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「ニサッタ ニサッタ」乃南 アサ
【内容紹介】ネットカフェ難民なんて他人事だと思ってた会社の倒産をきっかけに、何をやっても裏目裏目に。気がつけば負け組のワーキングプアになっていた青年を主人公に、現代の幸福を探す、直木賞作家の長編小説!
乃南アサさんの北海道三部作は、これで読了。
この作品は、 先週読んだ「地のはてから」
の主人公の孫の物語で、現代社会の若者の状況を描いている。
主人公は、北海道から大学進学で東京に出て、就職その後の話である。
平凡な若者が、希望を抱いて就職したけれど、運が悪いのか間が悪いのか、はたまた本人の要領の悪さや不運なのか、頑張っても頑張ってもうまくいかず、居場所を失ってゆく。
この設定は、前二作よりもすべてが身近に感じられてリアリティーがある。
故郷はオホーツクの斜里で、そこには母と94歳にな祖母がいて、その祖母が地のはてからの主人公だ。
とにかく、ハラハラドキドキ、何度も何度も胸が詰まる思いでほとんど一気読み。
小説ではあまり泣けない私なのだが、乃南さんの筆力なのか主人公や登場人物に感情移入しながらいつしか涙がにじむことも何度か。
絶望的で明日が見えなくなった時に、どのように考えてしのぐのか。
「命がある限り生きなきゃならんのだから」という孫への言葉は、まさに私の祖母がよく言っていた言葉だ。
あの世代の人は、何度も何度もそう自分に言い聞かせ、「明日はまた明日だ」と疲れた体を横たえて眠りについたのだろう。
人は人によって傷つくけれど、人によって癒され励まされて頑張れる。
夢を追いかけるのもいいことではあるけれど、何をやってもうまくいかない時は「今日やれることをやる」ということに集中して、明日のことは明日に任せよう。
明日はどんなことが起きるのかは天のみぞ知る。
そしてきっと天は、必死に生きる人をきっと見ていて時々はご褒美をくれるものだ。
まだまだ波乱万丈の人生を歩むことになるかもしれないけれど、少し光が見えてくるようなエンディングに救われた思いであった。
この作品、私は「地のはてから」を読み、その続編として読んだけれど、最初にこちらを読んでから祖母の人生をたどるように「地のはてから」を読んでもいいだろう。
特に若い人には、知床の開拓話はまったく想像もできないだろうから。
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