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2010年09月20日
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カテゴリ: 邦画(09~)
日本映画専門チャンネルで見た。2009年作品だから去年の作品なのだけど、全然知らなかった。日韓合作映画である。チェイサーのハ・ジョンウが主演。さすがにいい味を出している。しかし、妻武木聡ダブル主演で貫地谷しほり、柄本祐も出てくる。舞台は九割山口県。しかも脚本は渡辺あやである。

あらすじ。
ヒョング(ハ・ジョンウ)の仕事は、ボートで韓国-日本の間を荷物運搬すること。日本で彼を迎える亨(妻夫木聡)の妹、奈美(徳永えり)は荷主ボギョン(イ・デヨン)の息子の嫁。あるとき、ヒョングは運んでいた荷物が麻薬だったことを知る。次の荷物は、韓国人少女チス(チャ・スヨン)。彼女の父は、ボギョンの手先として会社の金を横領したが、2億円を持って姿を消していた。父を見つけたら5000万円ずつ払うと言うチス。亨は、ヒョングとチスが逃げたとボギョンに嘘を告げる一方で、ヒョングにはチスの父親を見つけて金を貰おうと持ちかける。

監督 キム・ヨンナム
脚本 渡辺あや
出演 妻夫木聡 、ハ・ジョンウ 、チャ・スヨン 、徳永えり、キム・ブソン、貫地谷しほり

渡辺あやは「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・フミコ」が韓国で上映されて高く評価され、請われて脚本を書いたらしい。確か彼女は島根在住の人。山陰の海を眺めながら、この話を書いたのだろう。今まであった日韓合作とは一線を画し、非常にシリアスかつ、濃密な作品が出来上がっている。これが「力道山」や「彼女はサイボーグ」などと違ってあんまり日の目を見ていないのは少し残念である。(日本では数館しか上映されていないので、ほとんど知られていない。山口県でさえ、上映されていない)

しかし、ひとつ気になったのは日本人である亨の設定。彼は両親をなくしたあと、妹と惚けているおばあさんと妹の父親がハッキリしない三人の子供と暮らしている。亨は生活のために朝鮮系やくざの舎弟におさまっているし、妹に売春もさせている。妹の子供は3-4歳くらいの男の子は元気だけれど、1歳くらいの男の子が肺系の病気を持っているために携帯酸素を手放すことができない。この家庭環境のために彼は家族に嫌気が差しながらもまともな職に就けず、さらには薬屋の店員の彼女と最近別れた。しかも彼女は近々結婚をする。……実に典型的な韓国の「貧困」の姿なのだ。「貧しくて」「家族を憎みながらも愛していて、捨てることができない」「お金に飢えていて」「彼女は(金持ちに)嫁ごうとしている。非常に気立てのいい娘だが、決して金よりも愛を選ぶという選択はしない」。日本でもぎりぎりありうる設定かもしれないが、日本人ならば、あそこまで家族を引きづることができるか、彼女は亨を最後に選ぶのがありうる姿ではないのか、などと思ってしまうのである。

この映画は、韓国と日本の底辺の若者を描きながら、母親に見捨てられたと思っている男と、家族を見捨てることができない男との友情を描いているのである。

気になったのは、渡辺あやは二人の日韓の文化の対立を描かなくて、全面的に韓国の視点で二人の若者を描いてしまったのではないか、と思うからである。質のいい日韓合作映画なだけに、そこが残念なのだ。

妻夫木は八割方韓国語の台詞をしゃべっていて、発音のニュアンスはよく分からなかったが、自然にしゃべっていた。少し自然すぎるのが返ってオカシイと思うくらいだ。いくら朝鮮系やくざの中で生きるためだといっても、あそこまで頑張って韓国語ぺらぺらに成る必要があったのか。私自身が何年も韓国語を勉強して全然会話ができないから嫉妬しているという面もあります。妻夫木の人がいいけれども、暗闇の中を生きている、という演技は、果たして「悪人」の中でどう生きているのだろうか。

楽天ブログにYouTubeが貼れるようになりました♪予告編です。





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最終更新日  2010年09月20日 07時25分30秒
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