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こういう作品を何といえば良いのかと迷ったがノンフィクションなのだ。いつもフィクションばかり読んでいるので、とまどう。”深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、「モンスターを倒した。これで一安心だ。」と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。2018年3月10日、土曜日の昼下がり。滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。”母という呪縛 娘という牢獄 | 齊藤 彩 |本 | 通販 | Amazon より主人公・あかりの日記・手紙・LINEなどを基にして、裁判の記録も本人との交流(手紙など)を経て、完成した本である。10年に及ぶ受験勉強は熾烈で地獄だったのだ、と思えた。常軌を逸した犯罪行為であるが、抑うつされた境遇を思うとあかりに気持ちを寄せてしまう。母という呪縛 娘という牢獄 [ 齊藤 彩 ]
2024.05.26
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”ハンチバック”が”せむし”の事とは知らなかった。また、カバーデザインの絵が”せむし”を表しているとは気づかなかった。衝撃的な内容である。なんという世界。しかし、身体障害者の性について思うと映画「セッションズ」を思い出した。ヘレン・ハントがセックスパートナーの役を演じた作品だ。衝撃的な内容であった。さて、本書「ハンチバック」は生まれながらの障害女性が親の遺産でグループ・ホームを経営(?)。コタツ記事を書きながら暮らす、人工呼吸器と電動車いすを利用する40代の女性が性体験をしたいと……。圧倒されてしまった。ハンチバック [ 市川 沙央 ]
2024.05.26
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伊予原新「月まで三キロ」を読んだ時に「<対談 逢坂剛・伊与原新>馬力がある小説」という章が巻末にあり、馬力がある小説として逢坂剛を読みたくなり読んで見た。読書レビュー 「月まで三キロ」伊与原新:著 新潮文庫冒頭からなかなか惹きつける導入部で読みごたえもあった。内容は充実していて展開も早いので飽くことがない。悪徳刑事とまではいかないが、己の規範しか持ち合わせない短躯(たんく)<背の低い人>ながら異様に肩幅が広い最悪の刑事・禿富鷹秋が主人公。彼は腕っぷしが強く敏捷である。出て来る女たちは魅力的だ。血も涙もない非情な暗黒社会を単独で捜査する強面。読み始めて「新宿鮫」を想起したが、鮫島はよりステイリッシュで情がある。情け無用のハゲタカは強烈な本だった。ただあまりに強烈なので映像化されていないのかなぁ。映像化されている百舌シリーズを読むかなぁ。「カディスの赤い星」も読まねばなるまい。禿鷹の夜 (文春文庫) [ 逢坂 剛 ]
2024.05.26
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本屋大賞を受賞の作品。大言壮語なことをいう成瀬。この題名「成瀬は天下を取りに行く」も大言壮語である。200歳まで生きる!誰も思わないそんなこと。しかし、言霊なのか、有言実行ではないが、言っているうちにかなうこともある。という。さて本書は、ありがとう西武大津店膳所(ぜぜ)かた来ました階段は走らない線がつながるレッツゴーミシガンときめき江州音頭(ごうしゅうおんど)の6つの章からなる。期待を寄せて読んだ「ありがとう西武大津店」は中学生14歳として、向こう意気の強さが出て良かったが、期待しすぎたのか、心躍るまではいかなかった。続く「膳所(ぜぜ)かた来ました」で漫才挑戦とは意表を突かれた。「階段は走らない」には郷愁が感じられて「線がつながる」とはそういうことかと感心した。この中で一番心に響いたのが「レッツゴーミシガン」であった。映画「ちはやふる」を見ていたこともあり、かるた鳥の場面が目に浮かんだ。ミシガンに私も乗船したい。ラストの「ときめき江州音頭(ごうしゅうおんど)」では成長して別れを意識するが、繋がっていることを再認識して心温まる。軽いタッチで描かれていながらいろいろと縦横無尽に展開され、いろいろな人の思いを知り、感じることが出来た。西武大津店はなくなった。そして、対比として登場した西武池袋本店であったが、この西武池袋本店も消えゆく運命である。時の流れの非情さを感じる。西武池袋本店が閉店するとき、成瀬は立ち会うのだろうか。成瀬は天下を取りにいく [ 宮島 未奈 ]
2024.05.24
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いま、驚いた。ググったら「平場の月」映画化、とあった。第32回山本周五郎賞受賞ということで気になり読んで見た。埼玉に育ち、上京し、埼玉に戻り、細々と暮らす。アラフィフ、男と女。ともに独身。寡婦だったり、バツイチだったり。中学生の時に男は女に告白した。勢いでか?病院で再会するというのは体にガタがきた中年ならではであろう。なんとなく飲みに行き……なんとなく飲みが続き……なんとなく……多くを語ることなく、なにかを構築することなく、老後があるものと……でも……愛って、あったのかなぁ。嫌いではないよな……。情熱はどうだろう……。読み終えて、感覚のない感覚を感じた。
2024.05.23
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短編集「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」と5作品。冒頭の「惨者面談」があまりに秀逸で想像を上をずいぶんと越えていく作品なので驚いた。超傑作といえそうなくらいの作品だ。この作品に打ちのめされて、あとの4作品は出来が良くても感動や意外性の極致を越えていかない。一作目のインパクトが強すぎて、そのあとの衝撃がわからない(苦笑)とはいえ、どれも驚きの展開が待っていた。#真相をお話しします [ 結城 真一郎 ]
2024.05.19
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不覚であった。この本、前に読んでるじゃないか。数十ページ読んで気づいた。振り返ると”感動も共感も特にはない”と書いた2022.11.30の読書レビュー「星のように離れて雨のように散った」島本理生:著 文藝春秋 であったが、今回読んだ文庫本では大いに共振していた。感ずるものがあった。文庫本では最後のところが改稿しているとのこと。作者のあとがきも、解説・柴崎由香の文も感心できる内容であった。2024.05.15の読書レビュー「白いしるし」西加奈子:著 新潮文庫とは違う恋愛小説だけれど、自分探し、自立する物語なのかも。主人公のその思いに共鳴し、今回は記憶に残る本になったともう。島本理生の本に出会った時に感じたことを改めて思う。彼女の本、好きだなぁ。星のように離れて雨のように散った (文春文庫) [ 島本 理生 ]
2024.05.18
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やっぱり、すごいな新川帆立。国会議員を描いて、事件物。唸ることしかできないほど、巧妙であり予想外の物語だった。幻冬舎の新刊案内から”文藝編集者人生ベスト3に入る小説です”この新刊案内の一文を転載しようかと思ったけれど、冒頭の事件の内容が書かれているので、断念した。筋書きはクライマックスだけわからなければよいというものではなく、この予想外の事件?事故?さえも予断が出来ないことが衝撃でありミステリー感が深まると思う。ゆえに、何も知らないまま読み進めてほしい。読書中も感じたが著者・新川帆立のストーリーテリングは絶妙である。先を読みたくなるストーリー、裏打ちされる現実感(リアリティ)。政治好きの者ならば、さらに快感を味わえる内容であった。あっぱれ!あっぱれである新川帆立。次の新作もぜひとも読みたい!!!!!女の国会 [ 新川 帆立 ]
2024.05.18
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裏表紙に”女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった――。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。”とある。全身全霊をかけた思い、好きという感情。行動はそれを発露するほどのものではなくて、とはいえ、突発的に逆上するような行動となったりもする。”好き”という熱波は体内に膿んで、体を束縛する。好きな人に”好きや”と言ってもらえて、好きな人に”好き”と言える。2人で会えても彼には彼女がいて、恋愛感情のない男と彼に首ったけの女のトラブルに巻き込まれる。白い白い白い絵白地に白い絵。白い絵の具を手に取る。関西出身の女子が東京で暮らして、関西弁でしゃべる。面白さを持ち合わせない関西人の心境がわかり、読んでいて苦笑し親しみを覚える。なんか、好きな本である。なんか、好きな本。わかると思える。「白いしるし」白いしるし (新潮文庫 新潮文庫) [ 西 加奈子 ]
2024.05.15
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読み応えあり。話の展開が、あちこちへと移り、事件そのものから離れていくようで、沢村刑事の日常を切り取っていく話となる、と思うと事件に戻ってきた。そして、事件の真相に迫っていく。作家のことを知りたくなったが、これまでの経歴は出ておらず、北海道生まれ、北海道在住、この本で江戸川乱歩賞を受賞。これしか、わからない。主人公、ノンキャリ警察官の沢村依理子が登場する2作目「数学の女王」が出版されている。読みたい!北緯43度のコールドケース (講談社文庫) [ 伏尾 美紀 ]
2024.05.12
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ガリレオの第十作「透明な螺旋」この”透明な螺旋”が何を意味するものかわからないけれど、ガリレオ・湯川学の生い立ち、過去が明らかにされる。驚きの内容である。本筋である事件と並行して徐々に明かされる湯川学の系譜。今まで知らなかったことと思えない内容で、知ったことに驚きを感じた。事件に関しては犯人が明らかになっていくにつれて、そこに至るまでのエピソードが次々と覆されていく。そのことに圧倒され、東野圭吾が描く内容に恐ろしさを感じ震撼する。良き人がいない内容に暗澹たる気持ちになる。それにしてもスゴイ、すごすぎる小説であった。ここにきて湯川学を白日の下にさらす。その理由はなんであったのか。続く、第11作に期待する。透明な螺旋 [ 東野 圭吾 ]
2024.05.11
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「海をあげる」沖縄のことが書いてあった。沖縄の事件……。沖縄の若年女性出産を調査している。十代で子供を産む……生活の困窮。風俗で働く女性たち。家族からの性被害。沖縄はいいところだね。観光で訪れる人々はそう思う。しかし、事件に巻き込まれたら、そう言えるのか。帰宅途中、米兵に襲われ、殺されてしまった女の子。小学生である。この犯人たちは、何か処分されたのだろうか。沖縄は新兵を訓練するところのようだ。二十歳そこそこの血気盛んな若者たちがたくさんいる。その一部が外出時に無茶をするのだろうが、その標的となった被害者は……。事件が起こった時、日米地位協定の不条理が犯人たちを擁護する。日本の法律で裁けない。ドイツもイタリアも敗戦国で地位協定があったけれど、日本以外の国は自国の法律で米兵をさばけるように地位協定が改定された。日本だけ、不条理な地位協定のままだときく。きいた時から数年がたった。普天間から辺野古への基地移転、距離は東京の三鷹から東京湾と同じとこの本に書いてあった。近くはないけれど、遠くでもない。車を走らせれば、1時間にもかからないかもしれない。それくらいの距離。沖縄の基地移転は沖縄の外へという希望は叶わなかった。沖縄の基地周辺では米軍機の発着により轟音、爆音が鳴り響く。著者が東京で暮らしたときに、この轟音、爆音がないことを知った。東京の人は観光でない沖縄を知ってはいても実感はないのではないだろうか。湘南の海、その海上に飛行機ない。旅客機はない。米軍の飛行区域のため、民間機は飛ばないのだそうだ。米軍がいるから轟音が鳴り響く、米軍がいるから飛行機はとばない。この本とは関係ないが、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した事故を思い出した。東京―大阪の飛行ルートは迂回しているときいた。湘南の海の上を飛べたなら、もっと短時間でとべるだろうし、もし、墜落して海上なので、助かる人は多かったかもしれない。本に戻ろう、十代でホストをしている女の子のようにかわいらしい男の子が登場する。この男の子が彼女に何をしたか、何をさせたか。読んでショックであった。本土に住む人たちはこの本を読むべきだと思う。海をあげる [ 上間 陽子 ]海をあげる【電子書籍】[ 上間陽子 ]
2024.05.10
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「時ひらく」辻村深月伊坂幸太郎阿川佐和子恩田陸柚月麻子東野圭吾 すごい!この顔ぶれ。「オール讀物」に2023年と2024年に掲載された短編とのこと。“2024年2月6日『時ひらく』 (文春文庫)発売。創業350年の老舗デパート「三越」を舞台にした6人の作家によるアンソロジー。“と『時ひらく』 (文春文庫)発売! | News | 伊坂幸太郎 Kotaro Isaka (ctbctb.com) にある。 表紙が三越オリジナル包装紙「華ひらく」とおなじ模様であることに気づかず、書籍名『時ひらく』が包装紙名にかけてあるということに今、気づく。実力派の皆様なのだけれど、幻想的内容に抵抗を感じ、ささっと読み始めた。「思い出エレベーター」辻村深月「Have a nice day!」伊坂幸太郎「雨あがりに」阿川佐和子「アニバーサリー」恩田陸「七階から愛をこめて」柚木麻子「重命(かさな)る」東野圭吾 伊坂幸太郎のみ仙台の三越であり、他の人は日本橋三越本店を取り上げている。日本橋三越本店でのあれこれを時空を越えて書いているのだけれど、一人、東野圭吾だけは違った。三越が出てこないのである。しかも、“ガリレオ”こと湯川教授が出てくるのである。湯川教授と草彅刑事と事件。それだけなので、思わず三越縛りはどうなった!?と思わずにはいられなかった。そのように感じた頃、ようやく土産物として三越が出てくる。それだけか、と思ったら、やはり、土産物として三越が出てくる。たいそうな品物、ありがたい土産物、三越が貴重なものという印象を残す。お題に対してのアプローチの違い、シリーズの登場人物を使うという手駒で秀逸な短編を書き上げる手練れさ。著名作家のアンソロジーにおいて、頭抜けた作品であった。時ひらく (文春文庫) [ 辻村 深月 ]
