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2月28日に辞書にも掲載されていない意外な表現をご紹介した。(過去の記事はこちら)前回に続いて今日も英和学習辞典に掲載されていない意外な表現を紹介したい。このような表現を見つけるたびに英語は刻一刻と生きていて変化を遂げていることを実感するし、その変化を常に追いかけている研究者への畏敬の念が込み上げてくる。今回紹介したい表現はOBOというabbreviated word(短縮語)である。住んでいるアパートメントの掲示板を読んでいると以下のように使われていた。読者の皆様は意味が想像できるだろうか。I am selling a small dining room set (small table with 4 chairs) in great condition.Details: Standard height, antique gray finish, solid wood$150 or OBO値段の後にorと書かれているので価格の上下に影響を及ぼす表現のようだ。Collins Online Dictionaryによると以下の記載があった。In advertisements, obo is used after a price to indicate that the person who is selling something is willing to accept slightly less money than the sum they have mentioned. obo is a written abbreviation for `or best offer. 'URL:Collins Dictionary交渉次第では少し安くするという意思を表明する表現のようだ。ここで気になったのはOBOにorがすでに含まれている点だ。OBOを省略せずに表記すると $150 or or best offerとなってorが重なってしまうのだ。きっとここでは$150 OBOとするのが適切なのだろうが、OBOという表現が一つの単語として認識され、OBOの正しい表記を意識せずにOBOという表現が使われ始めているのだろう。上記のような現象はたまに日本語でも見られないだろうか。例えば「馬から落馬する」や「頭痛が痛い」といった重ね言葉は日本語でも見られる現象である。両言語における重ね言葉の変遷を調べていくと面白い研究の題材になりそうだ。続きを書くと長くなりそうなので今日はここで終えたいと思う。写真:アパートメントの掲示板それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.05.25
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昨日に引き続き四日目のエンリッチメントセミナーの様子をお届けしたい。セミナー四日目(3月24日)のスケジュール5:00- 6:00 Pre-Dawn Meals8:00- 9:30 Breakfast(Optional)- 11:00 Hotel Checkout午後は飛行機の出発時刻まで自由行動最終日は朝食を各自済ませた後、チェックアウトをして解散となった。主催者の発表では当日120名、50もの国と地域のフルブライターが一堂に会したという。これだけ大規模なセミナーを実施できる奨学金財団はきっとフルブライト以外ないのではないだろうか。改めてフルブライトネットワークの凄さをこのセミナーを通じて肌で感じることができた。各国の将来のリーダー達と繋がることができたので、今回の旅で築いたネットワークをこれからも大事にしていきたい。フライトまで多少時間があったので、バスツアーをした時に通りがたったMartin Luther King, Jr. National Historical Parkに行くことにした。この施設はNational Park Serviceに管理されており、予約不要かつ無料で施設内に入ることができる。アトランタを訪れる機会があれば是非訪問したい場所である。Martin Luther King Jrの遺体を運んだとされるワゴン(caisson)を拝むことができる。決して豪華ではなく、農具を運ぶようなワゴンである。このワゴンが貧困にあえぐ人々のために人生を捧げたキング牧師を象徴しているしているようである。ミュージアムでは私利私欲のためでなく、人々の自由のために心血を注いだキング牧師が歩んだ人生とその時代背景に迫まることができる。写真:キング牧師の遺体を運んだワゴンまた、キング牧師が暗殺された時に泊まっていたホテルの鍵や所持品までミュージアムでは見ることができる。小さなアタッシュケースに必需品を詰め込み全米各地を移動していたらしい。キング牧師は必要最低限の物しか所持しないミニマリストだったのかもしれない。写真:キング牧師の所持品(真ん中にあるのがホテルのルームキー)ミュージアムの入り口にはキング牧師の名言が写真と共に掲げられていた。“It is no longer a choice, my friend, between violence and nonviolence. It is either nonviolence or nonexistence.”(もはや暴力か非暴力の二者択一ではないのです。非暴力か無のいずれかなのです。)※筆者訳しかしながら、近年アメリカで起こったBlack Lives Matter Movementで見られるようにアメリカ国内では人種違いによる暴力は根強く残っている。また、人種、宗教の違いによる分断は以前よりも深まっている気がする。様々な思想や宗教、利害関係が複雑に絡み合う今日の高度情報社会だからこそ、今一度キング牧師の言葉に耳を傾ける必要があるのかもしれない。あからさまな人種差別の経験はないが、私もmicro aggressionと呼ばれる小さな目に見えないアジア人差別のような扱いを受けたことがある。日本国内では経験する機会はないかもしれないが、日本国内を飛び出すと大抵日本人はマイノリティーグループである。どこか心細さを感じるのは自分が常にマイノリティーの立場にいるを強いられるからかもしれない。キング牧師の言葉は寂しさを感じている心に寄り添ってくれるものばかりであった。今回のアトランタへの旅を通じて、多様性を受け入れて認め合うことの素晴らしさと今日の多様性に至るまでに先人達が経験した苦悩を垣間見ることができた。エンリッチセミナーのグループ発表で印象に残った言葉がある。“Freedom should not be taken granted. It is something that must be earned with a collective effort.” 「自由」は与えられる権利(given rights)ではない。各々が弛まぬ努力の末に獲得する権利である。我々が今日享受している自由は先人達の努力によって成り立っている。我々も未来の世代のためにこの自由のバトンを繋げなければならないと感じた。久々に清々しい疲労を感じながら私はどこまでも続く広大な大地を飛行機の窓から眺めていた。大学に戻ったら大量の課題が待っている。また明日から頑張る英気を養った気がした。写真:今回のエンリッチメントセミナーに参加したフルブライターの出身地をまとめたものこれでエンリッチメントセミナーのシリーズは終了である。明日以降はまた通常運転に戻りたい。それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.05.21
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昨日に引き続き三日目のエンリッチメントセミナーの様子をお届けしたい。セミナー三日目(3月23日)のスケジュール5:00- 6:00 Pre-Dawn Meals7:00- 8:00 Breakfast8:00- 8:15 Agenda Overview & Community Service Briefing8:15-9:00 Depart for Community Service11:30- 12:30 Return to Hotel12:15-13:30 Lunch14:00- 15:00 Fulbright Grant Benefits & Responsibilities15:00- 15:15 Break15:15- 16:30 Seminar Reflection Workshop17:30- 21:00 Closing Dinner21:00- 21:30 Return to Hotel三日目の朝はコミュニティサービスから始まった。数ある選択肢の中から私はTree Atlantaというボランティア団体が行なっている植樹活動に参加することになった。他にも低所得者層の地域住民に家具を作ったり、近所の公園を清掃する活動など様々なコミュニティサービスが用意されていた。家と図書館の往復ばかりしていて日光を最近浴びていないような気がしたので、運動をしながら地球に貢献ができる植樹活動は魅力的に思えた。朝食を済ませた後に部屋に戻って汚れても問題がない服装に着替えた。前日までずっと雨が降っており地面がぬかるんでいないか心配したが、現場のhighwayの近くに着くと思ったより地面は濡れていなかった。ちょうどよく水分を含んでいて植樹をするには絶好の状態のようである。一通り植樹の仕方を教わった後に3人1組で早速木を植え始めた。穴の深さ、根っこの向き、植えた時の木の角度が木の成長に大きな影響を及ぼすという。3人で手順を確認しながら木を植えた。作業を進めていくうちにどんどん握力がなくなっていることに気がついた。また、普段全く使わない筋肉を使っているせいか体の節々にだるさを感じる。私のチームは合計8本近くの木を植樹した。最後に大きなスギの木を植えて、2時間近くのコミュニティーサービスが終了した。正直、想像を遥かに超える重労働だった。チームを組んだメンバーと労いの意を込めてhigh fiveをしてバスに戻った。微力ながらアトランタの街と地球の環境保全に貢献していたら嬉しい。バスの座席に戻って着ていたTシャツは汗でびっしょりになり、足がガクガク震えていることに気づいた。そのままシャワーを浴びて一眠りしたい気分だったが、スケジュールより遅れていたため部屋で一休みすることもできず昼食会場に急いだ。写真:植樹している様子昼食後はフルブライトのアドバイザーから奨学金制度の説明とQ&Aセッションが設けられた。内容は奨学金受給者のみ関係する話なのでこちらのブログでは割愛したい。セミナーの締めくくりとして最後に振り返りのワークショップが行われた。本当にあっという間の3日間であった。Civil Rights Movementの中心地Atlantaで世界中から集まったフルブライターと人権について議論することができて非常に有益な時間となった。Martin Luther King Jr.の時代からずっと人種差別の問題はアメリカ社会に影を落としている。そしてこの人種差別の問題はアメリカに限った話ではない。移民の話題になると「日本はなぜ移民をそんなに制限しているんだい?日本は難民を受け入れる気はないの?」と聞かれることがある。最近ではバイデン大統領が「日本、ロシア、インドは外国人嫌い(xenophobiac)だ」と発言し波紋が広がった。確かにバイデン大統領がそのように発言したことは遺憾に思うが、そのような考えを日本に対して持っている人々が一定数いることも知っておかなければならない。多文化社会と共生はグローバルな世界で生きる我々にとって避けては通れぬ道である。法整備も重要かもしれないが、それ以前に我々一人一人のマインドセット(心の持ち方)が問われているような気がする。この三日間で出会ったフルブライターは私が日本からやってきたことを伝えると、彼らのお気に入りの漫画タイトルを嬉しそうに話してくれた。ナルト、ワンピース、呪術廻戦、ドラゴンボール、東京喰種トーキョーグール、名探偵コナン、鬼滅の刃などたくさんの漫画のタイトルを耳にした。漫画で登場する日本語のセリフを披露していくれるフルブライターまでいて大変驚いた。日本のサブカルチャーは世界に受け入れられていることを肌で感じた次第だ。海外の文化に興味を持つと同時に自国の文化や歴史、(サブカルチャー)についてももっと勉強しなくてはならないと痛感した。最終日の夜はRay’s on the Riverという川の畔のレストランで夕陽に照らされながら夕食を楽しんだ。この夕食でもDepatment of State(米国国務省)の方とご一緒する機会を得た。”Thank you for choosing me as a Fulbrighter.”と感謝の意を伝えると、”No. We did not choose you. You earned the position.”と言われた。奨学金の選考は抽選ではない。自分で道を切り拓いた者だけが得られる権利のように私には聞こえた。後日メールでお礼を伝えると”Stay active wiht Fulbright!(フルブライトと関わりを持ち続けなさい)”と激励の言葉を頂戴した。この貴重な経験を今後の人生にどう繋げるかが大きな課題となりそうだ。写真:最終日のディナー会場(夕陽が非常に美しかった)最終日の様子についてはまた後日綴ることにする。それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.05.16
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昨日に引き続き二日目のエンリッチメントセミナーの様子をお届けしたい。初日の記事はこちらセミナー二日目(3月22日)のスケジュール5:00- 6:00 Pre-Dawn Meals7:30- 9:00 Breakfast9:00- 9:30 Seminar Kick-off9:30-10:30 Make Big Talk Workshop10:30-11:00 Break11:00- 12:30 Panel Discussion- Honoring a Legacy: Remembering the Civil Rights Movement and Building a Future12:30-13:30 Lunch13:30- 14:00 Depart for Site Visits16:00- 16:30 Return to Hotel16:30- 18:30 Advising Office Hours18:30- 21:00 Dinner at a Local Restaurantちょうどエンリッチメントセミナー期間がイスラム教のラマダンと被っていたため、日中断食をしている参加者のために日の入り前の朝食が用意されていた。また、祈りを捧げるmeditation roomもホテルに準備されていた。多様な民族が集まるイベントではこのような配慮も必然的に求められてくるのであろう。改めて多様性とは言うが易く行うは難しと感じた次第である。朝食、キックオフセミナーで諸注意を聞いた後に最初のワークショップに参加した。Make Big Talk WorkshopではKalina SilvermanがZoomに登場した。Small talk(小さい雑談)ではなくあえて大きな話題(Big Talk)を投げかけることでその人の人格や本質が見えてくるという内容であった。また、時に我々は瑣末なことに気を遣いすぎて本来話すべきことから逃避をしているらしい。最初にBig talkをする際のtipsを学んだ後に実際に各テーブルでbig talkをしてみるという流れになっていた。テーブルに並べられた質問(big talk questions)をいくつか紹介したい。What is one of the kindest things that someone has ever done for you?/ What gives you hope?/ What are you curious about lately?/ How are you making a difference in the world?/ What do you fight for?どれも初対面の人とするトピックではないことは明らかである。しかしKalina Silvermanは初対面であってもこのようなbig talkをすることは相手のことを知る上で重要だと述べていた。彼女が通りすがりの人にbig talk questionsを投げかける動画がYouTubeに上がっているのでそちらもご覧いただければと思う。彼女がこのプロジェクトを始めた理由もこの動画を見ればお分かりいただけるのではないだろうか。↓リンク↓こちらパネルディスカッションではCivil Rights Movementを研究されている4名の教授がいらっしゃった。堅苦しい講義というより、1890年あたりから始まるCivil Rights Movementの長い歴史をエピソードも交えて紹介するものであった。パネリストの一人が途中で「普段決して泣くことがなかった父が唯一泣いた日がマーティンルーサーキングジュニアが暗殺された日だった。キングJr.の死亡を伝える速報が流れた瞬間に父は泣き崩れた。」と話されていて出来事のインパクトの大きさを物語っていた。私が知っているのは事実としての情報のみであり、その背後にある人々の感情やその時の様子は欠落している。当事者のリアルなボイス(声)を聞けたのは非常に有益だった。午後のフィールドワークでは当初Martin Luther King’s Jr.の母校であるMorehouse Collegeに訪問予定だったのだが、諸事情によりアトランタの歴史保護区のツアーに変更になった。個人的にはMorehouse Collegeの訪問を楽しみにしていただけに非常に残念であった。また、この日は生憎の天候で予定されていたツアーは変更を余儀なくされ、バスで歴史保護地区を回るという簡素なツアーになってしまった。ツアーガイドがバスで回りながら建物の説明をしてくれるのだが、雨で視界が悪く一体何について述べているのかイマイチわからなかった。最後に回ることができたMartin Luther King Jr.の生家と墓石を見学してツアーは終了となった。改めてこのアトランタの地でCivil Rights Movementが始まったのだと肌で感じることができた。ホテルに戻った後は自由時間となった。夕食は各自25ドルまで使えるカードを渡され、好きなレストランで済ませるというものであった。私はルームメイトが誘ってくれたグループに参加することにした。ブラジル、イタリア、カナダ、そして日本からきたフルブライター8名でホテルの裏にあるハンバーガー屋さんで大きなチーズバーガーを頬張った。そのまま市内のバーに流れ込み、日付が変わるあたりまで会話を楽しんだ。ホテルの部屋に戻ると疲れがどっと襲ってきた。朝からスケジュールが詰まっていて一息つく暇もないほどであった。急いでシャワーを浴びてベットに潜り込んだ。目を閉じると気づけば翌朝になっていた。2ヶ月前の出来事の記憶を呼び起こしながら日記を書くのは非常に難しい。もっと早い段階で下書きだけでも残しておくべきだったと今更後悔している。残りの二日間は後日アップすることにする。Martin Luther King Jr.が通っていた教会:Martin Luther King Jr. の生家:King夫妻が安らかに眠るお墓:降りしきる冷たい雨はキング牧師の死を悲しむ追悼の涙のようにも思えた。静寂を切り裂く水面を打つ雨音はいつまでも絶えることなく続いた。お墓の近くには次の言葉が刻まれていた。"The Dream Lives, The Legacy Continues."(夢は生き続ける。そして、遺産も残り続ける。)それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.05.15
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春学期の後半はフルブライトのエンリッチセミナー、家族の渡米、そして学期末の試験と立て続けにやってきて深呼吸をするのを忘れそうになるほどの慌ただしさだった。春学期最後の授業を終えて、少しずつ穏やかな日々を取り戻しつつある。記憶が薄れる前に3月下旬に行われたフルブライトエンリッチメントセミナーについて綴ることにする。世界中から集まった各国のフルブライターと過ごす4日間は刺激に溢れていた。エンリッチメントセミナーはフルブライト奨学生1年目に行われるフルブライト奨学金財団主催のイベントである。イベントは3月21日(木)〜3月24日(日)にかけてジョージア州アトランタで開催された。渡航費、滞在費、食費は全てイベント主催側が負担してくれるため、自己負担は空港までの交通費だけであった。奨学生の学費の支払いだけでなく、このような大規模なイベントが開催できるのは米国の政府予算がついているからであろう。フルブライト奨学金と聞くとどうしても学費・滞在費補助に目が行きがちだが、このようなイベント参加も本奨学金の大きな魅力の一つと言えるだろう。言葉では説明しようがないほど素晴らしい4日間であった。セミナーのことを綴ってもあまり読者の役に立つ情報はないかもしれない。半分備忘録を兼ねているため、ご興味のある方のみお読みいただけたらと思う。それでは忘却に争いつつ記憶を呼び起こしたい。エンリッチメントセミナーは基本的に日程と場所を選ぶことができない。突然決定通知が送られてきて参加の可否を問われる。NOにするとまた別の場所のwaiting listに登載されるらしいが、繰り上がる可能性は低いという。中には抽選に外れてセミナーに参加できなかったフルブライターもいるらしい。なるべくセミナーの案内が来たらとにかく参加をお勧めしたい。私の場合、セミナーが春学期のど真ん中で開催されたため授業を一つ欠席しなくてならなかった。授業を担当している教授に事情を説明して欠席を認めてもらった。幸いその週は提出課題がなかったため、課題の締め切り変更の依頼をする必要はなかった。課題の締め切りが複数セミナーの期間にあったらもっと丁寧に教授とコミュニケーションを図らなければならなかっただろう。セミナー初日(3月21日)のスケジュール11:00- 16:00 Arrivals and Registration12:00- 14:00 Refreshments and Advising Office Hours15:00- 17:00 Hotel Check-In18:30- 21:00 Dinner at Atlanta Botanical Gardens21:30 Return to Hotel最寄りの空港から3時間ほど飛行機に乗ってAtlantaにあるHartsfield-Jackson Atlanta International Airportに降り立った。イベント主催者が準備してくれたシャトルバスに乗り、そのまま市内にあるホテルへと向かった。チェックインを済ませ部屋に入ると、ルームメイトがすでにベッドの上でくつろいでいた。ルームメイトは私に気づくと”Are you my roommate?”と笑顔で声をかけてくれた。私のルームメイトはブラジル出身でハーバード大学にてcomparative literatureを専攻しているドクターの学生であった。エンリッチメントセミナーでは基本的に二人一部屋で過ごすことになる。最初は見ず知らずの他人と4日間過ごすことに抵抗があったが、ルームメイトと4日間過ごす中でブラジルや彼の研究分野についても話を聞くことができ、一人で過ごすよりよっぽど有意義な時間を過ごすことができたと思う。チェックインを済ませて部屋でゴロゴロしているとあっという間にディナーの集合時間となっていた。ホテルのロビーで集合してそこからバスに乗って近くの植物園に向かった。