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以前辞書にも掲載されていない日用英単語をご紹介した。(過去の記事はこちら)前回に引き続き辞書に掲載されていない意外な日用表現に出会ったので本ブログでご紹介したい。それは大学院の講義を受けている時であった。その授業は今受けている4つの授業の中で一番難解で苦労している授業だ。課題で出される記事もわからない上に量が多いため授業前後にクラスメイトからつい不満が漏れる。教授が講義を始めて30分くらい経過した時に、“This is inside baseball, but….”と急に言い放った。今までずっと専門分野の話をしていたのに急に「野球(baseball)」という単語が登場したのですぐにノートの隅に”inside baseball”と書き殴った。自宅に戻ってジーニアス英和辞典、スーパーアンカー英和辞典で調べてみたが、メジャーな学習英和辞典2冊にも掲載されていない。Merrian-Websterオンラインディクショナリーにはしっかり以下の定義の記載があった。“known or understood only by a small group of people”↓リンク↓Merrian-Webster Online Dictionary-inside baseball直訳すると「少数の人間にしか知られていない」となる。なるほど、教授は「ここからちょっと専門的な話になるんだけどね」という前置きをしていたのだった。肝心なThis is inside baseballの後は何を話されていたのか忘れてしまったが、新たな表現を学んだだけでも一歩前進したと思いたい。改めてまだまだ自分の知らない世界が広がっているし、英和辞典は全ての単語を網羅しているわけではないことを感じる瞬間だ。英語は実に奥が深い。研究の傍ら辞書に掲載されていない英語表現をどんどん探し出してまだ英語辞典のカバーできていない領域を明らかにしていきたいと思う。写真:春の到来を知らせる植物それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.02.28
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写真:よく勉強するラウンジ(丸いユニークな照明と自然光が心地良い)日本の大学もこんなスタディスペースを図書館以外にも沢山設けて欲しい。この間アメリカ人の友人と談笑していて面白い表現で出会したのでこのブログでも紹介したい。春学期に履修している授業の中で一つだけとてもユニークなクラスがある。テクノロジーが発達したこの時代に珍しくその教授はパソコンやプロジェクターを一切を使わない。毎回分厚いノートを持ち込んでそのノートをベースに講義をするのだ。板書もほとんどないため基本的には耳から得る情報に頼らざるを得ない。リスニングをしながら重要な箇所をノートに残していく。日本語でも講義をずっと聴いているのは疲れるが、言語が英語になるとその疲れは比べものにならない。その友人はその教授の授業をとったことがあるらしく、私の悩みにすごく共感をしてくれた。私の悩みは留学生に限ったことではなく、現地の学生も抱いていた共通の悩みだったらしい。顔に笑みを浮かべながら友人が教授をこのように表現した。“He is old-school.”私の脳内でビビッと何かが反応するのがわかった。ジーニアス英和辞典第6版(大修館書店)には「[限定]古風な;古めかしい;伝統的な」と定義されていた。昔気質(むかしかたぎ)の人々のことをこちらではold schoolというらしい。映画界の巨匠Clint Eastwoodが監督、主演を務めたGran Torino(2008)の映画にも確かこのold schoolという表現が登場したのを覚えている。主人公であるWalt Kowalskiは戦時中のトラウマを引きづりつつ晩年をデトロイトで過ごしている。デトロイトは自動車産業の中心地として栄えたが、日本車が80年代から90年代に流行りだし一気に衰退してしまった。もぬけの殻となって治安が悪化した都市に住むKowalskiは自身の愛車であるGran Torinoを磨きつつ、変わり果てたアメリカをどこか憂でいる。そんな老人を若いアジア人女性がこういうのである。“You are old-school.”しかし、このold-schoolにネガティブな要素はなくむしろ褒め言葉のようにも聞こえる。どこかこの言葉には古き良き時代の古めかしさがあるような気がする。この単語が保守派を意味するconvervativeとは同義にならないのはそのためだ。なんとなく”He is old-school.”と言い放った彼女からも教授に対するリスペクトの心が垣間見れる。