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2006.07.28
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『普通学級での障害児教育』 藤田 修 編著(1998、明石書店)
には、「共生教育」、「原学級保障」についての情報が詳しく載っていました。

他の方にも知ってもらいたいと思い、要点のレポートをまとめています。今回は2章の前半の内容を。

この中でふれられている大変うらやましい制度は「二重在籍制度」です。

現状、障害児教育に割ける人員は多くありません。
普通に考えてそばでつきっきりで人がつかないと周囲や本人の安全確保も図れない、という場合であっても、
申請すれば職員が一人つくわけではないのです。

養護学校であれば手厚いようですが、地域の普通校では
障害児学級担任が、学級内の複数の子どもを1人で見ています。
「担任」は「障担」1人であり、交流に行っている○年○組の先生は
制度上は「担任」ではありません。
校内に在籍する障害児籍の子が多くなればなるほど「障担」1人では見切れなくなりますが、
制度上は「それでも担任が見なさいよ」と言っています。
しかし実情としては1人では見切れないので
他の職員の「助けを借りて」なんとかやっています。

「二重在籍制度」は、「障害児学級」1つに障害児学級担任がつくという制度と、
普通学級は40人まででそのなかには「障害児」は別籍として含まないという制度のなかで、「原学級保障」を実態と進めていく以上、
両方に籍を含め、両方でケアできるというメリットがあります。(特に職員の責任意識において)

また、形だけ普通学級に入れていても結局 「籍」つまり所属は別、というのは
「障害児」を分ける差別である
、という指摘は、
学校に携わるものは(賛成できなくても)心に留めておくべき考え方であると思います。

制度が分けることになってるからしかたない、ではなく、
制度は変えていけるものである
、という前提に立ちたいですね。
(そういう面で、大阪は制度をはっきりと変えてきた経緯があるので、
 そのことを知ることは大変勇気付けられます。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2章 「共に学ぶ教育」とは (藤田 修) 要点(にかとま選)

•・    全国的には点の運動にすぎない原学級保障の取り組みが、大阪では面ないし線の広がりでおこなわれている。

•・    最も早くから取り組まれ、最も広範におこなわれているのが大阪

1 統合教育への転換

•・    世界の障害児教育政策は、1970年代に入って 分離から統合へ と大きな変換をみた。

•・    (日本)1969 研究調査協力者会議報告「可能な限り普通児と共に教育を受ける機会を多くし、普通児の教育からことさらに遊離しないようにすることが必要である」

•・    (イタリア)1977 「第517法」
障害児のための特別な学校は法律上廃止。
統合教育導入に向けてきわめて具体的な制度保障へ。

•・    1981 国際障害者年 スローガンは「 完全参加と平等

•・    (ユネスコ)1994 「 サラマンカ宣言
「特別ニーズ教育に関する世界会議」で採択されたもの

•※    インクルーシブな方向性を持つ学校こそが、差別的な態度と戦い、喜んで受け入れられる地域を創り、インクルーシブな社会を建設し、万人のための教育を達成するための最も効果的な手段である。

(大阪での経緯)

•1955          二重在籍制度  はじまる

•※    「障害」児は普通学級の定員でもカウントし、障害児学級の定員数でもカウントする。 普通学級の出席簿にほかの子と同じように名前があるだけで、普通学級担任=原学級担任に最初から担任としての責任が明確化される。

1967全国障害者問題研究会(全障研)結成

1973頃~ 15教組障害児教育部会スローガン 「地域校区で『障害』児の教育を保障しよう」

○「障害」児がいればその子を含めたなかでの教育を学校全体で考えていくべきだ!
○ 学校の条件が整っていないという理由で養護学校に振り分けない!

(日本全体で)

70年代半ば頃から、分離教育反対運動が高まる。

•1976        全国障害者解放運動連絡会議(全障連) 結成

(脳性マヒ障害児の地域の小学校への転校を求める運動を展開)

•1979        養護学校義務化 → 分けることに対する問題提起ともなる

1990 日教組から全教が離脱(大阪、兵庫、神奈川など「共に学ぶ教育」を先進的に取り組んでいた府県や東京の活動家が日教組執行部を突き上げる形で、方針転換を実現)

2 原学級でめざすもの

•・    1日2~3時間では見えてこない。 1日の半分もいっしょにいない関係では「障害」児はお客さんになってしまう。

•・    1日中いるとなると、いろいろな問題が表面化してくる。 まず隣の席の児童生徒の態度が変わる。当然、その子の親もである。

•・    原学級保障は決してバラ色ではない。「障害」者問題がダイレクトに出てくる。だから良い。

•・    普通学級に「障害」児が加わることで変わらざるを得ないところが少なからず出てくる。 「障害」児が普通学級にどの程度時間的にいるか、本籍はどこかというような点が重要なのである。

•・    原学級の都合に合わせて参加するのであれば、「分ける」という差別を前提にした教育を認めることになる。

<原学級保障のねらい>= に助け合い生きていく術を学ばせること

•・    教育が一方的に与えられるものでなく、子どもの実態に応じた中からつくりだされるものにしなければならない。

→ 制度として助け合う社会を構築すること

•・    原学級でめざすものは、 共生社会での生き方を学ぶこと

•・    共生の教育は、 人間に合わせて学校がつくられる教育

3 生きる力とは何か

•・    Kさんの例:「怒ってる?」「おなかすいた」「おうち帰る」の3つの言葉でしたたかに生きていく能力を持っている。

•・    生きていく術=「健常」者と付き合う方法

•・    普通、人は他人との付き合い方を教えてもらって学んではいない。仲良くしたり、けんかをしたりしながら自分で習得していくもの。

•・    「ままごと」のような疑似体験では、「生きる力」は身につかない。学校生活の間だけで経験できることもしれている。焦らず、大胆かつ繊細に人間同士の付き合い方を考えてみたい。

4 「障害」児にとって学力とは

•・    「サラマンカ宣言」(1994)のなかの教育課程についての記述

(↑ここの中身は大変大切なところで、山ほど線を引いたので とても書ききれません!

 そんなわけで、またまたつづきます。)


普通学級での障害児教育
普通学級での障害児教育

著者: 藤田修
出版社: 明石書店
サイズ:単行本/216p
発行年月:1998年06月

【目次】
序 教育思想が問われる/第1章 論争「普通学級での障害児教育」/第2章 「共に学ぶ教育」とは-大阪の「共に学ぶ教育」その現状と課題/第3章 仲間と共に/第4章 みんながいきいきできる授業を-枚方市立枚方第二小学校の試み






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Last updated  2006.07.28 08:04:07
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