SAC.COM

2023年11月13日
XML
テーマ: 電気自動車(301)
カテゴリ: 自動車
 日本の自動車の産業構造を心得ない経済評論家、自動車評論家による「日本はEVで世界に出遅れている」、「このままでは家電の二の舞になる」などの妄言をよそに、中国のEVメーカーが経営不振で次々と姿を消す中、トヨタは最高益を更新。
 欧米のEV推進論者のステレオタイプとなることなく、彼らが自ら勉強しているなら、最大新車市場である中国での現地生産からの早期撤退が大事であることを指摘するだろう。
     ​
白木真紀、久保信博
2023年11月1日 ロイター
  トヨタ自動車は1日、2024年3月期の連結業績予想(国際会計基準)を上方修正し、 営業利益を3兆円から前年比65.1%増の4兆5000億円に引き上げた 。円安が1兆1800億円押し上げ、もともと最高益だった見通しが大きく上振れる。
 IBESがまとめたアナリスト24人による予想平均値4兆0111億円を上回った。
 売上収益は38兆円から同15.7%増の43兆円に、純利益は2兆5800億円から同661.1%増の3兆9500億円に上方修正した。
 通期の世界販売計画は1138万台のまま据え置いたが、資材高騰が収まりつつあること、自動車の値上げなども営業増益に寄与する。
 会見した宮崎洋一副社長は、通期の生産計画1010万台を維持したものの、「少し上目で来られている」と述べ、上振れる可能性を示唆した。一方、中国経済の低迷がタイなど他の市場に波及するリスクにも言及した。
前提為替レートは1ドル=125円から141円 に、1ユーロ=135円から152円に見直した。
     ​
 電動車の販売見通しは、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車を積み増し、384万3000台から386万8000台に引き上げた。 電気自動車は競争が激化する中国市場での苦戦を反映し、20万2000台から12万3000台に減らした
 トヨタはこの日、1000億円を上限とする自社株買いも発表した。
 23年4.─9月期の連結営業利益は、前年同期比2.2倍の2兆5592億円だった。売上収益は同24.1%増の2兆9816億円、純利益は同2.2倍の2兆5894億円だった。
 半導体不足が改善し、自動車の生産と販売が回復した。円安も寄与した。
  ー  引用終わり  ー
     ​
 自社株買いは、環境対応で益々長期的取り組みが重要となる環境下で、短期的収益を求める者に大きく左右されない経営を目指すことが理由であろう。
 2022年のEV生産の増強に励んだ主なメーカーの決算をみても、現行のBEVでの投資だけをすすめることは企業の存続を揺るがす。
 トヨタは、ガソリン車並みの実用性を有する次世代BEVの核の一つとなる、全固体電池の量産・実用化に世界に先駆けて取り組んでいる。
 10月12日、トヨタの佐藤恒治社長は、トヨタと出光興産が実用化に向け協業して取り組む全固体電池について、「2027年~28年には全固体電池を実用化させ、トヨタが発売する電気自動車(EV)に搭載する」と共同会見で語った。
 コスト見込みのから、高性能な全固体電池だけが次世代BEVの決め手ではないことも先に明らかにしている。
 トヨタの2023年の生産状況は、「EV取組の遅れが何か」と言わんばかりの増産加速傾向が続いている。その中にはヨーロッパの自動車メーカーが得意ではない、BYD以外の中国自動車メーカーが得意ではない、環境負荷が低い量産ハイブリッド車が含まれている。
     ​
…豊田章男会長「これからも一台一台大切に」
 2023年11月6日 読売新聞
 トヨタ自動車は6日、累計の世界生産台数が9月末時点で3億台を突破したと発表した。前身の豊田自動織機製作所自動車部が1935年8月に「G1型トラック」を生産して以来、88年2か月かけて達成した。 国内の自動車メーカーで3億台超えは初めて
 9月末の生産台数の内訳は、国内が1億8052万台、海外が1億1960万台。このうち最も生産台数の多い車種はカローラで、シリーズの累計台数は約5340万台に上る。
 1億台を突破したのは97年1月で、61年6か月かかった。続く2億台は15年5か月後の2012年6月だった。そこから約11年で3億台に達しており、生産ペースの加速傾向が続いている。23年度は世界で1010万台を製造する計画だ。
  ー  引用終わり  ー
     ​
 経済評論家、アナリストも人気商売なので流行に合わせた発言をするのは理解するものの、企業が存続するためのポイントをつかんだ発言をしても良いと思う。自分たちの見解と違うから、トヨタがEV取組の遅れを言い訳しているかのような表現ばかりが目立つ。自動車や運転が好きではないので、自動車メーカなど滅びてもっと少なくなれば効率がいいと思っているのだろう。
     ​
 ゴールドマンサックスで巨額を取り仕切ったディーラーが、大量に職を失った。AIが得意なのは大量の情報に基づく判断業務であり、医者の診断や弁護士の法律の判断あたり。
 経済評論家やアナリストは、彼ら自身がAIにより真っ先に不要となる仕事に取り組んでいることに気が付いていないから、「EVに関してトヨタは遅れている、将来が危うい」といった見解に終始するのだろう。彼らは自分が衆愚の一員であることに全く気が付ていない。
     ​

…「世界最大の自動車輸出国」が日本から中国に変わった根本原因
2023年11月6日  プレジデントオンライン
■モビリティショーでひときわ際立ったBYDの展示
 10月25日、“ジャパンモビリティショー”の報道向け公開が開催された。出展企業の中で存在感が際立ったのは、中国の“比亜迪(BYD)”だ。「EVで世界の温度を1℃下げるのがBYDのビジョン」と、日本法人の劉学亮(りゅうがくりょう)社長は強く訴えた。EVの一点集中で高い成長を目指すとのメッセージは明瞭だ。
 一方、トヨタや日産をはじめ国内の大手自動車メーカーは、“全方位型”の戦略を進めると改めて表明した。エンジン車、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)、EV、そしてFCV(燃料電池車)のすべてをプロダクト・ポートフォリオに収める。
 また、居住空間としての自動車、空飛ぶ自動車など、多種多様な移動=モビリティの手段を提供する。電動化を加速するため、全固体電池などの研究開発も強化する。いずれも“EVで業績を拡大する”というメッセージではない。各社共通して、HVなどエンジンを搭載した自動車の製造技術への依存の高さがうかがえた。
 この状況が続くと、BYDやテスラなどと、わが国の自動車メーカーのEV競争力の差は拡大するだろう。EVの出遅れによって業績が伸び悩めば、全固体電池など次世代技術の研究開発の強化も難しくなるだろう。展開次第でわが国の自動車が、家電産業の二の舞になる恐れは増しそうだ。実際にショーを訪問し、それほどBYDの存在感は際立った。
  ー  引用終わり  ー
     ​
 一年たったら、上の記事を書いた真壁 昭夫
多摩大学特別招聘教授は全然違うことを言っているのだろう。企業経営、特に大規模場装置を要する製造業は「短期間最適」の積み重ねでは継続しない。プロ経営者と呼ばれる再建請負人の経営が長続きしない例はよく目にする。
 優秀な日本の電機業界は「先進的なGEの経営手法」に倣って利が薄く競合が激しい家電などの分野から次々と遠ざかり、「選択と集中」をすすめた結果、経営が不安定となり、東芝のように不正塗れとなり解体されたり、シャープのように外資の手に渡った。そのような未来図は、製造業トップ、自動車産業トップのトヨタ経営陣の明晰な判断により日本の自動車業界では描かれないだろう。
​ 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023年11月13日 06時00分11秒
コメント(1) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

Ta152R

Ta152R


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: