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熱海の間歇泉と、オールコックの愛犬の死
引き続き「伊豆の旅」の下見をしています。
9月22日には熱海市内の大湯間歇泉を見てきました。
熱海といえば温泉ですが、熱海駅前には間歇泉と足湯があります。

左下が足湯になっています。
これは、よくできていますが、観光用につくられた模造物です。この本物は、市街地の中にある「大湯間歇泉」で、
それをイメージしてつくったことを、今回はじめて知りました。
その大湯間歇泉を見てきました。

全体の形はそのままですが、
間歇泉はほとんど枯れて、わずかに面影を残すだけとなっています。
今は、街中にひっそりとしていますが、関東大震災で枯れてしまう前までは、
これが「世界の三大間歇泉の一つ」といわれるほどだったというのです。
そして、明治の初めの熱海は、人口もわずかで、「熱海村」だったそうです。
その熱海の温泉は、この辺りを中心にしていたというのです。
直ぐ前に大湯間歇泉の案内板がありました。

今回、地元の旧友が案内してくれたのですが。
地元の名ガイドがつくと、同じものを見ても、独り見た時とはまったく違ってきます。
独り疲れた目には「まぁ、こんなものか」と、勝手に通過してしまったところを、
ほんの一言、二言で、ビシッと歴史の具体的な現実を引きだしてくれました。
単なる通過者ではなく、現実を見る目がしっかりしてくるんですね。
それまでこの間歇泉は、ほぼ1時間おきに、湯けむりを大きくあげて、大量の温泉が噴出していたと言います。明治25年ころは1日に6回と、徐々に減ってはいたようですが。
それが関東大震災の後は、完全にとまってしまったといいます。
昭和37年に間歇泉の復活工事が行われ、
現在では4分ごとに3分間、量は少しですが噴出するようになっています。
かつて、この大湯間歇泉には、被害者がいました。もう一つ別の案内板がありました。

1859年に来日した初代駐日公使オールコックについてです。
1860年9月に彼は富士登山をする。
それは『大君の都』第20章に書かれています。
日英修交通商条約によって、外交使節団は首都での居住と、
帝国内をどこでも自由に旅行できる権利を保障されているはずだ。
その権利を実際に行使することを要点として、富士登山を実行する。
富士山の魅力に引かれていたこともありましたが。
そして、実際に富士山の山頂まで登った様子が紹介されてます。
この旅行を通して日本社会の状況をじかに見聞することに目的があったんですね。
第21章には、その帰り道に、9月17日に熱海に寄ったことが出てきます。
そしてここでイギリスから一緒に来た愛犬の「トピイ」が亡くなったことが書かれています。
なぜ亡くなったか、それは『大君の都』には書かれてなかったのですが。
この大湯間歇泉の案内板でわかりました。
この間歇泉で噴出した熱湯を浴びて、大やけどしたことでトピーは死んでしまった。
彼は、江戸に帰ってから、石を送って墓石にしたことが書かれてます。

そういわれてみると、今は噴出しても静かな間歇泉ですが、
かつては、静から動へ、突然に激しく湯けむりを噴出したのでしょう。
オールコックも熱海温泉について、「24時間中に6回ないし8回も大きな爆発音をたてて蒸気を噴出させる温泉の大きな通気孔のところに小さな小屋を建てさせた。これは優秀な風呂になった。」と書いています。
当時の熱海は、人口約1400人の農漁民が住む「村」だったそうです。
オールコックは愛犬を弔ってくれた村民の対応に心動かされるものがあったようです。
「日本人は、支配者によって誤らされ、敵意をもつようにそそのかされないときには、まことに親切な国民である」「私は自分が日本にいるのだということを忘れはじめていた」と書いています。
同時に、他方では、墓石一個が江戸から熱海に送られて、実際に墓石としておかれるまでに、江戸幕府の閤老たちから大きな抗議があり、やれ許可が必要だとか、条約違反だとか、多くのゴタゴタがあった問題も書いています。
彼の『大君の都』は、この富士山への旅行と見聞を詳しく書き残しています。
それは全体のごく一部です。幕末の日本社会のありさまを、具体的に観察して批評しています。
今回、『大君の都』は、熱海に関連する部分を読み直しただけですが、
しかし、なにか現代人の目からみたかのように、幕末の社会生活の様子を観察しています。その全体をあらためて吟味してみることも大事だと感じました。
熱海の間歇泉から、問題の広がりすぎですが。
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