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2005年09月14日
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カテゴリ: 音楽
パリ在住のヴァイオリニストIさんの、
小学校でのボランティアコンサートの日であった。
実は、先月末の市民向けのコンサートを開催した一番の目的は、
彼女に小学校で演奏をしていただく下地のようなものだった。

私は、彼女のことをできるだけ多くの人に知っていただきたい。
しかし、何度かこの日記で書いているように、
ネット上でのこの日記は、なんとしても「匿名性」を確保してゆきたい。
彼女の名前を書けば、たどりたどれば私の名前にも行き着いてしまう。
・・・・・・・
申し訳ないが、やはり“Iさん”とイニシャルだけにさせていただく。


Iさんが小学校や施設などでのボランティアコンサートを積極的になさっていると知り、
ぜひこの町の子供たちにも生の演奏を間近で聴く機会を・・と思った。
いくらご本人がボランティア演奏を引き受けるからと言って、
それだけをお願いするのはあまりにも失礼だろうと思い、
市民向けのコンサートとセットでお願いしたのである。

このコンサートを受け入れてくださるようお願いをした小学校は、
私の息子達もお世話になった学校である。
全校生徒(700人強)が体育館で、「音楽鑑賞」という形でセットして下さった。
最初に私は、全校生徒と聞いた時に、
「低学年は一時間聞き続けられるかな?」と少し懸念した。
しかし、質問の時間も含めて約50分、
体育館に座った子供たちが、本当に集中して聴いていたのには正直驚いた。
前方に座っている低学年の子達には、一部に多少のざわめきはあったものの、
決して演奏の妨げになるものではなかった。
後方の高学年の子達の表情を見ていると、
まさに「聴きほれている」というような顔が並んでいた。
子供たちの表情や態度を気にしている私などより、
ずっと純粋に演奏に感動し、楽しんでいるのだった。

さらに驚いたのは、質問の時間である。
「質問のある人、手をあげて」という先生の声に、
あちこちから「ハイ、ハイ」と三十人近くも手が上がった。
そして、その質問がまた核心を付いているのにも驚いた。
「音は、どうやって出るのですか?」
「音はどのように変えるのですか?」「色んな音が出るのはどうして?」
「どうしてバイオリンの真ん中はへこんでいるのですか?」エトセトラ・・。
最初に彼女が、「バイオリンを見たことある人?」と聞いた時に、
何人かは手を挙げたけれど、
実際に本物の演奏を聞いたことのある子供たちは少なかっただろう。
だから子供たちは、純粋にその小さな楽器が奏でる音色の美しさや複雑さに、
感動と共に色々な疑問が湧いたのであろう。
そのことが、子供たちの質問の様子から伝わってきた。

コンサートが始まる前に、先生がいくつかの注意をしていた。
「演奏中はおしゃべりをしないこと」「終わったら、拍手をする」
「どうしても我慢できない時以外は、立ち上がらないこと」
子供たちは、感心するほどにそれを守っていた。
そして、全部の演奏が終わったとき、拍手の中で舞台を下がる演奏者に、
数人の先生が「アンコール!」と声をかけた。
その声に、Iさんが舞台に戻り、
「今、『アンコール』と声をかけてくださいましたね。
 演奏が終わってから拍手がずっと続いている時や、アンコールと声がかかったときは、もう一度アンコール曲を弾くことが普通なんです。
今日は、アンコール曲として、みんなが知っている曲を弾きますね。
一緒に踊れる人は、踊ってもいいですよ」と、
何と「マツケン・サンバ」を演奏し、子どもたちも一気にリラックスして手拍子も起きた。
しかし、700人の子供たちが手拍子で踊り始めると、バイオリンの音はかき消される。
すると、また驚いたことに、みんなは自発的に手拍子を控え、中・高学年は座り始めたのだ。
それは、子供たちの「演奏を聴きたい」という気持ちの現われのように感じた。

終了後、校長室で私たち実行委員三人と、Iさんと感想などを話した。
いくつも学校での演奏を体験しているIさんは、
「子供たちがみんな集中して聴いてくれているのが感じられて、驚きました。音楽教育に力を入れていらっしゃるのでしょうか?」と聞いた。
校長先生などのお話では、特別に力を入れているわけではないようだが、
高学年の音楽は「専科の教師」が担当しているらしい。
低・中学年の音楽も、熱心な先生だと言う。
そのことが関係しているのかもしれないけれど、
私は校長先生がおっしゃった
「それよりも何よりも、全身から奏でる本物の音楽の力だと思います」
と言う言葉が、一番の要因のように思った。
そして、このコンサートを通して、
演奏会での基本的なマナーやルールのようなものをしっかりと教えたかったというお話に、
教育の場でのこのような体験の意味も痛感した。
一部の子供たちの中には、じっと座っていることを我慢している子もいただろう。
でも経験を重ねれば、マナーを守りつつも自然に音楽を楽しむ許容範囲を、
自然に体得していくものだろうと思う。

その後、今回のコンサートの実行委員や協力者を含めての昼食会があった。
そこでの話も、本当に色々と考えさせられるものだった。
Iさんに、学校などでのコンサートをしようと思った理由を聞いた。
「今の子どもたちは、ゲームや携帯など、機械が作り出す音に囲まれています。
私は、人間が一所懸命思いを込めて創り出す音を、子供たちに聴いて欲しいし、人が人に(直接)伝えるということがとても大切だと思うのです」
と言っていた。
私は、その言葉に本当に感動し、心底共感した。

一人の実行委員は、こう言った。
「日本では、小学生が生の演奏会に行けるチャンスはほとんどない。
 また、子供達の中には、一生クラシックコンサートに行く機会がない子どももいるだろう。
 学校という場で、どのような環境に育っている子供たちにも平等に聴く機会を持っていただくのは、とてもありがたいことだと思う」
これも、本当にその通りだと思った。
家庭環境は千差万別である。
音楽なんてまったく縁の無い家庭もあるだろう。
生の演奏の素晴らしさを知る機会がないまま成長する子どもも多いだろう。

別の協力者が言った。
「僕は、中学生の時に学校で札幌交響楽団員の室内楽演奏を聴いて感動して、それから音楽に興味を持ちました。今でも趣味で音楽をやっていますが、その原点は中学校での演奏会です。
今日聴いた子供達の中にも、ひょっとするとこれがきっかけで音楽家になったり、音楽を生涯楽しむことになる子どもがいるかもしれない」
そう、きっかけやチャンスは、できるだけ沢山
子供達のまわりにあった方が良い。

今の子どもたちに何よりも大切なのは、
この世には様々な感動の機会があるということを、
大人が伝えることだと思う。
私が、小学校で生演奏を聴く機会を作ることに役立てるならと思ったのは、
まさにその点にある。
そして、今回の子供達の姿や反応は、
私のその思いを「確信」と変えてくれた。
様々なことを感じ、考えさせられ、
そして今までの苦労が吹っ飛ぶような嬉しい一日となった。
Iさん、そして今回のことで協力してくださった皆さん、
そして生き生きとした素直な表現で私に感動を与えてくれた子供たち、
本当に本当にありがとうございました。





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最終更新日  2005年09月15日 10時30分17秒
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