SALT OF THE EARTH

SALT OF THE EARTH

2009/09/14
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カテゴリ: 読・聴・観
行方不明になった息子が発見された・・・だが、それは別人だった・・・
という謎と、アンジェリーナ・ジョリー主演というのだけが気になって見たいと思っていた映画。
正直言って、アンジーの華やかな風貌が1920年代という時代背景にマッチしないのでは、と思っていたし、ストーリーも単なるミステリーかホラーの類だと思っていた。

ところがこれは実話だった。ホラーより遙かに恐ろしい実話・・・
ストーリーそのもののネタバレになるべくならないように、
またこの映画に対する感想の多くが「母親の強さ、愛情の深さ」等であるのとは、
ちょっと別の角度から書いてみようと思う。

前日に見た「戦場のメロディ」に続き、この映画でも「絞首刑」を見る羽目になったのはちょっとしたショックだった。
娘を妊娠中初期に「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を一人で映画館に観に行き「絞首刑」シーンがあって、かなりショックを受けた以来の衝撃かもしれない・・・
ちなみに「ダンサー・・・」も「チェンジリング」も処刑の場に関係者が立ち会っていた。
時代背景は違うもののどちらもアメリカ(「ダンサー・・・」はフィクションだが)の話で、処刑には関係者が立ち会っていたのが、
更にショックだった。
立会は現在でも許可される場合があるらしい、ひっそりと刑が執行される日本と大違いのようである。
なお、現在も日本での死刑の方法は絞首刑だそうだ。
(参考: 日本における死刑 気の弱い人は読まない方がよいと思う)
アンジー扮するクリスティンはこの場面に立ち会うのだが、目をそらすことなく淡々と見ている。

そして、この死刑に至るまでに当然裁判があって、陪審員たちが遺棄された死体の写真などを見るシーンが短いが出てくる。
これも日本で始まった裁判員制度を思い起こした。
日頃、私自身も殺人者を害虫呼ばわりで「駆除しろ(死刑にしろ)」などと言っているが感情で言うは易し、実際に人を裁く側になるということはどれほど荷の重いことかと思ってしまう。

また、クリスティンが有無を言わさず異常者扱いされ、
精神病院に入れられてしまう恐ろしさは、最近もあった冤罪事件を思い起こす。
あるいは「戦場のメロディ」で処刑された日本兵の姿…
何を言っても信じてもらえず、一市民が大きな力によって抹殺されてしまう恐ろしさ。
しかしまた、それを訴え戦おうとする力もあった。
腐敗した権力を訴えるラジオ演説をしている牧師(ジョン・マルコビッチだったのか!)の存在。
「戦場のメロディ」では僧侶・加賀尾氏の存在が重要であった。
宗教、信仰の力というものも考えた。

実際の陰惨な事件、腐敗した権力、気持を暗くする犯罪が続くが、あくまでも淡々としている。
アンジーは美しいが華やかさは一切物語の邪魔をしていなかった。
「権力と闘う母親」なんていうとハリウッド的、アメリカ人の好きな英雄モノ、と思いがちだが、あの鼻につく盛り上がりもない。
そして見終わって「いい映画を見た」とじわっときた。監督は誰かと思ったら・・・

クリント・イーストウッド!
彼はやはり素晴らしい。知らずに見てよかったと思う。






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Last updated  2009/09/15 12:33:39 AM
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Comments

slash555@ Re[1]:介助犬の立場(09/09) 優遊悠さん 最近はツイッターに移行し、…
優遊悠@ Re:介助犬の立場(09/09) このような記事を書いて下さり、ありがと…
マイコ3703 @ Blogを拝見させて頂きました(*^^*) ふむふむ!と私にもあるある!と感じてし…
いぶら @ Re:危うい年代(02/26) 姐さんご無沙汰。っていっても他で話して…
slash555@ Re[1]:重い日だった(02/01) 七詩さん 後日知りましたが、後藤さんは…

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