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2010.03.05
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カテゴリ: 亡父のこと
 学生時代は漱石作品の一部を愛読していました。大学受験当日は、

「我輩は猫である」を携帯して行き、心を落ち着かせるにようにしました。

表紙の中央部分に金色の猫形を彫り、特殊な材で拵えた単行本でしたが、

世を超越したような人物たちの会話の妙味が受験への緊張を解してくれたことは事実です。

漱石作品には先の3部作(三四郎、それから、門)や後の3部作(彼岸過迄、こころ、行人)

など数知れないほどありますが、わけても好きなのは「夢十夜」。

その第一夜は、瓜実顔の黒髪の女性がもう死にます、死んだら埋めて下さい、大きな真珠貝で穴掘って。

また逢いにきますから、わたしのお墓の傍に座って百年待って居て下さい、きっと逢いに来ますから。

それを約束すると、それまで黒い瞳に映っていた自分の姿が消え、女の瞳が閉じられた。

長い睫の間から涙が頬へ垂れた。---もう死んで居た。

庭へ下りて大きな滑らかな縁の鋭い真珠貝で穴を掘った。月光が貝を光らせた。

地上に落ちた星の破片(カケ)で女の盛土の上に立てた。それから延々、百年間女性を待ち続けた。

女に騙されたのかも知れないと思った頃、墓土から青い茎が伸び、蕾をつけ、百合の花びらも開いた。

首を前に出して冷たい露の滴る白い花びらに接吻して空を見上げたら、明けの星がたった一つ輝いていた。

文章は要約して綴りましたが、内容は上のようなロマンに満ちたものでした。

この夢十夜には、悟りが開けず苦悶する武士の話、背負った子供が昔殺めた盲人だった話、

手拭が蛇になると念じる爺さんの話、生け捕りにされた話、仁王彫りの名人運慶を真似る話、

果てしなく西へ進む大船から海を飛び込む話、床屋の話、

とうの昔に殺されている父を待つ子とその母親の話、そして十夜目は、崖っ淵で無尽蔵の豚をステッキで叩き落とす庄太郎の話。

が載っています。漱石のこの本は文鳥・永日小品・夢十夜の3つから成って居て、春陽堂の大正13年ものの85版で値63銭とあります。





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Last updated  2010.03.05 13:23:10
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