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2023年11月12日
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テーマ: 電気自動車(301)
カテゴリ: 自動車
 争点の一つが工数が少なく雇用を脅かす可能性が多分に考えられるEV関連の業務だった。
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―米自動車労使
2023年10月31日 時事通信
  …  (略)  …
 ただ、歴史的勝利はもろ刃の剣でもある。 米メディアによると、給与や各種手当を含めた従業員1人の時間当たり人件費は合意を受け、約30%増の76~78ドル(約1万1300~1万1600円)に膨らむ。一方、トヨタなど外国勢は45~60ドル程度。ビッグスリーは競合と比べかなり重いコストを抱えることになる。
 また、3社はEVシフトに向け、エンジン車の販売で得た収益を開発や設備投資に振り向ける方針だが、原資は減りそうだ。合意には、各社が電池メーカーとの合弁で整備しているEV用電池工場の従業員も協約対象に含めることが盛り込まれた。EVの製造コスト増大も懸念される。
 米EV市場は米テスラが5~6割のシェアを握る独走状態。3社はテスラと戦える低価格EVの開発を急ぐが、「EV市場での競争力は大きくそがれる」(米調査会社アナリスト)との見方が出ている。
◇影響拡大に懸念
 影響の広がりを懸念する声も上がる。日系メーカーの関係者は「現地従業員の賃上げを求める声が確実に強まる」と警戒する。米国では新車の平均価格が4万8000ドル(約717万円)を超え、3年間で約25%上昇した。ビッグスリー以外のメーカーにも賃上げが広がれば、業界全体で車両価格がさらに上昇する可能性がある。
  ー  引用終わり  ー
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 UAW(全米自動車労働組合)は米国内の日系組立工場を組織化できていない。日系自動車メーカーは現地化を着実にすすめ、米国内での日系メーカーの生産・販売比率は高まるばかりだ。デトロイト3との労働諸条件の合意内容が、日系メーカーに影響を与えるのは当然といえる。十分こたえられなければ、UAWによる従業員の組織化が進むことになるからだ。
 補助金の給付条件とともに、燃えやすい現行のBEVは3度、大規模なPCC船内で火災を起こしたことにより、海上輸送の日受け手が減少している。当面の間、EV生産の現地化がすすめられると思われるので、これらの決定により、低コスト・低価格のEVの輸出攻勢がすすむとは限らない。
 古くからの従業員の労働条件が高く、「リーマンショック」以降に採用された新しい従業員の労働条件が低い状態も是正される。多くの従業員の労働条件が向上する中に、退職給付の条件向上も含まれ、デトロイト3のなかでもGMの負担が大きい理由とされる。
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時間給従業員の賃上げなど
2023年11月6日 ロイター
 全米自動車労働組合(UAW)は、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と暫定合意した労働協約について、電気自動車(EV)関連の投資計画や、車両組み立てより賃金が安い部門で働く数千人の時間給労働者の賃上げが含まれていることを明らかにした。
 UAWは10月30日にGMとの労使交渉で暫定合意に達していた。協約期間は4年半で、今回追加で詳細を発表した。
 協約の主な金銭的条件はフォードとクライスラーの親会社ステランティスと合意した内容に沿っており、フルタイム従業員の基本給を25%引き上げ、新たに交渉された 生活費手当を含めると引き上げ幅が33% に達する可能性がある。
派遣労働者がフルタイム従業員に従来より早くなることができ、賃金を即座に約50%引き上げることを可能にした。
 GMの部品工場や保守部品倉庫、同社が「サブシステム」と呼ぶ業務で働く7000人以上の労働者にも、完成車工場の従業員に支払われる高い賃金水準を適用する。
  ー  引用終わり  ー
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 あらかじめ計画されていた中国での増産が見込み薄となった現在、ヨーロッパでの増産はテスラにとって重要性を増している。
 ドイツの主要自動車メーカーは、ドイツのみならず世界最大の労働組合であるIGメタルと労働協約を結んでいる。
 ドイツで職業学校を卒業した若者は、ほぼ全員がIGメタルの組合員となる。IGメタルは産業別労働組合であり企業別ではないため、IGメタルの統一的な方針の下で、各企業で労使交渉を行う。IGメタルの組合員は、ある企業で失業したとしても、IGメタルの斡旋により他の企業に再就職することが可能。
 UAWの労働条件向上の成果がドイツでの労働条件向上の経営判断に影響することは想像できる。ドイツのテスラの組立工場の労働条件が向上した。
 IGメタルは、他の自動車メーカーと比べて大きく労働条件が劣るドイツ・テスラとの他の自動車メーカーと同等水準の労働協約締結に向けて、強力に動くことだろう。
 ドイツでは法律で「監査役会」に従業員との仲介者として従業員代表が参加することが義務付けられている。
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=WSJ
2023年11月6日 ロイター
 米電気自動車(EV) 大手テスラのドイツ経営陣は先週、従業員1万1000人に対し、11月から4%の賃上げを行う と通知した。5日付米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。労組はこれまで、同社の賃金が業界の平均を下回っていると訴えていた。
 また、関係筋が同紙に明かしたところによると、テスラはドイツの従業員に対し、 12月にインフレ手当として1500ユーロ(1609ドル)を支給するとともに、来年2月からは2500ユーロの追加賃上げを実施する 見通し。
 同社は10月、昨年に6%の賃上げを行ったとしたうえで、今月従業員に賃上げ幅を通知すると発表していた。
 ドイツ最大の労働組合である 金属産業労組(IGメタル)はこれまで、テスラの賃金は団体協約で提示されている額を20%前後下回っていると指摘 していた。テスラは他の独自動車メーカーと異なり、賃金を規定する団体協約が存在しない。
  ー  引用終わり  ー
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 内燃機関を利用する自動車に比べて製造原価が著しく高いEVを、安く売るために従業員の労働条件を低く抑え込む試みは先進国では成功しなかった。
 途上国である中国、なかでもBYDと、円安で決算書上の利益が大きく増えた日本の自動車メーカーでどうなるか、今後の展開に注目したい。
 韓国の現代・起亜グループは、従前と同様、日中に関係なく、先進国の労働条件を引き合いに出して給与の引き上げをすすめることだろう。









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最終更新日  2023年11月12日 06時00分11秒
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