マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.10.27
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カテゴリ: スポーツ関係
 山の上から見えたもの 

 ダンゴ平から仰ぐ仙台神室の威容。結構勾配は厳しそうだが、両側が切り立った断崖でないためさほど危険性はなさそうだ。緩かった傾斜が徐々にきつくなり、足元の土が滑る。一度足を踏み外し、腹這いになったままズルズルと落ちた。その時誰かが手を引っ張ってくれた。気恥かしかったが、何とか体勢を整えた。

 標高1356mの神室岳(仙台神室)の頂上はさほど広くはない。私達ツアー仲間だけでもう満員。笹藪を掻き分けて峰の東側に進む。東側だけが頂上からは見えないのだ。手前右手が川崎町。そして手前左側が太白区の二口峡谷だ。遥か遠方に太白山。これは我が家の近辺の山。標高321mだが三角形の独立峰なので、離れていても良く目立つ。

 頂上に戻って周囲を眺める。北側には七つ森、泉ケ岳、北泉ケ岳、船形山。そして手前には磐司岩に連なる糸岳、大東岳、小東岳、南面白山。そしてこの夏走った二口峠のジグザグ道がはっきり見えた。何と工事中のブルドーザーまで見える。その遥か彼方には標高2236mの鳥海山が雲の上に。これは秋田と山形の県境に聳える秀峰。

 西方には葉山と標高1984mの月山。少し離れて朝日連峰の大朝日岳や以東岳など。そして手前にはこれから登る山形神室。そこから南に目を転ずると、縦走コースのトンガリ山からハマグリ山まで一望出来た。そしてその向こうには瀧山、三宝荒神、雁戸山、熊野岳、刈田岳など蔵王の山々が連なっていた。山の上から見えたのは360度、山、山、山だった。

 仙台神室はさほど高くはないが、独立峰なので視界が素晴らしい。それに、天気にも恵まれた。これこそ山の醍醐味。豊かな気持ちで弁当と果物、お菓子を食べた。頂上への登頂を待っていた次のグループに譲って下山。下りは一層滑り易いので要注意。おまけに目の位置が違うため、角度が増すように見える。登山道の脇に生えた木の枝を掴みながら慎重に下りる。

 ガイドの後からスイスイ下りる1人の男性。ステップがとても軽やかだ。彼こそ頭部に怪我をした人。「怪我が無ければ合格だね」とガイドさん。ダンゴ平からは長い稜線を登る。下から見えたピークは山形神室ではなかった。その向こうが本物の頂上。粘土質の滑り易い道に苦しみながら、前進に次ぐ前進。

 この辺りは背の低い木しかない。トイレに行くのも暫く我慢。登山用語で「キジ撃ち」が男性の小用、「お花摘み」が女性の小用を指す隠語だとは知っていたが、その現場に立ち会ったのは今日が初めてだった。登山で7時間もの縦走ともなれば生理現象を止めることは困難。女性も慣れた様子で「お花摘みに行きます」と出かけて行く。

 遅れる人が出だす。ガイドさんが「大東岳」と名付けた女性だ。恰幅が良いため、登りが苦手なのだろう。私は技術こそないが体力があるせいか、ほとんど遅れずに着いて行ける。ようやく2つ目の山形神室に到達。ここは標高1442m。仙台神室よりわずかに低い。短い休憩の後スタートした途端、道端で休んでいた女性を見てビックリ。

 何とT田さんだ。「膝を傷めてウルトラマラソンを走ることが困難になった」と涙を流しながら彼女が話したことを思い出す。「まだ走ってるんでしょ?私は登山は出来るの」。そう言えば八幡平に登った帰りも隣のバスに彼女が乗っていたっけ。元気そうな顔に安心し、握手をして別れた。それにしてもこんな山の上で走友に会えるとは。

 嬉しくなって山形神室から下り始めた時、グラリと体が揺らいだ。「痛っ!」急いで体勢を立て直したものの、膝に激痛。遠近両用の眼鏡で下ばかり見ていたため、視野が歪んでしまったのだろう。これは大変。膝周辺の細かな筋肉を傷めたようだ。これで無事下山出来るだろうか。一抹の不安が胸を過った。<続く>






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Last updated  2010.10.27 18:53:41
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