マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2012.01.15
XML
カテゴリ: 読書
 幕末から明治へ(2) 

日本の古代史や考古学関係の専門書を読み続けて来た私が、幕末や明治期に関心を持つようになったきっかけが、新田次郎著「アラスカ物語」。これは明治期に宮城県出身の船乗りがアメリカに渡り、縁あってアラスカのエスキモーの指導者になる話だった。これが引き金になって幕末の漂流記を読む気になった。

先ず読んだのが吉村昭著「アメリカ彦蔵」。播磨国(今の兵庫県)の彦蔵は13歳で初めて船に乗り込むが、初航海で破船・漂流し米国に帰化。その後通訳として日本に帰還し、日米外交の最前線に立つ。次に読んだのが吉村昭著「大黒屋光太夫」。伊勢国(今の三重県)白子の沖船頭だった光太夫は遠州灘で遭難し、ロシア領アリューシャンの一小島に漂着。そこから長い旅をして女帝エカテリーナに拝謁。

往復の旅でロシア語を習得した光太夫はロシアの対日本外交に役立つと考え、帰国を許される。その知識を買われ光太夫は幕府の通訳として活躍する。3冊目が井伏鱒二著「ジョン万次郎漂流記」。土佐(今の高知県)の漁師万次郎は漁船に乗り込んで手伝いをしていたが、暴風雨で船が漂流しアメリカの捕鯨船に救助される。

その後アメリカ本土で教育を受け、再び船に乗り込み琉球王国経由で帰国を果たす。英語に堪能な上に西洋の新知識を持つ万次郎は土佐藩に重宝され、さらに幕府の開成学校教授となって本領を発揮する。彼らは無事帰還できたが、漂流して遭難死した人も多い。諸藩が外国と自由に貿易をしないよう幕府が船の仕様を厳しく制限し、「舵」が荒天の外洋では耐えられない構造だったためだ。


その後に読んだのが吉村昭著「ふぉん・しいほるとの娘」。これはドイツ人でありながら日本への強い関心からオランダの医官となって長崎に赴任したシーボルトの来日から、その娘で日本初の女医となる楠本イネの一生を描く大作。幕末の騒然とした国内、シーボルトの学問への執念と国禁の日本地図を国外に持ち出そうとして発覚した「シーボルト事件」と国外追放。イネの女医として大成するまでの苦労など、次々に展開する大事件に固唾を飲んだ。

イギリスの若い通訳官見習いだったアーネスト・サトウ(後通訳官、外交官)著「一外交官の見た明治維新」では、幕末と明治初期の緊迫した国内事情が手に取るように分かった。サトウは薩摩弁も理解し「候文」も自在に書けた日本通で、「佐藤愛之助」の別名を持つ。自由な精神の持ち主で、勤皇・佐幕の別を問わず各藩の藩士と通じて情報を得、イギリスの対日外交に寄与した。その結果イギリスは薩長主体の開国派を援助する立場を取る。一方フランスは幕府を援助する立場を取り、状況によっては日本が二分される恐れもあった。

これに加えて今回読んだ司馬遼太郎著「花神」で、幕末から明治期への激動がほぼ認識出来た。国を揺るがす物凄いエネルギー。熱情と狂気。まかり間違えば外国に支配されかねない状況を、当時の人達は良く乗り切ったと思う。それらの事実は宮城谷昌光の古代中国史をテーマにした面白さとは多少異なる。それは私達の先達が苦しみながらも手探りで近代化を進めた実話だからだ。

小学校から大学までの授業ではほとんど習わなかった幕末から明治へかけての歴史を、何冊かの歴史小説で学べたことに感謝している。語弊があるかも知れないが、知れば知るほど面白い時期。当時の日本人が何を考え、どう行動したかを知ることは、今後のためにも役立つと思う。特に平和で豊かな現代人にとってはなおさらだ。今後ともあの時代に注目し、色んな本を読んでみたいと思っている。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.01.15 15:26:15
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: