マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2014.04.29
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カテゴリ: ランニング全般
≪ 暗闇の中へ ≫

花2スイセン白.jpg


 4月26日土曜日。未明2時過ぎに目が覚めた。この日、東日本大震災の被災地に向けて走ることは、前夜のうちに妻に告げていた。ただ、彼女は暑い日中に走る自信がないため、まだ涼しい暗いうちから走りたいと言っていたのだ。私が日課のブログを書き上げる間に、妻は朝食を済ませていた。私は3時頃から早目の朝食を摂り、走るための準備をした。妻の走力を考えると、家から直接走り出すことは無理。3kmほど先まで自転車で行き、そこから隣の市の海岸へ向かうことにした。

 春とは言え、朝は結構冷え込んでいる。走ることを考えれば荷物は出来るだけ少ない方が良いのだが、自転車だと風を受けるので、最低限の防寒は必要だ。懐中電灯を自転車に取り付けて、暗闇の道路にペダルを踏み出す。途中コンビニに寄り、お握り3個を購入。走るためにはエネルギーを補給する必要があるからだ。区役所の裏側にある銀行の支店の前に自転車を止める。3時50分、妻と2人の長い旅がいよいよ始まる。


ラン2自分.jpgラン1妻.jpg


 妻は5年ほど前から走り始め、今ではゆっくりながらも2時間くらいは走れるまでになった。だが距離はせいぜい13km止まりだろう。だからわずか3kmだけだが、自転車で短縮したのだ。一方、私にも不安があった。このところ体調が悪く、1週間ほど走れない日が続いた。もう走るのは無理と諦めながらも、久しぶりに近所の整骨院で超音波をかけてもらい、何とか回復したばかり。だが、院長は私が翌日30kmを走ると言っても、その体で走れる訳がないと信用しなかったほどだ。


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 今回の行き先は「ゆりあげ」。漢字で書くと写真のような表記だが、国字のため字が変換されない。それで便宜上「ゆりあげ」と書くことにする。そこは3年前の東日本大震災では大きな被害を受けた海岸だ。私が今年は被災地探訪ランをしたいと話したら、妻が自分も被災地に行きたいと言い出したのだ。だが、妻が走れる距離を考えたら、走って行ける場所は限られる。そこで選んだのが「ゆりあげ」だった。


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 空には赤く細い月。そしてその下に見える目立つ星は火星だろうか。本来は金星か木星が普通だが、最近火星が見えると聞いたような気がする。



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 名取川にかかる太白大橋。ここで写真を撮っていると、妻がどんどん先へ行った。慌てて追い駆け、妻を呼ぶ。彼女は道を知らないのだ。先日もこの付近で迷子になり、自分が分かる場所まで車に乗せてもらったそうだ。朝のまだ暗いうちに走る割には、方向音痴なのだ。その点私は用心深く、地図で何度か確かめながら位置を確認するほどだ。このコースも何度か走って様子を知っている。橋を渡り切ったら左折し、海まで真直ぐ堤防の上を行くのだ。


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 国道4号線の旧道とそのバイパスを横切る。4時半、空が明るくなって来た。左手の河原に見える小高い丘は古墳時代の円墳だ。きっと名取川の氾濫も何度かあったと思うのだが、私達の遠い先祖はこうして中央の文化を少しずつ受け入れて来たのだろう。


ラン6菜の花.jpg


 相変わらず妻のペースは快調だ。遅いのだが休まず前進するため、写真を撮っているとどんどん姿が遠ざかる。再び後を追うことの繰り返しが続く。ここは堤防の一本道。車も来ないし、しかも迷うことはない。菜の花畑が朝もやの中から現れる。



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 ゆらゆらと上る太陽。普段はその時間にブログを書いているため、私は滅多にお目にかかることはないのだが、妻は良く走っている途中に日の出と遭遇するらしい。



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 あれは名取川の対岸にある今泉の清掃工場。仙台市の若林区に当たる。こちら側は太白区四郎丸近辺。


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 こちらは川面に映る太陽と空中に浮かぶ太陽。滅多に観られない光景だ。先を行く妻を呼ぶ。そろそろ休憩が必要な時間だろう。


ラン10落合観音堂.jpg


ラン11観音堂.jpg


 ここは落合観音堂。仙台市の文化財にも指定されている。境内に入って参拝し、ついでに水を飲ませてもらう。


ラン13観音堂狛犬.jpgラン12落ちたツバキ.jpg


 英気を養って、再び走り出す。だが、暫く走った所で妻が戻って来た。水を入れたペットボトルをどこかで落としたと言う。探したが見つからないので出発。飲物はリュックの中に入っているし、私の分は手に持っている。それに朝は涼しく、さほど汗はかかない。私は既にウインドブレーカーを脱いで半袖シャツになっていた。一路海岸へと向かう。



ラン14朝日.jpg


 私は時々立ち止まって写真を撮る。その間妻は休まずに前進している。習慣とは恐ろしい。いつの間にか結構強くなったものだ。遅いけど自分のペースを守って走る。年寄りにはこれが良いのだ。


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 振り返ると、朝もやの中に仙台市内のビルが見えた。ここまで走った距離は6kmほどか。


ラン16朝日.jpg



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 東部道路は過ぎた。広瀬川との合流地点もとっくに過ぎているだろう。だがまだ太陽は地表に近く、水面に赤光を映している。あの大震災当日、津波はこの名取川を濁流となって遡った。岸辺に打ち上げられていたたくさんの小舟や残骸は、すっかりきれいに取り払われている。だがこれから向かう「ゆりあげ」は、無残な姿のままだ。それを観た妻がどう思うだろうか。そろそろ仙台市と別れ、名取市に入るころ。前方に松並木が見え出した。<続く>





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Last updated  2014.04.29 04:46:44
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