も知らない政治家が原発の安全性を語る(騙る?)のはまったく珍しくないし、あからさまな無知をあげつらうのも気が引けるのだが、9年前にはこのブログで次のようなことを書いていた(「​ 「11月23日 脱原発みやぎ土曜昼デモ」 脱原発と反秘密保護法と! ​」)。


 ここまで書いて来たら、甘利ナントカ大臣が小泉原発ゼロ発言を批判して「科学的技術が進んで放射性廃棄物の保管期間を短縮できるようになる」旨の発言をしたというニュースをテレビが流していた。科学的無知というよりたんなるホラ話である。
 物理学的には、ある放射性同位元素に陽子または中性子を必要量だけ注入して安定同位元素に変換することは可能である。あるいは逆に、長寿命放射性同位元素に陽子または中性子を付加してより不安定な短寿命核種へ変換することも理論的には可能である。ただし、そのためには核分裂生成物としての多くの種類の放射性同位元素を分離したうえで、それぞれの同位元素に異なった核変換処理を施さなければならない。
 最大の問題は、核反応断面積(核変換が起こる確率と考えてよい)が極端に小さいことだ。すべての放射性同位元素の核変換が済む時間は、おそらく半減期に応じて減衰するのを待つ時間と匹敵するだろう。つまり、想像を絶する費用をかけて核変換処理施設を建設して長期間の作業をすることは、何もしないで保管しておくことよりいいなどとはとても言えないのだ。
 原子力村の御用学者でも今はそんなことを言いだしはしないだろう。甘利大臣の発言は、原発推進が科学的無知ないしは科学的知識の無視によって進められてきたことの典型的な例に過ぎない。人間がつくった人工物が「安全」で「絶対に事故は起こらない」と宣言した時点で科学は破綻していたのである。 ​(2013年11月23日)​


 今なら、さしずめ東電1F事故後の溶融核燃料から出る汚染水を「処理水」という名前で海洋放出しようとする言説が代表的な政治的騙りであろう。たしかに正常に運転されている原発から排出される「トリチウム汚染水」はある濃度規制のもとに世界中の原発から海洋へ放出されている。しかし、メルトダウンした核燃料に曝されてありとあらゆる核分裂生成物(放射性核種)が混入した汚染水を合法的に海洋放出している国はない。
  一定濃度以下のトリチウム汚染水を放出してもよいいという規制は、核燃料溶融事故を起した原発を前提にしてはいないのである。









青葉通り。(2022/6/10 18:44~18:52)


 原発のことを知らないのに原発や放射性物質の安全性を騙ることは批判されるべきだが、専門家ではないのだから政治家が原発や放射線に無知であること自体は何ら問題ではない。
 しかし、政治家が政治制度について無知なのはどうにもならない。親から譲られた地盤と金だけで政治家になったためか、民主主義に基づく政治制度をまったく理解していない政治家がこの国には多いようだ。これも9年前のブログに書いた文章である(「​ 「12月6日 脱原発みやぎ金曜デモ」 特別秘密保護法反対が脱原発への道筋! ​」。

​​
 「人間が抱える不確実性と脆弱性はあらゆる政治権力の基盤である」 [1] といったのはジグムント・バウマンである。自由主義的な保守(私にはそうとしか思えない)のバウマンにしてからが社会学者としては権力の本質を見抜いているのである。
 自分の将来を考えるための情報が与えられない、自らの安全を守る手立てがない、そして外国(人)や犯罪者に安全が脅かされていると煽られる、国民をそんな状態に貶めておけば、政治権力は安泰なのである。
 そうした点から言えば、安倍自民党は権力の本質をさらけ出しているだけなのだが、近代西洋の諸外国の政治権力と違って民主主義への配慮や逡巡がないのである。たぶん、彼らが日本国憲法を理解できないのも、民主主義の本質が理解できていないからである。そして民主主義を知らないために、近代国家の多くが示すことができた知性の匂いすらしないのだ。
 常々、日本は「未完の近代」のまま現代に至ったと私は考えてはいたのだが、オモチャをねだる子供のように絶対支配権力をこれほどあからさまに欲しがるとは想像できなかった。
 いかに自民党とはいえ、日本の戦後教育を受けたのだから多少の社会性とそれにかかわる程度の知性はあるものと、愚かにも私は思っていたのである。戦後民主主義教育は、この点では失敗したのだ(右翼政治家が教育に口出ししたがるのは自らの失敗を恨んでいるためか?)。 (2013年12月6日)


 私も教育者の端くれだった(じつのところ、自分は研究者だとばかり思っていて教育者の自覚は希薄だったのだが)ので、少し居心地が悪い感じはする。だからと言って、安倍政権のやった諸々にはどのような意味でも私には責任はない。

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Last updated  2022.06.12 08:29:07
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