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2022年01月01日
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テーマ: 政治と経済(377)
カテゴリ: 経済
 日本は政府・自民党と日銀の手により、物価上昇の抑制に努めてきた。
 お陰様で、賃金は抑制され、物価は低位安定し、日銀が「黒田バズーカ」を放っても、消費者物価も賃金も微動だにしない、「売価引き上げは悪」とする消費者物価モラルが構築された。
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 日本経済はコロナ禍の凍結状態から解凍状態に移行しつつある。
 回復途上の日本経済がお上の手で「成長から分配へ」と賃金引き上げによる内需拡大を祈っている間に、米欧では加熱するインフレに対する批判、懸念が高まっている。
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FRB議長続投でも交代でもインフレは高進?
かんべえ(吉崎 達彦) : 双日総合研究所チーフエコノミスト
2021/11/20 東洋経済ONLINE
  …  (略)  …
 しかるに、よりストレートに政権の足を引っ張っているのが、昨今のアメリカ経済の物価高である。 10月の消費者物価指数は前年比6.2%増 となった。
 物価は前年比で表示するから、コロナ禍による需要減で物価が下がりぎみだった去年に比べれば、今年のデータが高めに出るのは当たり前。だから「インフレは一時的な現象」とFRB(連邦準備制度理事会)は説明し続けてきたわけだが、昨年10月のCPI(消費者物価)はすでに前年同月比で1.2%増となっていた。そこからさらに今年の10月は同6.2%増なのだから、さすがに「一時的」とは言えなくなってきた。
 中央銀行としてはとんだ「読み違え」で、 ジェローム・パウエル議長への信認が急に揺らぎ始めた。
  ―  引用終り  ―
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 記事では米国の物価高が止まらない理由として、個人消費の過熱、コロナからの回復過程で国際商品価格の上昇、労働コストの上昇の3点をあげている。
 日本ではコロナ対策費のバラマキを恐れた政府施策により「個人消費の過熱」は起きていないが、あとの2点は該当している。
 欧州では物価の上振れリスクを明確に認めるべきだとの声が高まっている。
 米国寄りとされるラガルド総裁とレーン専務理事は、それらの声を圧殺している。
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ECB理事会で激論
=関係筋
By Reuters Staff
2021年12月20日 Reuters
 複数の関係筋によると、先週の欧州中央銀行(ECB)理事会では、物価の上振れリスクを明確に認めるべきだとの声が理事会メンバーから上がったが、チーフエコノミストのレーン専務理事が反論するという異例の激しい討議となった。
 理事会では、かなりの数のメンバーがECBの予測の質に疑問を表明。過去に大幅な予測の修正を迫られたことなどを指摘し、来年末のインフレ率がECBの予測を上回るリスクがあると見方を示した。
 一部のメンバーからは、ECBスタッフの予測モデルが、新型コロナウイルスの流行という異例のショック要因に対応できていないのではないかとの声も出たという。
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 関係筋は 「かなりの数のメンバーが上振れリスクを認めるべきだと主張したが、レーン専務理事が押し切った。 長時間の討議の末、『小さな上振れリスク』があるとの認識で一致したように見えたが、声明にはそうした文言が全くなかった」と述べた。
 ラガルド総裁は理事会後の会見で記者からの質問に「ことによると、上振れリスクがあるかもしれない」と述べるにとどめた。
 関係筋は「われわれの討議の様子が声明にはほとんど反映されなかった」と発言。
  ―  引用終り  ―
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 2021年、食材、資材価格の上昇から、大手チェーンの安過ぎる牛丼価格が引き上げられた。
 牛丼を食べて暮らせる生活を実現できる程度の最低賃金の引き上げは、今後も続くだろうか。
 今後の内需拡大、出生率の向上は、明るい未来を信じられる状態、経済社会の構造にかかっているように思える。
 中国は不動産価格過熱の抑制など国内の経済格差抑制策の推進で経済成長が低下している。
 分配の適正化は、成長の成果の配分の適正化に言い換えられて、経済成長が前提とされ、中国経済の成長鈍化は日本経済の内需不足の構造を転換させる障害となりそうだ。
 マイナスを強く思い描きがちな日本は、主要先進国並みに「インフレの過熱」「物価の上振れリスク」を心配できるようになるだろうか。
 30年かけて先進国並みの賃金を新興国並みに下落させた日本社会は、容易に変わり身がはかれない。





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最終更新日  2022年01月01日 06時00分08秒
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