12 月 10 日の公開予定であったのが 2 月 11 日からの公開になった。映画監督 50 年目のスティーブン・スピルバーグ作品。
『ウエスト・サイド物語』(ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ監督)は 1961 年作品。アカデミー賞では 10 部門で受賞。多くの人に知られる名作中の名作である。ウィリアム・シェークスピアの『ロミオとジュリエット』を下敷きにしたアーサー・ローレンツの原作戯曲は 1957 年にブロードウェイで上演された。作曲:レナード・バーンスタイン、作詞:スティーブン・ソンドハイム。今回は 1957 年の舞台劇に基づく映画化となっている。脚本のトニー・クシュナーは『ミュンヘン』( 2005 )『リンカーン』( 2012 )でもスピルバーグと組んでいる。オリジナル振り付けはジェローム・ロビンズであるが本作の振り付けはトニー賞受賞のジャスティン・ペック。音楽指揮はパリ・オペラ座の音楽監督グスターボ・ドゥダメルである。
冒頭、多くのがらくたが散乱する地面を映していたカメラは、リンカーンセンターの完成図の看板をとらえる。巨大な鉄球を取り付けたクレーン車と廃墟のようになった街並み。 1950 年代後半のニューヨーク、ロバート・モーゼスの主導する都市計画で変容する街をとらえつつ、映画は動き始める。
取り壊されるウエスト・サイドのスラム街。ここでは移民たちが多く暮している。彼らは同胞たちで結束し、互いに助け合うことで厳しい世の中を生き抜いていた。そんな中、プエルトリコ系の若者たちで構成された“シャークス”と“ジェッツ”というポーランド系移民グループの対立が激しさを増していた。
ある日、シャークスのリーダー、ベルナルド(デビッド・アルバレス)を兄に持つマリア(レイチェル・ゼグラー)は、ダンスパーティでトニー(アンセル・エルゴート)という青年と出会い、 2 人は互いに惹かれ合う。しかしトニーはジェッツの元リーダーであり、 2 人の恋は決して許されるものではなかった……。
マリアに出会ったトニーが夜の裏路地でマリアを探しまわり、建物上階の窓に彼女を見つける。 2 人は彼女の家の非常階段で互いの気持ちを確かめあう“ Tonight ”の場面。レンガの壁の建物に洗濯物が架かっていて生活感あふれる感じがいい。白いドレスに赤いベルトのマリアは、パーティドレスのままだ。
『ウエスト・サイド物語』では、マリアをナタリー・ウッド、トニーをリチャード・ベイマーが演じた。 1961 年作品でより印象深いのはジョージ・チャキリスとリタ・モレノだ。ジョージ・チャキリスはベルナルド、リタ・モレノはベルナルドの恋人のアニータを演じ、共にアカデミー賞の助演男女優勝を受賞している。
リタ・モレノは 1931 年生まれ。『ウエスト・サイド・ストーリー』では製作総指揮をつとめ、バレンティナ役で出演している。バレンティナはプエルトリコ移民。グリンゴ(白人)であるドクと結婚したが、夫は亡くなり一人でドラッグストアを引き継いで経営している。刑務所帰りのトニーは厚生のためここの店で雇われている。シャークスとジェッツの両方から一目置かれている。バレンティナが歌う“ Somewhere” は争いのないどこか=サムホエアを願っている『落下の解剖学』 嘘と秘密。 Mar 9, 2024
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