マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2012.10.07
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 今日はKスタでの最終戦。残念ながらCSへの進出は果たせなかったが、借金1でここまで来たのは立派。今年初めてのレフト指定席に座る。始球式のピッチャーは、名前の知らない貫禄のあるおっちゃんだった。左隣の小母ちゃんがやけに野球の詳しい人。一昨日の試合もレフト席で観たと言う。へえ~っ、こんな人もいるんだなあと感心しながら辛島の投球を見つめる。

 レフト席と3塁側内野席はほぼ満員。さすがは最終戦、これからも続々と集まって来るはず。ライトのソフトバンク応援団はまばら。だが楽天の追撃をかわして既にCS進出を決めているせいか、悠々としたものだ。先発にファースト小久保の名前。引退を発表した彼の姿をKスタで見るのは、今日が最後になる。

 2回裏、ホセがセンター前にヒットを放ち、続く牧田が目の覚める弾丸ライナーの第9号ホームラン。ボールが飛び込んだレフトスタンドのファンが湧く。皆、立ち上がって歓喜の渦。これは幸先の良い先制点だ。完全試合ペースで投げていた辛島が隙を突かれたのが4回。フォアボールの本多が2盗を決め、さらに投球がワンバウンドの間に3盗も決めた。

 「だから本多の時は要注意なんだよ」。隣の小母ちゃんが悔しそうに叫ぶ。やはりこれが悪い予感で、主砲ペーニャのレフト前ヒットで本多が楽々ホームベースを駆け抜けた。2対1。試合は一気に緊迫する。6回表には1アウト後にまたしても本多が3塁打を放ったが、辛島は何とか後続を断ち切った。7回裏には1アウト1、2塁の好機を、代打鉄平が併殺打に倒れた。う~む、実に重苦しい展開だ。

 7回裏の攻撃に入る前、私はリュックからやや軟らかくなったジェット風船を取り出した。それは一昨日の9回に飛ばそうと一旦膨らましたもの。結局抑えの青山が打たれて同点となり、出番を失ったヤツだ。「恨み」の白風船を空へ放った。この日、星野監督は8回まで辛島を続投させた。球数が増えていた彼にとっては苦しかったはずだが、これも来季へ向けての厳しい「親心」。

 そして9回は青山。2日前に悪夢を観たばかりの彼をあえて登板させたのも監督の強い意志。これも来季へ向けての無言の「檄」のはず。その期待に応えて、青山は見事に抑えた。結局は2対1での勝利。Kスタでの最終戦、142試合目でとうとう楽天は2カ月ぶりに借金を完済した。小雨降る夜空に1万本以上の白いジェット風船が飛んだ。

 試合後、巨大なスクリーンに今季のイヌワシ戦士たちの活躍する姿が映った。「ああ、あの場面か」大勢のファンがそれを観て、1年間の戦いを振り返ったようだ。だがキャッチャー嶋の挨拶も星野監督の挨拶も短かく、もうちょっとの差でCS進出を逃した悔しさに溢れていた。「来年こそは」。きっと大勢のファンも同じ思いだったはず。

 この少し前、小久保を先頭にソフトバンクの選手達がライトスタンドのファンに挨拶をした。小久保はKスタの楽天ファンにも帽子を高く掲げてグラウンドを去った。私の胸に突然淋しさが過った。力が衰えた選手はいつか自ら引退するか、球団から戦力外通告を受ける。心ならずも一時巨人へ移籍した小久保の心も、きっと淋しさが去来したはずだ。

 巨人へ行った朝井とヤクルトへ行った一場も今シーズン限りで戦力外となった。彼らも楽天の創設期を支えてくれたかつての仲間。さて日曜日からは5位のロッテを相手の2連戦。楽天の4位は確定だが、果たして貯金を作れるかが勝負。きっと連日の移動で選手達はクタクタだろうが、何とか強いハートで頑張って欲しい。

 家路を急ぐ私の後から、歌声が聞こえて来る。あれは応援団が歌う選手の応援歌。今年一年間戦い抜いた選手の活躍を労って、1人ずつ応援歌を捧げているのだ。ありがとうイヌワシ戦士達。来年もまた久米島での厳しい練習に耐え、さらに強くなって戻って来て欲しい。そしてありがとう、戦力外となったかつての仲間たち。貴方達の未来に希望の光が注ぐことを祈っているよ。





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Last updated  2012.10.07 15:07:59
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