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「もやしもん」はもやし屋の息子が菌が見えると言う特殊能力を持っていて、大学の農学部に進学し、あれこれと事件に巻き込まれながら活躍する漫画である。同じ職場の若い人に見せたら、「これ、面白い!」少々あり得ない!ような話もあるのだが、もう少しトリビア的に見られたらな、と思う。
農学部の卒業生として甘く辛く書いてみたい。そもそも、農学部と言う学部は、国公立にはほとんどある(若干の例外がある。大阪大学など)が、私立大学には数えるほどしかない。やはり、土地が必要だと言うことだろう。演習林ともなると大変だ。山一つと言う単位で必要なのである。だから大学の中に演習林があるとしたらよほど大きな敷地か山の中の大学と言うことになる。
現在は、学科の呼称がすっかり変わってしまったが、農学科、林学科、農業工学科、農芸化学科、農業経済学科、畜産学科などはだいたいどこにでもあった。この呼び方の方がイメージがつかみやすいと思う。
しかし、おしなべていうなら、農学部と言うのが一番近いのは家庭科ではないかと思う。料理、栄養、耕耘、播種、或いは繊維、木材、などと言ったら実に普遍的なテーマである。戦後、食糧増産の時期に多くの新制大学が造られたから、当たり前と言えば当たり前だが、今はほとんどを輸入に頼っている。山は荒れ、中国産ギョウザの事件も記憶に新しいところだ。何よりも食糧自給率は40%を割り込み、輸入が出来なくなったら食えなくなるのだ。さらに、運搬にも石油を使うと言うムダぶりだ。
さて、エスキモーの食品の話が出てくる。アザラシの腹に鳥を詰めて発酵させると言う食品だ。これを土に埋めて発酵するのを待つと言うのだが、およそ発酵も腐敗も根本は同じ。人間に有益なものを作るのが発酵で、有害なものが出来れば腐敗と言う。およそ手前勝手な表現なのである。しかし、エスキモーの住むところと日本を微生物的に同一視することは出来ないので、漫画の限界なのだが、こんなものを国外から持ち込もうとしたら厳しい検疫が待っている。
微生物と言うのは、早い者勝ちで増える。仲間を増やしてしまえば、他の微生物は成育できなくなることもある。納豆が腐敗しない道理だ。ところが、例えば酒になると活躍する微生物が入れ代わっていく。麹菌がまず生え、デンプンから糖が出来たところで酵母が活躍してアルコールを造り、そのアルコールで酵母が死んだ後は乳酸菌がはえる。その調整をするのが杜氏の仕事だ。
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