マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2015.12.15
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カテゴリ: 健康
<12月11日(金)入院2日目:手術当日>

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 深夜0時、ナースが点滴の生理食塩水を交換に来た。5時小便に起き、ついでに歯磨き。6時体重測定68.05kg。体調管理のため、病院の体重測定は50g単位まで細かくチェックしている。7時手術に備え、紙おむつに履き替え。以前はT字帯(ふんどし)だったのが、患者の経費負担を少しでも軽くするための改善みたい。7時40分執刀医のO先生が病室に来て挨拶。目が笑っていない。彼も今日は本気で手術に臨む気持ちのようだ。

      三度目の手術となればまな板の 上の鯉なり性根を据へむ


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 8時指輪、時計など金属製のものを全て体から外す。不整脈のアブレーション(心筋焼灼術)は体の二か所(太股の付けてと首)からカテーテルを心臓内に送り、高周波の高熱で不整脈の病巣を焼き切る手術。このため金属は予め取り去る必要がある。8時20分睡眠薬2錠を服用。ナースは精神安定剤と言うが、そんなことはなく、直ぐに口の中で溶けた。ストレッチャー(寝台車)に乗ってオペ室へ移動。


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 手術担当のドクターとスタッフが数人「よろしく」と言う。こちらも「よろしくお願いします」と返す。シャウカステン(レントゲン写真読影装置)に前日撮った私の心臓と胸部腹部の血管の写真が張られている。きっと血管の形状や位置を確認しながらカテーテルを心臓に送るのだろう。そのうち急に意識が飛んだ。麻酔薬は打たれてないので、やはりあれが睡眠薬だったのだ。これから6時間の長い手術が始まる。今日手術を受ける患者は2人。もう1人は午後3時半からと聞いていたので、逆算すると6時間はかかる計算。O先生の目が笑ってなかったのは、そう言うことだ。


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      オペ室のシャウカステンに浮き出たる アンギオグラフィー*森林のごと 
                        *血管造影写真のこと
      「よろしく」と挨拶をせし執刀医 眸の中の決意も固く
      舌下錠二錠の薬たちまちに 溶けて眠りし手術の前に
      ドクターに挨拶返すそのうちに 記憶は飛びて眠りに入る
      オペ室へストレッチャーで行きしわれ 手術台より記憶失ふ
      血管の中でも太き動脈を 二本辿りてオペ開始する


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 病室へ戻ったのは恐らく午後の3時過ぎだったはず。まだ意識は朦朧として良い気分。まるで静かな海に浮かぶ小舟のようだ。妻が来ていて言葉を交わす。無事手術は成功したようで、彼女もホッとした様子。タブレットで横たわる私の姿を撮った。高松の娘と孫、そして東京の息子達にラインで送る由。その後妻は雨の中を帰って行った。点滴が増えて生理食塩水と抗生物質の2袋になっていた。夕方まで眠る。


      豊穣の海にたゆたふ小舟なり 術後の麻酔解けたる我は


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 18時、パラメディカルのお嬢さんが寝ている私に夕食を食べさせてくれた。24時間ぶりの食事は美味しい。メニューは小さなお握りが2個。沢庵、鳥肉のから揚げ、そしてポテトフライ。飲み込み難いため、ストローでお茶を吸いながらの食事。以前は看護師の仕事だったが、今はパラメディカルのお嬢さんがかなり増えている。そのお嬢さんが天使に見える。いや天使そのものだ。少なくとも寝たきりの私にとっては。


      寝ながらに夕食を摂る傍にゐて 医療介助の女性優しき
      看護師と変わらぬほどに働きし りりしき女性パラメディカルの


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 19時。執刀医のO先生が病室に現れた。やはり手術は6時間ほどかかり、その後もう1人の手術もした模様。顔色が青い。相当疲れているようだ。私の不整脈の病巣はかなり深い位置に5つあったようだ。そのうちの2つは派生的なものだった由。寝ながらお礼を言う。先生は安心したように頷き、退室して行った。ありがとうね寡黙なるO先生。

 それにしても5つの病巣があったとは驚きだ。これまで2回の手術で既に2つの病巣を焼き尽くしたはず。それに昨年の9月にも電気ショックで1個退治したのも合わせると、合計で8つも不整脈の「巣」があった計算になる。道理で苦しかったわけだ。種類の違う不整脈が次々に現れ、それが発作を起こし私を苦しめたのだ。不整脈恐るべし。決して侮ってはならない。


      合計で八つの深き病巣よ わが不整脈死滅したるか 


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 実はこれからが苦しいのだ。麻酔が効いているうちは眠っていれば良いが、傷口を守るため寝返りが出来ないのだ。それに腕には点滴の管が付いていて不自由。おまけにベッドが柔らかくて、ますます腰が痛くなる。この苦しみとの戦いが一番の敵なのだ。

 夜間の看護師がベテランの人に代わった。以前の入院時にもお世話になった方。「もうここへ来ちゃいけないと言ったんだけどねえ」。彼女は朗らかに笑い、夜中に「寝返り板」を添えてくれた。これで体を少しだけ右側に傾けることが出来る。それだけでも幾分楽なのだ。入院第2日目の夜も更けた。だが、きっとナースステーションではスタッフが患者を見守っているはずだ。安心して眠りに落ちる。<続く>


      「もう二度と来ちゃいけない」と言はれたる ナースと三度病室で逢ふ
      人声は止みても響く電子音 十階病棟夜は更け行く





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Last updated  2015.12.15 05:36:25
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