生きた証 南風一
三途の川を渡って閻魔様から訊ねられたとき
自分の一生の証として
何を説明すればいいだろう?
毎日毎日判子で押したような
当たり前の日常を数十年繰り返して
終えた一生ですなんて
人がある処に住む理由は
職場が近くにあるとか
親が住んでいるとか
子どもたちが学校に通っているとか
他愛ない事情であり
特にそれ以上でも以下でもない
子どもが小さくて家族円満に暮らしていたのに
子どもたちが大学や専門学校へ通うというので
家を離れてからは暫く夫婦で暮らしていたものの
やがて妻が何処かへ行き
ご主人の方も職場を定年退職して
生まれ故郷に帰ってしまった
そんな家族が暮らしていた証は
さて何処に消えたのかな?
住んだ家族が皆いなくなったのだから
場所には証はない
居なくなった家族の夫々の心の中にある
ということかな
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