2024.05.08
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読み終えて、さすがの東野圭吾と思えた。秀逸な作品である。凶悪な犯人がいると思える設定、そして三度、犯行現場となるであろう”ホテル・コルテシア東京”。そこに潜入捜査が三度となる新田警部。歳月が経っているので、ホテルの様相もかわり、コンシュエルジュ・デスクはもうない。コンシエルジュを務めていた山岸尚美も渡米して現地のホテル勤務であろう。かわって(?)登場なのが、合同捜査をすることになる梓真尋という女性警部。新田警部が木村拓哉、山岸尚美が長澤まさみという映画キャストの顔として浮かび、新しく登場した梓真尋は誰が演じるのだろう、適役が誰なのか気になる。広瀬アリスが浮かんだが、もう少し背丈があってアラフォーくらいのほうが良いのだろうか。次に米倉涼子が浮かんだが、彼女はアラフィフだなぁ。タッパで考えたら、菜々緒が浮かび、演技巧者で安藤サクラが浮かんだ。東野圭吾繋がりで”ガリレオ”の柴咲コウというのもアリ?新田警部と梓警部の主軸二人と思ったら急遽、呼び出されて山岸尚美が登場。ホテルで万全な警備体制の中で、犯人探し。関係者と思われる人が続々と宿泊していく中、予想もできない展開となっていく。驚きのクライマックスに結末。本書は書き下ろしとなっているが、書下ろしでないとこれほど精巧で緻密で奇想天外な展開を持つ作品にならなかっただろうなと思えた。楽しめた。マスカレード・ゲーム [ 東野 圭吾 ]
2024.05.06
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何で見かけたのか。「エバーグリーン」を推奨しているのをネットで見て、読んで見た。読み始め、なぜか高校生と勘違いし、中学生の話だと認識を新たにしながら読み進めた。中学最後の文化祭、音楽をやりたかったシンはバンドを組むがイケメンボーカルに脱退されて空中分解。文化祭のステージに立つ夢かなわず、と思ったところでシンに大注目の漫画オタクの小柄な女子アヤコの震源により、アコギでひとり弾き語りでステージに立つ。それから特に仲良くなった話でもないけれど、いよいよ卒業というときに10年後の3月14日午前10時にここ、田んぼの中のあぜ道での再会を約束する。シンはミュージシャンとしてアヤコは漫画家として夢を実現していることを誓って……。その10年後、約束の待ち合わせに行くまでの数カ月を綴った物語。思春期、青春。いろいろな思いがないまぜになった、まだ何も体験していなかった14歳。経験をしてしまった24歳。この淡い片想いの物語はティーンエイジャーの、ひいては若者の感情をつらつらと描き出す。読者がうなづきながら、どこか心に少しの痛みを感じながら読む物語。作者、豊島ミホは小説を断筆し、その後漫画となり、今は専業主婦らしい。ブログなど綴っているようで、いつかまた小説に戻ってくるのだろうか。エバーグリーン【電子書籍】[ 豊島ミホ ]
2024.05.04
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「月まで三キロ」人生、ここまで歩んできて手もとに何もなくなって……死。負の感じがどうにも嫌で、嫌で、投げ出したくなる小説。それでも読み進めて“月まで三キロ”の意味が分かった時、なるほどと。「星六花」雪の結晶。六花。雪の結晶にもいろいろとある(らしい)。融けてゆく雪のように淡い想い。「アンモナイトの探し方」地層。アンモナイトがいる石。ダムに沈んだ村。ダムに沈んだアンモナイト地層。やるせない思い。「天王寺ハイエイタス」伝説のギタリスト。へんてこな長男、堅実な次男。普通とは違う、生き方。「エイリアンの食堂」研究者の夢。やりたいことをやるために、他のものを捨てる。いろんなものを手にすることはできない。研究者の生き方もありかな。「山を刻む」この作品が一番。素敵でいいと思う。予想外の展開、結末に安堵と笑みがこぼれる気がした。“月まで三キロ”を読んだときにこの作家の作品を読み続けるのはどうかという思いがよぎったが、その負のオーラはこの作品だけであとの作品にはない。とはいえ前向きな成功物語ではなく、いずれもうらぶれた、あるいは落ちぶれた中年男女が登場する。中には小学生が主人公のこともあるが(アンモナイトの探し方)、早期リタイアとなった老人が登場する。長い人生のひとときを切り取った短編の数々。大きな事件が起こらない分、ふつうな感じがなんかいい。「特別掌編 新参者の富士」富士山に登れない虚弱な地元民と東京人、そして、火山研究者のドローンとな。「<対談 逢坂剛・伊与原新>馬力がある小説」この対談を読んで、馬力のある小説=逢坂剛の小説 を読んで見たくなった。月まで三キロ (新潮文庫) [ 伊与原 新 ]
2024.05.02
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これはミステリー作品の始まり…パクリか?と思ったところで現実世界に移り変わる。ちょっと違法な(?)始まりである。映画鑑賞同様、事前情報なしで読み始めたので、事件が起こり、加賀恭一郎登場となって加賀恭一郎シリーズの新作だと知った。加賀恭一郎には阿部寛が想起された。冒頭除き、犯人は登場せず、共犯者がいるのではないかという疑惑から、共犯者探しの「検証会」が行われる。そこに同席する加賀恭一郎。従来の捜査をするという手法とは違ったように思える。読ませる、読みやすい、さすがの東野圭吾である。クライマックスから二転三転の結末。恐れ入る展開である。ただ、多少外連味が過ぎたか。納得したり、感嘆したりするというよりは”どうなの?”という印象ももった。東野圭吾であればやはり傑作と思えるものを読みたい。あなたが誰かを殺した [ 東野 圭吾 ]
2024.04.27
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「”アート”に生きる」私だったら、この題名にする。ラヴ・ストーリー好きなので「カンヴァスの恋人たち」という表題であれば、絵筆、すなわち画家たちの恋の物語であると予測してしまった。甘く切ない恋物語を。そうでなくてもビター・スウィートな恋かもしれないと思いつつ手に取った。しかるに、恋物語はサイドストリーと思え、それよりも女性の生き方、生き様、画家として生きる、学芸員として仕事をするという、女性が社会の一員として生きるための日々の暮らし。主人公である学芸員の将来に対する悩み、葛藤、慟哭を綴っているように思えた。それゆえ、”カンヴァスの恋人たち”とは思えず、生きる、生活することに重点が置かれていると感じた。そして、内容は正よりも負を感じた。孤高というか孤独というか、ひとり山奥に暮らす老画家ヨシダカヲルは負のオーラをまとっている。進むにつて彼女のこれまでの人生を知るにつれ、なかなかの業の深さと孤独を知る。翻って、主人公の美術館に勤める学芸員の貴山史絵は、遠距離恋愛に悩み、転職活動に彷徨う。内容は深く濃く、読むべくところは多く、感じるところも多いけれど、負のパワーに侵される気分になった。カンヴァスの恋人たち [ 一色 さゆり ]
2024.04.24
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不思議な小説だ。芥川賞受賞作。作家・今村恵子を私は知らない。しかし、彼女が原作者である「星の子」は見た。映画「星の子」(ブログ)なので、ああいった世界観を描く作家なのかな、なんて思って読み始めた。読み進めても不思議だ。一風変わったミステリーでもある。むらさきのスカートの女 と 黄色いカーディガンの女二人は交錯しても交わらない、と思える。展開は読めないし、結末も不穏だ。評するに何とも言えない作品と言える。このようなものを書く人はなかなかいないのではないだろうか。そこはかとなく負のオーラを感じる……。むらさきのスカートの女 (朝日文庫) [ 今村夏子 ]
2024.04.21
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江國香織さんの本は一冊も読んだことがなく、恋愛小説を探していたらランキングに登場していたので、読んでみるかと手に取った。短編集である。その短編が短い、あまりに短い。昨今の短編の半分以下の長さなのではないだろうか。読んでみて内容はわかるのだが、ほとんど響きがない。江國香織は私には合わないのか?と思った。読み進めるうちに、小説は散文であるが、彼女の作品は韻文なのではなかろうか。詩や短歌のようなもので省略された物事を読み取れないとまったくわからないのではないかい、と思えた。短編をずんずん、ずんずんと次々に読んでいく。ピンとくるものはない。表題作「号泣する準備はできていた」はその題名通り、号泣するものだと思い、自宅で号泣しても大丈夫な状況で読んだ。読んだ……。……。号泣……することはなく、涙ひとつでない。なんなのだろう、この寂莫感。江國香織は私には合わない。それを実感した読書であった。号泣する準備はできていた (新潮文庫) [ 江國香織 ]
2024.04.20
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Amazon.co.jp: 流星さがし (光文社文庫 し 28-15) : 柴田よしき: 本より”京都の人権派弁護士事務所から東京の大手法律事務所に移籍してきた新米弁護士・成瀬歌義。武者修行と意気込んでいたが、勝手の違うことばかりで、熱意は空回り。依頼人には嫌われ、挙げ句の果てに先輩弁護士からは関西弁がよくない、とまで言われてしまう。持ち込まれる案件も一風変わったものばかりで、四苦八苦する歌義だったが……。青年弁護士の奮闘と葛藤、そして成長を描く爽やか青春ミステリー。”とあるが、短編連作集である。文字にされた関西弁。東京へのやっかみ。うなづける事柄ながらも、”関西の方がええねんで”という変なプライドが感じられて嫌だ。かくいう私も上京するまで、字面が標準語ならば標準語だと思い違いをしていて、アクセントやイントネーション、大方に関して、同じ字ずらでも東西では真逆の言い方に気づいていなかった。話法のレッスンで直され、半年くらいしてようやく違いがわかり、標準語を話せるようになると、関西弁がおかしくなった。地元に帰ってしゃべってもエセ関西弁となり、中途半端な標準語とエセ関西弁でどこの言葉をしゃべっているのか能が混乱し訳が分からなくなった。それから標準語に慣れて、何とか標準語に染まっってくるとエセ関西弁も関西弁らしくなり、うまく脳で切り替えられるようになった。さてこの短編小説。なかなか読みどころがあっていい。しかし、なんか中途半端。短編の結末。収束の仕方がすっきりしない。まるっきり解決しないまま終わり、次の案件(短編)へとつながっているように思える。表題にもなっている「流星さがし」という冒頭の短編からして、流星をさがすのだけれど、その結果、子供の証言の正誤性、親権争いの結果について言及していない。ゆえに、わだかまりではないが、結果どうなの?という疑問が残る。これに続く短編も同様であり、それぞれ解決しているようであるが判然としない感じがした。おもしろく読んだけれど痛快とまではいかない要因がこのあたりにあるのかも。流星さがし (光文社文庫) [ 柴田よしき ]
2024.04.20
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普段読まないたぐいの小説である。この本を読んで、現代では日本でスリはいないのか(少ない)と思った。この作品にも登場するが万引きは多い(と思える)。映画「空白」も万引きに起因する物語だった。「万引き家族」という映画もあったなぁ。けれど、これはスリである。ただのスリではない。天才スリ師。この彼に最悪な最強な悪(ワル)が取りつく。悪(ワル)は主人公であるスリの男の生殺与奪(せいさつよだつ)の権限を示した。頼まれたスリの仕事を断れない、抗えない状況に追い込まれた主人公はどうするのか。スリルというか怖さを感じる作品である。掏摸(スリ) (河出文庫) [ 中村 文則 ]
2024.04.14
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職場環境に疲れ果て退職した彼女は、親戚で、はとこの男性が倒れた父に代わって社長を務める小さな製菓会社に就職する。他人に対する優しさはあれど頼りない社長、いわくありげなパート事務おばさん。声も態度も大きい営業マン、その部下でいつも怒られてばかりの若者、そして店舗の人々と家族。彼女を取り巻く悲喜こもごもが1年を通じて移り変わっていく物語。いろいろある気持ちを面と向かってではなくそこはかとなく、しかし着実に表出するように描かれている胸にせまる日常であった。こまどりたちが歌うなら [ 寺地 はるな ]
2024.04.13
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Amazon.co.jp: 東大に名探偵はいない : 市川 憂人, 伊与原 新, 新川 帆立, 辻堂 ゆめ, 結城 真一郎, 浅野 皓生: 本 KADOKAWAが仕組んだ東大生によるアンソロジー。市川憂人、伊予原新、新川帆立、辻堂ゆめ、結城真一郎の東大卒作家に加え、今回のコンテストによってえらばれた現役東大生の浅野皓生の6人。「東大に名探偵はいない」市川憂人 [文芸書] - KADOKAWAこれまで、伊予原新、新川帆立、辻堂ゆめの3人しか読んだことがなく、読後、振り返ってみると一本目の「泣きたくなるほどみじめな推理」の内容が思い出せない、どんな話だったのか……。「アスアサ五ジ ジシンアル」(伊予原新)は地震予知に虹と東大の研究者の歴史を絡ませ、執念深い話を面白く読んだ。「東大生のウンコを見たいか?」(新川帆立)は贔屓の新川帆立なので期待しはしたが、ウンコの話はやめてほしかったので敬遠気味に読んで……でも面白かった。ストーカーは嫌だねぇ。「片面の恋」(辻堂ゆめ)料理得意の男の恋する話である。片面ときいて突飛なネタと思った。そんな、というかそこまでのお嬢がいるのか?不思議に思いながらも5月祭のにぎやかさに、その渦中にいたいなつかしさにとらわれ面白かった。「いちおう東大です」(結城真一郎)はさもありなん、と思わせる高学歴、特に東大ネタである。正しく東大家系ではこのようなことが日常なのだと思っていて、シビアな世界が描かれていると思えた。「テミスの逡巡」(浅野皓生)これはもう「あっぱれ!」である。新人作家?(今作でデビュー)の作品としては東大卒の先の5作を凌駕している。今作に注ぎ込んだ熱情と集中と時間がこれほどの秀作を生んだような気がした。素晴らしい!自作を大いに期待する。 泣きたくなるほどみじめな推理 市川憂人アスアサ五ジ ジシンアル 伊予原新東大生のウンコを見たいか? 新川帆立片面の恋 辻堂ゆめいちおう東大です 結城真一郎テミスの逡巡 浅野皓生期待の現役東大生ミステリ作家・浅野皓生さんに迫る【デビュー作のモデルはUmeeT!?】 (todai-umeet.com)東大に名探偵はいない [ 市川 憂人 ]
2024.04.12
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分厚い本だなぁ。エンタテイメント推理小説のシリーズともなると手が込んでくるのか小ネタも多く、なかなかの分量である。読むのに少々時間を要したが、今作も楽しめた。犯罪の動機がややこしいのとホテルの年末イベント仮装大会、いやマスカレード・ナイトゆえ、なかなか真相にたどり着けず苦労した。犯人はあいつか、こいつか、そいつか、はたまた誰か?ラブ・アフェアーありの年末4日間における創作劇はすごかった。原作を十分楽しんだ後、映画化作品も堪能したい。マスカレード・ナイト (集英社文庫(日本)) [ 東野 圭吾 ]
2024.04.07
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衝撃的である。原田マハはなぜこのようなダメージのある作品を書いたのか。わからない、私にはわかりえない。ダメージ・ジーンズが流行っているように、不協和音が斬新な音楽として取り入れられたように、年月を経た原田マハは有名作家と言う名の下にエッジの利いた作品を出した。激辛料理なのか、まずい料理なのか、わからない。ただ、おいしくないと思える。ゆえに、原田マハの作品として認めたくない気がする。作家・原田マハ本人は一家言(いっかげん)あるようだが。<一家言=その人が持っている、大衆よりではない独特な意見>深海魚 Secret Sanctuary楽園の破片 A Piece of Paradise指 Touchキアーラ Chiaraオフィーリア Ophelia向日葵奇譚Strange Sunflower黒い絵 [ 原田 マハ ]
2024.04.04
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フランスで100万部「女の生き辛さ」わかる小説 『三つ編み』が描いた女性の葛藤と強さ | 読書 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)インドのカースト最下層の女性は夫と一人娘の三人家族。女性はその地域の人糞を回収する仕事をしている。素手で人糞を掬うのだ。イタリアのシチリア島に住む末娘は倒れた父に代わり、家業の鬘づくりを営む。イタリア人の髪から作り上げるのが習わし。カナダの敏腕女性弁護士は事務所の共同経営者にならんとするアラフォー女史。それぞれの生活がそれぞれの地域で少しづつ描かれる。インドで非条理な差別以上の差別を知った時、無理解な夫に愛想をつかし母は娘と出奔する。イタリアでは自転車操業の鬘工場が実は火の車であと一か月で閉鎖されるという。カナダでは女性弁護士にがん告知。手術の後、通院する姿を目撃され出世街道からはじき出される。この後のことは、本書を読んでほしい。三人三様の日々が描かれ、最後にそれぞれのつながりがわかる。世界はつながっている。それがわかる辛辣な内容の作品である。三つ編み [ レティシア・コロンバニ ]
2024.04.03
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映画を見ていると思い込んでいた。この本を読みながら、近年の物忘れの激しさから、映画を見たのに筋を忘れていると思い、楽しみながら本を読んだ。そして、読書感を書こうとしてチェックしてみると、映画を見た痕跡がない。“えっ!”、見ていないのか、というショック。記録にない。この後、映画を見ようと思う。映画の予告を見ただけで本編は見ていないのかもしれない……。 さて、この本を読みながら時系列ではシリーズ第2作の「マスカレード・イブ」の方が過去と言うことを知り、先に“イブ”を読んだ。十分に面白い作品だったが、小説という気がした。しかるにこの“ホテル”は小説でありながら、映像が浮かび上がり、とてもエンタテイメントであり、驚いた。すごい、さすがの東野圭吾である。 不可解で手掛かりのない数字だけの犯行声明。犯人はとても聡明で狡猾で捜査の手が及ばない。そんな中、新たな犯行現場となるホテルを捜査員潜入にてガードする。日夜、往来する宿泊客たちを観察し、多種多様なクレームにも対応する。クラークとして潜入した刑事と彼を補佐・監督・監視するホテルマン・クラークの関係の変遷も読んでいて面白く思えた。次へ次へと読み進めたくなる魅力ある小説である。やっぱり、さすがの東野圭吾である。マスカレード・ホテル (集英社文庫(日本)) [ 東野 圭吾 ]
2024.03.28
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2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの最後の著書と思っていたが、その後に「ばにらさま」とエッセイ「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」が出版されている。「恋愛中毒」を読んで過激な小説を書く人だと思えたが、マスコミ絡みの話はエンタテイメント性があり、楽しんで読んだ。直木賞を受賞した「プラナリア」は未読なので読んでみたい。彼女の死とともに注目していた「自転しながら公転する」をようやく読んだ。読み終えて、現代と未来の話であったが、三十代、仕事と婚活に揺れる独身女性の生きざま、行動を描いてとても刺激的であった。仕事と結婚、それはもう人生そのものである。大人になってしまった女性の逡巡、考えと行動、予期せぬ出来事に翻弄されるさまは痛々しくて生々しい。ベトナムが登場してくるあたり現代を切り取り、未来を先取りしているように思えた。先見性があるということなのだろう。昨年末、この「自転しながら公転する」がドラマ化された。見たくて録画していある。ようやく見ることが出来る。楽しみである。自転しながら公転する (新潮文庫) [ 山本 文緒 ]
2024.03.27
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「マスカレード」シリーズの第2弾。第1弾の「マスカレード・ホテル」の前日譚になるとのことだったので、まくはこちらから、と読んだ。面白い。よどみなく進展する物語に引きずられ、気が付けば終章の「マスカレード・イブ」を読んでいた。大学の研究室内で起こった教授殺人事件は近年、大学構内で教授を襲った実際の事件があっただけに興味を持って読むことが出来た。ホテルマンと刑事、そしてホテルの宿泊客。不倫を絡ませた事件は淫靡でありながらバラの香りというエッセンスでとても香り豊かで華やぎ、清楚な感じを抱かせる。スラスラと読めて謎解きも事件解決も腑に落ち、読書を楽しめる本であった。さあ、注目の「マスカレード・ホテル」読んで見ようか(笑)マスカレード・イブ 東野圭吾/著
2024.03.17
