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10日ほど前の新聞に日野自動車によるモンゴルトラック市場への参入のことが書かれていました。日系企業の進出ぶりが遅いモンゴルですが、ようやくトラックも進出することとなりました。モンゴルでのパートナー企業は、ヒシゲアルビンという会社です。ここの幹部とは私も何度もお目にかかっており、本ブログでも7年前に訪問した時のことが少し書かれています。当時は日本企業の現地パートナー企業探しの関係で訪れたので、ブログ中には会社名は敢えて書かれていませんが、「熱烈歓迎」をうけた記憶は鮮明に覚えています。2012年2月7日付け「私も初体験の歓迎ぶり」(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201202070000/)をご参照ください。詳細は現地で聞いているわけではないので私の推測も含みますが、ここは日野自動車との直取引をするディーラーではなく、総合商社が総代理店を務める傘下でのモンゴルのディーラーであると思われます。トヨタの場合を例にとると、モンゴルにはトヨタの公認ディーラーは3社ありますが、どこもトヨタとは直接の取引をしておらず、すべては伊藤忠商事経由で決済しています。つまり、トヨタからするとモンゴル金業への信用供与ができるほどモンゴルのことも知らないし、リスクも取れないというわけです。債権管理はすべて伊藤忠に任せているのです。なので、トヨタのホームページを見て「トヨタ海外ディストリビューター一覧」を見ても、モンゴルのディーラーは記載されていません。ちなみに、カザフスタンやアフガニスタン、ブータン、カンボジアなどにはあります。それだけ日本の大手メーカーにとって、モンゴル企業への信用供与は難しいということなのでしょう。日野自動車はトヨタグループですから伊藤忠経由かととも思えますが、ヒシゲアルビンとは住友商事経由と見られます。住友商事はモンゴルでは建設機械のコマツのディーラーを運営しており、ヒシゲアルビン社はそのコマツ建機の有力な販売先でもあり、良好な関係がもたらされています。モンゴル企業にとっては、日欧米の有力メーカーの製品を扱いたいのは当然のことですが、他方ではこの「信用供与」の問題が必ず出てきます。今回日野自動車のディーラーになったヒシゲアルビン社も、8年前は欧州の数千万円もする建設機械を輸入するために、社長自ら飛んで現金前払いで購入していたほどでした。私が驚いて「え?社長自ら行って、現金前払い?」と聞くと「当たり前です。どこにモンゴルの会社を信用して売ってくれる企業がありますか?」と言われたとき、モンゴル企業経営の難しさを知りました。金利が高いモンゴルでの現金前払いは非常に辛い(船便は時間もかかる)ところがありますが、モンゴルでビジネスをやるからには「現金先行決済」を覚悟しないといけないということです。もちろん、実績と共に信用がついてくれば、ユーザンス(支払い猶予)が与えられる場合もあります。水面下では、三菱ふそうなども提携先と協議している可能性もありますが、なかなか契約・発表とはならないようです。自動車と同じで、モンゴルのトラック市場は圧倒的に中古車が多く、しかも乗用車と違って中国製のトラックが大量に輸入されています。(乗用車はほとんど入ってきていません)ですから、一番安いのが中国製中古トラック、次が韓国製中古トラック、そして中国製新車、日本製中古車・・・となるので、日本製新車トラックはかなり高いとみられてしまいます。但し、建設用、一般輸送用のトラックは「コスト重視」ですが、鉱山用のトラックとなると、「性能重視」になります。特にOTのような大規模鉱山となると、ちょっと故障したら大変な機会ロスになるだけに、価格より性能重視です。超大型トラックはコマツやキャタピラーが強いですが、日野も大型トラックで参入できる余地はあるでしょう。モンゴルにはまだまだ、グローバルに活動している日本企業が進出してない例はたくさんあります。是非とも進出企業が増えていってほしいものです。
2019.06.14
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これらの例をもとにモンゴルを考えてみます。北海道の人口密度は日本ではダントツに低く、1平方キロメートル当たり68人です。が、1.8人のモンゴルの40倍近くもあります。この差はかなり決定的とも言えます。こうしたわかりきった事実をい言うまでもなく、モンゴルでは旅客輸送で鉄道事業を成り立たせることは不可能なのです。単に収支という視点でいえば、ウランバートルの地下鉄を含めても、旅客輸送の新路線建設は採算は合いません。ではもう一つの、資源輸送用はどうか?これは可能性がありましたが、もう無理でしょう。なぜか?2008-2009年ごろにそんな議論があり、私もそういう議論に参加しました。が、当然ですが、長期的視野を持たないモンゴル政治家はそんな道は選びません。一つの議論として、TTやOTで算出した資源を日本や韓国に輸出するためにサインシャンド経由でチョイバルサンまで鉄道で運び、その後はロシア鉄道に載せナホトカまで運ぶという案がありました。私はこれを、既存の路線(ロシアと中国を結ぶ既存線)を南北線とし、この新線を東西線と呼んでします。チョイバルサンから東へいわゆる旧満州地域を横切って、中国の日本海側の港に運ぶというオプションもあります。もちろん、既存ルートともいえるサインシャンド乗り換えで南北線で天津まで運ぶというルートもあります。つまりこの東西線ができれば、ナホトカ、中国日本海側、天津と3つのルートができ、政治的リスクを回避しながら輸送コストを下げることができるという案でした。同じ中国内でも、地方政府が強い中国では、路線間で価格競争は十分に可能という話もでていました。ですが、これらの案をほぼ不可能にしたのがTTと中国を直通で結ぶ鉄道建設です。私はこれを盲腸線と呼びました。この盲腸線ができてしまうと、どの路線案も経済性で負けてしまうことになり、南ゴビで産出される資源のほとんどが中国へ向かっていくことになってしまいます。この盲腸線建設にあたっては、当初はMCS主導で、その後政府主導に変わったり、当初はモンゴル国内線路との結合・ネットワーク化を考え広軌道との案でしたが、結局は中国と同じ狭軌道になったという経緯があります。狭軌道にするということは、モンゴル国内の鉄道とのネットワークは考えず、ただひたすら中国に資源を運ぶだけの専用線になることを意味します。そしてこれができることで、東西線の収益予測はほとんど不可能となり、誰もこの建設に投資をしようという人がいなくなることを意味します。モンゴル政府はこの「絶対に利益が出ない東西線」への投資を日本に呼び掛けています。一番おいしいところは中国へ持っていき、赤字にしかならない案件だけを日本向けに提案するという、まことに失礼な話を持ち掛けているのです。誰が考えても(現に、FSやってもだめだったのです)無理な案件に安倍さんが乗りそうになっていることには、疑問が湧きます。仮に作ったところで、JR北海道を見るまでもなく、維持管理費用も出せないようなお荷物路線になってしまうことでしょう。もし安倍さんがこの案に乗った時は「別の目的を考えている」と考えてもいいと思います。盲腸線を認めなければ、東西線維持もやりようがあったとは思いますが、盲腸線がほぼできてしまった今となっては無理でしょう。というわけで、残念ながらモンゴル全国に広がる鉄道網の夢は、ここ当分、まあ2-30年は実現できなんじゃないでしょうか?その後、モンゴル国が自力で税収を使って建設するならあり得ます。北海道新幹線だって、赤字になるとわかっていても作っているのですから、不可能ではありません。ただ、旅客や貨物を載せて経済的に見合う路線は、残念ながらモンゴルではできそうにないのではないかと思っています。(完)
2017.01.21
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モンゴルに初めて行ったときに、「こんな広大な国なのに鉄道路線が1本しかないのか!」と少し驚いた覚えがあります。日本はもちろんのこと、ヨーロッパでも中国でも鉄道網があるのが普通なのではないかと思っていたということです。その後発展を続けるモンゴルですが、将来的にはモンゴルに鉄道網ができるのかと考えますと、それは相当難しいのではないかと思うのです。なぜか?昨年はJR九州の上場がありましたが、対照的にJR北海道の苦境ぶりが報道された年でもありました。「全路線の半数が廃線の危機にある」との報道もありました。こうした報道は数年前から頻繁に起こる事故や災害復興の困難さとして、JR北海道の経営難を伝えていました。ですがJR北海道の苦難は最近のものではなく、その発足時からずっと続いていることなのです。JR北海道は国鉄民営化の時に発足しました。九州、四国と合わせて離島3社とも呼ばれていたものです。ですが、発足当時から北海道は3島の中でも別格に経営難が見込まれていました。一つは、黒字路線がないということです。最初から前線が赤字でした。その赤字のレベルは、JR九州のそれをはるかに上回るレベルでした。小樽と札幌を結ぶ路線が最も有望な路線とされていましたが、それでも「黒字化の見込みはほぼできない」という深刻さでした。最近のニュースで「札幌圏の黒字化を目指す」という記事がありました。それは、様々な施策を投入して札幌大都市圏だけでも黒字化を目指すべき、というわけのわからない評論家が書いたものでした。それを読んで、「よくまあ、こんな記事を民営化後30年も経ったJR北海道に提案できるな。」と思われるほどお粗末なものでした。要するに、札幌圏の黒字化はJR発足以来ずっと最大の目標の一つとしてやってきたことなのです。でも、できないのです。コスト構造、クルマ社会の浸透など多くの問題があるのです。200万人にも迫ろうかという札幌市を軸にしてもそれだけ難しいのです。もう一つが、維持管理費です。これは北海道で災害があるたびに報道され、場合によっては政府が援助したりすることもありましたが、基本的には全部自前の要員、機械、コストで修繕します。「当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、競合する高速バスの場合は、高速道路に雪が降ろうと災害が起きようと橋が壊れようと、それを除雪したり修繕したりするのは道路会社であって、バス会社は全く負担しません。通常の高速料金のみです。これらの大きなハンディがあり、健全な経営は非常に難しいということはわかっていたので、持参金的な運用基金を持たせて分社したのです。その持参金はJR北海道が一番大きな金額であったということからも、その時点で最も困難な将来が待っていることは、役人も政治家もわかっていたということです。ですが、長引く低金利で持参金の運用益もほとんど期待できずに現在の苦境を迎えているという経緯があります。ではそんな経営が厳しいと言われる北海道になぜあのような鉄道網ができたのか?それは二つの要因があると思います。一つは、石炭や木材などの資材運搬のためです。開設当時は、運搬料との見合いで収支が問題なかった路線も、炭鉱などの閉山などでそのすべてが大赤字路線になってしまったということです。もう一つは、明治以来の北海道開拓のためです。開拓のための公共事業ですので、収支よりは路線を作ることに意味があったのでしょう。つまり収支計算は二の次ということです。これらの結果、その全路線が赤字に陥ってしまったのです。一部に、最近の道内での高速道路網の充実などが理由だとする声もありますが、そんなことには関係なく30年前の民営化の時からすでに全路線赤字だったのです。これらの例をもとにモンゴルを考えてみます。(続く)
2017.01.19
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13日月曜日に、無事モンゴルから帰ってきました。今回は、お天気(というか気温)に恵まれました。聞けば、私たちが訪蒙する前の週はウランバートルはかなり寒く、マイナス41度までになったとのことでした。が、幸い私たちの滞在した週は、せいぜい25度程度で、昼間には10度台だったことも多かったくらいでした。この時期としては、ラッキーでしょう。また駆け足で廻ったモンゴル企業でしたが、お目にかかった経営者の方々は皆いい人ばかりで、楽しかったし、私も勉強になりました。「もうはまだなり、まだはもうなり」などと言いますが、既に多くの日本以外の外資系企業が進出しているモンゴルですが、日本企業にとっての参入機会は「もう遅い」よいうよりは「まだ間に合う」と感じました。さすがに成田に着くと、「暑く感じられ」ました。冬用の服装と言っても、モンゴル用と東京用は当り前ですが、全然違います。いつものよに、都心に来ると「ああ、日本は先進国なんだなぁー」と感心します。いいことばかりの日本ですが、やはりダイナミズムというか、完成されすぎた面白みのなさというのがあるような気もしました。贅沢な悩みなんでしょうけど。次回のモンゴル行きはいつになるかわかりませんけど、今度はもう少し時間的余裕を持って、プライベートな時間を持てるようにしたいというのが、今回の率直な感想です。同行した日本企業の方々が喜んで下さったのが何よりです。
2012.02.13
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今日は土曜日で、モンゴルでも基本的には企業はお休みです。ですが、それでも何人かの人たちと会いました。今回は、ビジネスパーソンと会うのがほとんどで、一部の政府関係者を除けば政治家と会うことはありませんでした。ですが、今日は元政治家で、現在は民間の仕事をしている方に会うことになりました。実は、別のアポがあったのですが、先方の事情で変更になり、昨日の夜に急きょアポイントメントをとったのです。会いに行く前に、会う予定の人について確認すると「え?あの有名な会社の前社長?じゃあ、会ったことあるかも」と思いました。ですが、いつ、どこで会ったのかは覚えてないのです。でも、確かに会った気がしました。で、会ってみると、やはり確かにその方でした。経歴などを聞いて「ああ、やっぱり偉い人だったんだ」とは思いましたが、やはりどこで会ったか具体的には思い出せませんでした。ちょっと情けないです。先方は一応私を覚えていてくれた「風」でした。オフィスの場所は、モンゴル版インターコンチネンタル横浜ビル。正式にはスカイビルというようですが、建設後に床が傾いているなどの噂があったビルです。外観から想像できるように、中はなんか狭かったです。エレベーターホールが、「ご立派ビル」のそれではなく、中小ペンシルビルのようでした。ですが、上層階に上がって見た眺めはかなり素晴らしかったです。お隣、セントラルタワーの17階からも、スフバートル広場やチンギスハーン像は良く見えることは見えますが、やや斜めの角度です。それに対し、スカイビルからは「ドーン」と真正面からなので、かなり迫力があり、初めて見る角度でした。話がはずむと、お休みのはずの他の役員たちもやってきました。「面白い日本人が来てるぞ」と連絡したらしいです。結局、先方はCEO以下役員4人となりました。更に「ウランバートル市の副市長を紹介してもよいが、今日はお休みだから週明け以降になる」と言われました。私たちが週明けでは無理だと知ると、また電話をかけます。そして「今休みで出かけているところらしいけど、これからこっちに来るそうだ」と言いました。そして登場したのがG副市長です。そのG副市長を見て、モンゴル人の友人のTさんが驚いていました。Tさんは、かなり偉い政治家も知っている人ですが、その中でもこのGさんは特別だそうです。多分、モンゴル国民のほとんどは知っている有名政治家で、民主化の時の英雄です。政治家のランクで言えば「現職の大統領クラス」だそうです!しかも、汚職話の多い政治家らと違い、清廉で頭が良いことでも有名なんだそうです。外出先から来てくれたということで、名刺を持っていないため、わざわざコピーを取って私たちに渡してくれました。雰囲気は、確かに(政治的に)戦い抜いてきた人だろうとないう迫力がありました。そして今後のモンゴルやウランバートルの課題についていろいろ話してくれました。長期的なウランバートルの発展を考えると、水問題や電力問題はやはり重要な課題となるということでした。モンゴルの場合、確定していた予定がキャンセルになったり、延期になることはよくあることですが、逆に、頼むルートさえ間違わなければ、30分前のアポ申し込みでも実現するというフレキシビリティもありますし、そこがモンゴルの良いところでもあります。事前アポ主義の日本とはかなり違う文化ではあります。
2012.02.11
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日本時間ではもう11日ですが、モンゴルはまだ10日です。日本企業や日本人の存在か何が薄くなったと書きましたが、このホテルにいてもそれは感じます。モンゴルに住む前、あるいは日本に帰った後もですが、このホテルは良く利用しました。古いし、高級感など全くないのですが、立地が良いのと比較的リーズナブルな値段なので、使っています。そしてこのホテルでも感じました。以前であれば、日本人は結構見かけましたし、日本語もここかしこで聞こえました。今は観光シーズンオフなので、いるのはほとんどがビジネス目的だと考えていいと思います。今朝の朝食会場に行って改めて周りを見ると、なんと日本人はゼロです。20数名いる客全員が、いわゆる欧米人の顔をしています。もちろん、それがロシア人なのかオーストラリア人なのかカナダ人なのかドイツ人なのかはわかりませんけど。(欧米人ビジネスパーソンではこの4カ国が多そう)今までこんな経験あっただろうかと考えました。もう10年以上も前からモンゴルには来ていますが、おそらくこんなことはなかったと思います。逆に、この厳寒期なのに、結構客は多いなと思いました。やはりモンゴル相手のビジネスが活況なのは間違いないと思います。もう一つ気づいたのは、女性客が多いことです。どう見ても観光客ではありません。真剣にパソコン使いながら議論している女性2人もいました。ちょこっと見えたのですが、やはり鉱山かその関連ビジネスのようです。また1人で食事している女性もいました。こういう光景は、欧米や香港などでは珍しくはありませんが、モンゴルでは見たことがありませんでした。単なる鉱山開発だけでなく。いろんな業種の外国人ビジネスパーソンが増えているとも感じました。お昼にモンゴル初の回転すし屋さんに行きました。ここはケンピンスキーホテルの日本料理屋さん「さくら」の支店とも言えます。中に入ると、中央にどんとシェフのSさんがお寿司を握っていました。日本人からすると、回転すしイコール安い寿司と考えてしまいそうですが、ここは高級感ある寿司屋です。高級店のようなカウンターもあり、仲間と一緒に座れるテーブル席もあり、良く設計されているなと思いました。驚いたのは、お客さんの数とその人たちです。席に着いた後、すぐに満席になりました。しかも「日本人はいるかな?」と見回しても、日本人はゼロです。私の見る限りでは8割くらいがモンゴル人でした。シェフのSさんに聞いたら「お客さんの7割がモンゴル人、2割が欧米人で日本人は1割くらい」だそうです。日本人の割合の少なさが、逆にお寿司がこのモンゴルにさえも定着しつつあることを感じました。また回転すしにして、お寿司に馴染みのないモンゴル人も実際に見ながら選べるので、普通の注文式よりもモンゴル人にはわかりやすいなと思いました。もともとSさんがいた本家「さくら」には、後輩の日本人シェフが来たんだそうです。「さくら」自体も、もう日本人に支えられているというよりは、モンゴル人や欧米人のお客さんの方が多いのですから、ある意味、日本料理が本格的にモンゴルに定着してきたのかなと思います。昨日のランチに行った菓子シェフのMさんがやっている「さくらベーカリー」も、空くのを待つ人がいるほどの人気店です。ここも、私たちが行った時は日本人客がゼロでした。ここでももう日本料理がモンゴルで市民権を得たのがわかりましたし、最近急に日本料理屋が増えてきたのもうなずけます。今日お目にかかった在蒙4年になるビジネスマンのKaさんが日本企業の進出に関して「この国は、細かいことを気にし過ぎて時間かけるのか、とにかく波に乗ってやろう、と考えるかで、結果は随分違うでしょう」と言ってたのが印象的でした。もちろんリスクはどこの国にも存在するので、それへの意識は大切ですが、いつまでも波に乗り切れないのなら、やはりこの国では難しいだろうと言わんとしているんだろうと感じました。また私が日本に帰国したのとほぼ同じ時期にこちらへ来たビジネスマンのKoさんは、「骨を埋めろと言われたらどうするの?」との質問に「やれと言われたら、そうするつもりです」と迷いのない答えを言いました。残念ながら、大きな日本企業の進出は今もほとんど見られませんが、SさんやMさんもそうですし、ビジネスマンのKaさん、Koさんらを含め他に会った日本人たちは皆生き生きとして元気なのが印象的でした。国が元気だと、そこで働いている日本人も活気が出てくるのでしょう。そういう人たちをもっと増やせれば嬉しいです。
2012.02.11
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昨日、寝る前にブログ書いたはずなのですが、なぜか掲載されてません。もしかしてネットがおかしいのでしょうか?それとも私の人為的ミスかな?(ボケ?)ちなみに、携帯は相変わらずメールの受送信はできません。もし私に携帯メールを下さった方がおられましたら、見ることができない状況であることをご了承ください。毎日、朝出発して夜遅くに戻る状態なので、なんとなく気持ちがバタバタしています。昨晩も夕食時に友人のBさんと会った時に、頼まれていた「のど飴」を渡すのを忘れていしまいました。ウランバートルでは、高度成長中を実感します。ビルなどの建設は確かにラッシュです。街中で見かけますし、20階以上も結構できてきました。また、建設のスピードが速いです。モンゴルは冬の間は建設できないというハンディがあるのですが、それでも半年前、1年前には全く見えなかった高層ビルが「突然」現れて驚きました。広場前の17階にある「ご立派レストラン」も満席で、予約取るのも大変なようです。昨年のGDPは速報値で17%の成長です。そして今後数年間は、15~20%成長が続くとの見通しは、モンゴル政府だけでなく、世銀などの国際機関の見通しも高成長を示しています。Bさんの話では、平均で15%成長と言っても、遊牧なども含んだ数字なので、一般の産業は20%程度が平均となるので、その程度の成長を成し遂げていない経営者は落第とは言いませんが、努力の余地があるそうです。要するに、戦略的にきちっとやっている会社の成長は30%くらいは当たり前だそうです。10社近く回ってみても、確かにそんなような数字は実際に耳にします。前年比プラス3%を「達成」などと言っている日本企業からすれば夢のような話です。しかも、供給よりも需要の方が大きい分野が多いので、利益率も日本では考えられないレベルを維持しています。一部には「バブル?」という声も当然出てきます。ですが、インフラ整備など「まだやらないといけないもの」がたくさんあるのは事実です。日本の1990年頃のように、生活必需品ではないブランド物が飛ぶように売れるとか、既に住宅戸数は十分にあるのに投機用のマンションが売れ続けるという現象とは違う気もします。ただ、世界各地のバブルを既に知っているので、そういう冷静な声が出ているのはいいことだと思います。日本での1990年頃は「日本は欧米とは違うんです」「日本は国土が狭いから土地は永遠に上がるのです」みたいな、自国特殊論は出ていません。ですが、急成長新興国にある「格差の増大」が出ているのも確かでしょう。もう、ビリオンダラー(数千億円?)を稼ぐ人も現れたそうです。その反面、経済成長の恩恵から遠く、むしろ物価上昇に苦しめられている「普通の人々」が多いのは間違いありません。さすがに「所得の再配分」を真剣に考えないと行けな時期に来ていると思います。日本企業がこの成長の恩恵にあずかるには、まずここに「存在」しないことには始まらないでしょう。今も変わらず「大企業にとっては小さすぎる市場」「中堅企業にとってはリスクが大きい市場」と烙印を押されているので、なかなかやってはきません。10年前には外国企業としてのポテンシャルは先頭を走っていたと思いますが、決断力のある中国、韓国企業に抜かれてしまいました。5年前には噂にもなっていなかったドイツ勢もしっかりした足取りで、日本勢を抜き去っています。カナダ、オーストラリア勢は、本質を見極めているので、リスクなど恐れず大股で入ってきています。今の日本はもちろん、周回遅れです。が、この高度成長の果実を得るには、まだ間に合うと思います。嬉しいことにまだ期待してくれている人たちもいます。最悪は、この高成長の数字が確定して、それを見て「お、モンゴルはすごいな」と検討を始めて、2~3年後にやっと「決断」して来るような事態です。本社の取締役会用のデータが全て「確定」し、「証明」された頃には、むしろ参入しない方が安全だと思います。今日もこれから出発です。
2012.02.10
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朝出て行ってからは、夜遅くまでずっとホテルに戻らない状態が続いてます。こっちへ来たら、久しぶりにモンゴルから現地報告をしようと思っていましたが、なかなかそれもできません。また、携帯メールが突然できなくなって困惑してます。ドコモの携帯ですが、普通は通話もメールもできるのですが、なぜか携帯が使えません。携帯には「メールが受信されている」ことが表示されているにもかかわらず、それを見ることができないのです。「パケット通信は利用できません」なんて表示は初めてです。火曜、水曜で7件の企業や政府関係者と会いました。皆、とてもよく迎えてくださったのは嬉しいです。が、悲しい共通点もあります。それは日本人や日本企業に対するイメージです。「私は20年前から日本企業と会ってきたが、彼らはまだ調査研究している」「私の時間もあなたたちの時間も無駄にしないこと祈ります」「日本人はいつも検討中なのは有名です」などなど。とにかく日本人は、調査ばかりして、何の行動もしないということは有名になっています。5年前にはほとんど名前も聞くことがなかったドイツは、今はものすごく食い込んでいます。鉱山開発そのものには入りませんが、重機械の販売やサービス提供などで大きな成果を上げています。10年前は、だれもが日本企業に期待し、日本側もたくさんの企業が「調査」に来たのですが、今や、韓国、中国はもちろん、ロシア、アメリカ、オーストラリア、ドイツなどと比べても、存在感は低下するばかりです。ある政府関係者が言ってました。ドイツ人の組織力、統率力はすごい。ドイツから政府関係者が別々に3人来たことがあるそうです。その誰もが、全く同じことを言うのだそうです。「モンゴルにこれだけはお願いしたい」と。あまりに同じことを言うので、辟易するほどだそうです。大統領と謁見した時も、全く同じことを言うそうです。だんだんこちら側は「わかったわかった、それをやればいいんだな」となるのです。その後民間の人が来ても、また同じことを言うそうです。結局、ドイツのモンゴルへの方針は理解され、受け入れられたそうです。恐らく、日本からの政府関係者の数だって負けてないでしょう。が、ほとんどの大臣などは「その場限りの発言」しかしないので、誰も相手にされません。別に政治家のせいにするつもりはありませんが、民間も政府もまったく連携がなく、方向性も理解されていないのがわが日本だということだけはわかりました。結局は、できるところからでも少しずつやっていくしかありません。その辛口の政府関係者が帰り際「あなたのような日本人は貴重です。是非また来てください」と私に言ってくれました。ま、確かに私のような日本人は少ないことは確かでしょうね、モンゴル人の目には。今日も今から出発です。
2012.02.09
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今日もモンゴルからです。先週までは大変寒かったようでマイナス41度あったと聞きましたが、今日は30度程度なので、まずまずの気温でした。ですが、ちょっとした手違いで、同行の方々を1kmくらい夜の寒い中を歩かせてしまうことになり、申し訳ないことをしてしまいました。モンゴルへ行く前に「確かに寒いですが、実際には5分以上外にいることはありませんから大丈夫です」なんて言っていたのに、極寒の夜を歩かせてしまったのです。昼間は、いくつかの訪問先を予定通り終えました。中でも、午前に訪れたあるモンゴルの企業には驚きました。何が驚いたって、その歓待ぶりです。この寒い中、その会社に到着すると、10名以上の社員が「外で」待っていてくれたのです。もちろん、全員コートなしです。しかも、会社の入り口には日本語で「ようこそ、モンゴルへ!」との幕も。中に入っても、社員全員?と思えるほどの出迎えです。更には、美しい民族衣装を身にまとった若い女性社員(?)らが、モンゴル風の儀式で迎えてくれました。昔、中国へ行った時に、百人以上のお出迎えを受けたことがありましたが、あのときは役所主導で「無理やり」という感じもしましたが、今回はそんな雰囲気は全くなく、私も見たことないようなモンゴル式歓待を受けました。一番感心したのが、その会社社長の統率力です。社長に言われて仕方なくその歓待に参加した人もいるかもしれませんが、まったくそんな素振りを感じる人はいませんでした。モンゴル人は一般的に、日本人のように「会社の人が言ったから」というだけでは、調和ある行動を示すことは多くはありません。そんなカルチャーの中での出来事だったので、この社長はかなり社員を引っ張る力があるんだろうなと感じました。夜には友人のUさんとも会え、楽しい時間を過ごせました。一緒に行った方々も、異国の地でUさんのような「日本人の心を持つモンゴル人」とでもいえる人に会えたことを大変感激していました。やはり、百聞は一見にしかずです。特にモンゴルは、「統計の数字では語れない、経済的なダイナミズム」を肌で感じることができます。明日以降も、多くのビジネスマンや政府関係者と会えるのを楽しみにしています。
2012.02.07
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ウランバートルに無事到着しました。マイナス29度ですが、この寒さが懐かしいです。ちょっと煙の臭いがしますが、冬のモンゴルはいいですね。現地時間ではまだ12時半です。ホテルのレストランのメニューも変わってるし、値段もしっかり高くなっていました。明日からのUB内の活動が楽しみです。
2012.02.06
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少し寒さが和らいだとはいえ、今朝も5度程度と寒い東京です。が、これからあの「マイナス30度」の国へ行ってきます。現地の天気予報を見ると、幸いというか、今週はマイナス40度ということはなさそうです。マイナス40度と30度ではどう違うかと聞かれても説明しようもありませんが、行く前からの「ドキドキ感」が違います。マイナス20~30度であれば、「死にそう!」なんて大げさに思うことはないでしょう。向こうに住んでいるときは、寒さは秋から「徐々に」やってくるので、身体もそれに慣れながら対応できますが、こうして突然気温が「プラス」の国から行くとなると、ちょっと心配になります。でも、一番心配なのは寒さではなく、喉を傷めることでしょうね。乾燥+極寒+ばい煙で、喉を傷める可能性が高いのです。実際、モンゴル人の友人Bさんからは「のど飴、お願いします」と連絡頂きました。「なるほど、この時期のお土産としてこれはいいな」とちょっと多めに買いました。経済成長がすごいので、わずか数カ月でもウランバートルの街は何らかの変化を見せてくれます。昨年10月に行った時は、その前からは4カ月ぶりでしたが、新しい日本食のお店ができていました。そして聞けば、その後になんと「回転寿司」のお店ができたと聞いてます。時間があれば、ちょっと立ち寄ってみたいと思っています。とはいえ、今回は仕事で行くので一人での行動はなく、大学へ行ったり、旧友らとゆっくり会える時間は持てそうにありません。久々にモンゴルからブログ更新ができるように頑張ります!