こんな英語表現に出会うたびに実に英語は奥が深いと思い知らされる。英語を15年以上触れていても私にとって英語は常に得体の知れない謎に包まれた生き物のようである。ベトナム戦争とその余波で追い出された民族の歴史、アメリカでの自動車産業の衰退、デトロイトという都市の荒廃、アメリカで根強く残る人種差別を意識しながらこの「グラン・トリノ(Gran Torino)」を視聴すると作品は単なる自動車好きの老人の話ではなくなる。16年ほど前に友人に誘われてグラン・トリノの試写会に行ったが、当時大学生の私はそこまで時代背景を理解できていなかった。10年後に再度DVDを見て深く感銘を受けたのを覚えている。アメリカの社会情勢にご興味がある方は是非ご覧いただきたい。後半から脱線して映画のレビューになってしまい大変恐縮である。留学を希望する未来の誰かにこのブログが届くことを願って今日も研究に励みたい。それでは皆さん今日も良い1日を。きたろう
2024.02.27
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「精神と時の部屋」とはドラゴンボールで登場する部屋の名称である。神様の神殿内にある空間でドラゴンボールの主人公である孫悟空が修行した場所として知られている。地球とは異なり時間の流れ方が異常に早い、重力も地球よりも何倍もある、空気も非常に薄いといった特徴がある。精神時の部屋で修行した悟空は一気にパワーアップをする。私にとって大学の図書館はまさに「精神と時の部屋」と呼ぶにふさわしい場所である。時間を忘れて深夜まで文献に耽る場所だ。そこには雑音が存在しない。聞こえてくるのはページをめくる音とキーボードを打ち込む音だけだ。この空間だけは時間の軸が歪んでいるようだ。気づけば3時間4時間とあっという間に経過している。以下の写真をご覧いただきたい。日曜日の夜だというのにこれだけの学生がいる。こちらは同日別フロアの写真日本の大学(院)では考えられないことだ。そもそも日本の大学は日曜日の夜9時に開館していない。文献にもオンラインで24時間アクセスできるようになっていて日本の大学との差は歴然である。PDFを専用のアプリに読み込むと画面上にannotationを簡単に加えることができる。勿論、大学がライセンス料を支払っているため文献のダウンロードから文献保存アプリまで学生は無料で利用できる。(高額な学費に含まれていると表現した方が適切だったかもしれない。)アメリカの大学は非常に勉強熱心な学生が集まる。知識を得ることに貪欲な学生に囲まれていると自然と私もモチベーションが沸々と湧いてくる。日本にいた頃は仕事で疲れていて日曜日の午後に「机に向かおう!」と思わ(え)なかった。日本にいた頃は全てスケジュール管理されていてタスクを期日までに終わらせることに全力を注いでいた。今も忙しいことは日本にいた頃と一切変わらないが自分でスケジュールを組み立てている印象がある。今は時間があれば積極的に図書館に向かう自分がいる。同じ人間なのに環境が違うだけでこれほど人間の行動力は変わるものかと自分自身驚いている。勿論、長時間文献に立ち向かうのは労力を要するし、決して楽しいと断言できる作業ではない。しかし、推敲に推敲を重ねたレポートにいい評価が付いた時の快感は言葉に形容し難いほど嬉しい。精神時の部屋での修行を経て自分がどのようにパワーアップしているのか今から楽しみだ。アメリカの大学図書館については以前の記事でも述べた。米国の大学図書館についてさらに知りたい方は過去の記事も参照されたい。↓リンク↓こちらそれでは良い1日を。きたろう
2024.02.26
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写真:よく行くコーヒーショップの壁画(なぜか左上に日本が描かれている)ブログの更新がめっきり途絶えてしまった。ここ最近は大学院の課題が途轍もなく兎に角文献を読み漁ってレポートを書く作業を延々と繰り返していた。留学はどこかきらびやかなイメージがあるが、大学院留学は1年〜2年と非常にスパンが短いのでカリキュラムがパンパンに詰め込まれている印象だ。なんとか春休みに到達するまで集中を切らさずに走り切りたい。学業を続けながら常に気にしているのが円ードルの為替レートだ。2024年になってからさらに円安傾向が強まりとうとう先日150円の大台に乗ってしまった。2024年2月25日現在円ドルの為替は1ドル150.48円となっている。これが160円、170円と上がっていったら自分のアメリカ生活はどうなってしまうのだろう。ただでさえアメリカはインフレの状態が続いていて食品、ガソリン、家賃の値段が上がり続けている。以前にも円安について記事を書いた記憶があるが、その状況が改善しているようには思えない。(過去の記事はこちら)自分の大学院留学で子供達の将来の養育費を使い果たすわけにはいかない。自己投資をしつつも家族や老後のために貯蓄が求められるため、舵取りは正直非常に難しい。また、為替レートは私がコントロールできる部分ではないため現時点でできることは辛抱強く待つくらいだ。学部生で渡米しようとしている学生にとってもドル円の為替レートは死活問題であろう。なんとか財団や進学先の大学から給付型の奨学金を獲得して学業に専念できる環境を整えてほしい。コロナ以降日本人の留学生の人数は下降し続けている。海外観光客からすれば日本は商品が格安で購入できるバーゲンセール状態であるが、日本人からすれば海外への壁はこれまでにないほど高くなってしまった。私はこの日本の現状を「令和の鎖国状態」と名づけることにする。日本の若者が留学したくても経済的な事情で飛び立てなくなっている状況はなんとかならないものだろうか。優秀な人材が高待遇を求めて外資系企業に流れ、賃金が一切上昇せず円の価値すら下降の一途をたどる日本の産業がどんどん空洞化していかないか心配である。政治も党内の不祥事の火消しで精一杯で本来の政治が果たすべき責務を果たせていない印象を受ける。どうにかこの超円安の状況を是正していただきたいものだ。これからアメリカに留学する学生に向けておすすめの節約術をお伝えしたい。1.自炊するこれはもう節約の基本のキである。自炊に勝る節約術はない。アメリカではTrader Joe’s(通称トレジョー)というスーパーが安くて品質も良くおすすめである。2.固定費を抑える家賃、光熱費を抑えるのが次にできることであるが、注意も必要だ。家賃が異常に安い物件はなんらかの問題を抱えている可能性が非常に大きい。安全・安心はお金で買うのが資本主義アメリカという国である。ケチりすぎて痛い目に遭わないよう物件は下見をすることをお勧めする。(個人的にお勧めなのが大学のすぐ近くの物件を探すことである。大学の近くは大学の警備が行き届いており治安が良いことが多い。また図書館に夜遅くまでこもっていてもすぐ帰宅できるため利便性を考えてもお勧めだ。)3.大学の食事付きイベントに積極的に参加する大学が催すイベントには食事が付いてくることが多い。しかも食事が余ればこっそり持ち帰ることも可能だ。私の大学では頻繁にこのようなイベント(学会発表)があるのでなるべく足を運ぶようにしている。人との交流もできて人脈も広がるため一石二鳥だと言える。円安の影響で渡米してから一人でレストランやバーに行ったことはまだ一度もない。どうしても値段がちらついてしまいたとえ行ったとしても楽しめない自分がいるのである。旅行であれば奮発するのだろうけど、まだまだ長いアメリカ生活が残っているため不必要な場面で少ない預金残高のお金を使う気には全くなれない。美味しそうなレストランの横を通り過ぎても贅沢をするためにアメリカに来ているわけではないだろうと自分に言い聞かせている。この海外での厳しい生活が今後の人生の起爆剤になるような気がしている。海外で貧しい生活をしていると「生きる力」が研ぎ澄まされていく感覚を覚える。日本の会社人時代には絶対に感じることはなかっただろう。こんな海外での貧乏学生生活もいつかいい思い出になることを願っている。では課題に励むことにする。それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.02.25
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写真:スーパーボールの中継スーパーボールとは:読者の皆さんはスーパーボールをご存知だろうか。NFL(National Football League)の各カンファレンスを勝ち抜いたチームがアメリカンフットボールリーグの全米(世界)1位をかけて戦うのがスーパーボールだ。世界大会は存在しないが、アメリカのNFLよりも規模が大きなリーグが存在しないため実質世界一を決めるトーナメントリーグとなっている。全米各地のメジャーな都市には大体その地域を代表するアメフトのチームが存在する。その地域のプライドをかけてプレイヤーたちは毎年スーパーボール優勝を目指してリーグを戦うことになる。こちらのサイトに詳しくNFLの概要が掲載されている。↓リンク↓こちら(NFL日本語版)スーパーボールの人気:競技名に国名が入っているだけあってアメリカでのアメフトの人気は日本とは比べものにならない。アメリカではfootball=アメフトを指すのでわざわざ”American Football”と呼ぶアメリカ人はいない。現地の人にとってfootballはサッカーではなくアメフト一択なのだ。スーパーボールの注目度は非常に高く視聴率は40%を超えるというから驚きだ。まさにアメリカ国民が熱狂する国民的スポーツイベントなのだ。視聴率40%を超えるコンテンツだけあってCMやハーフタイムのショーの規模も桁違いだ。30秒単位のCMに10億円ほどのお金が注ぎ込まれているらしい。しかもCMに出てくるのはハリウッドやスポーツのスーパースター選手ばかりだ。今年のCMにはなんとメッシが登場していた。今年はコロナワクチンを開発したファイザー、格安通販で業績を伸ばしているTEMU、映画の宣伝が目立った気がする。ハーフタイムショーもスーパーボールの目玉である。今年はラッパーであるアッシャーが出演した。個人的にはアシリア・キーズとのコラボに鳥肌が立った。過去にはビヨンセ、マドンナ、エアロスミス、U2、マイケル・ジャクソンなど世界的アーティストがステージに立っている。アメフトのルールが分からない人でもCM、ハーフタイムショー目当てにスーパーボールを見る人もいるだろう。ビアポン:アメリカのホームパーティでよく行われるのがビアポンだ。大学生間の飲み会では頻繁に行われるし、アメリカの映画でも若者がよくビアポンで負けてお酒を飲まされているシーンが登場する。勿論今回参加したホームパーティでもビアポンが開催されていた。これからアメリカの学部もしくは大学院に留学予定の方は知っておいて損はないかもしれない。今年のスーパーボールの結果:今年のスーパーボールは2月11日にラスベガスで行われた。カンザスシティのチーフスがサンフランシスコを拠点にする49ers(フォーティナイナーズ)を25-22で破り優勝を果たした。延長戦にもつれ最後の最後でチーフスがタッチダウンを決めて49ersを退けた。友人はサンフランシスコに10年ほど住んでいて大の49ersファンだったようで劇的な幕切れにショックを隠しきれない様子であった。最後までどちらに転ぶか分からない展開で非常に見応えのある試合であったことは間違いない。テイラースウィフトの彼氏がチーフスのプレイヤーらしく10分おきにテイラーがテレビ画面に登場していた。テイラースウィフトはこの直前までジャパンツアーを行なっていたようでトンボ返りで帰国したらしい。疲れを画面から一切感じさせないのがスターの証だろうか。私には到底真似できない。スーパーボールパーティでの会話について:大学院の授業の英語はなんとなくわかるのだが、雑音が混じった中でのネイティブの英語は本当に難しい。TOEFLやIELTSのリスニングの難易度とはまた違った難しさだ。そもそも現地の会話には選択肢がないし、絶対的な正解があるわけでもない。難しさの質が根本的に違う気がする。お酒が影響している可能性も否めないがどんなに集中を研ぎ澄ましてもうまく会話の内容が入ってこないのだ。この異次元のスピードの英語を理解できるようになる日は来るのであろうか。ネイティブ同士の会話にうまく入れず見事撃沈したが、自分のコンフォートゾーンを抜け出して新たな輪に入ろうとした自分をささやかながら誇りたい。若者たちは深夜2時を過ぎてもテレビを見て見ていたが、私は1時ごろに限界を迎え一人静かにソファーで眠りについた。植物が光合成をして少しずつ成長するように私もアメリカの地で少しずつ根を張ることができてきている気がする。ほんのわずかだけれども。きたろう
2024.02.18
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学期が始まる前に米国人の恩師にカフェに連れて行ってもらう機会に恵まれた。久々の再会を楽しんでいるといつの間にか話題は仏教思想の話になっていた。彼女は中国に数年住んでいた経験があり、日本のみならずアジアの文化や風習に精通している。彼女は仏教の「諸行無常」の考え方がとても気に入っていると話してくれた。まさかアメリカのカフェで仏教思想について語り合うとは誰が想像できただろうか。仏教思想の話をしている時にどうしても聞き取れなかった単語があったので、帰り際に「さっき言っていた引用をここに書いてもらってもいいですか。あとでちょっと調べてみたいんです。」と打ち明けると彼女は快く私の手帳に綺麗な筆記体で書いてくれた。その手帳にはこう書かれていた。“Thanks to impermanence, everything is possible.”その時はimpermanenceの意味がど忘れで抜けており、何のおかげで全てが可能になっているのかわからなかった。3時間ほどみっちり会話をしてカフェを後にした。恩師との会話は非常に楽しく3時間英語で会話をしていても一瞬のように感じる。IELTSやTOEFLのような時間の制約もなく肩肘張らずありのまま思うことを英語で表現できる環境があるのは有難いことだ。心地よい夕日を浴びながら歩いてアパートに戻り、手帳に書かれた引用をインターネットで検索してみるとすぐに以下の引用がヒットした。“We are often sad and suffer a lot when things change, but change and impermanence have a positive side. Thanks to impermanence, everything is possible.” –Thick Nhat HanhThick Nhat Hanh???日本人の名前のようには思えないし、全くピンとこない。さらにネットで検索してみるとベトナム生まれの有名な仏教者であることがわかった。ダライ・ラマ14世と並んで20世紀から平和活動に従事する有名な平和活動家でもあるらしい。ティク・ナット・ハン(Thick Nhat Hanh)氏はベトナム戦争を経験後、渡米してマインドフルネスを西洋に持ち込んだ人物として知られているだ。プラムビレッジというサイトに彼の半生を紹介するページがあった。ご興味がある方はどうぞそちらを参照されたい。どうやら市民運動を指揮したキング牧師も交流があったらしい。↓リンク↓こちら先ほど登場したimpermanenceだが辞書によると"The state of fact of lasting for only a limited period of time”(Oxford Languages)と定義されていた。日本語に訳すと「儚さ」が一番近いだろうか。どこかで出会ったephemeralityは脳内に蓄えてあったが、impermanenceは抜け落ちてしまっていた。“Thanks to impermanence, everything is possible.”「儚いおかげで全てが可能となる」そう、我々は命を含め有限であるからこそそれらに有り難みを感じ愛おしく感じることができるのだ。恩師が”Nothing stays the same”と会話中に繰り返していたが、この引用は見事に諸行無常の概念をズバッと表現していたのだ。筆記体で美しく書かれた言の葉が胸に焼き付いてしばらく離れなかった。この手帳は一生捨てられる気がしない。アメリカに来てアメリカの言葉や文化を吸収しに来ているのに自分の日本の文化の無知さに気付かされる。長年日本でいながら自分は日本を知らなすぎである。いや、きっと長年住んでいて自分は日本のことを熟知していると思い込んでいたのだ。日本に興味があるアメリカ人に日本のことを質問されてうまく回答できていない自分がいる。英語力ではなく自分には日本に関する基本的な知識が不足しているのだ。日本で生まれ育って築かれてきた日本人としてのアイデンティティが揺らぎ始めていることを感じている。私は長年日本に住んできたことを根拠に日本人であることに一種の「奢(おご)り」があったのではないだろうか。アメリカから「日本」を見つめることで私の価値観に大きな変化が起きている気がする。さて、そろそろパソコンを閉じて明日の授業に備えたい。写真:恩師が書いてくれた言葉追伸、本記事が記念すべき100本目となる。心の中で静かな祝福を味わっている。まさか飽きやすく長続きしない自分がここまでブログを続けられていることに大変驚きを隠せない。日々の気づきや雑念を綴っているどうしようもない独り言のはけ口を読んでくださっている読者の方に感謝したい。気づけばカウンターも14000手前まで回っている。(2024年2月7日現在)インターネットを介して母国と唯一繋がっているのがこのブログである。私の留学の足跡が次に留学する人への道標や指標になれば幸いである。(お分かりの通り失敗だらけの道なので私を反面教師だと思っていただきたい。)※学期期間は研究に専念するため更新頻度を下げています。ご理解のほどお願いします。それでは今日も良い1日を。きたろう
2024.02.08
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自宅と図書館の往復ばかりしているとどうしても運動不足になってしまうため定期的にアパートのジムで運動をするようにしている。2月2日(金)の朝にテレビをつけるとなぜかどのチャンネルもリスのような動物を抱えたタキシード姿の男性が映っている。テレビ画面の下部のキャプションには”GROUDHOG DAY”と大きく表示されている。暫くテレビを眺めていたが状況が全く理解できない。何故このリスにそんな注目が集まっているのだろう。部屋に戻って辞書を引いてみると以下のように掲載されていた。「聖燭(せいしょく)節の日《2月2日;ウッドチャックが冬眠から目覚め、春が来る日とされる;「啓蟄(けいちつ)」に当たる》」(ジーニアス英和辞典第6版より引用)しっかりこのような文化的側面まで網羅している点は素晴らしいと思う。学習英和辞典を侮ってはいけないと感じた瞬間だ。さらに調べてみるとこのウッドチャックが春の訪れを予想していることがわかった。Punxsutawney Philというウッドチャックがshadowを見ると六週間さらに冬が続き、Philがshadowを見ないと早い春の訪れを意味するだという。Punxsutawney Philの過去10年の予想的中率は40%とかなり低めだが、アメリカ人はこの恒例行事と迷信(superstition)を楽しんでいるようである。Pennsylvaniaではウッドチャックの予想を生で見るためのイベントまで催されているようである。興味がある方は以下のYouTubeビデオをご覧いただきたい。↓リンク↓こちら恥ずかしながら啓蟄の意味を知らなかったのでここに定義を載せておきたい。外国語を通じて日本のことを学んでいる今日この頃である。啓蟄(けいちつ)「二十四節気の一つ。太陽暦の三月六日ごろ。▼冬ごもりしていた虫が地上にはい出る意。」(明鏡国語辞典、大修館書店)なるほど、アメリカではウッドチャックが冬眠から目覚めるタイミングが春の到来とされるが、日本では虫が春の訪れを教えてくれる生き物になっているらしい。因みに今年はPhilが早い春の訪れを予想したらしい。今年のアメリカの冬は非常に寒かった。春の訪れが今から待ち遠しい。写真:終末のカフェラテそれでは今日も良い1日を。きたろう
2024.02.04
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写真:NYの安い宿の充電スペースにあった面白いメッセージ自分自身渡米してから半年が経過していることに驚いている。渡米してから二週間後に開設したこのブログの記事もいよいよその数が100に到達しようとしている。できればこの記事を記念すべき100回目の記事にしたかったが、大学院の課題の量が凄まじくその目標は叶いそうにない。ただこの日々足掻いている様子を気取ることなく記録に残せていけたらと思う。日々何かに追われていてこの半年を振り返る余裕もないというのが率直な感想だ。この留学が終わった時にブログの記事を読みながら日本でアメリカでの日々を振り返りたいと思う。今は自分を信じて前を歩み続けるしかない。留学が終わった時に家族と飛行機から見える光景を楽しみにがむしゃらに挑み続けよう。最近、感動した動画をこのブログで紹介したい。お勧めしたい動画はスコットランドでラグビー選手として活躍されている忽那健太選手のドキュメンタリー動画だ。彼の未知の世界に挑戦する姿勢にいつも刺激を受けている。面識は一切ないのだが、年齢が近く同じタイミングで海外挑戦している者同士非常に親近感が湧いている。2021年に癌を患い長らく入院生活を送られていたが、そこから癌を克服し現在はラグビー発祥の地イギリスでラグビーをしている。体格で勝る欧米の選手たちに恐れずことなく体をぶつけて、倒れても何度も立ち上がる忽那さんの姿に目頭が熱くなる。僕は動画に流れるキャプションがとても好きだ。----------僕はあの時「死」を覚悟した人はいつ死ぬかわからない当たり前の事実を目の当たりにしたとき僕は「死」が惜しくなったたった一度しかない人生「自分が本当に歩みたい道を進むんだ」----------忽那選手のYouTubeビデオ「スコットランドラクビー挑戦 2023年ダイジェスト」より一部抜粋↓忽那選手の2023年ドキュメンタリー動画↓こちら海外での生活は試練の連続だ。日常生活でさえ日本とは違う部分が多々ありうまくいかないことがある。相談できる友人も少なくマイノリティー集団の中で孤独を感じる場面すらある。そして大学院の研究もまた時に非常に孤独な作業だ。自分で選んだ道なのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが、自分で選んだ道だからといって全てが花道なわけではない。むしろ、自らイバラの道を選択したといっても過言ではないかもしれない。厳しい道を選択したのはそこから人生の糧となるものが得られると思ったからだ。現時点では自分が求めているものに近づいているのかさえもわからない。手応えはなく迷路の中を手探りで走り回っているようだ。不安は本当に尽きないが、今は自分を信じて歩みを進めたい。ふと立ち止まった時に何度も見たくなる動画である。何回見ても彼が人生をフルスイングしようとする姿勢が伝わってくる熱いドキュメンタリー映像だ。お時間がある時に是非ご視聴いただきたい。私はこの動画を見て留学する意義だったり、目標を持つ大切さを再認識することができた。海外生活をしているこの時期にこの動画に出会えたことに感謝したい。私も彼のように自分のやりたいことに素直になりたいし、一度きりの人生を「フルスイング」したいと思う。こんな記事を書いている間にも課題の締め切りが近づいている。筆を置いて文献を読むこととしたい。それでは良い1日を。きたろう
2024.02.01
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