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2017.12.09
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~岩波ジュニア新書、2017年~


 池上先生が岩波ジュニア新書から刊行している「たどる」シリーズ第4弾です。今回は、イギリス史がテーマです。
 既刊は、次の3冊です。
『パスタでたどるイタリア史』2011年
『お菓子でたどるフランス史』2013年
『森と山と川でたどるドイツ史』2015年
 本書の構成は次のとおりです。

―――
はじめに
第1章 乱立する王国―アングロ・サクソン諸王からエドワード証聖王まで
第2章 フランス語を話す「帝国」の王たち―ウィリアム1世からジョン欠地王まで
第3章 法律・議会・立憲君主―ヘンリ3世からヘンリ7世まで
第4章 絶対主義の確立とルネサンス―ヘンリ8世からジェームズ1世まで
第5章 革命のもたらしたもの―チャールズ1世からジョージ3世まで
第6章 大英帝国の建設―ジョージ4世からエドワード7世まで
第7章 メディアと伴走する大衆王―ジョージ5世からエリザベス2世まで
あとがき

イギリス王室の家系図
イギリス史年表
―――

 王様でたどる歴史ということで、なんとなく教科書的なイメージがわくかもしれませんが、本書は「イギリスの歴史に一貫して流れる文化や心性の特徴を……王様たちを通してあぶり出してみ」(ix頁)ようとする試みで、王様の歴史だけでなく、各所で一般の国民の状況や社会・文化的な状況などにも言及があり、とても興味深く読み進めることができました。

 たとえば文化面では、第2章ではアーサー王伝説、第3章ではロビン・フッド伝説、第6章では推理小説に言及があります。

 本書の中で特に興味深かったのは、イギリス料理が不味いとされる理由を、歴史的に考えている部分です。それによれば、第一のきっかけは宗教改革によるとされます。ピューリタン(清教徒)は、たとえば「おいしそうな食事は悪魔の罠なので目にすべきではなく、貧者の粗食を食べるようにすれば地獄堕ちから免れる」といったような説教を聞かされ、食事への関心をなくしていったと思われます。第二のきっかけとしては、ヴィクトリア朝時代の中産階級の食への態度が挙げられます。彼らは快楽を表に出すことにナーバスになり、お金を貯めるものの、周りに群がる貧者たちに配慮し、せめて食べ物は粗食にすることで、罪悪感を払おうとしたのではないか、と指摘されます。食に快楽を見いだすことを堕落と考え、育児書でも、離乳食はまずくあるべきと書かれていたそうです。このあたりの背景にふれられたのが良かったです。

 簡単なメモだけですが、このあたりで。

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Last updated  2017.12.09 13:06:03
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Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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