January 3, 2011
XML
カテゴリ: 映画
年末年始はできるだけ映画館で映画を観るようにしている。

映画館で観る映画を選択するとき、まず考えるのは映画館で観なければ価値がわからないと思われる映画であり、ソフト化されていない作品であり、レンタルでじゅうぶんと思われる映画を除外することだ。

そもそもハリウッド映画は2回観るように作られている。2回観ても楽しめるというか、2回目であちこちの仕掛けがわかるように、わざとテンポが速く作られている。

逆に言えば、2回観ればじゅうぶんというか、それ以上の発見はない。「戦艦ポチョムキン」や「七人の侍」なら10回観ても発見があるだろうが、万人向けのエンタテイメントとして底の浅い映画として作られている。そういう映画はレンタルでじゅうぶんだ。

そうすると映画館で観るべき映画は、どうしても「重たく」「暗く」「長い」ものが多くなる。この映画は「映画館で観なければ価値がわからない」どころか、60インチ程度の「小型液晶画面」ではワケがわからない映画であり、最後まで画面に集中できる人はまず皆無だろう。

「エンター・ザ・ボイド」は「虚無への入り口」とでも訳すのだろう。意味深なタイトルはボイドという店の名前にひっかけていることが映画を観るとわかるのだが、輪廻転生をも意味している。

東京を舞台にしたこの映画、いったいどうやって撮影したのだろうと想像もできない映像が続く。麻薬密売人の男があっけなく死に、その魂が愛する妹の姿を求めて東京の街をさまよい、ときにワープするというだけのお話だが、その麻薬のトリップ感覚やチベット密教的な幻想性を出そうとしたと思われる映像が果てしなく続いていくのだ。

それは美しいとかグロテスクとかいう以前の、意識下の意識、美意識以前の皮膚感覚や胎内感覚を感じさせるような、五感の視覚への統一もしくは収れんといったような不思議な感覚を呼び覚ます。2時間30分を軽く超える上映時間が、さしたるストーリーの展開もなくあまり長く感じられないというのは稀有な体験。

この映画の監督ギャスパー・ノエはフランス人だそうだ。なるほどこうした退廃というか虚無へのこだわりはフランス人的といえる。

しかしそれにしてもエロティックなシーンはもう少しピントの合った鮮明な画像で観たかった(笑)








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  January 11, 2011 11:02:35 AM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: