まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2021.07.02
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カテゴリ: 東宝シンデレラ
前作『adieu1』が素晴らしかっただけに、
それを超えるのはちょっと難しいかと危惧してたけど、
蓋を開けてみれば全勝でした。

とくに、
カネコアヤノの一撃が効いている。
わずか3分に満たない曲ですが、すごく鮮烈な印象を与えてます。

中央アジアの遊牧民が都心の遊園地に住みついてるような、
ちょっと不思議な「天使」のMVもかなり印象的。
なにやらドギツイ色彩感覚を打ち出していて、
あれは今後のビジュアル作品にも影響力をもつだろうと思う。



もともと萌歌の曲には、
すこしだけダークな要素があって、
つねに、なにがしかの闇を抱えています。

かつて銀色夏生や谷山浩子が、
斉藤由貴のために不穏な曲を書いていたのに似てる。

ただし、
闇といっても、
それは女の子なら誰しもがふつうに持ってるような、
ある意味では、とても素直な闇であって、
それをすんなり表現できるところが、
現在のadieuのスタンスなのかな、と思います。



カネコアヤノが書いた「天使」は、
じつは純真無垢な愛のキューピッドではなく、
どこかしら邪悪な要素も持ちあわせていて、
この曲の主人公は、
そんな天使の悪戯と、つかず離れずの関係にあります。


塩入冬湖が書いた「シンクロナイズ」にも、
前作の「よるのあと」と同様にシニカルな面があって、
萌歌自身も「2つの曲の主人公は同じ」と言ってるけれど、

前作では《青い体温/震えぬ胸》と冷え切った感情を歌い、
今作では《退屈》《交差しない》《永遠は作れない》と、
ほとんど悟りきった冷めた諦観のなかで、
それでも若さにまかせて愛の可能性を探ろうとしています。



ちなみに、前作の「よるのあと」について、
塩入冬湖は「祈りの気持ちを込めて作った」と述べていて、
実際のところ、多くのリスナーは、
あれを《祈り》の曲として受け止めているはずだけれど、

よくよく歌詞を見ると、じつは、
うっすら憎悪をはらんだシニカルな内容にも読めるところが、
あの曲の面白さになっています。

それと同じことが「シンクロナイズ」にも言えます。



さらに、それと同じことは、
君島大空による「春の羅針」にも言えるかもしれない。

君島大空が書いた「春の羅針」のタイトルの意味は、
おそらく「恋の行先」みたいなことでしょうけど、

ちょうど「よるのあと」が、
震える胸 》ではなく《 震えぬ 胸》と冷たい感情を吐露しているように、
この「春の羅針」でも、
夢なら覚めないで 》ではなく《夢なら 覚めて 》と悲しみを吐露してる。
つまり、主人公は、行先の見えない恋の不安に直面しています。



そんななかで、

古舘佑太郎が SALOVERS 時代にソロ曲として作ったという、
「愛って」の、やや青くさい真っ直ぐさが、
Yaffle の前向きで拡がりのあるアレンジも相まって、
このアルバムに、ある種の清涼感と救いをもたらしています。

もともと「愛って」には、
YouTube の FirstTake バージョンがありましたが、
先日の TOKYO FM の番組では、
古舘佑太郎のギター1本で歌ったバージョンも披露されました。

やはり、
作曲者自身の演奏には格別の味わいがあって、
このギターだけの素朴なアレンジが思いのほか良かったです。

あれを聴いていたら、
萌歌と井之脇海が二人でたたずんでいる映像が目に浮かんだので、
あのバージョンを、できれば午後ティーのCMで使ってほしい(笑)。



小袋成彬のつくった「ダリア」は、
少女の初恋の終わりを描いた曲なので、
恋の始まりを歌った前作の「天気」と対をなしてる気もしますが、

なんとなく謎めいた世界観もあって、
それについては、 こちらに書きました



ちなみに、
ここに出てくるダリアの花は 黄色 ですが、

ひたすら 青色 にこだわった前作の 「天気」のMV と、
ヴィヴィッドな 黄色 が印象的な 「天使」のMV を比べても分かるように、
全体として、今回のアルバムは 明るい黄色 の印象が強いです。





なお、萌歌は、
昨夜の南波志帆のFM番組で、
「今後は作詞もしてみたい」と言ってましたが、
姉妹とも、そういう流れになるのは必然だと思います。

作家の提供曲だけではなかなか表現しきれない部分が、
おのずとだんだん増えてくるはずだから。






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最終更新日  2024.06.17 13:29:49


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