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2018年07月23日
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「縄文人の死生観」山田康弘 角川ソフィア文庫

特に縄文時代の墓制と人骨を研究している人類学者並びに考古学者。専門用語も多いので苦手な人はいるかもしれないが、章の最後の段落にきちんとまとめを置いているので、結論だけを知りたい人はそこを読むだけでも、だいたいは知ることができる。

考古学者は事実だけを述べて、なかなかその先の仮説を言わないものだけど、この方は普通の考古学者と一線を画しているのか、きちんと述べているので、嬉しい。1ー4章までは、その根拠もほぼ科学的であり、わたしは大いに好感を持ったのだが、最終章は少し勇み足のような気がしている。この文庫本の題名ともなった「縄文の思想ー原始の死生観」を述べたところである。

曰く。
縄文時代の人々が考えた「あの世」は、仏教やキリスト教で考える「あの世」とはかなり違うものであったようだ。生命の循環を信じ、アニミズムの思想を持つ縄文時代の人々にとって「あの世」とは、系譜関係を意識したとしても、まさしく自然の中に還るということにほかならなかっただろう。生きている今は人として生きているが、死んだら自然の一部となり、そしていつか「この世」へと再生してくる。さきにも述べたように、これこそが縄文時代の基層的な死生観であったと、私は考えている。(150p)

この仮説に、物的証拠は基本的に述べられてはいない。土偶や石棒の説明があるけれども、それが何故アニミズムの根拠になり、なおかつ、生命の循環思想の根拠なのかは説明できていない。

もっとも、人は死んだならば「祖先の霊になって」「山に還ってゆく」という説は、縄文時代まで辿る必要はない。100年前の日本がまだそうだったと、柳田国男が証明している。そうではなくて、「死んだら自然の一部となり、そしていつか「この世」へと再生してくる」というのならば、自然の何になるのか?再生してくるのは何者としてくるのか?再生してくる赤ちゃんの起源は祖先なのか?それよりも他の世界からなのか?きちんとした説明がない。勇み足という所以である。ただ、心情的にはだいたいこの通りだったという気がしないでもない。

以下、ほぼ同意出来て参考になった部分。
・縄文時代後期には、既に祖霊観念が成立していて、祖霊崇拝が行われていた。多数合葬・複数例により、新たに生まれた集団の紐帯をまとめる必要があった。
・前浜貝塚の女性人骨によりわかること。彼女は3000年ほど前の縄文時代に東北地方で生まれ育ち、15歳の頃に成人式を迎え、直ぐ結婚、月日をおかず懐妊、妊娠10ヶ月に入った頃に出産、しかし彼女は死亡、赤ちゃんも直ぐに死亡。享年17歳。母子ともに近接した墓に埋葬。家族は彼女の再生を願い、血液のメタファーである赤色顔料を遺体にまき、そして妊産婦の死亡という異常事態に呪術的に対応するためにオスのイヌを殉死させ顔の上に乗せた。そして、土坑に近接して赤ちゃんを、これまた再生を願って土器に入れて埋葬した。←もっとも、この「再生を願って」の部分が正しいのならば、生命の循環は、「本人」が戻るということになるのだが。
・宮野貝塚人骨から。彼女は30代半ばでガンにおかされた。転移もあった。治療の一環として、イノシシ歯牙製の首飾がかけられた。
・出産時、死産ならば土坑墓、生きて生まれて直ぐに死ぬと土器棺墓。

2018年7月読了





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最終更新日  2018年07月23日 07時32分44秒
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