ちょうど花が見頃を迎えており、初日で初対面であるにも関わらず世界中のフルブライターと肩を組み写真をたくさん撮った。ディナーテーブルにはなんとU.S. Department of State(米国国務省)の方とご一緒する機会にも恵まれた。彼女もフルブライトブログラムに参加してフランスに行った経験があるのだという。フルブライトプログラムを米国側で運営している方だから知っているプログラム内部のお話も伺えて非常に有意義な時間となった。また、このディナーテーブルで日本から参加しているフルブライター2名とも約8ヶ月ぶりに再会を果たした。二人とは出国直前の米国大使館で行われたSend-off Party以来の再会であった。異国の地で奮闘するもの同士、元気な姿をお互い見せ合えただけでも励みをもらった。特にこの物価高、円安で日本からの留学生を取り巻く環境は厳しいものがある。正規留学は語学留学と異なり求められる水準が高い。お互い弱音は吐かないが、全員どこかで何らかの苦労をしている。どこか同じタイミングで厳しい境遇にも負けずに戦い続ける戦友のように思えた。久々に日本語を使って会話をしてホッとしている自分がいて母語の有り難みを実感すると同時にいつまで経っても英語は自分にとって第二言語なのだと突きつけられたような気がした。英語が無意識に出てくる状態とはどんな領域なのか一度経験してみたいものだ。キーノートスピーカーはMartin Luther King’s Jr.の出身校としても知られるMorehouse Collegeの教授のレクチャーであった。彼女の話を聞いて、Atlantaがthe Civil Right Movementの中心であり、この地からアフリカ系アメリカ人の自由を求める戦いが全米に拡大して行ったことを学んだ。ホテルに戻るとルームメイトは「これから友達と近くのバーで飲みに行くけどくるか」と誘いを受けた。若い頃はきっと軽快な足取りで参加していたと思うが、アラフォーに近づきつつある私の体は長旅とその後のディナーテーブルで疲れのピークを迎えていた。「お誘いありがとう。夜遅いし、今日はパスしておくよ。」とやんわり断ってベッドに滑り込んだ。その日に起きた出来事を振り返り、心地よい疲れとともに深い眠りについた。初日のキーノートプレゼンテーション:Botanical Gardensではチューリップが満開だった:ホテルに向かう道中で撮ったアトランタの景色:二日目以降はまた後日書くこととする。それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.05.14
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前回はアメリカで流行っているアイスのMochiを紹介した。(過去の記事はこちら)今日は同じく行きつけのTrader Joe’sで見つけた面白い日本食の商品を紹介したい。1. Mochi Rice Nuggetsまず最初にご紹介したいのはMochi Rice Nuggetsである。お餅のナゲットとは何を指すのか最初全く理解できなかった。日本ではナゲットをチキンナゲットの略と解釈してしまいがちだが、実はナゲットは元来小さく切られた塊という意味がある。つまり、お餅を小さく切って揚げた「あられ」のことである。パッケージをご覧いただければお分かりいただけるはずである。2. Vegetable Bird’s Nests直訳すると「野菜で作った鳥の巣」。一体何の和食を指しているかお分かりだろうか。正解は「かき揚げ」である。確かに衣を纏った野菜が高温の油に触れて広がっていく姿は鳥の巣に見えなくもない。なかなかかき揚げと鳥の巣は結びつかないのではないだろうか。発想力豊かな人がこの商品名を考案したに違いない。まだ食べたことがないのだが、いつか食べてみたい一品である。アメリカでの健康食ブームと相まって日本食はアメリカで幅広く受け入れられているようである。それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.05.13
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今アメリカでは和食が非常に流行っている。カフェに行くと必ずMachaがメニューに掲載されている。かなり大きめの都市に行けばラーメン屋を見つけるのもそんなに難しくはない。Ramen, Sushi, Machaあたりの英単語は市民権を獲得している印象を受ける。この間行きつけのTrader Joe’s(通称トレジョー)に行ってみると面白い商品を見つけた。パッケージにはMochiと書かれているが、我々が普段想像するお餅ではない。ロッテから発売されている「雪見だいふく」のような商品がMochiとして発売されているのである。X(元Twitter)でバズっているのを見てからずっと気になっていた。店内を探し回るもなかなか見つからないので、近くにいた店員に”Where can I find Mochi?”と聞いてみると、”Like icecream?”と確認された。きっと日本で「お餅はどこにありますか」と尋ねても「アイスのお餅ですか?」とはまず確認されないだろう。それほどアメリカ人の間ではMochi=(雪見だいふくのような)もちもちしたアイスと認識されているらしい。日本でも海外から入ってきた言葉が独自の進化を遂げて使われることを和製英語と読んだりすることがあるが、同じような現象がアメリカでも起きているようだ。和製英語の逆パターンになるため、米製日本語と命名すれば良いだろうか。英語圏でMochiを使う際は思わぬ誤解を招く可能性があるため気をつけていただきたい。写真:購入したMochi(抹茶味)パッケージに書かれている”Green tea ice cream surrounded by sweet rice dough”という英語の説明文もなかなか面白い。また、左下には6 mochiと書かれていて、ここでのmochiは不可算の名詞として扱われている。それでは今日も良い1日を。次回はTrader Joe’sで売られている面白い日本食をご紹介したい。きたろう
2024.05.12
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春学期の怒涛の日々が終わりを迎えようとしている。今学期は秋学期よりも一つ多い4つの授業を履修したため秋学期とは比べ物にならないほど慌ただしかった。今は成績のことは一旦忘れてとことん心と体を休めたい。記憶を遡りながら印象に残っていることを綴っていきたい。—————————4月22日(月)は長男の現地校登校日の初日だった。スクールバスの許可が下りていないため初日は電車と歩きで学校に向かった。学校に向かう途中、「アメリカの学校に通うのどう?」と質問してみると「ふつう」と短い答えが返ってきた。言語も風習も全く異なる学校に通うのだから小さい心は不安でいっぱいだろう。しかし、新たな環境に一歩踏みだすその勇気が今後の人生の糧になるはずである。長男の心の成長をそばで見届けたい。学校に到着にして受付を済ませると、奥の部屋に通され学校のパンフレットやスクールカレンダーを手渡された。ポータルサイトのIDとパスワードも渡され、後ほどアカウントを作成するよう指示を受けた。家庭と学校の間のコミュニケーションは基本的にオンラインで行われるらしい。書類を一式受け取ると副校長の部屋に通された。”Welcome!”と笑顔で握手を求められ、温かい歓迎を受けた。その後担任の先生と英語をサポートをしてくれるELDの先生の紹介を受けた。二人ともこの学校に長く勤めていらっしゃるベテランの先生のようだ。二人とも満面の笑みで緊張気味の息子を温かく迎え入れてくれた。この地区には私が通う大学の研究者が多く住んでいるらしく、私のような短期滞在者のご子息の扱いにも慣れているようだった。短期滞在である旨を伝えると”We have many families from the university”と笑顔で話されていた。校舎案内で校舎を練り歩いていると教職員の方々が笑顔で挨拶をしてくれる。息子は緊張で目が合わないし、相手の勢いに押されて一言も発することができないのだが、この温かい雰囲気であれば言葉と文化の壁も越えられるのではないかと思った。この留学は家族を巻き込んだ壮大なプロジェクトである。自分だけ研究に励んでいても帯同している家族がハッピーでなければ意味がない。長男が新たな学校生活を始めることができて胸を撫で下ろした。学校の中に入ってからずっと強く私の手を握っていた長男だが、担任の先生が優しく手を差し出すと息子は私の手を離して担任の先生の手をとった。教室の奥では同級生が”Is he a new student?”とざわざわ騒いでいる。当たり前だが、肌の色や目の色、髪の毛の色や服装まで多種多様だ。とてもカラフルで多様性に満ちているのがアメリカの学校の特徴なのかもしれない。教室に入っていく息子を見届けて学校を後にした。あまり日本では意識していなかったが、4月22日は地球の日(Earth Day)らしい。そう言えば学校で教職員とすれ違うたびに”Happy Earth Day!”と声をかけられた。地球の日にちなんで学校では特別カリキュラムが組まれていたようだ。写真:学校初日に長男が持ち帰ってきた作品「日常」を築くために奔走する日々はこれからも続く。それでは良い1日を。きたろう
2024.05.11
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