マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2017.12.19
XML
テーマ: 短歌(1696)
カテゴリ: 短歌
<三十一文字の文学>



 その日、歩いたのは近所の歯科医までだった。もう少し歩こうか。そう思って午後から散歩へ出かけた。折角だから用事も済まそう。私はそんな風に考える男。A公園経由で銀行の支店へ行って記帳し、その後は郵便局へ行こう。だがその途中で、先日銀行でお金を下ろした際に記帳したことを思い出した。最近はこんなことが増えた。それならM公園へ寄って見よう。



 この公園へ行くのは久しぶり。夕暮れ近い公園に、ほとんど人影はなかった。土の道を反時計回りに一周。すると土手に白っぽい花。今頃咲くのはジュウガツザクラ(十月桜)のような冬桜しかないはず。果たして名札にも「十月桜」とあった。この春も確かこの場所で咲いていたが、まさかそれが十月桜だったとは。林の奥にあった古い樹は伐られたが、こんな若木が植えてあったのだ。



    造成地見おろす丘のいただきに十月桜の若木三本

 そこからさらに進んで林の中に入り、かつて十月桜があった辺りへ行ってみた。そしたら何と、そこにまるで幻のように桜が咲いていた。まさしくこれは十月桜。さっきの若木よりもさらに薄い色の花びら。背景の雑木林や曇り空がそう見せるのだろうか。伐られたと思ったのは、どうやら私の勘違い。この時期、寒々しい公園で咲いてる花は少なく、十月桜はとても貴重な存在だったのだ。ああ嬉しい。



     伐られしと思い込みたる三神峯の十月桜冬空に立つ



     神宿る三神峯の丘その奥に十月桜密やかに咲く



     空の色と見紛う桜咲きいたり師走なかばの三神峯の丘



     冬木立葉を落としたる樹々の間に十月桜立ち尽くすごと



     人影の絶えたる岡の夕まぐれ血の気失せたる桜咲きたり



     薄命の女のように佇みし花びら淡き十月桜

 この日は他に1首。  冬の夜ハウステンボス明々と老女の胸に灯りを点す





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.12.19 00:00:26
コメント(12) | コメントを書く
[短歌] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: