静かな時が流れる｢風の庭」

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2024.11.20

薔薇2種。森鴎外「高瀬舟」と出会った。

(2)

テーマ：読書(8635)

カテゴリ：本

薔薇ホットココア。年中咲いているような。

薔薇アンジェラ。この子もいつも咲いている気がします。

平野啓一郎「本心」を読み、映画まで観に行きました。
そんな「本心」の本の中に、
森鴎外「高瀬船」が出てきて、あれ？どんな内容？と、
初めて気になりました。
罪人を乗せる船の話、と何となく認識しているだけで、
短編、というのに、読んで無いな、と思っていました。

図書館へ行き始めると、返却に行くから、自動的に、
２週間ごとに行くようになりました。
新着版の並べられた棚を眺めた瞬間、「高瀬舟」が、
目に入りました。
美しい挿し絵の本で、これぞ巡り合いです。
イラストレーターげみさんの絵がまた素晴らしい。

両親に早く死なれ、二人だけで生きてきた兄弟。
やがて、弟は治りそうにない病に侵されます。
貧しい兄の世話になる心苦しさに耐えきれず、
喉にカミソリを刺し、自殺を測った弟。
刃は器官に穴を開け、肉に食い込んで死に切れません。
帰宅した兄に、死なせて、と刃の後一押しを頼みます。
苦しみながら、楽にして、という頼みに耐え切れず、
刃を押し込みます。

殺人者として逮捕され、高瀬船で島送りになる兄。
穏やかな兄の表情が不思議で、話しかけた同乗の役人は、
これが本当に人殺しと言えるのか、と考え込むのです。
"次第に更けて行く朧夜に、沈黙の人二人を乗せた
高瀬舟は、黒い水の面をすべって行った。"

現代に通じる安楽死問題、名作、と思いました。
あっと言う間に読める短編ながら、珠玉の一冊です。
終活に入り、本も整理している今なので、
買う気が無いのは申し訳ない気がします。

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