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2014年11月11日
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カテゴリ: 読書
人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白―
美達大和/著 新潮社 


図書館でふと目について手に取った本である。
著者は、1959(昭和34)年生れ。無期懲役囚。刑期十年以上かつ犯罪傾向が進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で服役中。罪状は二件の殺人。著書に『死刑絶対肯定論』(新潮新書)『ドキュメント長期刑務所』(河出書房新社)『夢の国』(朝日新聞出版)がある。(新潮文庫の著者紹介)

この本を読んだことがきっかけで、
「無期懲役囚・美達大和のブックレビュー」 というサイトも知った。

本当に色々なことを考えさせられる、ある意味で衝撃的な本であった。
彼は、本当にIQも能力も高い人だと思う。
論理的に物事を考えることができるし、意志も人並み以上に強い。
それがなぜ、二件の殺人事件を犯すことになったのか。

以前書店で平積みになっていた『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』を
パラパラと手に取ったことがある。
その時、刑務所に入所している人との文通から始まったようなことが書いてあって、
「まあ、懲役囚にも色々な人がいるだろうし、そんなこともあるんだろう」くらいに思った記憶があるが、
それが、美達大和その人だったとは。

どんなに能力が高くても、バランスよくその能力が健全に育つには、環境がとても大切である。
彼の考え方や心のありように影響を与えたのは、やはり家庭環境と成育歴なのだろう。
それにしても、彼の父に対する思いはどうだろう。
この本の中にも「父の作品」という言葉があるが、まさにそうなのだろうと思う。
彼の父は決して殺人犯を育てるつもりでなかったのは確かだ。
しかし、父親の生き方や考え方が、息子を誤った方向であっても確信的に行動させた要因なのだ。
この父親のことをモデルにして彼が書いた小説があるようなので、
次はそれを読んでみようかと思う。
私にとってこの本の一番のキーワードは「父と息子」なのかもしれない。

次に考えさせられたのは、刑務所のあり方や、現在の刑法やその制度のありかたである。
LB級刑務所(罪が重く刑期が十年以上の者が収容される)に収監されている人々の実態や、
自分の罪を意識して贖罪の気持ちを抱く人と抱かない人がいて、
人間の欲望を制御できない人に対して刑罰が有効なのかいなかなど、
本当に考えさせられるばかりであった。

私は、基本的には「人が人を殺す」死刑にはどうしても納得ができないのだが、
死を意識するかしないかで物事を深く考えられるかどうかも異なってくるとなれば、
死刑に抑止効果はないとは思うのだが、死を意識させるような仕組みも必要なのかもしれないとも思った。
まだ、自分なりの考えを整理はできないけれど、
彼の能力は彼の命がある限りまだまだ生かされるということだろう。

彼の生育環境がもっと穏やかなものであったなら…
もしも、といっても詮ないことだけれど、とても切なくなってしまう。







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最終更新日  2014年11月11日 12時44分54秒
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