マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2013.08.13
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カテゴリ: ランニング障害
 満を持して温泉へ向かう。先ず温い浴槽に浸かり、それから露天風呂。そして水風呂、サウナ、水風呂、サウナ、水風呂の順。その間に冷たい水も飲んだ。地下深くから湧き出すこの水が美味い。幸い膝に痛みはなかった。往路は膝にテーピングし、バイクパンツを穿いた。テーピングを剥いだ復路は、サポート機能のあるハーフタイツに着替え。上は黄色い半袖シャツの下に、宮城UMCのオレンジ色のランシャツを着た。

 懇親会を行う会場は正午からしか使用出来ない。仕方なく350mlの発泡酒を買って大広間へ行った。テレビの前に陣取り、少し早目の昼食。途中のコンビニで買った2個のお握りを食べながら発泡酒を飲んでいると、Cちゃんが来た。彼もビールとつまみ持参だ。そしてそのつまみを、私にも何袋かくれた。

 昨年は2月と4月に不整脈の手術を受けた後で体調が悪くなり、パートの仕事を辞めた。ようやくランニングを再開したのは8月だから、この合同練習会へはマウンテンバイクで来た。片道55kmですら自信がなかったため、勿論ビールは飲まず、最初に挨拶して帰った。

 1年3カ月ぶりにレースに出たのは、それから5カ月後。それに比べれば今はまだマシだが、やはり今回も走ることが出来なかった。直接の原因は膝痛だが、老化による著しい体力の低下を意識せざるを得ない状況。そしてある決断を胸に秘めてここへ来た。

 大広間から出ると、到着したばかりのKさんから懇親会用の「つまみ」を受け取る。会場にはもう何人かの人が寛いでいた。つまみを配り、さらにU海さん差し入れのバナナを配った。目下重病と戦っている彼は初代の宮城UMC事務局長だが、6月の「みちのくラン」でもコースの途中で個人エイドを開き、私達を歓待してくれた。

 12時半を過ぎても全員が揃わない。猛暑のために疲労が著しく、到着が遅れた人が何人かおり、Kさんも「熱中症で頭が痛い」と言っていた。F田事務局長代理の発声で、ようやく懇親会開始。先ずは会長であるM仙人の挨拶で乾杯、一気に座は盛り上がった。私は2本目のロング缶に突入。もう帰路の心配はどこ吹く風だ。

 参加者各人の挨拶が始まる。昨年はトップバッターで挨拶をして帰ったが、今年は飲みながら皆の挨拶を聞き、野次を飛ばした。それが絶妙の内容とタイミングみたいで、座が盛り上がる。古川グループのS木さんがエビスのロング缶を差し入れしてくれた。彼は私のブログの愛読者。4月から新しい職場に転勤して以来会ってなかったが、久しぶりに元気そうな顔を観られたのが嬉しい。


佐々木さん.jpg一彦さん.jpg


         S木さん                   K彦さん


 私の順番になった。実はこの場で皆にお別れの挨拶をする積りだった。ここ1カ月ほど膝痛だけでなく体調不良に悩まされ、レース出場が無理なことを悟っていた。来年は一切レースに出ず、今年申し込んだレースも行くのを止めようと思っていた。だが私の口から飛び出したのは、意外にも既にエントリーしている今年のレースのことだった。

 缶ビールに酔ったせいではなく、多分炎天下を激走する仲間の姿や、今後の目標などを聞いたためだと思う。宮城UMCの結成後13年。私は最古参の会員の1人で、この「薬莱山とお足マラニック」は連続10回目の参加。それが思うように走れなくなった今、長年お世話になった仲間にきちんとお礼とお別れを言おうと思っていたのだが、全く予想外の展開になった。

 私がそんな気持ちでこの場に臨んだことを、仲間は知らない。とうとう本音を切り出せないまま終わったが、それはそれで良いと思った。何かが私の胸の中で変わったのだ。全員の挨拶が終わると私は半袖シャツを脱ぎ、これからマウンテンバイクで帰途に着くことを告げた。猛暑の中をたった1人で仙台を目指す自転車の旅。これからが本当の冒険だ。



帰路の自分.jpg


 これが玄関で撮ってもらった自分。顔も体もアルコールと強烈な太陽で赤黒い。帰路は目を保護するため、サングラスをした。こんな状態で果たして55kmを走り通せるか、そんな心配は既にぶっ飛んでいる。酔った勢いで高揚し、急激な坂道を一気に下る。転倒したら大けがをするため、それでも道路の状態はしっかり観察している積りだ。


15薬莱山.jpg


 サヨウナラ薬莱山。またいつか会おうね仲間たち。来年再びこの高原に来られるかどうかは分からない。だが、来られるように、出来るだけの努力はしたい。薬莱神社の里宮を抜けて国道へ出ると、灼熱地獄が私を待ち構えていた。帰宅後に知ったのだが、この日の最高気温は35.8度だった由。途中で何台かの車が私を追い抜いて行った。車窓から思い切り手を振る仲間の姿が見えた。


七つ森.jpg


 田圃の向こうに西日に輝く「七つ森」が見えた。ここが30km辺りで、残りはまだ25kmある。体調に問題はなかったが、時間は待ってはくれない。富谷町から厳しいアップダウンの連続で必死にペダルを漕ぐ。何とか仙台市の泉区に入ったが、将監トンネル手前で道に迷った。何故だか判断を誤り、90度方向が違う道に入ってしまったのだ。

 風景がいつもと違うことが分かった。苦しみながら坂道を登っていると、右足に強烈な痙攣が起きた。大量の発汗で体内の塩分を失ったのだ。道端にマウンテンバイクを停め、固まった筋肉に冷却スプレーを吹きかける。そして小袋の塩を舐め、水分を補給。5分もせずに痙攣はピタリと治まった。何度か道を尋ね、何とか泉中央に出た。

 帰宅は6時過ぎ。妻は鳥海山へハイキングに行き留守。早速カラカラに乾いた庭と畑にホースで水やり。洗濯ものを水で潅ぎ、夕食は冷やし中華を作った。その夜はなかなか寝付けなかった。炎天下の110kmを走った疲労に加え、モスクワ世界陸上で福士加代子選手が女子マラソンで銅メダルの活躍。きっと神経が興奮して眠れなかったのだと思う。

 ともかく今年の「薬莱山」は終わった。幸いその後膝の痛みはなく、体調もまあまあだ。もしまだ挑戦心が残っているなら、レースに出るのも良し。なにせ俺は1年3か月のブランクから復活した男。再びあの奇跡が起きないとも限らない。相変わらず猛暑続きの仙台だが、そのうち必ず涼しい秋が来る。私はボロボロになるまで走ろうと思っているが、実際どうなるかは分からない。だからこそ人生は面白いのだ。<完>





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Last updated  2013.08.13 08:07:27
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