マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2022.03.09
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~泥沼化する戦争の虚像と実像~

          ロシア軍の原発攻撃に抗議する市民たち   

 このシリーズを書き始めてから10回目に達した。その中で4回の妨害があった。本シリーズと無関係の「詐欺メール」も1件。何とか知恵を絞って妨害や犯罪の手から逃れている。水や食料、電気のない中で命懸けで戦っているウクライナの人々に比べたら小さな出来事だ。

 ウクライナ戦線の拡大

 左側は2月25日の戦況で、右は3月7日現在の戦況。ロシア軍の侵攻が確実に進んでいるのが一目瞭然だ。ウクライナ国境にいたロシア軍は100%ウクライナに入ったようだ。東部からクリミア半島にかけての海岸部は赤の帯に連なった。首都キエフへの総攻撃も近いと噂されている。これまで3回持たれた「停戦会議」は全て物別れに終わった。ロシアの要求は無条件でウクライナを引き渡すことに等しい。



 ロシアは「人道回廊」を6か所設定したと言うが、砲撃がある中での避難は無理とウクライナは主張。それに避難先はロシアかベラルーシと言うのだから聞いて呆れる。かつてシリアでもロシアは「人道回廊」を作ったが、ただ難民を砂漠に放り出しただけ。彼らが去った後、都市は更地になるほどの猛爆を受けた。ウクライナの抵抗に手を焼いたロシアは口だけの「人道」を示しながら村や町を破壊した。



 左側は今回ロシアが攻撃した「物理科学研究所」。ここには研究用の小型炉がある。構内の建物2か所を破壊したようだ。右はウクライナ国内の原発と。原子力関係の研究所。ロシアが執拗に攻撃する理由は「ウクライナは密かに核兵器を製造している」とのプーチンの主張を「でっち上げるため」。原発が停止すれば発電を原発に頼るウクライナは重要なライフラインを失う。さらにプーチンは「あり得ない原発攻撃すら辞さない」と、ウクライナや欧米に対して「恐怖心」を植え付けることだ。「核兵器も使うぞ」と脅すプーチンはまさに狂人。フランス、トルコ、中国の仲介など目にもかけない。



 両国の兵力の差は一目瞭然だ。だがこれだけでウクライナが不利とは言えないと識者。士気の高さが違う。ロシアは前線まで軍の意向が伝わっていない。「お前たちがウクライナに向かえば、国民から歓迎される」と言われて来た兵士たち。ところが実態は地獄。いくら攻撃してウクライナ兵はひるまず、飢えているはずの市民たちはロシア兵が差し出す食料を受け取らない。2,3日で陥落する予定の首都キエフが2週間近く経ってもまだ落ちない。ここ20年の間に、ウクライナはゲリラ戦法を学んだのだ。



 激しい戦火の中でウクライナの国土防衛隊員同士が結婚式を挙げた。祖国の危機を救うために、命を投げ出す覚悟だ。暗いシェルターや地下鉄の駅で、苦しみながら出産する妊婦たち。食料や医療品すら満足にない戦火の最中にだ。「ウクライナはロシアの一部になるべきだ」。そんなプーチンの勝手な論理が、長年虐げられて来たウクライナ国民の胸に、果たして響くだろうか。



 家族で国外に脱出したウクライナ人もいれば、たった一人で逃げて来た少年もいる。隣国の人たちはそんなウクライナ難民に、出来る限りの親切を尽くす。脱出者の総計は確か126万人を超えたはずだが、最大で400万人の難民が誕生する可能性があると言う。

  ゼレンスキー大統領

 驚いたことには、米英政府は昨年からもしもの場合に備えて、ゼレンスキー大統領の亡命政権への準備もしていた由。これまで3度ゼレンスキー大統領は暗殺されかかった。それでも彼はなおキエフに留まると言う。現在彼の身辺を警護してるのはSAS(英国陸軍特殊空挺隊)のようだ。また、ロシアが放った暗殺団400名のうち200名はロシア国内のプーチン政権反対派に殺されたと言われる。



 この度アメリカのクレジット会社がロシア国内でのサービス停止に踏み切った。ビザカード、マスターカード、アメリカンエキスプレスカードだ。日本のJCBもロシア国内でのサービス停止を発表。経済制裁と銀行決済システムからの排斥によるルーブル暴落とインフレ、外国との通商や貿易の激減で、国民総生産も低下に向かうだろう。プーチン政権への批判はますます強くなりそうだ。



 プーチンは世界柔道連盟名誉会長の職を解かれた。EUの女性委員長は言う。「この戦争は歴史を変え、今後の世界を変える。中国も世界のロシアへの制裁の厳しさを認識したことだろう。日本の軍事評論家は言う。ロシア軍は準備不足だった。当初キエフは2,3日で陥落すると見ていたが、ウクライナは予想外に善戦している。

 プーチンは当初東部2州の独立を擁護するための戦争と言っていたが、ゴールポストを動かしてウクライナ全土に戦線を拡大し、現在も完全な制空権を得ていない。焦ったプーチンは原発への攻撃や核兵器使用の可能性で脅しているが、軍部内では亀裂が出始めたようだ。また国内の経済界首脳の反発が強い。



 欧米諸国からの武器供与が明らかになり、今後はポーランド経由でウクライナに持ち込まれることが予想されるため、西部の都市リビウに移転した欧米の大使館は国外に脱出。日本大使館も出国の予定。ロシア軍によるキエフ包囲作戦など戦線は拡大し、兵力が劣るウクライナ軍は、ゲリラ戦法を取ることになろう。それにしても食料や水の確保がより一層心配される。



バイデン大統領は昨年から習近平に対し、ロシア軍のウクライナ侵攻の可能性について情報提供していたが、彼は全く取り合わなかった。プーチンが仕掛けた戦争でロシアが経済制裁を受けたのを観、今頃になって「仲介」などと言い出した。だが利害が一致している両者は、今後難しい立ち位置に立つことが予想される。この戦争は長引きそうだ。そしてプーチンの悪名は歴史に残るだろう。<続く>





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Last updated  2022.03.09 00:00:11
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