黒田研二『硝子細工のマトリョーシカ』
~講談社ノベルス、 2001
年~
黒田研二さんによるノンシリーズの長編です。
歌織さんが手掛けた生放送ミステリードラマ「マトリョーシカ」が放送される夜。晋太郎さんのもとに、脅迫電話がかかってきます。歌織さんに毒をしかけた、というものでした。そしてドラマでは、歌織さんが倒れるシーンが流れます。
あわててスタジオを訪れた晋太郎さんですが、実際に歌織さんは毒を飲んだとのこと。ドラマの作中作の中でも毒を飲むことになっており、虚構と現実が入り交じり、混乱してきます。
歌織さんが生放送にこだわった理由とは。そして、過去の女優の死亡、それを追った晋太郎さんの弟の自殺、歌織さんの元恋人の不可解な死の真相とは。
タイトルの「マトリョーシカ」のとおり、入れ子構造になったドラマの中での事件と現実の事件とが錯綜します。上の紹介では簡単にしか書きませんでしたが、歌織さんの元恋人は自室のカギを飲み込んだ状態で、密室状況の中、全裸で転落するという奇妙な死をとげていて、このあたりの謎解きも興味深いです。
(2021.06.25 読了 )
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