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2021年02月20日
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カテゴリ: 洋画(12~)
今月の映画評です。



「家族を想うとき」



 イギリスの地方都市。マイホームを持ちたいと考えているリッキーは、フランチャイズの宅配ドライバーとして働き始めます。そのために、妻のアビーの車を売って、自前の運送車を準備しました。アビーは、バスで移動しながらホームヘルパーの仕事を続けます。子どもといる時間は削られ、高校生のセブと小学生のライザはさみしさを募らせていくのです。

 私も流通業で働いていたことがあるので、分刻みで正確さが求められる仕事のキツさはよく知っています。昼メシ抜きは当たり前。彼は緊急トイレ用のペットボトルを常備します。リッキーは個人委託業者ですが、実際には偽装請負のように仕事の裁量に自由はありません。一回事故を起こせば彼ら家族は破綻するので、ハラハラしながら観ていました。ただ、仕事はキツいだけではありません。顧客との間に交流はあり、やり甲斐もあります。ケン・ローチらしくマンチェスターサッカーチームの話も、炭鉱労働者の話も出てきます。役者は全員ほぼ無名ですが、労働者はみんな優しい。

 体力も神経もすり減らす夫婦に、今度は高校生の息子の問題が被っていきます。前科がつけば、息子の将来に希望はありません。保護した警官は言います。「これから頑張れ。君には人生最高のものがある。君を想う家族だ。今日もお父さんは仕事を放って来てくれた。親として恥をしのんでだ。中にはそんな温かい家族のいない者も大勢いる。だが君にはいる」その言葉は息子にはなかなか伝わりません。最後はホントにこれで終わりなの?という異例の終わり方でした。監督のラスト作品のラストがこれなのか?

 でも、これこそがケン・ローチなのです。日本とまがうような新自由主義イギリス。全てが自己責任にされる。「これでいいのか(怒)」監督の最後の叫びのようでした。
(2019年英国ケン・ローチ監督作品 レンタル可能)









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最終更新日  2021年02月20日 18時49分53秒
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