マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2018.10.14
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カテゴリ: 文化論
~テレビと映画に観る日本の郷愁~



 何気なくTVを観たら、小津作品をやっていた。松竹の『お茶漬けの味』で昭和30年頃の制作のようだ。夫婦のちょっとした日常を描き、佐分利信が夫役、その妻を木暮実千代が演じていた。もちろんカラーではなくモノクロ。それもやけに暗い画面だ。暗いのはきっとその頃の時代も反映していたのだろうが、テンポもやけにスローモー。現代人ならきっと直ぐに飽きてしまうだろう。



 翌日もたまたま小津作品を見た。今度は池部良と淡島千景の夫婦の物語。どうでも良い痴話げんかが延々と続く。映画の中で本人を観たのは初めてかも。そして若い女優の顔にビックリ。ひょっとして岸恵子じゃないかと思ったらやっぱりそう。淡島千景もきれいだった。昭和30年当時私は小学6年生。観ていた映画は東映の時代劇か日活の裕次郎で、松竹は大人の映画なのか、全く知らない世界だった。



 小津安二郎は明治36年(1903年)東京生まれ。若くして映画に憧れ、戦前に松竹入社。助監督から監督を務め、一時戦地にも赴いた。復員後も映画を撮り続け、自ら脚本も書いた由。昭和30年当時は、日本映画監督協会理事長の要職にあったようだ。気に入った俳優や女優を使い続け、昭和38年(1963年)60歳で逝去。生涯独身を貫き、大勢の女優が監督の死を悲しんだ由。



 3日目は『東京暮色」。父親が笠智衆(りゅう・ちしゅう)で、長女が原節子(左)、次女が有馬稲子。次女は最初、蘆川いづみと間違えた。男と女の感性の違いは、時代が変わっても同じようだ。貧しくて汚かったが、今日の繁栄はあの時代を乗り越えてこそのもの。強い郷愁を感じるのは、きっと私も同じ時を過ごしたからだろう。昭和も遠くなった。そして来年は平成も消える。



 一方YouTubeで観たのがこの番組。ビックリするほど面白くて、結局5回分とも順次観てしまった。こちらは2001年の「NHKスペシャル」で取り上げたテーマだった由。その頃は現役で忙しく、観る暇がなかった。もし当時観ていれば最新の学説を知って認識を新たにしていたはず。それほど自分にとっては斬新でショックな内容。17年遅れでも観られて良かったと言うべきだろう。

   遮光器型土偶   

 シリーズの構成は以下の通り。第1集:マンモスハンター シベリアからの旅立ち 第2集:巨大噴火に消えた黒潮の民 第3集:海が育てた森の王国 第4集:イネ 知られざる1万年の旅 第5集:そして日本人が生まれた。考古学ファン、いやいや日本人なら誰でも関心のあるテーマと内容。一体日本人はどこからやって来、日本列島に定着したのかの謎を解く手掛かりになるからだ。



 「旧石器時代」の「日本」は、北は樺太経由で、南は東シナ海経由で大陸と繋がり、決して孤立してなかった。だから象やトラなどの動物を追って、人間も日本へとやって来た。ただし火山国の日本は酸性の火山灰に覆われて、当時の人骨の大部分は融けてしまう。かつて発掘されたと言う「明石原人」や「葛生原人」は失われ、「偽石器事件」で日本の旧石器時代研究が50年も遅れてしまった。

     古代米  

 このシリーズで日本人のルーツ、列島での米作りは縄文時代から始まっていたこと、三内丸山遺跡が滅亡した理由、近隣諸国との文化の共通性や独自性などたくさんの新事実を知った。こちらは遥か遠い祖先たちの暮しだが、やはりどこかに懐かしさを覚える。恐らくは自分の体に流れている「日本人の血」が騒ぐのだろう。そして生きている限り、このテーマを追い続けるのではないかと思うのだ。





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Last updated  2018.10.14 00:00:19
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