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2010年07月21日
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カテゴリ: 邦画(09~)
日本映画専門チャンネルで見ました。七月はあと何回か繰り返しするみたいです。
「大番」「続大番」(1957作品)原作 獅子文六 監督 千葉泰樹 白黒作品。

戦前の株屋、ギューちゃんこと赤羽丑之助の半生を描いたシリーズ物である。主演 加東大介。
姉の沢村貞子は「弟は子役のころから天才だった。本当に役者の為に生まれてきたような子なの」とべた褒めであった。加東大介といえば、「七人の侍」の官兵衛の「古女房」七郎次を演じて印象深い、というか、それぐらいしかあまり記憶にないが、この大番シリーズ他いくつかの主演作品も撮っている。50年代の映画界にとってはなくてはならない人材だったし、スターだった。

「春との旅」 で名優があえて普通の老人を演じたうち、主演の仲代達矢はギューちゃんの弟分の相棒として出ている。助演ですらない。仲代の姉役として出ていた淡島千景は主演女優。ギューちゃんを一貫して助ける芸者として出演。ふたりとも、匂うように若い。思えば、2人とも加東と同年代なのである。そう思うと、50年代、60年代の俳優で残っているのは本当に数えるぐらいしか居ないし、その人たちがいま次々と鬼籍に入りつつある。

ギューちゃんは学は無いけれども、相場師としての生来の感とひとなつこい笑顔で、ときに何十万、何百万円(当事の相場、現代ではおそらく何億という規模だと思う)も儲け、日中戦争で一夜にして何百万という借金をこさえる。「相場の世界」を悲喜こもごもに描いているが、あまり暗くないところがヒットした原因なのだろう。相場の世界はいわば日本版「アメリカンドリーム」の世界である。しかし、日本は伝統的に「金持ちになる」ことは「良くないことである」という「国民的感情」があるみたいで、「大番」も「続大番」も常に一文無しになった時点で終わっている。日本らしい「アメリカンドリーム」である。

そのあと「続々大番」(1957)「大番完結編」(1958)に続いているらしい。つまり一年と少しの間に四本作られている。TVがない時代、まさに映画がテレビドラマと同じ役割を持っていたという証拠である。





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最終更新日  2010年07月21日 08時04分17秒
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