再出発日記

再出発日記

PR

×

フリーページ

お気に入りブログ

『ツキノワグマのす… New! Mドングリさん

ふたつの歌:世の中… New! 天地 はるなさん

週刊 マンガ便 原… New! シマクマ君さん

源氏物語〔34帖 若菜… New! USM1さん

国旗損壊と皇室典範… New! 七詩さん

カレンダー

2016年02月02日
XML
テーマ: 本日の1冊(3717)
51Xqkz6gQZL.jpg
五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 / 三浦英之 【単行本】

戦前の満州新京(長春)には、五族協和の理想を宣伝・実践するために作られた国際大学があった。各地のエリートが集められたその大学寮では毎夜、大学内だけに通用する「言論の自由」を得て、喧嘩のような議論が行われる。しかし、日本の敗戦のあとに卒業生たちはバラバラになる。彼らは或いはアカと言われ、或いは親日スパイと疑われ、厳しい戦後を過ごす。2010年から取材を始めて80ー90歳の最後の生き残りの声を拾っている。非常に貴重な記録があるのではないかと思って読み始めた。

貴重どころではなかった。私は「新たな日本の近現代史」を発見したのかもしれない。

満州建国の本質は植民地である。建国大学の本質は日本帝国主義の未熟で未完成な教育機関にすぎない。それを認めてもなお、そこで学んだ日本民族、漢民族、満州族、朝鮮族、モンゴル族の若者の理想のぶつかり合いが、見事な「友情」と「見識」を産んだのを、この本で私はまざまざと見せつけられた。

戦後、再び大学に入学して大学講師になった百々和(ももかず)91歳は、遺言を残すかのようにこう言った。


「あの大学では毎晩、異民族の連中と『座談会』を開いていただろう。議論に参加するには知識や理論構成力だけでなく、何よりも勇気が必要なんだよ。自分の意見が常に正しいなんてあり得ない。時に論破され、過ちを激しく責められる。発言者はその度に自らの非を認め、改めなければならないんだ。そして、議論で何かが決まったら、その決定には絶対に従う。建国大学が当時、学生に求めていたことは、『時代のリーダーたれ』ということだった。それでは、『リーダーとは何か』と尋ねられれば、私は今もこう答えると思う。それは『いざという時には責任をとる』ということだ。リーダーに求められる資質とは、ただそれだけのことなんだよ。いざという時には、責任をとる。それは易しいように見えて実は難しく、とても勇気のいる行為なんだ。何かあった時に必ず自ら責任をとること。建大生はその点においては、徹底的にたたきこまれていた」(104p)

映画監督森崎東の兄の森崎湊の自決や、台湾の怪物李水清の世の中を観る眼力、抗日運動を組織した楊増志、韓国首相にまでなった姜英勲、『藤森日記』を遺した藤森孝一、彼らの人生を知ると、教養が彼らを死にいたらしめ生かしたのだとつくづく感じるし、70年経ってもなお一気に燃え上がる友情は、あの寮生活で育まれたのだと知るのである。

京大教授の山室信一は、日本人は近代史を日本列島史だと思っている、という。しかし、満州、朝鮮、台湾に生きていた人たちも日本の近代史を生きていたのである。私を含めて、日本人はまだまだ『発掘すべき近代史』を持っている。

私はこれまで、朝鮮や台湾を旅して来た。やはり数度は中国、特に満州だった処にいかねばならない。
2016年2月2日読了





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016年02月02日 18時43分15秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書(ノンフィクション12~)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

聖書預言@ Re:のろいではなくて呪いの話(11/01) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
背番号のないエースG @ 関東大震災 「福田村事件」に、上記の内容について記…
ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな@ 自然数の本性1・2・3・4次元で計算できる) ≪…三角野郎…≫は、自然数を創る・・・  …
永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?

バックナンバー

・2026年06月
・2026年05月
・2026年04月
・2026年03月
・2026年02月
・2026年01月
・2025年12月
・2025年11月

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: