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2022年11月14日
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 老舗企業の「不正」報道が続いているが、中古車業界で急速な拡大を続けてきた、自称「日本最大」のビッグモーターの不正が暴かれた。
 企業が拡大すると法令順守(コンプライアンス)の重要性も高まる。ビッグモーターはコンプライアンスを高めることなく成長していった。
 ビッグモーターの不正の一件は、「ナンバー無し」の公道走行や保険金の不正請求をいつまでも続けられるほど、日本社会は腐ってはいないということだろう。
 そこそこ怪しい企業でないと、大きく業績を伸ばすことができない、停滞した経済環境ということの証左なのだろうか。
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「ナンバー未掲出」「保険金不正請求」が問題に!? 
世間が驚愕した実態とは
くるまのニュース 2022年11月2日
 自社のロゴ入りプレートをつけたまま公道を走行していたことが各地で発覚した業界最大手の中古車買取・販売店が、自動車保険不正請求(水増し請求)の疑いなどで再び話題となっています。元社員や関係業者などから得た証言をもとに、同社のお寒い実態について迫ります。
■中古車大手ビッグモーターの「ナンバー無し走行」は本当にナンバーがついてなかった!?
 今年2022年6月、業界最大手となる中古車買取・販売店「ビッグモーター」が、仮ナンバーやディーラーナンバーをつけず「ナンバー無し」で公道走行していたことがSNSなどで話題となっていました。
 そんなビッグモーターのナンバー無し走行に関し、筆者(加藤久美子)が記事を載せたところ、ビッグモーターの元従業員や、現在も外注先として修理をおこなう業者さんからの「生々しい」実態報告が相次いで寄せられています。
 ナンバー無し走行に関する情報のなかでももっとも衝撃的だったのは、数か月前までビッグモーターの従業員だったというAさんからの情報でした。
 筆者が書いた当時の記事では「ディーラーナンバー(臨時回送運行許可証)を取得しているけども、いちいち付け替えるのが面倒なので、車内に保管していたのでは」「ビッグモーターのような大手がナンバー無しで公道を走ることはさすがにないでしょう」というスタンスだったのですが、実はそうではありませんでした。
 元従業員のAさんは次のように証言します。
 「ビッグモーターはディーラーナンバーなんてそもそも取得してないですよ。全国300店舗のうち、ほとんどが取得してないと思います」
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 衝撃の一文から始まる情報提供者であるAさんとはその後、電話でお話ができました。またほかにも同様の情報提供を、同業者である中古車販売店 B店からも届きました。
 B店の関係者はいいます。
 「ナンバー無し(ロゴが入ったいわゆる“化粧プレート”のみの状態)での回送は、入社して間もない新人にやらせるのです。まだちゃんと接客ができないような営業の新人です。
 彼らは本当にクルマの登録に関する知識などほぼゼロで入ってきます。公道を走るのにナンバープレートが必要ということも知らない可能性があります。
 化粧プレートを付けておけば大丈夫だって言われた新人もいますよ。それを真に受けている若者もどうかと思います。
 確かに運転免許を取得していても、自動車教習所では仮ナンバーやディーラーナンバーの取得方法なんてことは教えてくれません」
 また前出のAさんも以下のように明かします。
 「誰かに何か聞かれたら『大丈夫です。ちゃんと手続きしていますので』と言って逃げろといわれていました。
 テレビCMも盛んにやっていて“日本最大”とかアピールしており、全国規模の大きな会社ではあるのですが、信じられないくらいコンプライアンス(法令順守)の意識が低いんです。低いというよりそもそも知らない。つまり、ゼロかもしれません。
 そもそも忙しくて、上司が新人にナンバーの重要性を教えるヒマもないんです。もちろん、なかにはまともな店舗も存在するかもしれません」
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■中古車大手ビッグモーターがおこなった「保険金の不正請求」の実態とは
 また2022年8月には、 保険金不正請求(水増し請求)についての報道もありました。「修理する予定のない見積もりを出して、修理代金を受け取る」「本来保険の範囲では支払われない修理を外注先に要求する」 ことなどがこれに相当します。
 なお、保険会社が見積もりとして認めた修理費用を、実際には修理をせずお金だけを受け取ることは違法ではありません。保険金を使って修理するのか、それとも修理をせずそのまま使用を続けるのかは、ユーザー自身の自由だからです。
 しかし、中古車最大手ビッグモーターの場合は、実際には事故で損傷を受けていない部分の修理代金を見積もりのなかに入れているといいます。
 例えば実際は30万円の修理代なのに、水増しの架空請求で70万円から80万円を申請していたようなケースが、保険会社などの調査で数多く見つかっています。
 大きな修理となると、通常は保険会社のアジャスター(保険事故の損害調査業務をおこなう担当者)が実際の事故車両を確認に来ます。しかしビッグモーターの場合は違っていました。
 損保会社関係者のCさんはこう話します。
 「保険会社の提携工場や指定工場となっている場合は、どの保険会社でもアジャスターが確認に行くことはありません。修理予定箇所の写真を送るだけでことが済みます。つまり、見積もりが通って保険金が支払われる、ということです。写真ではわからないような修理箇所をねつ造し、『衝撃を受けた際、ドアパネルや天井部分の内側にゆがみが発生しているので、修理が必要』などと説明して見積もりを出せば通っていました」
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■数々の不正請求に対し保険会社は早くも対策を講じていた
 また、これも不当請求に該当する事案ですが、ビッグモーターの外注で板金塗装をおこなっている工場経営者のDさんからも驚きの報告がありました。
 Dさんからの報告は以下のとおりです。
 「営業から外注先への個人的接触は禁止されているはずですが、営業Eさんから個人的にLINEが来ました。個々人的な依頼で、Eさん所有車を保険で修理してくれという内容でした。しかも、保険で修理できる部分とは全く関係ない箇所を『保険請求に入れて修理してくれ』と要求されたのです。ぶつけた箇所とは全く関係ない、ほぼ全塗装に近い修理で明らかに不当な請求です。
 ずいぶん悩みましたが、弊社に対する外注が始まったばかりの頃で、うちも細々とやっている小さな工場ですし、ビッグモーターのような大きな会社からの圧には勝てず、仕方なく要求をのんで施工し、車両はEさんに返却しました。
 受託した保険修理業務以外に、外注先へ保険会社への過剰請求・保険外部分修理を要求するのは不法行為です。外注先に対する保険会社の信頼を失墜させかねない行為です」
※ ※ ※
 なおいくつかの保険会社は、独自の調査によって続々とビッグモーターとの関係を断つ方向に動き始めたようです。
 その一例が「提携工場や指定工場」の契約解除です。
 事故や故障でロードサービスを利用する際、入庫する工場が決まっていない場合に、保険会社から保険契約者に最寄りの工場を紹介することがあります。
 そこで紹介されるのが保険会社の提携工場です。提携工場に入庫した場合は代車の無料提供、修理費の割引や修理箇所の保証などの特典を用意している保険会社もあります。
 かつて多くの損保会社がビッグモーターを提携(指定)工場にしていましたが、数々の不正行為が発覚してからは次々とリストから名前が消えています。
 ビッグモーターの新卒採用サイトでは「中古車業界トップクラスのネットワークで指定工場数日本一!」と記載されていますが、主 な損保会社を調べたところ、10月末現在、ネット型保険会社一社の指定工場リストに、かろうじてビッグモーターの名前を見つけることができるのみでした。
  ―  引用終り  ―
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 社外の法令が順守されない会社では、働き方などの社内のことについても法令が順守されない。
 様々の膿が出されたら、業績は他の企業並みになるのだろうか。

 ビッグモーターは、1976年1月、山口県岩国市に「兼重オートセンター」として創業。
 1978年5月、株式会社に改組し法人化(設立)。
 1980年2月、社名を「株式会社ビッグモーター」に変更。
 2005年4月、関西地区の老舗の中古車ディーラーである「ハナテン」(本社:大阪市城東区)に資本参加し、グループ傘下とする。
 2013年1月、株式会社ビッグ四国・株式会社ビッグ九州・株式会社ビッグアシスト(100%出資子会社)3社を吸収合併。
 2013年10月、フランチャイズ店舗を除くハナテン直営店舗の店名を「8710」(ハナテン)から「BIGMOTOR」に変更。
 2016年1月、株式等売渡請求によりハナテンを完全子会社化。
2016年3月1日、ハナテンのフランチャイズ全店舗を「ビッグモーター」に転換し、ハナテンが消滅。





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最終更新日  2022年11月14日 16時00分07秒
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