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2019/10/24
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カテゴリ: アート
なんやね!この「鐘」の字。


昔から気になっていることがあります。それは友人から中国土産にもらった拓本。
有名な蘇州の寒山寺の七言絶句「楓橋夜泊」です。
ところが、立派な文字が並ぶ中、1か所だけくにゅくにゅっとしたミミズのような
文字が混じってるのに気が付きました。「鐘」という字なのですが、何ともやる気がない!



うーん、中国の土産物だからなあ。拓本取るのに失敗して、印刷屋のオヤジが
よっしゃ、いてまえ!とちょこちょこ書き込んで売ってしまった。どうもそんな
シロモノのようです。髙い金払って掛け軸にまで仕立ててしまって失敗だった。
とがっくりしていました。

あれから40年、床の間の掛け軸を眺めながら何気にネットで確認してみたら、
なんと本家の​ 寒山寺 ​の石碑までもが、くにゅくにゅではありませんか。

もともとこの石碑は、明代に文徴明の書で彫られていたが、損耗して、清の時代に
兪樾(ゆえつ)が彫り直したとあるので、この時からこのままなんでしょうね。


内容や寒山寺のいわれ、作者の張継などについての疑問ばかり。

ま、これはこれでおもしろかった。

詩は抒情的で静寂感に満ちて、私のお気に入りですが、
月が落ちたら何も見えないやん、とか、夜中に鳥が鳴いたり鐘をついたりしないよ、とか
いろいろ疑問反論があり、今なお決着はついていない。
そして、作者とされる張継はこれだけの名詩を残しながら他の詩は何も残ってない。
寒山寺とはどこにでもある寺のことで、蘇州の寒山寺とは限らない、どうも後世で
同名のこの寺にこじつけたらしい。などなど。


そんなあれこれはともかく、この鐘のくにゅくにゅ文字問題については誰も取り上げて
ないので、あえてこの場で提示してみました。

しかし待てよ、ここに至ってちょっと思いつきました。
書については圧倒的な歴史と伝統のある中国のことです。生半可な理由でこんな
変な書体を挿入するはずがない。

石碑は明代に文徴明の書で彫られてます。それが耗激しく、3~500年後の清代末期に
考証学者の兪樾(ゆえつ)が翻刻したとあります。翻刻とは文字や内容を変換するという
意味ですが、それならば兪樾の書体にて自由に書けばいい。ところがこんな文字を使って
いるところを見ると、兪樾は文徴明のオリジナル書体で刻印しようとしたのではないので、
しょうか?

ところが鐘の字がひどく損傷し、オリジナルの書体が判別できなかったので、
兪樾は勝手な書体を使わず、あえてくにゅくにゅに崩して書きとどめた。
そのためか、鐘以外にも何か所か、変な部分があります。
この事を言い換えれば、全体の文字はオリジナルの文徴明の書を写しているわけです。

まあ、門外漢の私としてはとりあえずそう考えておきましょう。
真実をご存知の方がおられましたら、どうかご教授下さい。

*ちなみに、参考までに文徴明のオリジナルの書と比較してみました。
 寒、天、江、半などの文字、なんとなく似てませんか?



(翻刻した兪樾は篆書が多い人だったので、隷書のサンプルは見つかりませんでした)


(追伸:素人の暴論なので専門の方々に不快な思いをさせましたらお許し下さい)











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最終更新日  2022/02/16 10:32:40 PM
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