マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2015.08.16
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カテゴリ: 歴史全般
<日本と戦争>

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 人は生まれる国も、生きる時代も自分で選ぶことは出来ない。そして政治家でない者が政治を語り、歴史家でないものが歴史を語れば、齟齬が生じるのは当然だろう。それでも私達は過去の戦争について語り、記す必要があるように思う。人はなぜ戦うのか。日本はなぜ戦ったのか。過去の歴史を紐解くのは容易ではない。まして価値観は時代によって異なり、国や個人によっても異なる。難しいことだが、敢えて私の視点を記してみたい。


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 日本と外国の戦争は、奈良時代の新羅が最初だったと認識している。朝鮮半島に領土を持っていた日本は百済と友好関係にあった。だが、百済が新羅と戦争になり、日本軍も援軍を出して白村江などで戦って敗れた。新羅軍の侵攻を恐れた天智天皇は都を近江に移し、大宰府周辺の大野に水城と山城を築き、瀬戸内海沿岸にも朝鮮式の逃げ城(山城)を築いた。この時は幸いにも日本への侵攻はなかった。


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 次の戦争は鎌倉時代。モンゴル人が建国した元が、朝鮮半島の高句麗を従えて日本に侵攻して来た。日本が元の臣下になることを拒否したためだ。これがいわゆる元寇で、弘安の役など2回あった。博多周辺に防備のための土塁が築かれ、全国から武士が北九州に駆け付けた。対馬と壱岐の住民のほとんどが、この時殺戮された。仙台周辺からも武士が九州に赴き、このうちの何人かが死んでいる。

 2回とも季節風(台風)が吹いて元と高句麗の船団は大破沈没して事なきを得たが、まさに日本の危機だった。日本は刀や槍で戦ったが、相手は火薬を使った火器を持ち、船も大きくて頑丈だったのだ。この時の季節風を「神風」と呼んだ気持ちが分からなくもない。


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 次の戦争は安土桃山時代。全国を統一して天下を治めた豊臣秀吉は、武将に与える恩賞の土地が国内に無くなり、朝鮮半島を侵攻した。元寇同様、相手にとっては迷惑な話だ。2度玄界灘を渡って朝鮮半島で戦ったが、地の利なく日本軍は破れた。この時かの地から陶工などの技術者を引き連れて帰国した。薩摩焼の祖、沈寿官氏の祖先などがそうだ。この時殺戮した朝鮮人から削いだ耳や鼻を祀った「耳塚」が、今も京都に残されている。老人の妄想から生まれた意味のない戦いだった。


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 鎖国していた日本にとって、幕末期の諸外国の黒船渡来は青天の霹靂ではなかったか。それ以前、大航海時代から西欧列強の世界進出が始まり、インドや東アジアはその手で支配されていた。中国も列強特にイギリスによって蚕食され属国化していた。わずかに開港していた長崎や平戸を通じて、その事実を知っていた日本も国内で攘夷論が盛んになった。長州藩や水戸藩では対立する派閥同士で殺し合いが始まった。わが国最大の危機を救ったのは、洋学の知識と下級武士の決起だったと思う。

 フランスが幕府側に付き、イギリスが薩長側に付いたが、直接列強同士の奪い合いにはならなかった。多大の犠牲は払ったが、ともあれ日本は近代国家への仲間入りを果たし、アジアで唯一の先進国への道をひた走ることになる。この時に採られた政策が、いわゆる「富国強兵」策だ。


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 日清戦争で勝った日本は勢いに乗って、「南下政策」を採る大国ロシアを相手に戦争を始めた。近代国家日本を脅かすと考えたからだ。無謀な戦いだったが、ギリギリのところで勝った。この2つの戦争での勝利が、その後の日本軍を狂わせたのだろう。小国日本が大国を次々に破り、国民も先進国の国民となったことに酔いしれた。教育制度、軍の整備、科学技術の振興。明治以降次々に実行して来た近代化の勝利とも言えるが、奢りもあったのだろう。


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 第一次世界大戦で、日本は戦勝国の仲間入りをした。そのことがさらに国力の増強と、軍備拡張に繋がったと思う。紙数の関係で今日は第二次世界大戦のことについて書かない。70回目の終戦記念日を前に、この1週間私はテレビの特集番組で様々な映像を観た。そのほとんどが初めて観る内容だった。その感想だけを、以下に記しておきたい。


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              空襲による仙台市街の焼け跡


1)戦争には原因と理由がある。
2)戦争には相手がある。
3)戦争には結果的に良い戦争も、悪い戦争もない。
4)戦争はたとえ勝ったとしても、その犠牲が大きい。
5)原爆投下や爆撃機による無差別的な爆弾投下は、人類への犯罪行為である。
6)戦勝国による「東京裁判」は、決して公平な内容ではなかった。
7)それでも戦争は絶対に起こしてならない。


 戦争に美しいものなどない。第二次世界大戦で死んだわが国の軍属は約240万人。そして一般国民の数は約80万人。合わせて320万人の尊い命が失われた。これは人類史上過去最高の犠牲者数らしい。それにこの戦争で亡くなった外国の犠牲者数を加えたら、果たしてどのような数字になるのか恐ろしいほどだ。改めて戦争の愚かしさを思う。<続く>





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Last updated  2015.08.16 06:53:42
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