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ディーツゲン著「論理学に関する手紙 第五」を読む ( その 2)
ディーツゲンの
「論理学に関する手紙」、今回は第五の手紙です。
ディーツゲンは、第六の手紙の冒頭でアドバイスをしています。
P170
「第三の手紙が、論理学がいかにしてある種の宗教的微光を帯びるかを語った後、それに続く二通
(
第四、第五
)
の手紙は、論理的主体は世界の存在全体と連関していること、思惟能力は現実の真理の不可分の部分であることを述べようとした」と。
一、冒頭に、「一元論的考え方」に注意を喚起しています。
具体的には、
P162
「世界のすべの部分、質料、力や性質、材木の切れ端も例外なしに、無制限のもの、無限のもの、唯一の真理や現実の、制限された断片である」との見方です。
さらにダーウィンの業績について、次の様に評価しています。
これまで動物界について形造られた全体像は、論理的本能によって種々の動物類をつぎ合わされてできたもので、『古いジャケツ』のようなものだった。
それをダーウィンが『種の起源』で変えた。それまで固定していた分類に穴をあけて、動物学の泥沼に流動、生命、精神をもたらした、と評価しています。
P163
『種の起源』により「動物界の分類は固定したものではなく、まったく変わるものだと指摘して、一つの種類から他の種類への移行を具体的に明らかにしたこと。同時にすべての種を一つの動物界へ総括することは、たんに論理的な機械的な仕事ではなく、生きている存在の事実であることを明らかにした。最小から最大に至る動物を一つの動物界へ総括することは、ダーウィン以前には、思想のみが作り上げる秩序として現れたが、今や自然の秩序であることが明示された」と。
さらに、この「動物学者が動物界に対しなしとげたことを、論理学者は存在一般に対して、無限の宇宙に対してしなければならない。論理学者は、世界全体が、すべての形態の存在が、精神をも含めて、論理的・同種的に結合しており、近親であることを指摘しなければならない」との課題を提起しています。
二、ここで「ある融通のきかない唯物論」を批判しています。
P164
「或る唯物論」は、思惟と脳髄との連関を確かめれば、それで万事は終わりにしている、との批判をしています。確かに思想と脳髄は関連している。これから、それを示す多くのことがさらに発見されるだろう、しかし、そのことは論理的活動を余計なものにするものではない、と。
「理論的活動」の意義を強調しています。それはこの手紙全体を通してのテーマと思われます。
新しい種の発見を例にして、理論活動を説明しています。
新しい点を明らかにすることは当たり前ですが、そうした変則を語るとしたら、「そのような変則の下に、すべての存在の一般的法則を越えないところの漸次的な変更が考えられているに過ぎない」と、ここに理論的活動があると強調しているわけです。
三、また、
P165
では「青い空と緑の樹木との存在が、我々の知性の存在と共に同一事物の種々の断片にすぎないこと、これは多くの学者をも含めて大多数の人たちにはまったく知られていない」と。なかなか達観した一元論の思想だとおもいます。
四、ディーツゲンは、二千年来論理学で言われる「真の思想とは現実と一致すべきものである」、この規定を検討していきす。
P166
各々の思想は実在的な内容を持っていること。それだけでなく、真の思想・認識を真でない思想・認識から区別するためには、「思惟は、最も奇妙な妄想や誤謬も含めて、いつでもどこでも現実及び真理の一片であるということが見損なわれてはならない」と指摘しています。
さらに、真理をつかむけれど、そのすべてを汲みつくせるものではないと。
P167
「真理そのもの」は、全一、無限者、無尽蔵なものであり、その部分の一つが人間精神である。存在全体・真理が人間精神の対象であり、無尽蔵な対象である。人間精神が論理学で自分自身を対象にするときは、主観も客観も他の事物と同じ事物であり、真理の一片、自然的存在の一部であること。「真理そのもの」は全部が人間の頭脳に入るものではなく、おそらく断片的に入るだけだろう。だから本来われわれが持っているのは永遠に生き生きとした真理への衝動だけである。それ故、概念・認識は決して現実と一致するものではなく、いつでもその一片であるにすぎないと。
ディーツゲンは古い論理学の規定では、どのようにして一致されるのか、一致する度合は
どのようなのか、こうした問題が明らかにされてないと。すべての同一性、近似性、一致には、相対的な本質があり、完全なものではなくて接近・模写する度合の問題がある、と。
以上、引用です。これらのディーツゲンの見解には、重要な吟味に値する問題が含まれていることを感じています。
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