マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.10.26
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カテゴリ: スポーツ関係
 一難去ってまた一難 

 後で大きな声がした。どうやら私の後を歩いていた男性が怪我したようだ。頭から血が流れている。それを手拭で縛る男性。直ぐにガイドと添乗員が集まり治療開始。先ずオキシフルで消毒し、その上から滅菌済みのガーゼと幅広のバンドエイドで抑え、さらに鉢巻。原因は男性が飛び出た枝に頭をぶつけたこと。

 幸い帽子を被っていたために、傷の深さは2mm程度で済んだ。彼は私達と逆向きで倒木を潜ったため、枝に気づかなかったようだ。私は帽子を後ろ向きに被っていた。つばの長い帽子は視界を妨げるからだ。彼はつばを前向きにして被っていた。そのことも枝が見えにくい原因になったと思う。治療に要した時間は20分。幸い傷が大したことなくて良かった。再び隊列が進み出す。

 間もなく仙人大滝のある沢との合流点に到達。木々の間から滝が見えた。名前とは違って、それほど大きな滝ではなさそうだ。滝まで往復30分かかるみたいで、今回はパス。そのまま沢を直進し、途中から尾根道に登った。左手の林の間から直角の崖が見えた。「甘い匂いがするのはカツラだよ」。Wガイドが教えてくれた。確かにそんな匂いがしたが、葉が落ちてどれがカツラの木か分からない。

 「スズメバチだ。動かないように」。先頭のガイドが立ち止まった。彼の周囲を1匹の蜂がブンブン唸りながら飛んでいる。「こんな時は手で払ったりすると攻撃されるよ」とガイド。最後尾の添乗員さんから無線で「黄色スズメバチが6匹います。静かにかつ速やかに進んでください」。私達は何事も無かったようにその場を離れた。結局1匹の蜂だけはしばらく私達の後をつけていた由。攻撃される心配はないと判断し、ようやく巣へ戻ったようだ。

 見晴らしの良い場所まで来ると景色が一望出来た。深い山々。赤、黄色、褐色に染まった木々。そしてその中に緑が点在する。「あれがコシアブラ」とガイド。薄黄色に透き通った5枚の葉。春先の新しい葉は天ぷらなどにして食べると美味しいと聞いたことがある。良く似ているが3枚葉の方はタカノツメ。「満点だね」とWガイド。「ここは山だから満点じゃなくマウンテン」。私が混ぜっ返す。左手には一際大きな桧。「あれはアントニオ桧(猪木)」。ガイドも負けてはいない。

 列の後方から山ブドウが届いた。いつの間に採ったのだろう。食べてみるとほんのりと甘い。その山ブドウの蔓が大木に絡んでいるのを見た。葉は鮮やかな赤。見事な色だ。遠方に尖がった山が見えた。あれが今日登る神室岳(仙台神室)かと思ったら、別の山とのこと。どうやら標高971mの三方倉山のようだ。

 何度か休憩が入った都度、私はお握りを食べた。ツアーで渡される弁当は巻き寿司とサンドウィッチのセットだが、量が少なく7時間近くかかる縦走では最後まで持たない。そのため今回はコンビニで2個のお握りを買っていた。急いでお菓子も食べ、お茶を飲む。

 出発後間もなく、目の前に壁のような岩場が現れた。70度ほどの急角度。他に道はなく、ロープを伝わって登るしかない。女性には厳しい登りだったろうが、私は案外楽に登れた。幸い傷めた尻や左肩に痛みは出なかった。

 尾根から初めて仙台神室の威容が見えた。かなり厳しい角度の山容。これからあそこを登るのかと緊張が走る。やがて道は一旦沢へ下り、そこから涸れ沢の登りと変わった。目まぐるしいコースと眺望の変化。ここを登り切ると「ダンゴ平」。そして仙台神室への最後の登りが始まる。<続く>





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Last updated  2010.10.26 18:38:12
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