「検視官」シリーズを断念したのは何年前だろう。 久々に読んだ新作で、年老いた主人公を10歳以上若返らせた内容に嫌気がさして、ぱったりとやめてしまった。 さて、今回の新作といっても2023年に出版だから、ずいぶん前だ。「禍根」(上下)。amazon prime video の配信にて「スカーペッタ」を見たものだから、原作を読んで見ようという気になった。 2026.05.04ドラマレビュー prime video「スカーペッタ」 厳密には原作ではなく、現在のスカーペッタと30年前の若い時を行きつ戻りつして描くドラマで、現在の事件がこの小説「禍根」で惨殺された事件が取りだたされている。スカーペッタを演じるのはニコール・キッドマン。「スカーペッタ」を映像で見るまでは作者パトリシア・コーンウェルがスカーペッタ像として認識していたのだが、キッドマンを見てからは細身長身の彼女のイメージに移り変わり、今回読書して想起するスカーペッタはニコール・キッドマンの姿であった。ドラマは傑作でも駄作でもない、よく練り上げられたものになっていたけれど、キャスティングが製作陣の思惑で小説からは想像できない人たちになっていたので苦慮したものである。 さてさて、小説はこのドラマ「スカーペッタ」とは比べるものではなく、独自の面白い展開を見せてくれる。宇宙船での事件などもあり、ペンタゴンへ呼び出されたりと重厚且つ内容豊富な物語であった。読書ファンには好評といわれるだけあって長年のファンには嬉しい本である。 スカーペッタを取り巻く軋轢はなかなか息苦しいものであり、そのせいか遅々として進まない捜査や展開は読み手をやや不満にさせるけれど、それとて解決できるという望みがあってこそ楽しめる。 クライマックスからの事件解決はあっけなく、予想だにしない犯人にいささか拍子抜けする気がするけれど、とにもかくにも待っていた作品が良く戻ってきてくれたという安心感、安堵感にたどり着く。 なかなかの読みものであった。