2012.02.06
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モンゴル在住歴トップクラスの日本人よろずコーディネーターのCさんから、携帯に電話がかかってきました。話を聞くと、日系旅行会社のHさんのお客さんでベトナム在住の日本人Yさんと会って下さいとのことでした。Yさん→Hさん→Cさん→私、というわけです。なんでもモンゴルでのビジネスを考えているので、その調査に来ているんだそうです。で、Yさんと会いました。Yさんはもう20年近くもベトナムに滞在しておられ、ベトナムにおいて起業しているんだそうです。最近の経済発展に伴って進出している、資源、IT、自動車などよりもずっと早くから、ベトナムに根付いているとはすごいです。食品会社を立ち上げられたご苦労もあったようですが、今ではすっかり軌道に載っているようです。そのYさんは、元々は小さな商社にお勤めだったところ、ベトナムに来て、人生の大きな決断をされたようです。1990年代前半のベトナムは、今と全然違って「本当の」共産主義国家だったそうです。Yさんが、モンゴルに旅行に来た時に、なんとなくモンゴルの土地や人々に「DNA」を感じたんだそうです。うまく説明できませんが、私も同じような感覚を感じました。「ああ、確かに私はモンゴロイドなんだな」と。モンゴルも元社会主義国ですから、政府やビジネスの考え方も、ベトナムと類似の点もあるだろうと考え、何かモンゴルでビジネスオポチュニティがないかと考えているのです。ですが、人口8500万人対270万人と、市場の差は歴然としています。なので、モンゴルへの進出はさすがに容易ではないことは理解されています。Yさん自身も、いきなりモンゴルに出てきて、成功できるなんて思っていないそうです。でも、何かモンゴルとつながりが欲しい、ということでした。今のところは、モンゴルの食品をベトナムに輸入できないかと考えているそうです。そのネタ探しのために私に会いたいのかと思ったら、最初のご質問は「モンゴル人はどうですか?」というなんとも抽象的なものでした。ですが、商売をする上では、一番大切なのは「人」だということを良くご存知だからの質問のようです。私は、モンゴル人を「ある意味、アジア人の中で日本人から一番離れた存在だと思います」と言いました。もちろん、それは身体的特徴ではなく、文化的背景やモンゴル人気質の特徴についてです。そこで、Yさんからもベトナム人の特徴を聞いたり、日本人との違いを聞いたり。ですが、私はこうも言いました。日本人からすると、多くのアジア諸国では「おかしなこと」や「理に合わないこと」はたくさんあるし、日本人からみれば「修正しなければならないこと」はたくさんあります。多分、正しいか正しくないかで言えば、その考え方は正しいと思います。ですが、どっちの方が多いか、日本的な考え方が普通か、と問われれば、それは日本人の考える「普通」の方が、アジアの中では圧倒的に例外的、少数派であり、おかしなこと、変なことのほうが「普通」なのでしょうと。これにはYさんも大いに同意されました。人をだます可能性、自己中心的な考え方、全体の調和よりも目の前の利益を取りに行く、などなど、モンゴルだろうとベトナムだろうと中国だろうとインドだろうと、良い悪いじゃなく、そっちの方が「普通」だということです。なので、Yさんはモンゴルでもまず人を見極めたいと思っているのです。商品決めも大切ですが、信頼できるモンゴル人に出会えるかどうかも大切なことです。せっかくですから、やはり現場を見て頂こうとザハ(市場)を案内しました。ですが、このブログでも何度も言ってるように、そもそもモンゴル製の食品ってほとんどないのです。肉類、乳製品・・・で、ほぼおしまいです。牛乳すら中国からの輸入が多いとも聞いてます。モンゴル国内の輸送状況が悪いので、品質が低下するということです。そんな中、一部のジャムやジュース、チーズなどが候補にあがっているようでした。どうなることでしょうか?モンゴルの草原で取れる薬草も評判です。ですが、その評判は世界的には広がっていないので、その効能を良く知っている中国人が買い集めて「漢方」として世界中で売っているそうです。ベトナムとモンゴル、私が2年前に訪れた両国ですが、なんらかのかけ橋がかかることを期待しています。
2010.10.27
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ハマコーこと 浜田幸一元衆議院議員が、借金の問題で逮捕されたと昨日のネットニュースで見ていましたが、今日のニュースでは、何かモンゴルに関係ありそうな話だったとありました。いくつかの記事を読むと、ハマコーがモンゴルの鉱山開発で儲け話に乗って、2億円とも30億円とも言われる投資をしたが、見返りなく返済できなくなったとあります。そして、どうもこの鉱山というのが、このブログでも何度かお伝えしている、世界最大級の金山と言われているオユ・トルゴイ鉱山(通称OT)のことらしいのです。 そして、この記事を読んでいるうちに、以前モンゴル人ビジネスマンに聞かれたことが、おぼろげながら段々思い出されてきました。「日本の政治家で、ハマコーっていう人をご存知ですか?」と聞かれたのです。多分、半年以上前、いや、もう昨年のことだったと記憶しています。モンゴルの鉱山開発での資金調達に関する話をしていた時です。私は「ハマコー?なんで?」と聞くと「ある筋が、日本の有力政治家を動かせると言うので、名前を聞いたらハマコーと言うのです。で、彼は力はあるのですか?評判はいいのですか?」と聞かれました。私は「だってもう引退して随分経つし、自民党も落ちぶれたから、少なくとも日本政府を動かせるような政治的な力はないと思うよ。評判?正確には知らないけど、噂では半分やくざみたいな人だって聞いてるよ。」と答えました。「まさか、彼と組むんじゃないでしょ?それは止めた方がいい」と言った覚えがあります。幸い、そんな変な話には乗らなかったらしいですから、今回の報道を聞くと、ホッとしてます。それにしても、ハマコーさん、金銭欲はすごいですね。だって、もう81歳ですよ。一体、いつまで稼ぎたいのでしょうか?彼の間違いは、たくさんあるでしょうが、全く事情を知らない私でも、簡単に「その借金は無謀だ」とわかります。まず、期間です。借金は2005年だそうです!そして今回の事件となった株の無断売却は2006年です。つまりたった1年で返済を求められているのです。ですが、OTについての方針をモンゴル政府が正式に決めたのは、今年です。仮に、仮に、ハマコーの得た情報や投資話が本当だとしても、2005年に借りて、2006年に返せるような話ではありません。じゃあ、今年だったらいいのか?それでもまだ先です。今後の開発期間を考えれば、早くても2-3年先からでしょう、利益が出始めるのは。私はもっと先だと思っていますけど。もう一つの誤算は、あまりにもメジャーな案件に首を突っ込んだということがあります。確かに、日本の政治家レベルが裏でこそこそやって、上手くいけば儲けられるという話がゼロだとは言いません。ですが、それは「裏でこそこそやれる」案件です。OTともなれば、世界中が注目しているし、国会での議論も、ハマコー以上に面の皮の厚いモンゴル人国会議員らの利権の駆け引きがすごいのです。しかも、首相以下は、体裁として「フェアー(公正)」に進めなければなりません。そんなメジャーな鉱山に、「いかがですか、先生。今なら、ドーンと儲かりますよ。」なんて口車に乗る方がおかしいです。リターンもまだまだ先だし、ましてやモンゴル人の衆目を集める前で、そんな簡単に決められるはずないです。本当にそんな特別のルートをお持ちなら、日本の大企業をOTプロジェクトに正式に組み入れて、その分おこぼれをもらう仕組みの方が、モンゴル側にとっても(モンゴルは日本からの投資を望んでいる人が多い)、日本側にとっても(日本はとにかく資源が欲しい)、メリットあるでしょう。でも、日本の大企業が、ハマコーと組むなんてあり得ないでしょうけど。今はどこもコンプライアンスを重視してますから。「ハマコー・イコール・コンプライアンス違反」みたいなものですから。それにしても81歳ですか。上手くいっても、大金が手に入るのは、80代半ばでしょうね。墓場まで持って行くつもりだったのでしょうか?日本の政治家さん、上手い話が来たらこちらの事情とのチェックが必要です。その際は、私にお声かけください。但し、成果は保証しませんし、フィーはバカ高いです。(笑)
2010.08.12
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今日は、このブログに一番多く登場する友人の「Bさん」についてです。Bさんと私はもう10年来の付き合いがあります。私がパートナーを務めていたコンサルティング会社で、彼は大学出たての新入社員(新人コンサルタント)でした。その後、ユニクロなどを経てモンゴルに帰国し、経営者やコンサルタントとして活動してました。2年前の私のモンゴル行きの場を用意して、大学と一緒になって呼んでくれたのも彼です。先月日本へ帰国した時に取材を受けていたようで、彼についてのインタビュー記事が2本、日経ビジネスオンラインに載っていますので、ご紹介します。1本目は、「若者よ、国を背負う気概を持て! 米ハーバード大・竹内弘高教授がモンゴル人企業家に活を入れる」という題です。記事はhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100708/215322/?P=5 に載ってます。(全部見るには、登録が必要ですが、無料です)ここには、ほんのちょこっと私と思われる人物も登場してます。「日本人の経営コンサルタントと一緒に取り組んでいる」と書いてある部分です。もう一つは、ユニクロのカシミヤの成功でしょうか。私が彼に「モンゴル人ならカシミヤをやれ!誰もが高いと思っているカシミヤを、高品質でびっくりする値段で売れ!」って言ったのがきっかけで、彼が企画したのです。もちろん、やり遂げたのは彼の情熱と能力の賜です。そして現在展開しようとしているPE(プライベートエクイティ)ファンドについても書いてます。この分野は、私も10年の経験があるので、微力ながらお手伝いをしようと思っています。2本目は、「各国の”投資家候補”がひっきりなしに訪れる 日本企業の考えも取り入れたオフィス」という題で、日経ビジネスの記者がモンゴルまで来て書いたものです。ここでは彼の最初の職場のATカーニーのことにも触れています。私と彼は、ここで出会いました。元々、日本にいた時から日経新聞にも取り上げられたこともあったので、日経関係には良い印象で取り上げられているようです。嬉しい限りです。昨今の私の悩みは、この記事にもあるような彼がこれからどんどん進めようとしていることに、これからも微力ながら私の助力を差し出し続けるのが良いのか、それとも、もうかなり立派になった(今では「CEOクラブ」というモンゴルの経営者団体の会長になってます!)ので、後は彼が独力でやって行くのを遠くで見守るのが良いのか、ということです。どっちもありだと思っています。
2010.08.06
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先日に続き、モンゴルへの進出をサポートする会社の方と会いました。先日の会社は日本人の経営者ですが、今回の会社は日本に留学・就職していたモンゴル人Tさんが経営しています。で、今回は実際にモンゴル進出を考えている日本企業の方が来蒙されているので、彼らに会ってモンゴルビジネス事情などを話してほしいと頼まれました。Tさんは、真面目でモンゴルのために一生懸命貢献しようと頑張っているので、私としても応援したく、喜んで会いました。お目にかかった方々は、規模でいえば中小企業と言えますが、モンゴルへの進出を真剣に考えていました。ですが、進出とはいっても、日本人が駐在できるような規模でもないので、まずは代理店探しから始めるようです。業界でいえば、広い意味での鉱山ビジネス関連のメーカーとなるのでしょう。そもそも日本の大手商社ですらちゃんとした支店(営業活動ができる、という意味です)を持っておらず、駐在員事務所(営業活動はできず、情報収集だけです)しかないので、日本企業にとってはモンゴル進出は容易ではありません。モンゴルは肉と乳製品以外は、ほとんど全て輸入に頼っている国なので、モンゴル人ビジネスマンの間では、良いメーカーの代理店になることが、成功への一つのパターンと考えられてます。消費財などを見ても、市場は小さいものの、一旦参入してしまえばかなりの利益が見込める市場だと思います。それはあまり競争というものがないからです。市場が小さいので、外国からの参入者は敬遠しがちです。ですから、逆に一旦入ってしまえば、良好な利益「率」が望めるというわけです。通常は、どの国にも「現地企業」というのがいて、そことの戦いが厳しいことが多いのですが、モンゴルは基本的に国内メーカーはほとんどありません。例えば、コカコーラが参入しましたが、米コカコーラ社側は当初たった260万人しかいない市場を見て、躊躇していたそうです。ですが、ボトリング事業をやってみたら予定を大きく上回る実績が続いています。なぜなら、ソフトドリンクというカテゴリーのメーカーがほぼ皆無に近いのです。当然、中国や東欧からいろんなものが入っては気ますが、メーカーが本腰を入れているわけではないので、それらにはコマーシャルなど打つ体力はありません。そんなわけで、日系ではユニチャーム、キャノン、ブリヂストン、日産、スズキなど、外資系ではネスレ、コルゲート、P&Gなどの代理店は、かなり「良い」商売をしているようです。少なくとも、代理店は満足すべき利益を出しているようです。例えば日産は、トヨタもホンダも正規ディーラーがありませんから、日本車の新車販売拠点としてはほぼ独占状態です。当然利益は十二分にあるようで、最近も都心部に高層ビルを建てました。私の友人で、日本の地方で日産ディーラーを経営している人がいますが、彼が聞いたら羨ましくて仕方がないような儲け方と言えるでしょうね。トヨタもホンダもいないところで、値引きなしの商売なんて夢のまた夢でしょうから。但し、市場が小さいので、先手必勝であるのは間違いありません。以前も書きましたが、住友商事とKDDの合弁会社であるモビコムという携帯電話会社は、両社にとってもトップクラスの収益性を持つ海外事業子会社だそうです。日本企業も中国などの大市場に出て行って、競争に明け暮れ、厳しい利益率しか上げられないところもあるでしょうが、国としてのニッチをもう少し考えてもいいのではないかと思います。そして、これらの有力ブランドの代理店になっている地場の会社が、一種の財閥グループになっていくというのが、モンゴル企業の典型的成長パターンです。ですので、モンゴル人の間には「日本メーカーの代理店になりたい」という希望を持っている会社や人はたくさんいます。ですが、中には(というか、多くは)「日本メーカーが頑張って輸出してくれれば、代理店は儲かるだけ」とお気楽に考えている人たちも多いです。なので、代理店を募集するというと、たくさんの人が手を上げます。シナジーがあろうとなかろうと、今までの経験と関係あろうとなかろうと手を上げます。資金もほとんどなしでも手を上げます。ですが、来蒙した日本企業からすれば「ちょっと話しただけで、こんなにも代理店を希望する会社がるのか!」と感激することでしょう。ですので、代理店探しはここからが大変なのです。つまりたくさんの候補企業の中から、どう選定していくか、です。候補者は「XXはできますか?」と聞かれれば、間違いなく「はい、できます」と答えるでしょう。それが本当か口だけかは、なかなか日本企業には調べる手立てはありませんから。結局は、どの国もそうなんでしょうが、決め手は「人」です。真面目で、一生懸命やり、その製品の顧客をいかに大事にしていくかの覚悟と資質があるかどうかが鍵になります。契約書やプレゼンテーションだけではわからないことが多いでしょう。今回の日本のメーカーも、たくさんの「申し出」に、まずは一安心のようですが、実際はここからが本当の問題過程となります。是非とも、良い代理店を選定できることを祈っています。
2010.04.11
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昨日、友人のBさんから「ちょっと新しいお客さんから、コンサルの話が来ているので明日同行よろしいですか?」と連絡がありました。ですが、その予定は無くなったということになったので、今朝は安心して例の小中高での日本語授業に行ってました。子供たちの反応は、毎回楽しいものがあります。で、授業を終えてすぐに「やっぱり今日これからなんですけど、いいですか?」とBさんから電話が来ました。ま、モンゴルのいい加減なスケジュール管理には慣れっこになっていたので、「40分後に行きます」と約束しました。そして初めて訪れる会社の社長さんに会いました。私のことは、前日までにBさんが紹介していたので、挨拶もそこそこに早速お話を伺いました。これは日本でもモンゴルでもどこでも同じです。最初から見たこともない「コンサルタント」なんて名乗る奴を頭っから信用している経営者はいません。基本は疑いの目です。「こんな日本人に本当にわかるのか?」「うちの業界は特殊だから(これはどの業界の人も必ず言います)一般論しかわからないんじゃないか?」とか。昨年コンサルをしたお客さんとは違い、今日会った社長さん以下幹部は、英語は全然だめでしたので、100%日本語でBさんの通訳を通じて話しました。でも「こいつは本当に使えるのか?」という疑いと同時に、当然わざわざ呼んだってことは課題もあるわけです。私はじっくり話を聞きました。そしていくつか質問をしました。質問をいくつかしていると「いやー、全くそこが私が問題と思っていたところなんですよ。」などと反応が出てきます。しかも「こいつわかっているな」という感じの笑顔です。20分ほどしたら私が聞いてもいないのに、社長さんはBさんにこう言いました。「ほんのちょっと話しただけで、わが社の”キモ”(Bさん通訳のまま)を理解するとはすごい。こんな人にお願いしたい。」と言ってくれました。ちなみに、結構いろんな業界をコンサル経験している私でも、この会社のいる業界の仕事は日本でも全く経験はありませんでした。だから業界知識はゼロです。こういうところが経営コンサルタントのだいご味というか、嬉しくなる瞬間でもあります。駆けだしのころ、雲の上の存在だった先輩らの魔法のようなやり取りを聞いていましたが、私もようやくそういう方々の足元くらいには来たかなと、勝手に喜んでいます。20分前までは、全く知らない異国の経営者が、こうして通訳付きのわずかな会話で信頼を寄せてくれるのは本当に嬉しいです。この後も話は進み、1時間ちょっとのミーティングは終わりました。で、これからです。Bさんはかなり嬉しそうでした。なかなかコンサルティングビジネスを立ち上げるのに苦労していましたが、ここへ来て昨年のお客さんのリピートオーダーが来たりで「パイプライン」なるものを管理しないといけないほどになってきたのです。ですが、同時に問題も。Bさんが忙しすぎてボトルネックになっているのです。実は2週間前にもある会社とコンサルティングの話をし、口頭では合意に近いところまで行った案件があるのですが、それも進んでいません。私は、ミーティングから戻って2日ほどでプロポーザルを作りBさんに渡したのですが、まだBさんの手元に眠ったままでモンゴル語にはなっていないのです。そこへまた、この話です。しかも、Bさんは既存のプロジェクトを2本抱えている上に、大統領も出席するというフォーラムの準備もやっています。かといって、私のプロポーザルをモンゴル語に訳せる人は簡単には見つからないし。そもそも私一人では、先方とミーティングすらできないわけです。とはいえ、今は必至で頑張るBさんを見守るしかありません。私は私で、今日のミーティングを受け、明日にでもプロポーザルを書き上げるでしょう。Bさんには何度も「プロはズピードが命」とは言ってますが、モンゴルではどうもそこが一番難しいかもしれません。
2010.01.27
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今日は、友人のBさんの紹介でモンゴルでPE(プライベート・エクイティ)を始めたいという外国人(国籍を言うとこの狭い世界、すぐにわかってしまうので、個人情報保護のためすいません)のMさんと会いました。彼に限らず、最近は投資をしたいと考えている人からの話が増えています。正確に言いますと、「投資家から資金を集めて投資をしたい人」という意味です。考えてみれば自然の流れです。それまで盛り上がっていた鉱山関係などへの投資ムードは、リーマンショックで一遍に醒めてしまい、現在モンゴル国内には資金不足、投資不足の会社が多くあります。他方、多くの新興国では景気低迷も底をついたようですし、天然資源が重要な投資先であることにはなんら以前と変わらないのですから、モンゴルが見直されても当然です。回復基調にあるものの、モンゴルではいまだに銀行からの融資はほとんど期待できないので、外国からの投資が有力な資金調達と考えられるのも、自然な流れです。とはいえ、中国やベトナムという大市場を抱えた国々とは違うモンゴルでのPEはいくつもの課題があります。一般的なPEの場合、必ずしも鉱山関係の会社だけをターゲットとするわけではなく、普通の事業会社に買収も視野に入れています。モンゴルでPEをやる場合は、当然いくつかの問題があります。最大の課題は、どうやって海外から投資家を引っ張って来るかですが、それを別にしてもいくつかあります。まず、ターゲット会社の透明性をどうやって確保するかです。当然ですが、ほとんどがオーナー非上場会社です。しかも、監査という概念がまだほとんど浸透していません。せいぜい「税務署対策」です。となると、一体どの数字を信用したらいいのかわからないところがあります。公私混同などは普通に行われているでしょうから、その辺をどこまで理解できるかは重要です。国際的な監査法人の事務所はあることはありますが、一部の上場企業向けが中心で、M&Aのデューディリジェンスまではとても手も回らないでしょうし、コスト的にも合わないでしょう。ローカルの監査法人がどの程度の能力なのかは疑問です。次に、どうやって経営者をコントロールするか、も大きな課題でしょう。コントロールというと、言い方としてあまり良くないですが、要はいかに真面目に、正直に経営していただくか、です。そもそもマジョリティを取れるかどうかもかなり難しそうです。この辺は、私がPEを日本で始めたころ(20年前?)と似たような状況とも言えます。美しい姿は、PEと経営者が同じ目標に向かってお互いに協力し合い、戦略を共有化した上で、日々の経営は任せるというのが良いのでしょう。けど、そこはモンゴル人、なかなか一筋縄ではいかないでしょう。私がMさんに「多くのオーナー経営者は、アホな外国人投資家からお金だけもらって、あとは知らん顔になると思うよ。」と言ったら、笑いながら頷いてました。そして、一番大きな問題が、エグジット戦略、つまりどうやって売却するのか、です。一般的には、上場するとか、同業他社に売るとかなどがありますが、モンゴルの資本市場はまだその受け入れ先としては不十分ですし、戦略的なバイヤーも、規模の観点から外国企業であるとすると限られてしまいます。というか、あまりないでしょう。まあ、この辺が私への相談ポイントでもありました。こんなに課題が多いのを承知でなぜ投資したいかといえば、ほんの数年でGDPが2倍や3倍になるのが見えている国で、何かをやりたいということなのでしょう。更に、Mさんはファイナンス出身であるために、ターゲットとなった会社のマネジメント評価や戦略作りをして欲しいということもありました。私はとても興味深く聞きましたが、今まで似たような話はいくつか聞いていたので「要は、投資家が本気でお金を入れるかどうかですね?」と聞きました。彼が言うには、ここへ来て環境が変わってきており、国際的な公的金融機関が彼のファンドに投資家として名乗りを上げ、更に香港系、ドイツ系なども投資しそうだということでした。そして韓国系も多分投資するだろうと言ってました。残念ながら日本系は全く聞こえてこないようでした。私自身のキャリアは、PEとコンサルティングが半々くらいですが、こういう新興国へ来ると「その道のプロ」というのはなかなかいないので、私のように両方やっている人間は、どっちも中途半端かもしれませんが、相談相手としては便利なようです。Mさんは外国の投資家を説得するには、私のようなキャリアを持つアドバイザーは必要だと考えているようです。こう書くと、なんだか随分いい仕事がありそうに聞こえるかもしれませんが、今までこの手の話は3つありましたが、どれも実現していませんし、もちろん1円にもなっていません。(笑)そして、これで4つ目です。これもそういう「話だけで終わる」のか、もう少し具体的に動き出すのかは、まだわかりません。ま、いろんな国からこのモンゴルというこれからの国に、利益目指してやってきている外国人投資家と話すのも楽しいものです。今の日本は「何に投資しても儲かりそうもない」という雰囲気ですから、少なくともアグレッシブでやる気満々の外国人投資家は、私に多少の刺激は与えてくれます。ちなみに、今日の話でも、上手く行ってもスタートするのは半年ほど先のことのようです。半年イコール未定と同じと考えるのがモンゴル流です。
2010.01.12
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10月から始まった、私にとってモンゴルで初のコンサルティングプロジェクトが終わりました。当初より、12月中旬終了を予定していたので、期限通りに終えることができました。今週のファイナルプレゼンに先立って、先週社長向けのプレゼンをしました。今回は組織に関するプロジェクトなので、最終的な組織体制や責任と権限、評価の仕組みなども含まれます。ですが、規模の小さい会社の場合は、組織はきれい事(あるべき論)だけではなく、人の名前も一緒に考えないと明日から実施というわけにはいきません。そういう意味では、幹部クラスの固有名詞も交えた話になるので、さすがに経営会議メンバーの前でそのままプレゼンというわけにはいきません。社長プレゼンの時は、社長と私とパートナーのBさんの3人だけで、かなりの時間をかけて行いました。私が英語でプレゼンし、それを適宜Bさんがより深く正しい理解をしてもらうためにモンゴル語に訳しながらやりました。ファイナルプレゼン資料は、わずか25ページほどですが、社長の疑問などにも答えながらうあったので、3時間近くもかかりました。こちらからのプレゼンには、今までの慣行的なことは排除し、かなり大きなかじ取りを迫る部分もありました。また幹部クラスには、「多分、社長は飲めないだろうな」と思われるような人事案も合わせて出しました。私は多分「確かに、ここにある通りだが、すぐにというわけにはいかない。少しずつやっていきたい」というようなことを言われるかなと思ってました。人の問題なんかは、どの国だって簡単ではないものです。ただ、Bさんとも相談し、「できるはずないと言われても、プロとして本当に今のベストの案を出すべき」との思いで、大きな変化を入れたものを出しました。ですが、社長は熟考した上で「これが一番いいのですね?」と確認したうえで、受け入れる決断をしてくれました。やはりトップに立つ人は、本当に会社を良くしたいという気持ちが強いんだなと改めて思いました。これは日本もモンゴルも同じです。私の日本での経験では、中途半端な役員や常務とかいう人の方が、よっぽど変革に対するアレルギーが強いことが多いようです。それまで築き上げてきたものも場合によっては、否定され、変わるのですから。ですが、トップ、特にオーナー系や実力社長は違います。外国人の提案だろうと、若造の提案だろうと、理にかなっていいと思えるものは、その通りにやるという人が多いと思います。今回の社長も、もちろん規模的、レベル的にはまだまだですが、結構腹が据わってるなと思いました。その社長のことを前から知っていたパートナーのBさんは「ここ1-2カ月で、あの社長随分変わりましたよ。相当、このプロジェクトの刺激を受けたみたいですね」と言ってました。結局、固有名詞などをは削除した上で、ほぼこのままで最終報告として欲しいと言われました。そして、全て終わって私たちが席を立とうとした時に、モンゴル語で話し始めました。Bさんに通訳してもらったら「今回のプロジェクトは、私が出した課題に全て答えてくれた。そして、素晴らしい提案を頂いた。大変成功したプロジェクトだと思います。今後も、いろいろと相談に乗ってください。」と言われました。とても嬉しい瞬間でした。そして、今週がいよいよマネジメントチームに対するファイナルプレゼンです。これにはプレゼン2時間(ここでのプレゼンは私はせずに全てBさんがモンゴル語でやりました)に加え、その内容理解を深めるための研修のような形で議論を深めてもらい、全部で6時間以上かけて行いました。私は質問、意見などへの対応をしました。最初は「今のままで何が悪い?」と言っていた幹部らも、徐々に変わっていき、最後は「これをこの通りに実行することが、会社の成長につながるんだ」と自ら発言するところまで行くことができました。そして最後に、役員の前で社長が私についてコメントしてくれました。全てモンゴル語でしたので、Bさんが通訳してくれました。「今回のプロジェクトで日本人のまじめさを強く感じました。どんな質問をしても嫌な顔せず丁寧に答えてくれる。こちら側が出したどんな課題にも、真剣に取り組んでくれる姿勢は素晴らしいと感じた。大変感謝してます。恐らく、私たちは日本人や日本という国からたくさん学ぶことがあるのだろうという印象を深く感じました。私たちがやるべきは、明日から準備を始めて、2010年1月1日からここにある組織体制を実行できるようにすることです。」通訳なので、多少正確ではないかもしれませんが、なんだか私個人というより、私が日本人の代表になったような気になりました。ですが、とにもかくにも、クライアントにこういって頂けるのは、コンサルタント冥利に尽きます。国や文化が違っても「経営」は共通の言葉なんだなと感じました。初めてのプロジェクトを終え、ちょっと肩の荷が降りました。社長からBさんへのフィードバックは、「全て期待以上だった」とのことでした。
2009.12.15
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先月から2カ月の予定で始まった、私にとってのモンゴル初のコンサルティングプロジェクトは、もう半分以上を過ぎました。前回、社長に報告したことは書きましたが、それとほぼ同じ内容のものを先週役員及び主要マネジャーを集めてプレゼンしました。前回は社長一人が相手で、私が英語で話し、Bさんにモンゴル語で逐一確認してもらいました。社長はアメリカ留学の経験もあるので、英語はOKですが、やはりモンゴル語で確認した方がいいようです。ですが今回は、時間の制約もあるので、私は最初の挨拶だけにして、あとは全てBさんにモンゴル語でプレゼンしてもらいました。全体的にはかなり問題点を厳しく指摘したにも拘わらず、好意的に受け入れてもらったような気がします。やはり皆、気づいてはいたけどなかなか改革ができなかったということでしょう。私たちからのプレゼンを終えて、社長が役員らに対して「今回のこの2人のコンサルタントによるプロジェクトでよって、まるでわが社がMRI検査を受けたように、全ての問題をあぶりだしてくれました。」と言ってもらいました。なるほど、MRIねえ、面白い比喩を使うなと思いました。もちろん、現段階では課題のあぶりだしは終えましたが、解決策はまだ提示してはいません。それは今後2週間ほどで私の頭の中で組み立てて行くことになります。当初、社長から幹部社員教育もして欲しいと言われていました。イメージとしてはファイナンスとかそんな勉強の講義です。ですが、今回のプレゼンを終え、私は「そんなお勉強なんかより、もっと役員同士が腹を割って話せる場、お互いがもっと同じ土俵で話し合う場が必要でしょう。」というと「是非、それをやってほしい」と言われました。経営者の悩みは日本でもモンゴルでも似たようなものです。役員になったほどの人は確かに能力はありますが、全社的な考え方よりはどうしても部門代表的な思考になってしまいます。その辺の頭を切り替えてもらおうというわけです。で、その研修が昨日28日に行われました。「場所は、会社のオフィスなんかだめです、空気のいい郊外のホテルにしましょう」と提案し、HRのマネジャーと準備を進めてきました。当初考えていたテレルジ(いつも私が箱根というところ)が予約取れなかったとのことで、空港方面のキャンプリゾート地でやることになりました。午前11時に現地に到着しました。この辺は、都心から1時間弱ですが、山を越えているせいか、全く都心部の影響はありません。辺り一面はうっすらと雪景色です。気温はもちろんマイナス10度以下です。これがそのキャンプ地の入り口門です。左側にちょっとだけ見える建物が、メインの建物で、ここで私たちが研修をします。ここで見える青空はまるで色を塗ったかのようです。反対側を見ると、セカンドハウスが立ち並んでいます。これはそれぞれ一戸建ての別荘のようです。別荘と言ってもかなり大きく、ざっと見た感じで建坪は6-70坪ほどはあるんじゃないでしょうか?Bさんの話では、ここは都心部から1時間以内と比較的近いので、週末以外にも使う人もいるでしょうとのことでした。やはりこちらサイドも空はきれいです。そして、確かに空気がおいしいです。思わず何度も深呼吸してしまいました。向かい側の坂では、子供たちが歓声を上げていました。これはそり遊びです。もちろん、自分の足で登って滑るのですが、結構楽しそうでした。さて、研修スタートです。皆で議論してもらったり、私からの講義をしたり、たっぷりあったと思われた時間も、あっと言う間に進んでいきます。各自に宿題を出しておいたのですが、社長は対象に入れてなかったのに社長も自らプレゼンしました。社長自ら、経営方針などのプレゼンです。私が「社長のリーダーシップが足りない」と言ったのを意識されてるのか、ここ最近の社長の言動は、以前とはかなり変わってきました。Bさんによれば「かなり意識している」とのことです。コンサルタントのアドバイスをすぐに行動に移せるのは大したもんです。そして、今までほとんど役員やマネジャー同士で「会社の戦略」など議論もしたことなかったらしいですが、結果としてはかなりいい議論ができたようです。参加者もかなり満足してくれ、社長も喜んでくれました。研修後、一番最近入社した役員(アメリカMBA留学、その後アメリカで数年勤務後帰国した人)が社長に「アメリカで戦略の講義をいろいろ受けましたが、今日の先生ほどいい内容の講義はなかった」と言ってくれたそうです。まあ、大学の先生(私も今やそうですが)と現場のコンサルタントは違いますから、そりゃそうでしょうけど、社長がそれを聞いて喜んでいるのを聞いて、ちょっと嬉しかったです。意外なのは「私たちの会社のためにプログラムを考えてくれたのは素晴らしい」という評価です。モンゴルでの多くの研修は、教科書的な決まり切った内容のものの講義がメインのようです。この日は、夜も懇親会もご一緒して楽しい時間を過ごしました。とはいえ、99%の会話はモンゴル語ですから、私にはわかりませんでしたけど。
2009.11.29
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先月から始まったコンサルティングプロジェクトの最初の中間報告をクライアントの社長に対して、昨日13日に行いました。やはりモンゴルでコンサルティングを行うというのは、日本やアメリカなどとは全然違います。そもそもデータがありません。プロジェクト開始時に「会社のB/S、P/Lや組織図、予算・実績表など下さい。主要なポイントは英語に書いてください」とお願いしていました。それに対して、何の問題もなさそうに「はい、いいですよ」との返事をもらっていましたが、3週間たってもほとんど手に入らないという有様です。財務部に聞けば「はい、明後日月曜日に出します」と言い、その月曜日になると「いろいろ忙しいので金曜日に」となり、当然ですが金曜になっても出てこない、という状態が続きます。他方では、プロジェクトとしてのスケジュールもあります。もちろん、「あれが出てこない」「この資料がない」などと泣き言や言い訳はいくらでも言えますが、そんなこと言ってもプロジェクトを受けたからには、なんらかの答えを出さねばならないのがプロフェッショナルです。私としてもモンゴルでの最初のプロジェクトですから、クオリティにはこだわりたいし、かといって日本にいる時のように、なんでも徹底的に調べるというのもできません。パートナーのBさんが友人の病気のことでバタバタしていたこともあって、プロダクションを担当してくれていた彼から私にメールで届いたのが当日の午前4時。私は寝ていましたが、朝早く起きて再び全部チェックし終え、修正を終了したのが午前8時頃でした。クライアント会社はオーナー企業であるということ、初めてのプレゼンであること、内容的に社長に対しても手厳しい表現を入れていることなどを考え、役員全員ではなくまずは社長一人に対してプレゼンするという形を選びました。プレゼンは、社長一人に私とBさんの3人でやりました。プレゼンは主に私が英語で行い、適宜Bさんにモンゴル語での説明を加えてもらうという形でやりました。社長は時には英語で、時にはモンゴル語で質問し、とても熱心に聞いてくれました。最初の報告ですから、基本的には会社の問題点の抉りだしや論点整理が中心です。この辺の問題認識が共通でないと、最終提言は全く意味のないものになってしまいます。問題点の抽出には、現場の声やいくつもの事実を丁寧に拾い上げ、社長にぶつけて行きます。社長は冷静に聞き、いろいろ言いたいこともあるでしょうけど「確かにそうですね」と理解してくれました。当然ですが、全くの第3者から自分の経営する会社をこれだけ見られたこともないでしょうし、たくさんの課題を指摘されたこともないでしょう。それでも、さすがにそこは経営者。この会社を良くするための議論にはかなり前向きです。結局、当初のコンサルティングのスコープ以外に「これももっと教えてほしい」「あれももっと考えてほしい」となりました。これはコンサルティングをやっていると良くあることで、最初は懐疑的だった経営者も、こちらの考え方やアプローチを理解していくうちに、段々「あれもこれも教えてほしい」となります。一般的にはそういう反応は、こちらの指摘が的確で的が外れていないという場合が多いので、かなり社長の心には沁みたように思います。とはいえ、もちろんあれもこれもはできません。私は「外人」ですから、原理原則を説明し、当初のスコープできちんと答えを出すのが最優先であることを伝えることも言いやすいです。あとはBさんがモンゴル語でいろいろフォローしてくれました最後に社長から「本当にありがとうございました。今日の内容はとても参考になりました。このままの形で役員にもプレゼンしてほしい。」と言われました。とはいえ、社長に厳しいことを言っている部分は、役員向けには多少マイルドにするつもりです。帰り際Bさんは私に「社長にとっても、この会社にとっても付加価値あり過ぎなほどですよ。やっぱり安すぎましたね。次回からは考えましょう。」と言いました。まだまだ中間ですし、今後どうなるかもわかりません。なんとかいい形で終えられるように頑張りたいと思います。ですが、異国、しかも非英語圏で一切の資料が英語になっていない状況で、効率的に一定の結果を出すのはかなり大変だと実感しました。そしてやっぱりコンサルティングは「労働集約型ビジネス」の典型だなぁと改めて思った次第です。つまり「絶対に楽できない仕事」ってことです。
2009.11.14
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今日は、モンゴルで現在進行中のリゾート地を見に行ってきました。モンゴル人の友人のBさんがコンサルティングをしている先が、モンゴルでリゾート開発を進めています。その中で、ある施設について私に相談がありました。私は即座に「それなら、日本にいるKさんに相談するのが一番いい」と考えました。Kさんは、私がコンサルティングを始めた時の同僚です。彼女はその後、リゾート関係の再生ビジネスを経て、リゾート施設関係の会社を経営しています。私は早速モンゴルから彼女のオフィスに電話をしました。突然の電話であるにもかかわらず、彼女はすぐにこちらの事情を理解してくれました。他でも何度もこういう経験をしてきましたが、20年もの時を経てもすぐに打ち解けわかりあえるのが、コンサルティング仲間のいいところです。しかも、相当の信頼感をベースに。一緒に仕事をしたのはたったの3年なんですが、長年会ってなくても、連絡取ってなくても、その信頼関係がずっと続くところにこの世界のすごさを感じます。先月来蒙したUさんも全く同じです。というわけで、メールや電話ではなかなかわからない部分もあるので、「旅行がてらに一度来てみてよ」と来てもらうことになりました。そして、昨晩遅い飛行機で到着し、今日Bさんと一緒にKさんを連れてそのリゾートの建設中の現場に行って来たというわけです。早速、現地へ行ってみました。そこはウランバートルから車で20kmほど(直線距離では12kmくらい)の、都心からはかなり近いと言える国の自然保護地区の中にあります。リゾート地は、スキー場、ゴルフ場そしてホテルからなる複合施設です。まずは今年中にオープンする予定のスキー場を見ました。私はスキーが好きなので、興味深々でした。Kさんの専門とは関係ありませんが、私の方がいろいろ質問してしまうほどでした。これがスキー場です。来月のオープン目指して、人工雪をまいています。人工雪の機械は、こんな感じでフル稼働していました。モンゴルは、もちろん自然の雪も降りますが、たくさん積もるということはありません。ですが、一旦積もれば、気温が低く簡単には解けないので、長持ちするでしょう。おそらく、人工雪と自然の雪のミックスで雪面を作ることになるだろうとのことでした。マイナス30度のパウダースノーも体験してみたいです。第一次工事は、緩斜面中心のようです。将来的には、中斜面の工事も進むとのことでした。スキー場を後にし、ホテル予定地へ行きました。全体の敷地は当然ですが、かなり広いです。ホテルは、少し小高い所を予定しているそうです。建設はまだ先です。その敷地から見下ろすところにゴルフ場の建設が進んでいました。まだ全くゴルフ場とは思えませんが、造成は進んでおり、来年にはオープンしたいと言ってました。ここから見える平地の部分がゴルフ場予定地です。ここにまずは18ホール作るそうです。ホテル予定地は、小高い部分で、私たちの影が見えるところです。ちなみに、ここに見える雪は自然の雪です。私の写真の撮り方の問題で、残念ながら雄大さは伝わらないかもしれませんが、都心部から車で30分程度でこんなリゾートができるなら、人気が出るかもしれません。私としては、まずは年内にオープンするスキー場には是非行ってみたいです。Kさんは、さすがに国内外のリゾート関係に詳しいだけあって、様々な角度からこの敷地を見ていました。ホテル及びその付属施設のオープンは2年先になるでしょうが、モンゴルで最初の本格的リゾートになることでしょう。視察後、都心のオフィスに戻って、今後について話しました。Kさんはかなり忙しそうですし、日本にいるということもあり、今後どこまでこのプロジェクトに関わるかはわかりませんが、こうしてモンゴルとの接点ができただけでも、私としては嬉しいです。結局朝から、視察、ランチ、午後の会議、夕食とずっとご一緒しました。20年もの間一緒に仕事したことはありませんでしたが、何の違和感もなく話せるところに「共通の体験」「共通の価値観」を持つ強みを本当に感じました。短い滞在ではありますが、Kさんにも得るものがあるといいなと思います。
2009.10.28
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最近、ちょっと忙しくなってきました。23日金曜日も朝からコンサルティングのクライアント先へ行って、昼過ぎまでインタビュー。午後は、アドバイザーをしている会社へ行きました。いつものようにこの会社の投資案件などの報告を受けていました。すると「・・・なので、この後その中国の会社の人がここへ来るので、一緒にお願いします。」と言われました。「え?何?中国の会社?一緒に?」なんだかよくわからない展開です。なぜ私が??要するに、現在投資を検討中のある鉱山関係の会社の大きな取引先になりそうな中国の会社があり、そことの取引が現実的になりそうだというのです。つまり私のクライアントの会社はまだその鉱山会社を買っているわけではないのですが、「将来の親会社」として中国の会社が商談を進めたいということらしいのです。私は「それはわかるけど、なんで私がその席に同席するの?」と疑問に思いましたが、そうこうしているうちに、中国の会社の人たちがやってきました。こちら側には、クライアントの会社の社長、このプロジェクトのマネジャーEさんと私。先方は、2人という状況です。名刺交換するも、先方から見たら「大学の先生?」の名刺を出すモンゴルにいる日本人なんて、ほとんど意味不明でしょうね。しかも、最悪なのは言葉の問題。こちら側はモンゴル語で話し、それを先方の1人が中国語に訳します。そして先方の代表の方は当然中国語で話し、それがまたモンゴル語に訳されるわけです。そこには、日本語は当然ですが、英語も入り込む余地はありません。そんな状況なのですが、私は初めて「外国人の商談」の現場にいたのです。コンサルティングや経営に関する話は、外国人の人とも話した経験はもちろんあります。が、いわゆる「普通の商談」となると、自分で会社を経営していたころまで遡らないと、そんな場はありません。ましてや、外国企業対外国企業の商談です。言葉はわからないのですが、時々隣にいるマネジャーのEさんが手短に私に通訳してくれます。最初の長いやり取りは「これはそれぞれの会社の自己紹介です」とか。そこで私はトップの責任者同士が会うのは、今日が初めてだ、と知りました。先方とはEさんが前回の中国出張で一度会っただけだそうです。私はモンゴル語と中国語のやり取りの間、手持無沙汰で先方から頂いたアニュアルレポートや会社案内を見てました。すべて中国語と英語で書かれているので、私でも理解できます。フムフムと読み進んでいると「え?この会社(今相手にしている中国の会社)そんなにでかいの!」と驚きました。なんとフォーチュン500に入っているんだそうです。しかも中国銀行(Bank of China)からの信用格付けがAAAなんです。S&Pとかとは違うんでしょうけど、でもまあバンチャイ(Bank of Chinaの通称)のAAAもなんか凄そうです。で、この会社は資源を買いたいのです。私のクライアントの会社が投資予定の会社が生産するであろう資源を買いたいと言うので来ているわけです。そこでの商談は、なんと言いますか、全然日本的ではなく、実質的に物事がどんどん進んでいきます。わずかながらでも、Eさんから通訳してもらったり、解説してもらった言葉を拾うだけで、印象的なことがいくつもありました。Eさんは、最近の中国の「海外資源漁り」についてこう解説してくれました。中国政府の方針では、できるだけ資源は外国から買いたいと思っています。自国の資源はなるべく使わず、将来外国から買えなくなったり、地球上に枯渇したりした時に自国の資源を使うのだそうです。これは昔のアメリカの石油政策に似てるなと思いました。外貨もたくさんあるし、こういう背景で世界中で中国は資源を買っているのです。先方はまずこう切り出しました。「現在、世界的に経済が困難な状況にあります。中国政府は、こういう状況だからこそできるだけ隣国のモンゴルから買える物は買いなさい。」と指導しているそうです。つまり隣国を助けなさいという意味です。しかも特段、値切る雰囲気はありません。先方は「300tでも500tでも買います。1000tでも買います。量は多いほどいいです」と言います。ちなみにクライアントの投資先予定の会社は、ある資源を年間150-300t程度、精製して供給できる能力があります。ですので、先方のニーズに応えるには当然追加投資が必要になります。追加投資となると、こちらも長期で考えないといけません。すると先方は「契約は長期を希望します。」と言います。こちらが「3-5年を希望します」というと「もちろんそれで結構です。もっと長くても良いです。」とあっさり返ってきます。「量の約束は大丈夫ですが、価格は固定せずに世界の市場価格にしましょう。」とこれまたフェアーです。そして、商談後半は「では、今日同意したことことを早速合意書(メモランダム)としてまとめ、調印しましょう。」と話が早いです。日本の会社だったら、ほとんど初めての商談だったら、最初は様子見で「とりあえず、お互い持ち寄って検討し、次回また協議しましょう。」とでも言いそうな内容なのに、トップ同士が出てきて、早々に決めてしまいます。もちろん、そのメモランダム調印後、鉱山現場の調査や品質チェックなどありますが、年内にはそれらを終えたいと考えているそうです。これでは日本は負けますね、確かに。日本企業でしたら、そもそもモンゴルでもどこでも今までほとんど付き合いのない会社から、しかもその親会社が変わろうとしているようなある意味不安定な時期に、こうやってトップがやってきて即座にまとめるなんてとてもできないでしょう。相手はフォーチュン500です。こっちは、小さな鉱山会社です。ですが、この契約がまとまれば、当然安心して生産能力を倍増、あるいはそれ以上に増やす投資の意思決定は簡単になるでしょう。私はこの件では別に何も貢献はしていませんが、このプロジェクトのアドバイスをしてきているので、なんだか嬉しいです。買った後、企業価値はすぐに何倍にもなるでしょうから。私は言葉のやり取りがわからない分、じっと両者の顔や態度を観察していました。中国側には、全く尊大な態度はなく、真しで無駄なことは一切話さず、好感が持てました。更に、モンゴルという国や人々への配慮も感じられ、随分大人(おとな)な中国に見えました。なんとなく私たちが新聞などで目にする「ちょっとわがままそうな国」「自己チューの国」というイメージとは全然違います。中国は、途上国の国々のリーダーという自負もあるのでしょう。かなり優しく、大人(たいじん)の国に見えました。最後にEさんは、中国は資源だけでなく、農地も買っているそうです、と教えてくれました。なんでも既にアフリカに200万ヘクタールもの農地を買ったそうです。実感のない数字ですが、140km四方余りです。日本の都府県の平均サイズの3倍以上の大きさです。(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に茨城県を足したよりも少し大きいくらい!?)将来、大量の農民でも送るのでしょうか?これだけの大国が、共産党という一つの組織の意図のもとで動くわけですから、末恐ろしい国であることは確かです。
2009.10.23
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今月1日に、建設関係の会社の社長さんと会ったというのは、このブログに書きました。その社長さんから「コンサルティングのプロポーザルを出してほしい」と言われていました。私は、その日のうちにプロポーザルの骨子を書いて、パートナーのBさんに送りました。が、Bさんが忙しいらしく、モンゴル語にして出したのが2週間近くたってからでした。Bさんが出したら、すぐに返事が来たそうです。どうも前に進めたいようです。というわけで、16日金曜日にその会社を訪ねました。社長以下、アメリカ留学&米投資銀行勤務から帰って来たばかりの経営企画担当の役員、中国語ペラペラの調達担当マネジャー(建設関係の資材調達先はほとんどが中国だそうです)、現場全体を統括している役員などが揃って出てきました。こちらは、Bさんと私の2人です。一部英語ができる人がいますが、やはりメインはモンゴル語で話しています。社長も役員もコンサルティングなるものを受けた経験がないわけですから、細かい質問も含めていろいろ聞いてきます。一番懸念していた価格ですが、それは事前にBさん経由で私に「このくらい安くしてくれないか?」という打診がありました。 私はそもそも初めてだし、相場も何もないのでいろいろ考えました。日本との比較?日本でやるとしたら一体いくらくらいのフィーになるのだろうか?なども考えました。ですが、それもあまり意味ないです。日本のようにコンサルティングスタッフ(外部調達も含めて)が揃っている場合と、私とBさんのみのケースは違います。一般の人の年収をベースに考えるのがいいのだろうか、とも考えました。多分、日本とモンゴルは10倍程度かそれ以上の差があるのではないかと思っています。となると、コンサルフィーも日本の10分の1になるのかな、とも。とはいえ、あまり考えてもしょうがないので、とにかく第一歩を進めることにするのが一番いいと思いました。幸い、先方の「値下げ要請」は、びっくりするほどの話ではなかったので、まずはその辺でやってみようということにしました。Bさんは「これで成功したら、次回は必ず値上げします」と頼もしいことを言ってます。先方の役員さんたちは真剣です。そりゃあそうでしょう。彼らから見れば、随分と高い値段を「目に見えないモノ」に対して支払うのですから。テーマは、組織・体制作りと幹部人材育成です。「就業規則を作ってくれますか?」「業績評価制度も作ってくれますか?」と聞いてきます。私は、「そんな細かいことはこの時間ではできないし、そもそも私にはそんなことはできません。それよりも、会社として向かおうとしている方向性やビジョンに合った戦略があるのか?組織は、その戦略に合った形や仕組みになっているのか?を検証し、形あるものに変えて行くことがた大切で、制度設計はその後の問題です。」と伝えました。社長さんはさすがに、細かい制度よりも、この組織・体制のままで今後も高い成長を続けていけるかどうかが心配だと言っていました。先方と議論しながら「本当に私の考え一つで、この会社は全部を変えるつもりなんだな」という印象を強く感じました。もちろん、日本でやっている時も真剣に考えましたが、そこにはマネジャーもいますし、他のシニアパートナーもおり、多方面での知恵を借りたり、議論ができました。が、ここではBさんもいますが、ほとんど私1人の考えで決めて行くことになりそうです。何やら、責任重大という感じがします。その上、資料などはすべてモンゴル語です。できるだけ英語にしてもらうつもりですが、実際には相当Bさんに負担となるでしょう。インタビューも全部モンゴル語で、Bさんの通訳頼り。期間は2カ月。本当にできるのか、正直不安はありますが、なんでも初めてのことは不安だらけでしょう。クライアントの守秘義務がありますので、今後はこのプロジェクトについて、ブログに書けることはほとんどないと思いますが、2-3ヶ月後には「なんとか無事終了」との報告ができるように祈っています。昔のマネジャー時代のように、相当時間と頭を使って働かないといけないんだろうな、という覚悟は多少はできてますけど。
2009.10.16
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今日は、モンゴル人の友人のBさんの紹介で、ある会社の社長さんと会いました。なんでも、役員になるような人を探しているのだそうです。で、Bさんが私の話をしたらなぜか「是非会いたい」ということになったそうです。そもそも私が普通の会社の常勤役員になれるはずもないので、「それは無理なんじゃない?」と話しましたが、とりあえずは会ってみようということになりました。ちなみにその会社の業界は建設関係で、さすがにかなりの業種の経験を直接、間接に手掛けてきた私でも、全く経験ありません。で、ランチタイムに最近市内中心部にできた和食屋さんでBさんと一緒に会いました。最初の印象は「なんだか優しそうな感じの方だな」と感じました。少し話しただけで、随分オープンマインドな人だということがわかりました。モンゴルの経営者としてはとても珍しいタイプかも知れません。多くは人の話をあまり聞かない、田舎の大将タイプが多いです。私は彼の会社の経緯や問題意識などを聞きました。基本的には英語で直接話しましたが、大事なところはBさんが通訳してくれました。彼は今の会社を数年前に買ったのだそうです。それまではモンゴルで最大クラスの企業グループのマネジメントチームにいたそうです。業種的には全く建設とは関係ない分野を経営していました。今の会社を買収後、ほんの数年で売り上げを10倍近くに引き上げたそうです。当初の規模が小さかったといえばそれまでですが、それでも門外漢の社長が10倍以上にするのはすごいです。そして、今後は海外の会社とも付き合って行く機会も増えそうなのだそうです。つまり、急成長してきたが今後を考えると、海外企業とも交渉できこの会社全体を経営できる人(社長クラス)を探しているのだそうです。私は「ふむふむ」と聞いていましたが、「フルタイムでできますか?」と聞かれました。さすがにそれは無理です。大学もあるし、小学校もあるし、アドバイザーをしている会社もあるし、フルタイムは無理です。それに社長業はいくつもやったので、それだけで即興味があるというわけではありません。とはいえ、そこはコンサルタント。経営者が何かで困っている時は、やはりなんとか助けてあげたいという血が騒ぎます。今度はコンサルタントモードで、改めて会社の状況を伺いました。すると、急成長会社にありがちな2つの課題が見えてきました。一つは、組織体制です。多分、元々は小さかったから、大して組織を考えなくてもなんとかなってきたのでしょう。ですが、ここへきていろんな不具合が感じられたということです。社長にとっては、今のままならなんとかやれるが、この先もっと大きくなったらこのままでは持たないと思っているのでしょう。その先見の明は正しいですが、それを外国人である私から一生懸命に聞く姿は、本当にモンゴル人には珍しいくらい、オープンマインドで謙虚です。私は感じたままに率直に聞きました。「社長さんはどうしてそんなにオープンマインドをお持ちなんですか?どういうキャリアを歩まれて来たのですか?」と。彼の答えはなるほどと思わせるものでした。彼は最初はIT系のエンジニアとして、モンゴルでも大きなシステム構築に関わっていたそうです。そして次が、この仕事の前までやっていたモンゴル最大の企業グループの経営幹部で、なんとファイナンス担当だったそうです。エンジニアとファイナンス。なるほど、経験の幅が広いわけです。もう一つの課題は、経営人材です。今の幹部は、自分に与えられた分野の仕事は一生懸命にやるが、会社全体が見えていない。経営そのものをよくわかっていない、というのです。更には他部門のことに関心がないとも。組織と人材の話は、はっきり言って、この会社固有の問題ではなく、日本企業のほとんどの会社の問題でもあります。特に急成長企業であれば、ほぼすべてに共通しているとさえ言えるでしょう。私は、そういう課題に対していくつかの解決の方向性を話しました。もちろん、その会社のことは全然わかりませんし、ましてや建設業界など知るはずもありませんが、仮説も含めて話しました。社長さんはとても興味を持ってくれたようです。ただ、コンサルティングをするとなると単なるアドバイザーとは違って大がかりです。聞けば、英語を話せる幹部は社長以外にはいないそうです。資料も全部モンゴル語です。インタビューすら大変そうです。多分、これはBさんと一緒じゃないと無理だなと思いました。今後どうするか、ちょっと考えないといけません。Bさんも最近はちょっと忙しいようですし、私も時間に限りがあります。また、急成長中と言っても費用の問題もあるでしょう。モンゴルでの適正価格がいくらなのかまったくわかりませんが、そもそも私のような人がいないわけですから、自分で考えないといけません。日本から見たら驚くほど低いフィーでも、こちらではびっくりするほど高いでしょうから。私は小学校の先生の報酬は全く気にしませんが、本業となると別です。Bさんも「この国の基準を作っていかないといけない」と言います。で、今後どうなるかはまだ全くわかりません。今までも、興味を持ってくれた社長さんは何人かいましたが、そもそも外部に戦略や組織作りを依頼するという概念がないので、なかなか進みません。「POSデータの分析の仕方」とか「業務改善に役立つシステムとは」みたいなノウハウ系は多少はあるようです。せっかくのいい社長との出会いですの、仕事になるならないは別にして、今後もいい関係は保っていこうと思っています。ちなみに、今後の建設業の成長分野はやはり鉱山のインフラ整備です。やはり成長の源泉は、鉱山なのです。
2009.10.01
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今日20日はマイニング(鉱山)会社の社長さんと会ってきました。先日のドルノゴビ旅行の帰りの列車の中で、日本語の先生のDさんがDさんの日本語勉強時代(大学生時代)の同級生だったBさんと偶然隣の部屋(コンパートメント)同士となり、再会したのです。なんでも10年以上ぶりだと言ってました。その時、積もる話もあるだろうと、私はその会話には参加せず本を読んでいたのですが、そのBさんから日本語で声がかかりました。完全なプライベートの遊びの旅行でしたが、私が経営コンサルタントだということを聞いて、話が聞きたくなったようです。聞いてみると、Bさんは現在鉱山の会社の社長さんですが、昨年来のリーマンショックで必要な投資が調達できなくなり困っているとのことでした。私は別に投資家でもないし、金ずるでもないのですが、一応聞いてあげて、簡単なアドバイスをしてあげました。すると、Bさんは最後には「今度、私の鉱山にも来てください。ウランバートルへ帰ったら、またいろいろ教えてください。」と言われました。Dさんによれば、最初は日本人のコンサルタントを名乗るといっても、どうかな?と思っていたようでしたが、私と話しているうちにどんどん前のめりになって「で、私はどうしたらいいですか?教えてください!」とまで変わったのを見てびっくりしたと思ったそうです。私が「私たちの商売は、大体最初は『こんな奴にうちの会社のことがわかるの?』という態度で接してくる人が多いんだけど、その短い時間で最後は『だから、どうしたらいいんですか?』と言われるようになるのが、この商売の面白いところでしょうかね。」などと解説してしまいました。もちろん、友人のBさんにビジネスとしてコンサルをするつもりではないのですが、せっかくDさんの同級生なので、列車の中でいろいろ教えられる範囲で話てあげたというわけです。そのBさんがDさんに連絡して、私の電話番号を聞いてきました。で、今日Bさんと会ったというわけです。オフィスはウランバートルでも一等地とでも言うべき、スフバートル広場の隣にある立派なビルの中にありました。Bさんのオフィスには大きな地図(店で売っているとは思えないような、幅2m以上はありそうな地図です)が壁に貼ってありました。ここには鉱山の場所が示されています。金、モリブリン、鉄鉱石など、さすがに多いです。これでも大きな鉱山だけだそうで、中小を入れたらもっとたくさんあるそうです。やっぱり資源国なんだな~と改めて思うと共に、私ももっと資源の勉強をしたいなと思いました。彼の会社の概要説明を聞き、財務諸表、事業計画など一通りを聞きました。彼が望んでいることは、私が直接解決できるわけではないですが、いくつかアドバイスはできますので、いろいろ話しました。概して、モンゴル企業はモンゴル外の投資家への説明などはまだまだ不慣れのようです。4時40分くらいになって、突然「スモウは好きですか?」と聞いてきました。鉱山の話をしているのに、全然関係ない話です。私が「スモウ?」と聞き返すと、「はい、スモウです。」と言います。私が「スモウって朝青龍とか白鵬とかの相撲?」と聞くと、そうだと言います。私は時間を見てピンと来ました。日本の6時はモンゴルの5時です。もうすぐ横綱の取り組みが始まるのです。早速テレビのある部屋に移動しました。やたら立派な大きなプラズマテレビがあり、朝青龍戦をやってました。他からも人が来て、集まって見ています。そういえば、数日前もどこかで見たような・・・モンゴルの男性は、日本の相撲が気になってしょうがないようです。この時間の視聴率が70%とか80%とか言われますが、多分本当でしょう。当たり前ですが、相撲に関しては日本での人気や熱気よりはずっとこっちの方が上です。気分としては、私が毎朝、ネットでイチローや松井の成績を見て一喜一憂しているのと同じなのでしょう。私も日本にいるとき、朝のBSの大リーグ中継は良く見ていましたから。相撲を見ながら、気になることを一つだけ聞きました。「モンゴルでは朝青龍と白鵬とどっちが人気ありますか?」と聞くと、即座に「朝青龍」という答えが帰って来ました。私が「そうですよね、白鵬はちょっと優等生的ですから、私もやんちゃな朝青龍の方が好きです。」と言いました。ですが、理由はどうも違うようです。「白鵬は日本人と結婚したでしょ?あれで人気がなくなったんです。」だそうです。もちろん、好き嫌いにはいろんな要素があるのは確かだと言ってましたが、一番の理由はこの「日本人と結婚したこと」であるのは間違いないそうです。モンゴル人は、血筋問題なのか、自国主義なのかわかりませんが、嫁さんが誰かまで拘るんだなと思いました。やはり国を代表する英雄には、純血でいて欲しいのでしょうか?で、見終えいて部屋に戻ってきました。もしかして、一度彼の経営する鉱山を見に行くことになるかも知れません。とはいえ、ウランバートルから500km以上は優にありますから、簡単ではないです。列車で11時間プラスランドクルーザーで5時間くらいでしょうか?ただ、現地現物、見ないことにはずっとわからないとも思っています。明日も、別な会社でマイニング会社についての相談です。ま、当分は仕事にはなりませんけど、こうして少しずつ私もマイニングについての知識をためることができるかもしれません。Bさんは、今度は食事しましょうと誘ってくれました。こっちで何人かの経営者と会いましたが、皆私の話を聞きたがります。その後また会ってほしいとも。ですが、お金を出してコンサルを受けるというところまではいきません。ま、私レベルではまだまだそんな程度です。ですが、どうも私には大学教員生活よりは、やはりビジネスの現場の人と会っているのが合っているようです。楽しいですからね。
2009.05.21
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大学の同僚から「友人が、投資とかコンサルティングの会社をやっているんだけど、あなたの話をしたら是非会いたいって言ってました」と言われ、気楽にOKしました。で、今週、その経営者とランチをしました。聞いてみると、コンサルティングというよりは、PE(プライベート・エクイティ)に注力しているようでした。モンゴルでPEやっている人がいるとは知らなかったので「実は私も20年前に日本でPEを始めましたが、その頃は誰もそんなことをやっている人もなく、仕事の意味すら理解されませんでした。」という話をしたら、いたく感銘してくれ、「是非、わが社に直接来て、わが社のことをいろいろ聞いて欲しい」と言われ、昨日の金曜日に行っていました。元々は金融系のコンサルティングから出発したようで、そちらの方では7-8年の経験があるようですが、企業買収などの投資は最近始めたばかりのようです。経営者はちょっとしたビッグファミリー出身の女性社長でした。一通りの会社についてのプレゼンテーションを行い、いろんな悩みを話してくれました。外国の投資家が「モンゴルで投資をしたい」と言っていたのが昨年夏頃までで、その後はほとんどパッタリなくなったそうです。モンゴルの国内投資家は「元本と固定配当を保証するなら投資するが、期間は1年だけ」とか無茶苦茶言ってるそうです。私が「そんな約束なんかしたら、あなたの企業グループなんて簡単に潰れちゃいますよ。」というと「やっぱり、そうですよね?断らないといけませんね。」と言ってました。それより何より、ファンドの基本的な仕組みすらわかってないようで、リスクを相当持ちながら、ビジネスモデルが仲介業プラスアルファ程度でしかないのにちょっと驚きました。私が、仕組みやフィーの取り方などを説明すると一生懸命メモし、「今度もっと詳しく教えてください」と言われました。おそらく何事も手探りでやっているのでしょう。PEという言葉だけ、何かで知って聞いてきているのかなと思いました。この会社の投資先にちょっと興味ある会社がありました。それはマイニング(鉱山開発)の会社です。私はもちろん鉱山会社のコンサルティングなど経験したことはありませんが、世界的な資源問題や、せっかくモンゴルに来ているということもあり、少しはマイニングの世界を勉強したいと思っていました。(姉妹ブログ「モンゴルから見える日本の資源外交」 http://blogs.yahoo.co.jp/uncle_summy/30974980.html 参照)彼女は、私がちょっとマイニングに興味ありそうに言うと「是非、その会社のことも見てください」と言います。まあ、私が見てもどうなるというものではありませんが、普通の日本企業とは全然違う世界があるようなので、ちょっとお付き合いしてみようかと思っています。こちらでの話を聞いていると、日本の大手鉱山会社が海外でやってることは、単なる買い付けでしかなく、開発はあまりやってないのではないか?と思えるほど、ビジネスモデルが違っているように思いました。まさに「山師」の世界です。日本の大企業はあくまでも、日本へ持ってきて日本のお客さんに資源を売るのが仕事だということなのでしょう。彼女は「今はとてもいいチャンスなんです。比較的安い価格で、開発ライセンスを取得できるのです。でも、問題は投資家がいないことです。海外はリーマンショック後はほとんどだめでした。」と嘆いていました。この他にも、投資先は農業関係(モンゴルでは農業はニュービジネスなのです!)やマイクロファイナンスの会社など、日本ではあまり見ることがない会社があるので、ちょっと興味を持っています。やはり、実際に企業の中に入って見てみないと、コンサルタントなんていってもなかなかわかるものではありません。彼女は、今週末から資金調達のためにアメリカへ行くそうです。彼女が帰ってきたら、多分もう少し具体的にいろんな会社の中身を知ることになりそうで、ちょっと楽しみです。こうして、モンゴルで企業経営者に時々会っていますが、段々理解が深まってくるような気がします。ですが、とても日本でやっていたようなコンサルティングの商売はできそうにはないですけど。まあ、日本の1970年代までは、似たような状況だったと思いますから、それはそんなもんなんでしょう。日本から突然現れた私のような人間にも興味を持ってくれる経営者が段々出てきたことの方が嬉しいです。
2009.04.25
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今日は、モンゴル企業の経営者と夕食をご一緒しました。こういう機会のほとんどは、友人のBさんのご紹介です。当たり前ですが、日本から来たモンゴル大学の先生にわざわざ会いたがる人はいませんから。ビジネスの世界は、学校とは全く別の世界であるのは、日本もモンゴルも同じです。今日お目にかかった方は、なんと社会主義時代に日本へ留学した人でした。今でこそ、たくさんの留学生が日本へ行きますが、当時はロシアや東欧が主流で、本当は日本へなんか行きたくはなかったそうです。当時は、年にたった2人しか日本への留学生はいなかったそうですが、今日本にいるモンゴル人留学生は1000人を超えているそうです。そういう社会主義時代と民主化後の変遷を直接経験された話は、結構面白かったです。友人のBさんをはじめ、現在の留学経験者のほとんどは民主化後ですから、現在のような自由な体制が当たり前みたいですが、やはり社会主義時代は全く違っていたようです。社会主義側の経験者から直接話を聞くのは初めてでした。日本に留学中は、「日本人と付き合うな」「勉強以外は、何もしてはいけない」などと強く言われ、少ない留学生同士、お互いを監視させていたんだそうです。まさに、見聞きした通りの話で、面白かったです。中国やロシアの話では良く出てきますが、さすがに社会主義国はどこも同じなんだなと思いました。そういう初期の留学組の人は、ほとんど偉くなっているようです。その頃の一緒だった(といっても毎年2人なので、前後合わせても知れてますが)留学生仲間は、現在は会社経営者や国会議員、官僚などになっているそうです。彼の展開してきた事業の話も、概ね「昔の留学経験者はやはり特別だったんだな」と思えるような話がいくつもありました。国内に数人しかいない上級通訳になり、それが縁で日本政府や企業の要人とパイプができ、日本政府からの借款とか投資の受け皿になり、どんどん大きくなっていったというわけです。建設会社を作れば、日本政府・企業がそこを使ってくれ、貿易会社を作れば、日本政府・企業がそこを通してくれる。日本人が増えてきたので、要人相手の日本料理屋をやれば、JICAや商社が使ってくれる、というわけです。そしてこれらの成功を基に、小売業、卸業、自動車ディーラーなどのローカルビジネスで、着々と地位を築いてきたと言えます。もちろん、今ではそんなビジネスがメインではないですが、こういうバックアップで大きく成長できたようです。まあ、途上国の典型的パターンともいえるかもしれません。ただ、こういう形で成功してきた人へのコンサルティングは、ほとんど無理だなと思いました。人脈や特別な資金の導入で大きくなってきているわけで、特段の競争上の優位性で伸びてきたわけではないのです。こういう第一世代の留学帰りの人たちが、ほとんど自動的に成功への切符を手に入れた後、第二世代(友人のBさんの世代?)は、もうちょっと起業家的なマインドで、人によっては成功を収めているようです。日本だけでも1000人もいる状況では、今の留学生は、留学したからといって自動的に成功するのは難しいでしょう。今後のビジネスこそは、本当に顧客にどう付加価値をつけるかという、ある意味先進国と同じ考え方で向かい合う必要が出てくるでしょう。さすがに日本留学組の先駆者の一人ということもあり、多くの後輩たちを纏め上げて行きたいという気持ちがあるようでした。そして、日本企業にもっとモンゴルへ来てほしいという気持ちもあるようでした。モンゴルでの現在の成功者は、大体こんな経緯で大きくなってきたのではないかと思います。これからの世代は、市場が小さいだけに、なかなかそんな風にはいかないだろうなと思いました。
2009.04.21
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今日(1日)はある企業グループへ行ってきました。やはり先生稼業よりは、ビジネスの現場を見る方が楽しいものです。先週のとある日に突然大学の私のオフィスに見覚えのある人が訪ねてきました。若くて(といっても30代)ちょっとハンサム系の男性です。「覚えていますか?」と聞かれて、はて、どこで会ったっけなと思いました。そして思い出しました。「ああー、私の歓迎会をやってくれた時にいた人ですね。」と言いました。彼は、このモンゴル国立大学修士課程を卒業し、その後いくつかの仕事を経て、今は経営コンサルタントをやっているのだそうです。(現在は博士過程でもあるそうです)実際には会社を持っているわけではなく、個人で契約方式で仕事を請け負っているのだと言ってました。その彼が今メインにしている仕事がTグループというモンゴルの新興企業グループです。新興と言ってますが、モンゴルは1992年に民主化したので、民間会社は古いと言っても1990年代半ばの会社ですから、そういう意味では皆新興企業です。純粋民間会社で社歴20年の会社はないのですから。ですので、モンゴル内では決して新興ではない大手企業グループです。以前(といっても6年も前ですが)、私が役員会で講演したことがあるMグループとはライバル関係にあるとも言えるでしょう。この2社以外に、あといくつかの財閥グループ的な企業があるようです。その彼が、突然訪ねて来て「わが社を見に来ないか?」と言うのです。私はもちろん喜んで「是非行きたいです」というと「じゃあ、これから行きましょう。」と言われました。この辺が、新興国の人たちは積極的というか、気が早いというか、いくらなんでも今言われてすぐには行けません。で、「では来週月曜日に迎えに参ります。」ということになって、今日がその日となりました。午後迎えの車でその会社へ行きました。ライバルM社もそうですが、モンゴルは人口250万人の人口が少ない国ということもあり、何か大きな基幹産業を持って発展しているというのではなく、多くは海外の有力な企業と提携してモンゴルで事業展開をするというパターンが多いです。早速本社内を案内してもらいました。このグループは10社以上の子会社群を持っており、どれも有力なパートナーを得ていました。まず目に入ったのがP&Gの製品群です。P&Gのディストリビューションをやっているとのことです。次は日本の富士フィルムです。このグループの最初のビジネスが富士フィルムとの仕事だったのだそうです。そこでの成功が今日につながっているのでしょう。さらに食品群もあります。ネスレとハインツという欧米のトップブランドを持っています。こう見てくると、かなり良いブランドと提携しているなと思いました。車もやっているということで、ディーラーへ連れて行ってもらいました。これまたヨーロッパトップのフォルクスワーゲンです。こちらでは、当然ですがゴルフとかジェッタはあまり人気がなく、人気はトゥアレグに集中しているそうです。モンゴルのSUV人気を見ればよくわかります。ちなみに、タイやも扱っていて、ブリヂストンと提携しているそうです。これらもかなり良い提携先です。これら以外にも有力な海外企業との提携先がありました。また、モンゴル最大手のH銀行や今のところのモンゴル最高級ホテルであるKホテルもグループ企業だそうです。わずか10年ほどで、よくこんなに成長したなと思うほどです。ま、これが新興国のいいところですけど。オフィス内も案内してもらいました。いつも見慣れている旧態依然とした大学や時々訪れるお役所と違って、オフィスはかなりモダンで格好いいです。少なくとも、オフィスの見た目、センスは日本の大企業よりはずっといいなと思いました。会議室のデザイン、オフィススペース、パソコンの配置などかなりすっきりしてきれいでした。ここだけ見れば、先進国のオフィスと全く変わらないです。案内してもらっている途中、日本の有名企業のコーナーもありました。ユニチャームとも提携しているそうです。ここの社長さんは、いい企業と手を組む力を持っているんだろうなと思いました。モンゴルでは、花王の存在感はゼロ。ライオンがほーんのちょっと。資生堂がデパートで少しだけ。ですが、ユニチャームは結構どこでも置いてありました。この会社の力によっるところだなというのがよくわかりました。他には、カシミヤのトップブランドと言われるG社も最近政府から買収したそうです。その工場へも行きました。工場内のショップというのがあって、結構賑わっていました。私たちが立ち寄った頃、「随分、セキュリティの人が多いな」と思って良く見たら、警察でした。なんでこんなに警察が・・・?しばらくすると黒塗りの車からSPとともにご婦人が現れました。聞けば、ポーランド大統領夫人だそうです。現在、大統領が来蒙中なのだそうです。で、写真を撮ってもいいかと警察に聞いたら、いいよというのでカメラを向けました。この中央で横を向いているご婦人が大統領夫人です。もっといいショットを撮ろうとしたら、同行の人と思われる人からダメ出しされて、諦めました。さすがに大統領夫人、一目でそれとわかる屈強そうなSPがついていました。更に、格闘家?とも思えるような大柄な女性SPもいました。私なんか、一発で吹っ飛ばされてしまいそうです。その後、工場へも案内してもらいました。昨年政府から買ったばかりということもあり、かなり老朽化していました。工場は古い機械が結構な数あって、多分稼働率は相当低そうに見えました。私がいくつか問題点と思われる部分を指摘すると、そのどれもが「その通りです」と言われるほどでした。この工場にはなんと1200人もの従業員がいるそうです。人口250万人の国での1200人は、かなり大きいです。グループ全体では6000人くらいが働いているそうです。こういう新財閥グループの雇用総数は相当なものになるだろうと思いました。恐らく、こことM社とあと数社だけで、全人口の1%くらいを雇用しているのでしょう。同じ比率比較は意味ないですが、日本で言えば数社で100万人の雇用?というイメージでしょうか?それだけ、こういうグループ企業はモンゴルの発展には欠かせない存在となっているのは事実だと思います。久しぶりに、いろいろ見て楽しかったです。それぞれのセクションでいろんな人を紹介してもらいましたが、さすがにこういう上り調子の企業だけあって、よく教育されたしっかりした人たちが多いなというのが印象です。これらの会社を含め、私にサポートできることがあるかどうか?彼は、私に関心を持ってもらって、このグループのことと彼が考えている新しいビジネスなどで何か手伝って欲しいようなことを言っていました。ま、モンゴルではこういうことは良くあるので、話が話しだけで終わるか、何かビジネスの現場で面白いことができるかは、まだまだ先の話でしょう。途中、海外出張中だと聞いていたCEOが帰ってきたばかりだとのところを偶然に会って、少しだけ立ち話をしました。大変オープンで魅力的な人に見えました。近いうちにまた会いましょうということになったので、私も「コンサルタントの虫」が疼いてきそうです。(笑)やっぱ大学教師よりはビジネス現場でのコンサルだよなー、なんて思ってしまいました。でも、言葉の問題は大きく、実際にはあまり期待はしていませんけど。
2008.12.02
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