まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.05.02
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NHK「燕は戻ってこない」を見ました。
女性の卵子売買の話です。

原作は桐野夏生。脚本は長田育恵。

石橋静河をひさしぶりに見ました。
NHKはわりと彼女を積極的に起用しますが、
民放だと坂元裕二ぐらいしか使ってないよね。



タイトルの意味は、
卵を産みっぱなしで戻ってこない母鳥?
あるいは自分の巣を知らずに育った雛鳥?

中絶や流産の話に加えて、
ゆで卵、たらこ、ペットショップの子犬など、
さまざまな命の売買の話が出てきて、
主人公の友人は性の売買もしてるらしい。

なお、
NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げてましたが、
すでに女性の卵子売買は、
国内にエージェントが存在して実際に行われてるそうです。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4868/


第一に考えねばならないのは、
やっぱり安全上のリスクですよね。

まるでニワトリみたいに、
いちどに数十個の卵子を作ったりするらしいし、
不自然なことを人為的にやるわけだから、
女性や子供の身体に問題が生じないのか気になります。



不妊治療のバリエーションとしては、
夫婦の体外受精のほかにも、

・女性の卵子の凍結保存
・男性の精子の凍結保存
・他人からの卵子の提供
・他人からの精子の提供
・自分の腹から他人の子を産んで育てる
・他人の腹から自分の子を産ませて育てる
・他人の腹から他人の子を産ませて育てる

…などがあると思いますが、

今回の物語では、
「夫の精子」「他人の卵子」「他人のお腹」で産む、
ということのようです。


倫理面での考え方は人それぞれでしょうが、

これって、結局のところ、
男性中心主義か女性中心主義かの問題ですよね。

要するに、
妻の卵子を使うにせよ、他人の卵子を使うにせよ、
妻の腹から産むにせよ、他人の腹から産むにせよ、
あくまで「夫の精子を使う」という点では変わりないので、

問題になるのは、
他人の卵子やお腹やお乳を使った場合に、
妻が「自分の子」として受け入れられるかってこと。
そして卵子やお腹やお乳を提供した女性の身体が、
ただの道具 (もしくは商品) になってしまうってこと。

夫にとっては自分の子でも、
妻との血縁や身体的な結びつきが薄いとなれば、
それは養子を引き取る感覚に近い気がする。
あるいは夫の連れ子を引き受けるような感覚?



かつての天皇家や将軍家と同じように、
男系男子の後継を必要とする家であれば、
女側の遺伝子が正妻のものである必要はなく、
優れた遺伝子の女性なら誰の卵子でもいいのよね。

あくまで重要なのは、
夫にとって「自分の子」ということであり、
妻にとって「自分の子」か「他人の子」かは問題じゃない。

妻の卵子である必要もないし、
妻のお腹から産まれる必要もないし、
妻のお乳で育てる必要もないわけです。

実際のところ、
昔は「正妻」「妾」「乳母」の分担があって、
それが男系男子を産むための合理的なシステムだった。

それが少子化や貧困の問題も相まって、
一夫一妻制の現代にも復活してるのだと思います。



でも、
そこまでして子供が欲しいというのは、
やはり男系の後継を必要とするような家だと思うし、

そういう家では、
あくまで女性は道具でしかないのであって、
とくに貧しい女性たちは、
そういう家に卵子やお腹を提供するか、
あるいは乳母になるといった立場に置かれる。

たとえ正妻になれたとしても、
自分の子をもてるとは限らないのよね。

時代劇を見てても思うけれど、
こういう家にとって正妻の存在意義って何なのかしら?

どこぞの女性に卵子とお腹を提供してもらい、
産まれた子は乳母に育てさせればいいのだから、
はなから正妻なんて必要ないじゃん!と思ってしまう。
ある意味、セフレと大差ないのでは?



そんな男系嫡子製造システムとして、

現代にも、
「卵子の商品化」「お腹の商品化」「お乳の商品化」

といった話が出てきてるわけだけど、

たんに卵子を提供するだけなら、
大奥に入ったり妾になったりするよりマシかな、
…って気がしなくもありません。

もちろん、実際は、
けっこう身体的な負担があるようですが…。

自分の知らないところに、
自分の遺伝子を受け継いだ人間がいるってのは、
女性の歴史のなかでは珍しいことだけど、
男性の歴史のなかでは珍しいことじゃないよね。

ただし、子供の側からすれば、
「自分の出自」を知る権利は保障されるべきだし、
そうした権利を無視して子供を製造してるとすれば、
女性のみならず子供も道具 (もしくは商品) にすぎないでしょう。



ちなみに、
もし「女系の子」を産むとなった場合には、
精子は誰のものでも構わないけれど、
卵子は絶対に妻のものでなければならない。

もし夫が種なしだったら、
別の優れた男性から精子の提供を受けて、
さらには必要に応じて、
他の女性のお腹やお乳も借りることになる。

男子のいない場合に、
娘に婿を取って家業を継がせることはあるし、
そういう家でなら、
「娘の卵子さえ使えばいい」という考え方も、
ありえるのかもしれませんよね。





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最終更新日  2024.06.17 19:09:40


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