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「キノベス!2023」1位「汝、星のごとく」2位「光のとこにいてね」「2023年本屋大賞」1位「汝、星のごとく」2位「ラブカは静かに弓を持つ」3位「光のとこにいてね」「第168回直木賞」「地図と拳」「しろがねの葉」、候補作「汝、星のごとく」「光のとこにいてね」「汝、星のごとく」が「光のとこにいてね」を上回った。直木賞では林真理子氏が「同じテイストを持っていたため脚をひっぱり合っていたような気がしてならない。」とあるように似たものとして評価が低くなってしまったのかもしれない。「光のとこにいてね」は導入部から中盤までは良いのだけれど、佳境となる終章「光のところ」になると二人の関係というか思いが不明になっていくように思われて、ラストに締まりがない。その点、「汝、星のごとく」は秀逸でエキサイティングだった気がする。また、「ラブカが静かに弓を持つ」も面白く、興味を持って読めた作品だ。直木賞は時代小説ゆえ受賞したのかもだけれど「しろがねの葉」は感激度やシンパシィでは「汝、星のごとく」や「光のとこにいてね」ほどではなかった。「地図と拳」は未読なので、わからない。このシンパシィというか共感とも思える主人公二人にはとても心酔するような感じで読み進めた。年月を経て交錯することは興味深く、大人となってしまった時の不慮の再会は刺激的であった。家族の人たちの存在感が乏しく、それぞれが排他的であるのも、主人公たちに友達がいないのも納得(?)であった。とても同情と言うよりは同調して読んでいたので、読むのが嬉しくて嬉しくて、幸せ気分で読んだ。読み終える時にほんとお別れするのが寂しく感じられた。さて、この本、クライマックスの怒涛のような展開とありえない果遠の行動に不明瞭な感触のまま読み終えた。この終わりなき終わり方がこの本の評価を曇らせているのかもしれない。しかし、好きだなぁ。とても好きな感じがした。光のとこにいてね [ 一穂 ミチ ]
2024.03.11
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恋愛短編集・人気女性作家たちのアンソロジー「最悪よりは平凡」島本理生・著島本理生はいい。「深夜のスパチュラ」綿矢りさ・著スパチュラって何なの!?って話。「フェイクファー」波木銅・著着ぐるみ、大学の手芸サークルの思い出。キモイけど、なんかいい。「カーマンライン」一穂ミチ・著カーマンラインって言葉を知った。小説「ホテル・ニューハンプシャー」に興味を持った。映画化されているので映画を見ようかな。「道具屋筋の旅立ち」遠田潤子・著初めての彼氏の言いなりになってしまう。「無事に、行きなさい」桜木紫乃・著ちょっとなぁ、染みる話だわ。セカンドって、セカンドかぁ。「海鳴り遠くに」窪美澄・著恋?女性が女性に惹かれる、でも、でも……。う~ん、わかる気がするかも。二周目の恋 (文春文庫) [ 一穂 ミチ ]
2024.03.06
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「私たちの金曜日」三宅香帆=編角川文庫オリジナルアンソロジー令和5年1月25日 初版発行社畜・山本文緒(角川文庫『ファースト・オウライオリティー』に収録)山本文緒の小説は嫌いじゃない。美女山盛・田辺聖子(講談社文庫『日毎の美女』に収録)これが一番面白かった。バブリーでルッキシズムな時代に生きていたので、とてもよくわかる(笑)こたつのUFO・綿矢りさ(集英社文庫『意識のリボン』に収録)綿矢りさはなんか合わない。(苦笑)茶色の小壜・恩田陸(新潮文庫『図書室の海』に収録)いいねぇ、恩田陸、好きだわぁ。神様男・桐野夏生(文春文庫『奴隷小説』に収録)アイドル。地下アイドル。芸能界と庶民に隔たりがあった20世紀と違い、21世紀は芸能界と庶民の間が埋め尽くされて、セミプロならぬ限りなく素人に近いアイドルのいる世界になってしまった。うなるしかないのか。おかきの袋のしごと・津村記久子(新潮文庫『この世にたやすい仕事はない』に収録)ユニークなお仕事小説である。読ませる、読みどころがある。面白い、興味を持って読める。ふむ、ふむと納得。ファイターパイロットの君・有川ひろ(角川文庫『クジラの彼』に収録)斜め上から降りてきたような物語。妻が戦闘機パイロット!さすがの有川ひろである。私たちの金曜日 (角川文庫) [ 有川 ひろ ]
2024.02.29
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「名探偵のままでいて」小西マサテル・宝島社ミステリー大賞受賞作ということで期待して読んだ。すらすら読める軽さ。そこがいいのか、わるいのか。材料の下調べもきちんとしているようでいいネタが並んでいる。軽さだけでなく、ネタの新鮮さも絶妙で、軽妙と言っていいかもしれない。しかしだ、個々に起こる事件のネタ振りは十分なのに、解決がいささか急に思える。さて、どのように謎を解きどのように解決してくれるかと思いつつ読んでいると、謎解きまではいいけれど、解決は結果のみを述べて一段落。感情も思いもあまり挿まず、事実だけを述べている感じに味けなさを感じる。この繰り返しが続くかと思っていると、全編を通しての壮大な仕掛け、ネタを仕込んでおり、クライマックスにどんでん返しとも思えるほどの意表を突く犯人と事件解決が示される。これがいいとするかどうか、読み手によって評価の差が出るところかもしれない。軽妙洒脱までには至らないのかも、という感想。とはいえ、洒脱までいくと万人受けしないのかもしれない。ということで、この本は褒めておこう(笑)名探偵のままでいて [ 小西 マサテル ]
2024.02.28
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もしこれが映画であったなら楽しく見たのかもしれない。本屋さんで表表紙を見て、読んでみたいと思った物語であるけれど、読み始めておとぎの国というか空想の世界の物語であることにかすかに忌避感を感じた。映画なら「ロード・オブ・ザリング」や「ホビット」シリーズのような感じがするのだけれど、本で読むとなると抵抗を感じるのはなぜなのだろう。それは私の本を読む姿勢にあるのかもしれない。映画では奇想天外なスペクタクルな作品を好む傾向があるにもかかわらず、本を読むときは実社会、生活に密着した物語に興味を覚える。さて、「レーエンデ物語」について語ろう。語るほどのことを書けないかもしれないが、冒頭から中盤まで国境に街道を通そうとする計画を持っていろいろな種族や銀色になってしまう不治の病のことなど設定はおもしろく、読みどころもあった。ただ、中盤から主人公たちの立場が苦しくなり、困難なことが立ちはだかるにつれ、どうなることか心配になる。終章をもって夢物語として終わらなかったのはリアリティがあると思えども嬉しく思えなかった。レーエンデ国物語 [ 多崎 礼 ]
2024.02.21
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バルト三国の一つエストニアに生まれたラウリ・クースクの物語。ソ連の体制の中に生まれ、数字に才能を発揮し、コンピューターという時代の趨勢に乗って、あるいは政治的国家間の施策に翻弄され生き抜いた人。彼の人となりを知りたいと願う者が彼を探し、彼の過去を記した本。私はあまり興味を持たず、読みどころも本の命題もわからず、心を動かされることもほぼなかった。何が読者をひきつけ、推せる小説としてピックアップされてきたのだろうか。私はただ、ただラウリ・クースクの人生を垣間見た、読んだだけである。ラウリ・クースクを探して [ 宮内悠介 ]
2024.02.11
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青山美智子さんの著書が好きだ。今作も心が温かくなる気持ちで読んだ。淡い思いの作品である。欲を言えばもう少し胸に迫るものを書いてほしかった。とはいえ、これはこれで、リカバリーカバヒコだからね。リカバリー……。寄り添えることがいい。寄り添えるだけでいい。リカバリー・カバヒコ [ 青山美智子 ]
2024.02.08
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読書をするようになって、現代の本だけでなく、昔の名作も読まないとなぁ、なんて考えていた。NHKの大河ドラマでは「光る君へ」と源氏物語作者である紫式部を取り上げている。古典で大長編の源氏物語をいきなり読めるわけはなく漫画「あさきゆめみし」を読んで大筋を知り、現代語訳を読んで見るかと与謝野晶子、谷崎潤一郎、田辺聖子、瀬戸内寂聴などの作家を見比べ男性作家としては谷崎潤一郎しかいないことに気づく。図書館で見かけた「春琴抄」は薄く、これならばさっと読めると思い手に取った。読んでみる。一人が足りの文章で一ページに文字がびっしり並んでいる。これは文体が特殊でもあるけれど、印刷に金がかかる時代ならではの紙片を少なくする技なのかもしれない。さて、主人公となる春琴については生前から評判なうえに死後も語り草となるほどの人物であった。薬問屋のこいさんとして生を受け、盲目となってからは琴・三味線の稽古に励み、当時女子としては最高位となり師匠となり教えるまでとなる。この春琴に付き従ったのが薬問屋に丁稚奉公にきていた佐助である。佐助は甲斐甲斐しく春琴に仕え、朝起きてから夜寝るまで、お風呂の世話までやっとという。この二人の関係、二人がなくなるまでの聞き伝えを小説というか一人語りにした文が「春琴抄」である。このような小説が存在し、このようなことが昔あったということにとても感じ入った。年上の男子が年下の女性を甲斐甲斐しく世話をするという上下関係の逆転現象にえもいわれぬ印象を持った。春琴抄改版 (新潮文庫) [ 谷崎潤一郎 ]
2024.02.04
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なんて素敵な作品だ。高校生花生けバトル。そこに青春がある。『塞王の楯』で直木三十五賞受賞した時代小説作家である今村祥吾の現代作品をいぶかしみながら読んだ。主役は女子高生。彼にそんな十代の物語が書けるのか、と。読んで見ると、なかなか面白い。四国に祖母が住むという東京の女子高生は花いけバトルに参加するために華道部を作ろうにも部員が集まらず彼女一人の同好会サークルにて発足。花いけバトルは二人一組での参加のため、なんとかひとりの同好者を探し求めるが、お花の経験のあるものは既に入っている部活動で忙しく、断られ、次も、次も断られ……。そこに現れた転校生男子。彼にも断られるが、彼には参加できない秘密があった。興味深く読み進むにつれて、次から次へと知らないことが興味深いものであって、花いけバトルの参加も危うく、はたしてどうなる?終盤に入り、思わず感動した。泣いてしまった。そんなことが起こるなんて。とても素敵な物語であった。作家・今村祥吾の手腕に賛辞を贈る。ひゃっか! (ハルキ文庫) [ 今村 翔吾 ]
2024.02.03
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読み始めて、一人語りが厄介だなと思えた。ひとりひとり、仇討ちの目撃者の証言。江戸という広い都市で芝居小屋が集まる限られた地域で、ことは起こる。それぞれの証言者、芝居小屋を通じて関係はあると思えるのも、芝居小屋の脇にて仇討ちが行われたからなのだ。知り合いというくらいで特に強いつながりがないように思えるが、読むすすめるうちに無関係と思えた者同士が繋がっていく。終章に至る頃には表題の”あだ討ち”が、なぜ”仇討ち”でないのかも想像でき、そのことそのものが小説の文章としても綴られる。深く密接に繋がる物語。読みごたえがある圧巻の時代物であり世話物でもあった。なかなかのドラマである。木挽町のあだ討ち [ 永井 紗耶子 ]
2024.01.28
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自転車ロードレースの小説はほかにもあるのだろうか。自転車好きに贈る、自転車小説まとめ 27冊 | しいたけ堂の本棚 (m-keta.com) ふと、思い立ちググってみるとリンクの数、またそれ以外にも自転車に関する小説はあるらしい。しかしながら、自転車ロードレースを描いたものはこの作品の作者、近藤史恵の書くらいしか読むものはないようである。一冊目の「サクリファイス」を読んで自転車ロードレースの世界に惹き込まれた。そして、二冊目の「エデン」でもヨーロッパの地に飛んだ主人公・白石誓の姿を追い、読んだ。ゆえに三冊目の「サヴァイヴ」も白石の書かと思いきやどうも違った。違和感を感じながら読み進めると、赤城の話だと気づく。その後も赤城のチームメイトである石尾などが出てくる。最後に白石の出てくるスペインの話になるが、読みどころはあるものの、散漫な感じがして全体としてのまとまりはないように思える。とはいえ、いろいろな視点から自転車ロードレースを読み解くので、面白さはある。サヴァイヴ (新潮文庫) [ 近藤 史恵 ]
2024.01.25
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面白く読んだ、楽しめた。当初、過去の作品を取り込んで、他人のふんどしで相撲を取るような小説家と危惧したけれど、杞憂であった。過去の有名作品に託けて書いた作品でなく、過去のそれらの作品は素材として生かされていた。文学少女(青年?)であったママさんが大阪の中心部に点在する文学に関係ある場所を聖地巡礼のごとく訪れるのは最近の聖地巡礼ブームと相まって今時感があって良い。章ごとにいろいろな事件が起こり、それにあたふたする主人公を尻目にママあんが文学的洞察力で謎を読み解き事件解決に貢献するのは痛快である。その謎解きも読者(私)が「へぇ~!」と感嘆するような内容である。途中、難解ななぞかけも登場するけれど、卓越した読書家へのお楽しみ、挑戦と言えるところであろう。読み終えて見れば、目まぐるしく過ぎた大阪観光(?)がとても素敵で読むだけで大阪に行きたくなる物語であった。人を愛する感情を情感を抑えつつ深い深い思い出描いた本作はおすすめしたいエンタテイメント小説である。月夜行路 [ 秋吉 理香子 ]
2024.01.24
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すごい本だ。短編集だ。圧倒的な筆力は向田邦子の「思い出トランプ」に引けを取らないのかもしれない。短編とは思えない内容の濃さと深さはすごい。6つの短編からなる。第1話「ネオンテトラ」第2話「魔王の帰還」第3話「ピクニック」第4話「花うた」第5話「愛を適量」第6話「式日」それぞれの作品のそれぞれの人間関係が濃くて深い。そして想像もつかない事象や事情を抱えていて衝撃的であり重い。軽々しく始まり、結末はずしりと重い。業の深さを感じる物語たちである。短編でありながら圧巻。スモールワールズ (講談社文庫) [ 一穂 ミチ ]
2024.01.20
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「サクリファイス」の続編。今作はヨーロッパのプロチームに入って、初めてのツール・ド・フランスに挑む。ツール・ド・フランスに参加する日本人は主人公・白石誓、ただ一人。彼のチームはスポンサーの撤退が決まり、解散することになった。ただ、監督はその解散を回避するために、フランスのチームを手助けして、チーム生き残りを画策する。しかし…。彗星のごとく現れたフランス人選手が一躍注目のスターになって…。読み応えあり、次々と展開するレースと裏方とまわりの熱狂に読む手が止まらない。とてもおもしろく読んだ。続編を早く読みたいと思える快作である。エデン (新潮文庫) [ 近藤 史恵 ]
2024.01.13
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ヤバイ!この本は読んじゃいけない。とても先鋭化されたどぎつい!!!!!!!!!!!!!?本だ。読み始めて、そんなことを思い、置こうとした。とはいえ本年最初の読書。最初から頓挫したとなるのは気に食わないので、とりあえずダメになるところまで読もうと思った。どぎつい内容に驚きながらも、そのどぎつさに読む進む力をもらっていたかもしれない。表題から女性の日記の話だと思っていたのに、裏切られ、人材派遣会社に勤める男の話であった。その男はちょっとどうにもならない感じの男であったが、その彼がググって読んできたのがブログ”天龍院亜希子の日記”であった。素材として使われていて、本筋とはほぼ無関係である。この男の日常と感情を描いていて、あまりに赤裸々で直接的などぎつい表現に作者は男なのだろうとなかば思いながら読むようになった。読んでいいかどうかわからないが、とんでもなくどぎつかった本である、そし、この作家の本はもう読むことはないだろうと思ったが、このブログを書こうとしてググった作家が、安壇美緒で「ラブカは静かに弓を持つ」を書いていいたなんて!!「ラブカは静かに弓を持つ」はすでに読んでいた……。同じ作家とは思えない。天龍院亜希子の日記 [ 安壇 美緒 ]
2024.01.10
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これは時代小説ではないかと心して読んだ。そのせいか、主人公たちの純愛物語は入ってこず、銀鉱山から発掘の間歩(まぶ)への思いをひしと感じた。その間歩の銀掘になれない主人公ウメの胸中に思い馳せるばかりであった。読みごたえはある。物語は連綿としっかりつながっている。主人公ウメの生い立ちから子供らが成長していくまでをよく描いている。けれど、なぜか私には感じられるところが多くなかった。しっかりとした本ではある。しろがねの葉 [ 千早 茜 ]
2023.12.31
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人の真意というものはなかなかわからない。それゆえミステリーというものが存在するのかもしれない。ミステリー作家であるという近藤史恵によって書かれた自転車ロードレースの物語。日本ではあまりなじみがなく、本場ヨーロッパでのツール・ド・フランスが知られているくらいだろう。この本を読むまで自転車ロードレースという競技は個人競技と思っていた。ところがこれは団体競技というかチームプレイとしての結果、エースとなるただ一人を残りの5人でサポートする競技であることを知った。何日も何日も個別のコースを走り、その都度都度の優勝者を表彰していきながらレース全体の総合優勝を争う。ロードバイク(自転車)で走る速さは山を下るときには時速70キロほどのスピードとなるそうである。事故ればひとたまりもない。「サクリファイス」という題名と読み進めた自転車ロードレースの競技の内容から、エースのためにサポートするチームメイトがサクリファイスだと想像した。ところが”サクリファイス”と称された章を読んだ時、想像もつかなかっわかっとともに”サクリファイス”の理由がわかった時、震撼するように驚いた。ものすごい小説である。第10回大藪春彦賞受賞作、第5回本屋大賞では第2位に選ばれたのもむべなるかな。サクリファイス (新潮文庫) [ 近藤 史恵 ]
2023.12.24
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この本、この前読んだ「川のほとりに立つ者は…」の作家さんなんだ。こちらの本の方がいいかな…。ガラス工房をしていた亡き祖父の跡を継いで兄と妹でガラス職人となる話。家を出ていった父。料理研究家として成功していく母。発達障害なのか、変わり者とされる兄。唯一まともで手のかからない妹は孤独な葛藤を抱えていた。ガラスで骨壺を作る。そんなこんなの物語。読んで良かったと思える、悲喜こもごもの日常である。ガラスの海を渡る舟 [ 寺地 はるな ]
2023.12.23
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読み終えて、驚く。物語が佳境に入って、彼と彼が同一人物だと気づく。並行で描かれていた生活が二十数年前と今と時代を越えたドラマだった。同じ現代でAとBとCが錯綜して描かれていると思って読み進めたが、AとBの間に二十数年もの隔たりがあり、AとCは同じく現代であった。昔を知っているからこそ違和感なく同時代と思ってしまったのかもしれない。読み終えて、宇佐美まことの本を私は読んではいけないのではないかと思えた。内容がおどろおどろしく、非業で無残なものであるからだ。湊かなえの「告白」を読んだときに作家その人についてはわからなかったが、性悪説をもって描かれている内容に他の作品を読んではいけない、読むべきではないと思った。宇佐美まことの場合、最初に手に取ったのが「逆転のバラッド」だったので、群像劇として描かれているのがおもしろく、クライマックスもラストも衝撃的で痛快であった。大変面白く読めたので「ボニン浄土」を読み感心し、この本「展望塔のラプンツェル」を読んだ。「展望塔のラプンツェル」は読み進めるほどに救いがなく、解決したとは言えないまま禍々しい(まがまがしい)ものが残り、ざらついた気分の悪さを残す読了感であった。負のオーラにまとわりつかれてしまった。救いのないように思える一方でどこか救いがあるようにも描かれている。宇佐美まことはどちらを見ているのだろうか。展望塔のラプンツェル (光文社文庫) [ 宇佐美まこと ]展望塔のラプンツェル [ 宇佐美まこと ]
2023.12.21
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「イクサガミ 天」を読んだとき、選んだ本を間違えたと記した。デス・ゲームを読みたいとは思わないからだ。とはいえ、乗り掛かった舟、完結まで読まねばならないと思い、この「イクサガミ 地」を読み始めたところ、面白かった。デス・ゲームであることに変りはないのだが、登場人物の人となりを理解してきたせいかもしれない。一子相伝ともいえる奥義を伝えるために8人で修業し、殺し合い、生き残ったひとりが継承するという非道極まりない伝承がなされていることも、百人を超える金の亡者、いや剣の猛者が果し合い9人が東京へ到達するというゲームもルールを把握すれば、いかにして切り抜けるかという興味が湧き、またこのゲームの主催の謎を解くという面白さが加わって、楽しめた。最近興味を持った大久保利通が登場し、その行動にも興味が持てた。刺客、刺客、刺客…。腕に覚えのあるものが斬りあうのは読んでいて身震いがするほど、見入ってしまった。なんておもしろい続編なのだろう。結末となる第三部が待ち遠しい!イクサガミ 地 (講談社文庫) [ 今村 翔吾 ]
2023.12.16
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