あくびサンの、今日も本を読もう♪

あくびサンの、今日も本を読もう♪

2006/11/25
XML
カテゴリ: 小説・エッセイ
小学生のあすかは、11歳の誕生日に母の帰りを待っていた。
しかし、成績の悪いあすかを嫌い、優秀な兄ばかりを
可愛がる母は、いくら待っても帰ってこない。
泣き疲れて眠ったあすかの耳に届く、母と兄の笑い声。
そして、ふと漏らした母のひとこと。

「あすかなんて、生まなきゃよかったなあ」

その日、あすかは声を失った-。


TSUTAYAのポップや生協のチラシで、やたらと目に付いたこの作品。
宣伝されてるのはマンガ版でしたが、絵がどうも気に入らず。
でも「内容は気になるなぁ」と思ってたところへ
小説が目に留まりました。

元は児童文学で出版されてたんですね。それが子どもから大人へ、
小説からマンガへ…と広まり、大幅に加筆され大人向けの小説として
さらに出版されたそうです。
TSUTAYAにも、児童文学と両方置いてありましたが、
子ども向けはどこかのお子さんが購入した方がいいかな?とか、
せっかくだから加筆分のある方を…等と思い、大人向けを購入。
帯に「100万人の魂を泣かせた」とあり、アマノジャクな私は
「そんなんで泣くもんか!」と思ったのですが……泣かされました(T_T)

物語の核は、あすかを中心とした家族の崩壊と再生。
…って書くと少々大げさですが、のっけから兄の
「おまえ、生まれてこなきゃよかったよな。」
のセリフで始まるように、あすかは家族からのけ者にされています。
が、傷ついてさらに自分を傷つけ、ついに倒れたあすかを介抱するうち、
あすかの心の痛みに気付く兄。
あすかの失声に気付き、助けようとする担任や祖父母。
少しずつ味方が増え、あすかは強くなります。
そして、母の心にも深い傷があったことを知ります。

大人になってしまうと、価値観ってなかなか変われませんよね。
あすかの両親も自分の価値観が大事で、変わろうとはしない。
変われることにすら気付かない。

ここで母の側に登場する、何でもズバズバ言う年下の上司。
彼女が母の価値観やあすかへの虐待を厳しく非難することにより、
母に変化が訪れます。この人、子ども向けでは出てこなかったそうで、
確かに大事なこと話してたり物語をわかりやすく進めたりしてますが、
私には少々嘘くさくて、余計な存在のように感じられました。
現実世界じゃこんな都合のいい設定の人、いませんよね?

あすかの他にもいじめっ子・いじめられっ子や、養護学校の重度障害児、
人の生死に関わる問題まで広く描かれています。
広過ぎてそれも少し嘘っぽいですが(あすかの周囲ばかり色々あり過ぎ)、
主人公をあすか一人に絞ってるので、ま、しかたないか。
いろんな問題をギュッと濃縮して、一つの方向へと導いてくれる、
冷たくて暖かな心の物語だと思います。

今苦しんでいる子どもと大人に、この本のような“道”が
開けると良いのですが…。

ハッピーバースデー 著者:青木和雄・吉富多美
金の星社 2005年4月発行

↑左が今回紹介の大人向け、右が児童書版。
マンガ版は画像がありませんでした。


ブログランキングバナー





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/11/25 12:57:31 PM
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

あくびネコ

あくびネコ

Calendar

Favorite Blog

絶対もらえるキャン… New! ∂ネコの手∂さん

^-^◆ ニセ札事件の… New! 和活喜さん

🍇新作・長編歴史小… New! 神風スズキさん

4位&中日ビル あみりん9129さん

制作中です シュージローさん

こんな景色と暮らし… アイ・エスのタケシさん

Comments

やすじ2004 @ Re:娘、検査する(昨日の話)(11/27) New! こんにちは!! 紅葉が鮮やかに広がるお出…
サカエ @ Re:娘、検査する(昨日の話)(11/27) New! お世話になります。 ヨカッタ。 当家は娘…
神風スズキ @ Re:娘、検査する(昨日の話)(11/27) New! Good evening.  雨の長崎です。やや冷え…
くみ1 @ 11/27 New! こんにちは。 いつもありがとうございます…
空夢zone @ Re:娘、検査する(昨日の話)(11/27) New! 何もなくてほっとしましたね。 主人はがん…

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: